「伊藤存 - 四月パカ - 」 タカイシイギャラリー

タカイシイギャラリー江東区清澄1-3-2 5F)
「伊藤存 - 四月パカ - 」
4/11-5/16



さながら糸を絵筆と見立てるかの如く刺繍で『絵画』を作ります。伊藤存の新作展へ行ってきました。

伊藤の個展というと、昨年の児玉画廊を思い出しますが、その時に受けた糸の絶え間ない運動、言い換えれば『糸のアニメーション』というイメージよりも、今回はもっと絵画的な、つまりはドローイングの印象が強いように思えました。開けてくるのは、歪んだ布へ直接縫い込まれた刺繍糸、そしてそれらが織り成す断片的でかつ、半抽象的な風景です。自在に糸を操り、グレーやベージュを基調とした支持体へ、緻密に、また時に意図的に大味な『形』を写し出していきます。そこからは人の顔が、また全くそれとは異なった切り株などのイメージもぼんやりと浮き出ていました。余白は糸にザクザクと切り込まれています。その相互の対峙し合う緊張感は、ダンスするかのように疾走する糸の爽快感と相まってか、どこかゾクゾクするような心地良さすら演出していました。

なお伊藤存は、7月より東京都庭園美術館で開催される「針と糸で描くわたし」にも出品があるそうです。建築美に優れた同美術館の『借景』は、彼のイメージにどう力を与えるのでしょうか。

「ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし」@東京都庭園美術館(7/18~9/27)
出品作家:秋山さやか/伊藤存/奥村綱雄/清川あさみ/竹村京/手塚愛子/ヌイ・プロジェクト/村山留里子
*また上野の森美術館での「ネオテニー・ジャパン」(5/20~7/15)にも作品が展示されます。

「伊藤存/リトルモア」

明後日の土曜、16日までの開催です。
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