「欣求浄土~ピュア・ランドを求めて - 大倉コレクション 仏教美術名品展」 大倉集古館

大倉集古館港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正門前)
「欣求浄土 (ごんぐじょうど)~ピュア・ランドを求めて - 大倉コレクション 仏教美術名品展」
8/1-9/26



「大倉コレクションの日本・東洋の仏教美術の優品から、浄土やそのイメージに繋がるものを中心に展観」(美術館HPより全文引用。)します。大倉集古館で開催中の「欣求浄土~ピュア・ランドを求めて - 大倉コレクション 仏教美術名品展」へ行ってきました。

同美術館の仏教美術品というとお馴染みの国宝、普賢菩薩像が有名なところですが、それを中心に、仏像、絵巻、曼荼羅、また羅漢図などの作品、全30点弱が一同に揃っていました。(出品リスト)いつもの通り、非常に簡素な展示ではありますが、所蔵の仏教美術をじっくりと楽しむのにはまたとない機会かもしれません。

何やらポップな阿弥陀様のチラシ表紙が目を引くところですが、その図像が実際の展示作品であるのは言うまでもありません。険しい山の間に突如出現する阿弥陀如来を描いたのは、復古大和絵派の絵師、冷泉為恭でした。ビビットな色遣いの他、随所に見られる柔らかな線描などはまさに彼の画風のなすところですが、着衣における金彩にも要注目です。実に細やかでかつ艶やかな表現で模様を表していました。

絵巻にも充実した作品が出ています。中でも印象深いのは、平安末期の僧、良忍上人の事蹟を描いた「融通念仏縁起絵巻」です。毘沙門の化身が僧良忍の庵を訪ねる箇所から始まり、逆に今度は鞍馬にて良忍が姿を見せた毘沙門に会う光景などが、軽妙なタッチにて表されていました。


「空也上人絵伝」

私として今回の一推しにしたいのは、空也の生涯を6つの場面に分けて描いた「空也上人絵伝」です。青い雲を場面の転換に用いた縦長の空間には、まるで民画のようにコミカルな空也が登場しています。特に最下段の空也には是非注目して下さい。念仏を唱えた空也の口から小仏が飛び出す様子が描かれていました。


「十六羅漢図」のうち「第三尊者」

展示の目玉は「十六羅漢図」に他なりません。この羅漢図は極彩色のものと、色数の少ない線描的なものの二パターンに分かれているそうですが、今回はそれらを一度の展示替えを挟んで全幅公開しています。ここはじっくりと見入りました。

「十六羅漢図」展示スケジュール
前期(8/1~8/29):第一、三、五、七、九、十一、十三、十五尊者
後期(8/31~9/26):第二、四、六、八、十、十二、十四、十六尊者


その他、4幅の金彩の「阿弥陀三尊来迎図」の他、宗画の影響を受けたという大きな「仏涅槃図」、また狩野探幽による画帳などの見どころもありました。なお今回は単眼鏡が必須です。仏画の細かな描写を見るのに役立ちました。

9月26日まで開催されています。
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