「モニターとコントローラーの向こう側へ 美術とテレビゲーム」 ニュートロン東京

ニュートロン東京
「モニターとコントローラーの向こう側へ 美術とテレビゲーム」
9/26-10/14



ニュートロン東京で開催中の「モニターとコントローラーの向こう側へ 美術とテレビゲーム」へ行って来ました。

ずばり私自身もファミコン世代、子どもの頃はドラクエやマリオにハマりましたが、そうしたゲームを美術の観点から考察しようとする展覧会が、青山のニュートロン東京で行われています。

それが「モニターとコントローラーの向こう側へ 美術とテレビゲーム」展。

出品作家は以下の4名でした。

大竹竜太
設楽陸
林勇気
米子匡司


さて今回のお目当ては一にも二にも林勇気。関西を拠点に活動する映像作家です。本展の全体のプランニングも行いました。



まずは一階スペースから。暗がりの空間にはモニターが三点、お馴染みのアニメーション作品が紹介されていますが、ともかく目に付くのが床へ置かれたプロジェクター。一体何が映されているのかと追っかけて見ました。



すると壁面には小さな人影が現れ、一生懸命に同じく小さな家を押しているではありませんか。


林勇気「Overlap」(部分)2012年 HD video

林の作品は現実と非現実をこの小人で繋ぎ、どこか夢幻的な世界を作り上げることでも魅力。それを壁面という展示空間そのもので楽しむことが出来ました。

さて二階へあがってみましょう。

ここでは設楽陸のペインティングに注目です。


設楽陸「Mainland decisive battle」2008年 アクリル・キャンバス 他

鮮やかな色遣いで表された不思議な風景、シュールとも言えるかもしれませんが、彼は子どもの頃、自宅でテレビゲームが禁止され、友人の家へ行ってはプレーしている画面をスケッチしたりしていたそうです。



またゲームの独特の世界観を、同じく彼の興味の対象だった歴史物語と合わせて無数に記したノートも。

かつては否定的な文脈でも捉えられたテレビゲームですが、それをきっかけにして生み出される新たなストーリー。その創造性には感心させられました。

3階では林勇気の作品が個展形式で紹介されています。


林勇気「happytimes」2012年 HD video

ここで面白いのが「happytimes」、何らや家に動物、また灯台に食べ物、また葉っぱなどがそれこそアイコン状に次々と映し出されてきます。

そしてそれぞれのアイコンは時に動いていますが、何とこれらはいずれもネットで「幸せ」という言葉で画像検索をし、ピックアップしてきた画像であるとのこと。

Yuki Hayashi video works


どういった文脈で幸せに繋がるのかは明らかではありませんが、幸せとはまさに個人的なもの、そして身近なものにも多数潜んでいるということを気づかさせるような作品でもありました。

さて機械仕掛けのインスタレーションを手がける米子匡司も見逃せません。


米子匡司「木を揺らす」2012年 インスタレーション

自販機や空き缶に生命が吹き込まれます。その姿はまさにコミカル。決して派手ではありませんが、その意外性のある動きを見ているとしばし時間を忘れてしまいました。

「有限会社ニュートロンよりギャラリー業務年内終了のお知らせ」@ニュートロン

なおニュートロンのギャラリースペースは本年末でクローズします。特徴的な三層のフロアはもとより、関西在住の作家を積極的に取り上げた展示が興味深かっただけに、率直なところ残念でなりません。

[今後の展示スケジュール]
「みんなからのなか:大槻香奈」 10月17日(水)~11月4日(日)
「三尾あすか、三尾あづち二人展」 11月7日(水)~12月2日(日)
「イケヤン☆2012 オーラス展」 12月5日(水)~12月30日(木)

10月14日までの開催です。

「モニターとコントローラーの向こう側へ 美術とテレビゲーム」 ニュートロン東京@neutron_tokyo
会期:9月26日 (水) ~ 10月14日 (日)
休館:10月1日、8日。
時間:10:00~19:00
住所:港区南青山2-17-14
交通:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩約8分。東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線青山一丁目駅より徒歩約15分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )