都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
東京国立近代美術館の所蔵作品展がリニューアル!
今年、開館60周年を迎えた東京国立近代美術館。
7月末より所蔵作品展のリニューアル工事が行われていましたが、この度無事終了。いよいよ10月16日(火)からの「美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年」展でお披露目されます。
というわけで早速、リニューアルのポイントをご紹介。
まずはその1、名前から。所蔵作品展の名前が「近代日本の美術」から「MOMATコレクション」に改称。実は近代の日本美術の他にも海外作品のコレクションが多い同美術館、この点を踏まえての名称変更となりました。
4階「MOMATコレクション」入口
まずは順に沿って4階の入口から。ともかく目に飛び込んで来るのがオレンジ色のカーペット。そこには検索端末の他、フロアガイドなどが設置されています。
4階「作品検索コーナー」
これがかつて3階にあった作品検索コーナー。4階の入口に移設されました。
4階「所蔵作品検索コーナー」
さてカーペットの敷かれた空間に沿いながら、もう一歩奥へと進みましょう。これぞリニューアルのポイントの2つ目、インテリアも一新された休憩スペース、名付けて「眺めのよい部屋」に他なりません。
4階「眺めのよい部屋」
もちろん前も同じように皇居を望む見晴らしのよい休憩コーナーがありましたが、如何せん奥まった場所だったので、あまり目立っていなかったとのこと。
それを入口からのオレンジのカーペットで動線を作り、さらに「眺め」を強調することで、より親しみやすく利用しやすい場へ生まれ変わったわけです。
さて今度は展示室に戻り、順路冒頭から。初めの暗がりの空間がリニューアルポイントの3、新設の「ハイライトコーナー」です。
4階「展示室1 ハイライト」
ここでは常時、所蔵作品の中から特に重要な作品がピックアップして展示されます。まずは一目で東近美のコレクションの中核をおさらい出来るようになりました。
4階「展示室3 人を表す」
さてさらに展示室の奥へ。すぐに気がつくのは、かつてのガランとした廊下のようなスペースがあるのではなく、いくつもの小部屋が連続していることです。
3階「展示室9 写真」
これがポイント4。細かく分けられた部屋による「テーマ展示」。これにより大小様々なテーマが連続しながら、全体のMOMATコレクションを形成していくというイメージが出来上がりました。
そして3階へ廻るとポイント5。新設の「日本画コーナー」が出現。
3階「展示室10 日本画」
これまでも日本画は3階に集中していましたが、リニューアル後は「日本画コーナー」のみの展示です。これまでの洋画と日本画の混在する展示スタイルも興味深いものがありましたが、外国のお客様からの日本画だけを見たいというリクエストにも答えたのだとか。
3階「展示室10 日本画」
照明を落とし、あえて黒に包まれた空間を作ることで、日本画の魂とも言える「色」を引き出す工夫がとられています。
3階「日本画10 日本画」
ちなみにケースや照明は基本的に既存のものが使われています。ただし床のテカリ、ようは光の反射を低減する仕掛けが。その効果か、全体的に作品がくっきりと際立っているような印象を受けました。日本画の展示環境は間違いなく向上しています。
3階「建物を思う部屋」
またかつて菅木志雄の「景留斜継」が設置されていた空間は「建物を思う部屋」に改称。建設当時の姿をそのまま残す窓とサッシに向き合いながら、谷口建築を偲ぶというスペースへと生まれ変わりました。
「展示室5 風景を描く」解説パネル
サインシステムも一新しています。作品解説に外国語表記が加わりました。
2階「展示室12 疑うことと信じること 2」
リニューアルを手がけられた建築家、西澤徹夫氏の言葉です。(リリースより転載)
「この美術館には、長い歴史の間に、さまざまな要素が入り込んでいます。そして、今はそれらが何ともいえない自然さで共存しています。ですからそれらの要素を全部キャンセルして谷口のオリジナルに近づけるのではなく、もちろん谷口を離れてまったく新しくするのでもなく、大小の改変の積み重ねが今後より豊かな空間に結びつくよう、今あるものをニーズに合わせて整理整頓する、というあたりを目指しています。
この「自然さの共存」、「豊かな空間」、「整理整頓」こそ、まさに今回のリニューアルの重要なキーワードではないでしょうか。
2階「展示室12 疑うことと信じること 2」
従来の重厚な佇まいはそのままにしながらも、空間を区切ることで展示のテーマ性を際立たせ、また日本画やハイライトコーナーなど、コレクションをある程度整理して提示すること。それに木のベンチやケース、そしてロープを用いた停止線など、細かな部分に「温かみ」や「優しさ」が感じられるのも嬉しいポイントでした。
初めにも触れましたがオープニングは全館規模で開催される「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」。一部、二部あわせて出品数500点を超える一大所蔵品展です。
3階「展示室6 前衛の登場」
実のところ内覧時の短い時間では作品を殆ど見ることが出来ませんでした。よって改めて出向き、展覧会の様子をブログへまとめたいと思います。
さらに長らくクローズしていたレストランもようやく復活。三國清三シェフのレストラン「ラー・エ・ミクニ」が10月16日よりオープンします。
展示に初参加、田中功起さんのインスタレーションがまた楽しいことになってます!
60周年のリニューアルオープン、美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」は、10月16日(火)からはじまります。
「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」 東京国立近代美術館(@MOMAT60th)
会期:2012年10月16日(火)~2013年1月14日(月)
休館:月曜日。但し12月24日と1月14日は開館。年末年始(12月28日~1月1日)。
時間:10:00~17:00 但し金曜は20時まで。
料金:一般1300(900)円、大学生900(600)円、高校生400(200)円。
*( )内は20名以上の団体料金。12/1の開館記念日は無料。
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
7月末より所蔵作品展のリニューアル工事が行われていましたが、この度無事終了。いよいよ10月16日(火)からの「美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年」展でお披露目されます。
というわけで早速、リニューアルのポイントをご紹介。
まずはその1、名前から。所蔵作品展の名前が「近代日本の美術」から「MOMATコレクション」に改称。実は近代の日本美術の他にも海外作品のコレクションが多い同美術館、この点を踏まえての名称変更となりました。
4階「MOMATコレクション」入口
まずは順に沿って4階の入口から。ともかく目に飛び込んで来るのがオレンジ色のカーペット。そこには検索端末の他、フロアガイドなどが設置されています。
4階「作品検索コーナー」
これがかつて3階にあった作品検索コーナー。4階の入口に移設されました。
4階「所蔵作品検索コーナー」
さてカーペットの敷かれた空間に沿いながら、もう一歩奥へと進みましょう。これぞリニューアルのポイントの2つ目、インテリアも一新された休憩スペース、名付けて「眺めのよい部屋」に他なりません。
4階「眺めのよい部屋」
もちろん前も同じように皇居を望む見晴らしのよい休憩コーナーがありましたが、如何せん奥まった場所だったので、あまり目立っていなかったとのこと。
それを入口からのオレンジのカーペットで動線を作り、さらに「眺め」を強調することで、より親しみやすく利用しやすい場へ生まれ変わったわけです。
さて今度は展示室に戻り、順路冒頭から。初めの暗がりの空間がリニューアルポイントの3、新設の「ハイライトコーナー」です。
4階「展示室1 ハイライト」
ここでは常時、所蔵作品の中から特に重要な作品がピックアップして展示されます。まずは一目で東近美のコレクションの中核をおさらい出来るようになりました。
4階「展示室3 人を表す」
さてさらに展示室の奥へ。すぐに気がつくのは、かつてのガランとした廊下のようなスペースがあるのではなく、いくつもの小部屋が連続していることです。
3階「展示室9 写真」
これがポイント4。細かく分けられた部屋による「テーマ展示」。これにより大小様々なテーマが連続しながら、全体のMOMATコレクションを形成していくというイメージが出来上がりました。
そして3階へ廻るとポイント5。新設の「日本画コーナー」が出現。
3階「展示室10 日本画」
これまでも日本画は3階に集中していましたが、リニューアル後は「日本画コーナー」のみの展示です。これまでの洋画と日本画の混在する展示スタイルも興味深いものがありましたが、外国のお客様からの日本画だけを見たいというリクエストにも答えたのだとか。
3階「展示室10 日本画」
照明を落とし、あえて黒に包まれた空間を作ることで、日本画の魂とも言える「色」を引き出す工夫がとられています。
3階「日本画10 日本画」
ちなみにケースや照明は基本的に既存のものが使われています。ただし床のテカリ、ようは光の反射を低減する仕掛けが。その効果か、全体的に作品がくっきりと際立っているような印象を受けました。日本画の展示環境は間違いなく向上しています。
3階「建物を思う部屋」
またかつて菅木志雄の「景留斜継」が設置されていた空間は「建物を思う部屋」に改称。建設当時の姿をそのまま残す窓とサッシに向き合いながら、谷口建築を偲ぶというスペースへと生まれ変わりました。
「展示室5 風景を描く」解説パネル
サインシステムも一新しています。作品解説に外国語表記が加わりました。
2階「展示室12 疑うことと信じること 2」
リニューアルを手がけられた建築家、西澤徹夫氏の言葉です。(リリースより転載)
「この美術館には、長い歴史の間に、さまざまな要素が入り込んでいます。そして、今はそれらが何ともいえない自然さで共存しています。ですからそれらの要素を全部キャンセルして谷口のオリジナルに近づけるのではなく、もちろん谷口を離れてまったく新しくするのでもなく、大小の改変の積み重ねが今後より豊かな空間に結びつくよう、今あるものをニーズに合わせて整理整頓する、というあたりを目指しています。
この「自然さの共存」、「豊かな空間」、「整理整頓」こそ、まさに今回のリニューアルの重要なキーワードではないでしょうか。
2階「展示室12 疑うことと信じること 2」
従来の重厚な佇まいはそのままにしながらも、空間を区切ることで展示のテーマ性を際立たせ、また日本画やハイライトコーナーなど、コレクションをある程度整理して提示すること。それに木のベンチやケース、そしてロープを用いた停止線など、細かな部分に「温かみ」や「優しさ」が感じられるのも嬉しいポイントでした。
初めにも触れましたがオープニングは全館規模で開催される「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」。一部、二部あわせて出品数500点を超える一大所蔵品展です。
3階「展示室6 前衛の登場」
実のところ内覧時の短い時間では作品を殆ど見ることが出来ませんでした。よって改めて出向き、展覧会の様子をブログへまとめたいと思います。
さらに長らくクローズしていたレストランもようやく復活。三國清三シェフのレストラン「ラー・エ・ミクニ」が10月16日よりオープンします。
展示に初参加、田中功起さんのインスタレーションがまた楽しいことになってます!
60周年のリニューアルオープン、美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」は、10月16日(火)からはじまります。
「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」 東京国立近代美術館(@MOMAT60th)
会期:2012年10月16日(火)~2013年1月14日(月)
休館:月曜日。但し12月24日と1月14日は開館。年末年始(12月28日~1月1日)。
時間:10:00~17:00 但し金曜は20時まで。
料金:一般1300(900)円、大学生900(600)円、高校生400(200)円。
*( )内は20名以上の団体料金。12/1の開館記念日は無料。
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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