都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」 大倉集古館
大倉集古館
「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」
8/3-9/29
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/68/ddcc1e94bac913e34e367fd215063948.jpg)
大倉集古館で開催中の「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」へ行ってきました。
1930年(昭和5年)にローマで開催された「羅馬開催日本美術展」。当時の日本画壇を代表する画家80名の制作した日本画を一挙展観。イタリアの国王や首相も訪れ、彼の地にて日本美術の「最新」の力作が知られることになりました。
この通称「ローマ展」の開催に尽力したのが大倉財閥の総帥、大倉喜七郎です。彼は画家の制作費はおろか、渡欧費、また会場設営費などを負担。その縁もあり、当時出品されたものの多くは大倉家に所蔵、現在の大倉集古館におさめられました。
というわけで本展ではローマ展に出品された近代日本画を紹介。団長をつとめた大観をはじめ、玉堂、観山、古径、御舟らといった画家の作品、30点弱が展示されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/80/23e4eded61c951e9f98a2ff63b163d66.jpg)
児玉素光「山の湯」1926(大正15)年
では印象に深い作品をいくつか。まずは児玉素光の「山の湯」です。瑞々しいまでの緑に覆われた山の奥。そこには家屋が。また谷間からは湯気のようなものも立ち上っている。これは長野の温泉地を描いたものだそうです。情感に満ちています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/cb/c42aa756905ed405a2de0be883a1520f.jpg)
下村観山「不動尊」1925(大正14)年
下村観山の「不動尊」も大変な力作。紺の絹地に金泥で力強く不動の姿を。高野山に伝わる像を参照したとのことですが、右の童子が頬に手をあてるなど、少し変わった表現もとられています。
そして横山大観の「夜桜」です。大倉集古館の近代日本画では最も有名と言っても良い大作。改めて見ても見事なものですが、背景の黒い山と手前の篝火に照らされた明るい桜との対比は効果的。また篝火の煙が上へと靡く姿が、構図における縦への意識を強く志向しているようにも思えます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/2a/cc115bfd6cea3c6140d189453f50e2dc.jpg)
小林古径「木菟図」1929(昭和4)年 *展示期間:8/3-9/1
小林古径の「木菟図」も可愛らしい一枚です。夕闇の中、紅梅の枝の上にちょこんとのった木菟。上目遣いの表情は思いの外に凛々しく、どこか風格すら漂わせています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/12/51302c471687312ee32ea433ee78a4b2.jpg)
速水御舟「鯉魚」1929(昭和4)年 *展示期間:8/3-9/1
速水御舟の「鯉魚」も絶品。細やかな鯉の鱗の描写はもとより、絵具の滲みを利用した水の豊かな質感表現が巧みです。黄金色にも輝いていました。
また大観の描いたローマ展ポスターや、当時の展示会場写真などもあわせて紹介。会場は当時の宮大工らが手がけたという純和風です。おそらくイタリアの人々に驚きの目をもって迎えられたに違いありません。
ローマ展関連の展示はこれまでにも何度か開催されたこともあり、新鮮味はないかもしれませんが、大倉集古館だからこその近代日本画展。思いの外に見応えがありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/60/f52e74145aa6894b9a90f77039896656.jpg)
川合玉堂「奔潭(左隻)」1929(昭和4)年
ホテルオークラ内で開催中の「第19回 秘蔵の名品アートコレクション展」のチケットで入場出来ます。
9月29日まで開催されています。*展示替えあり。リストは大倉集古館ブログへ。
「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」 大倉集古館
会期:8月3日(土)~9月29日(日)
休館:8月5日、9月2日・9日。
時間:10:00~16:30 (入館は16時まで。)
料金:一般800円、 64歳以上・大学生・高校生500円、中学生以下無料。
*20名以上の団体は100円引。
*ホテルオークラ東京「第19回 秘蔵の名品アートコレクション展」との共通チケットで入場可。
住所:港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正面玄関前
交通:東京メトロ南北線六本木一丁目駅改札口より徒歩5分。東京メトロ日比谷線神谷町駅4b出口より徒歩7分。
「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」
8/3-9/29
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大倉集古館で開催中の「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」へ行ってきました。
1930年(昭和5年)にローマで開催された「羅馬開催日本美術展」。当時の日本画壇を代表する画家80名の制作した日本画を一挙展観。イタリアの国王や首相も訪れ、彼の地にて日本美術の「最新」の力作が知られることになりました。
この通称「ローマ展」の開催に尽力したのが大倉財閥の総帥、大倉喜七郎です。彼は画家の制作費はおろか、渡欧費、また会場設営費などを負担。その縁もあり、当時出品されたものの多くは大倉家に所蔵、現在の大倉集古館におさめられました。
というわけで本展ではローマ展に出品された近代日本画を紹介。団長をつとめた大観をはじめ、玉堂、観山、古径、御舟らといった画家の作品、30点弱が展示されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/80/23e4eded61c951e9f98a2ff63b163d66.jpg)
児玉素光「山の湯」1926(大正15)年
では印象に深い作品をいくつか。まずは児玉素光の「山の湯」です。瑞々しいまでの緑に覆われた山の奥。そこには家屋が。また谷間からは湯気のようなものも立ち上っている。これは長野の温泉地を描いたものだそうです。情感に満ちています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/cb/c42aa756905ed405a2de0be883a1520f.jpg)
下村観山「不動尊」1925(大正14)年
下村観山の「不動尊」も大変な力作。紺の絹地に金泥で力強く不動の姿を。高野山に伝わる像を参照したとのことですが、右の童子が頬に手をあてるなど、少し変わった表現もとられています。
そして横山大観の「夜桜」です。大倉集古館の近代日本画では最も有名と言っても良い大作。改めて見ても見事なものですが、背景の黒い山と手前の篝火に照らされた明るい桜との対比は効果的。また篝火の煙が上へと靡く姿が、構図における縦への意識を強く志向しているようにも思えます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/2a/cc115bfd6cea3c6140d189453f50e2dc.jpg)
小林古径「木菟図」1929(昭和4)年 *展示期間:8/3-9/1
小林古径の「木菟図」も可愛らしい一枚です。夕闇の中、紅梅の枝の上にちょこんとのった木菟。上目遣いの表情は思いの外に凛々しく、どこか風格すら漂わせています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/12/51302c471687312ee32ea433ee78a4b2.jpg)
速水御舟「鯉魚」1929(昭和4)年 *展示期間:8/3-9/1
速水御舟の「鯉魚」も絶品。細やかな鯉の鱗の描写はもとより、絵具の滲みを利用した水の豊かな質感表現が巧みです。黄金色にも輝いていました。
また大観の描いたローマ展ポスターや、当時の展示会場写真などもあわせて紹介。会場は当時の宮大工らが手がけたという純和風です。おそらくイタリアの人々に驚きの目をもって迎えられたに違いありません。
ローマ展関連の展示はこれまでにも何度か開催されたこともあり、新鮮味はないかもしれませんが、大倉集古館だからこその近代日本画展。思いの外に見応えがありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/60/f52e74145aa6894b9a90f77039896656.jpg)
川合玉堂「奔潭(左隻)」1929(昭和4)年
ホテルオークラ内で開催中の「第19回 秘蔵の名品アートコレクション展」のチケットで入場出来ます。
9月29日まで開催されています。*展示替えあり。リストは大倉集古館ブログへ。
「館蔵品展 大倉コレクションの精華2 近代日本画名品選」 大倉集古館
会期:8月3日(土)~9月29日(日)
休館:8月5日、9月2日・9日。
時間:10:00~16:30 (入館は16時まで。)
料金:一般800円、 64歳以上・大学生・高校生500円、中学生以下無料。
*20名以上の団体は100円引。
*ホテルオークラ東京「第19回 秘蔵の名品アートコレクション展」との共通チケットで入場可。
住所:港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正面玄関前
交通:東京メトロ南北線六本木一丁目駅改札口より徒歩5分。東京メトロ日比谷線神谷町駅4b出口より徒歩7分。
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