都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「東山魁夷と東京美術学校有志」 市川市東山魁夷記念館
市川市東山魁夷記念館
「特別展 東山魁夷と東京美術学校有志ー橋本明治・加藤栄三・山田申吾」
10/11-11/30

市川市東山魁夷記念館で開催中の「特別展 東山魁夷と東京美術学校有志ー橋本明治・加藤栄三・山田申吾」を見て来ました。
昭和6年に東京美術学校の日本画科を卒業した東山魁夷。その同窓は「花の六年組」として語り継がれたそうです。

東山魁夷「門(習作)」1959(昭和34)年 小川美術館
本展では魁夷に加え、同窓の橋本明治、加藤栄三、山田申吾の作品を紹介しています。
「道」の試作から始まる展覧会、冒頭は彼らを友人として繋ぐ各種資料が展示されています。
「伊豆米若山荘にて」と題された淡彩の軸画、魁夷が椿を描き、栄三や申吾らがみかんやツクシを描く。即興的な筆遣い、旅先でのいわゆる席画でしょうか。彼らの合作として捉えても差し支えないかもしれません。
また同じく合作と言えば「リスと栗」も可愛らしい一枚です。魁夷と栄三の合作、魁夷は大きな葉のついた栗の枝を描いている。そこに向き合うのが一匹のリス。もちろん描いたのは栄三です。ちなみに栄三は魁夷の親友。また魁夷の住んだ市川の素封家の知遇を得て世に出たという、市川とも所縁のある画家でもあります。
そのほか同窓の「六窓会」の案内状や会場写真、またともに参加した現代美術日本画展(昭和33年。日本橋高島屋。)の図録なども目を引きます。彼らが画家としていかに関わりを持っていたのかを知ることが出来ました。
さて展示は2フロアでの構成。1階部分が主に資料やスケッチ、2階が本画です。4名の画家の戦前戦後の作品、約20点が展示されています。

山田申吾「武蔵野」1931(昭和6)年 東京藝術大学大学美術館
山田申吾の「武蔵野」はどうでしょうか。広々とした田園風景、刈り取りを追えた田んぼでしょう。木々は少し色づいているようにも見えます。稲穂の掛け干しはうっすら黄金色に光っている。そして遠景の彼方には白い雪の被った富士山の姿を望むことも出来ます。

橋本明治「まり千代像」1954(昭和29)年 東京国立近代美術館
橋本明治では「まり千代像」が秀逸でした。東近美所蔵の一枚、金屏風を背に黒の着物を着た女性が扇子を手にして座っている。表情はやや険しい。屏風の前には黄色い花が飾られています。画家ならではの太い輪郭線です。敷物の線と屏風の下の線の描く幾何学模様が際立って見えます。
東山魁夷では「エルシノアの街」に惹かれました。デンマークの都市の風景を描いた作品、魁夷の「北欧シリーズ」の一枚です。都市風景と言えども画面のほぼ全てを覆うのは建物の壁。底抜けの晴天の下での青みがかった石壁が映えます。壁の質感を出すためでしょうか。絵具を少し盛っている。窓に光が差し込む様子も美しく表されていました。

東山魁夷「ウプサラ風景」1953(昭和38)年 香川県立東山魁夷せとうち美術館
なお今回は特別展ということで同記念館以外のコレクションも展示。東京藝術大学大学美術館や加藤栄三・東一記念美術館、また山梨県立美術館や香川県立東山魁夷せとうち美術館などからも作品が来ています。(出品リスト)
小津安二郎の映画に魁夷らの作品が映されていたそうです。例えば魁夷では「門」、明治では「石橋」が映画のワンシーンに登場します。一番多いのは橋本明治で計8点です。その辺についても資料での紹介がありました。
市川市東山魁夷記念館は魁夷の住んだ中山の地に位置する魁夷顕彰の記念館。留学の地ドイツの建築様式を模した西洋風の建物です。

館内には精養軒直営のカフェ「白馬亭」があり、名物のハヤシライスをいただけるほか、コーヒーや紅茶を片手に寛ぐことも出来ます。非常にこじんまりとした施設ではありますが、界隈ではちょっとしたシンボルです。

最寄のJR下総中山駅からは坂をあがって徒歩20分ほど。少し距離があります。駅からは京成バスシステム(柏井線)の利用をおすすめします。*最寄バス停は「北方」です。
11月30日まで開催されています。
「特別展 東山魁夷と東京美術学校有志ー橋本明治・加藤栄三・山田申吾」 市川市東山魁夷記念館
会期:10月11日(土)~11月30日(日)
休館:月曜日。但し祝日にあたる場合は翌平日。
料金:一般700(560)円、65歳以上560円、高校・大学生350(280)円、中学生以下無料。
*( )内は25名以上の団体料金。
時間:10:00~17:00。入場は閉館の30分前まで。
住所:千葉県市川市中山1-16-2
交通:JR下総中山駅より徒歩約20分。京成中山駅より徒歩約15分。JR線下総中山駅より京成バスシステム柏井線「市営霊園・保健医療福祉センター」行き、「北方」バス停下車約1分。(下総中山駅バス時刻表)有料駐車場あり。
「特別展 東山魁夷と東京美術学校有志ー橋本明治・加藤栄三・山田申吾」
10/11-11/30

市川市東山魁夷記念館で開催中の「特別展 東山魁夷と東京美術学校有志ー橋本明治・加藤栄三・山田申吾」を見て来ました。
昭和6年に東京美術学校の日本画科を卒業した東山魁夷。その同窓は「花の六年組」として語り継がれたそうです。

東山魁夷「門(習作)」1959(昭和34)年 小川美術館
本展では魁夷に加え、同窓の橋本明治、加藤栄三、山田申吾の作品を紹介しています。
「道」の試作から始まる展覧会、冒頭は彼らを友人として繋ぐ各種資料が展示されています。
「伊豆米若山荘にて」と題された淡彩の軸画、魁夷が椿を描き、栄三や申吾らがみかんやツクシを描く。即興的な筆遣い、旅先でのいわゆる席画でしょうか。彼らの合作として捉えても差し支えないかもしれません。
また同じく合作と言えば「リスと栗」も可愛らしい一枚です。魁夷と栄三の合作、魁夷は大きな葉のついた栗の枝を描いている。そこに向き合うのが一匹のリス。もちろん描いたのは栄三です。ちなみに栄三は魁夷の親友。また魁夷の住んだ市川の素封家の知遇を得て世に出たという、市川とも所縁のある画家でもあります。
そのほか同窓の「六窓会」の案内状や会場写真、またともに参加した現代美術日本画展(昭和33年。日本橋高島屋。)の図録なども目を引きます。彼らが画家としていかに関わりを持っていたのかを知ることが出来ました。
さて展示は2フロアでの構成。1階部分が主に資料やスケッチ、2階が本画です。4名の画家の戦前戦後の作品、約20点が展示されています。

山田申吾「武蔵野」1931(昭和6)年 東京藝術大学大学美術館
山田申吾の「武蔵野」はどうでしょうか。広々とした田園風景、刈り取りを追えた田んぼでしょう。木々は少し色づいているようにも見えます。稲穂の掛け干しはうっすら黄金色に光っている。そして遠景の彼方には白い雪の被った富士山の姿を望むことも出来ます。

橋本明治「まり千代像」1954(昭和29)年 東京国立近代美術館
橋本明治では「まり千代像」が秀逸でした。東近美所蔵の一枚、金屏風を背に黒の着物を着た女性が扇子を手にして座っている。表情はやや険しい。屏風の前には黄色い花が飾られています。画家ならではの太い輪郭線です。敷物の線と屏風の下の線の描く幾何学模様が際立って見えます。
東山魁夷では「エルシノアの街」に惹かれました。デンマークの都市の風景を描いた作品、魁夷の「北欧シリーズ」の一枚です。都市風景と言えども画面のほぼ全てを覆うのは建物の壁。底抜けの晴天の下での青みがかった石壁が映えます。壁の質感を出すためでしょうか。絵具を少し盛っている。窓に光が差し込む様子も美しく表されていました。

東山魁夷「ウプサラ風景」1953(昭和38)年 香川県立東山魁夷せとうち美術館
なお今回は特別展ということで同記念館以外のコレクションも展示。東京藝術大学大学美術館や加藤栄三・東一記念美術館、また山梨県立美術館や香川県立東山魁夷せとうち美術館などからも作品が来ています。(出品リスト)
小津安二郎の映画に魁夷らの作品が映されていたそうです。例えば魁夷では「門」、明治では「石橋」が映画のワンシーンに登場します。一番多いのは橋本明治で計8点です。その辺についても資料での紹介がありました。
市川市東山魁夷記念館は魁夷の住んだ中山の地に位置する魁夷顕彰の記念館。留学の地ドイツの建築様式を模した西洋風の建物です。

館内には精養軒直営のカフェ「白馬亭」があり、名物のハヤシライスをいただけるほか、コーヒーや紅茶を片手に寛ぐことも出来ます。非常にこじんまりとした施設ではありますが、界隈ではちょっとしたシンボルです。

最寄のJR下総中山駅からは坂をあがって徒歩20分ほど。少し距離があります。駅からは京成バスシステム(柏井線)の利用をおすすめします。*最寄バス停は「北方」です。
11月30日まで開催されています。
「特別展 東山魁夷と東京美術学校有志ー橋本明治・加藤栄三・山田申吾」 市川市東山魁夷記念館
会期:10月11日(土)~11月30日(日)
休館:月曜日。但し祝日にあたる場合は翌平日。
料金:一般700(560)円、65歳以上560円、高校・大学生350(280)円、中学生以下無料。
*( )内は25名以上の団体料金。
時間:10:00~17:00。入場は閉館の30分前まで。
住所:千葉県市川市中山1-16-2
交通:JR下総中山駅より徒歩約20分。京成中山駅より徒歩約15分。JR線下総中山駅より京成バスシステム柏井線「市営霊園・保健医療福祉センター」行き、「北方」バス停下車約1分。(下総中山駅バス時刻表)有料駐車場あり。
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