「国宝青不動御開帳」(前編・青蓮院) 青蓮院門跡・将軍塚青龍殿

青蓮院門跡・将軍塚青龍殿
「青龍殿落慶記念 国宝青不動御開帳」
10/8-12/23



青蓮院門跡・将軍塚青龍殿で行われている「国宝青不動御開帳」を見て来ました。

いわゆる天台宗の三門跡寺院の一つとして知られる青蓮院。門跡寺院となったのは平安末期の頃。第一世の門主は行玄です。以来、特に鎌倉時代にかけては隆盛を極め、かの親鸞も得度を受けたと言われています。

また江戸時代の天明の大火の際で内裏が失われた際、後桜町上皇が、ここ青蓮院を仮御所にされたとか。建物の大部分は明治期に一度焼失してしまったゆえ、古いものではありませんが、言うまでもなく由緒ある門跡であります。


青蓮院門跡前

場所は東山の神宮道沿い、ちょうど知恩院の北側、東西線の東山駅からもほど近い粟田口です。そして現在、同門跡飛地の将軍塚内にある青龍殿にて国宝「青不動」の御開帳が行われています。期間は限定、12月23日までです。

ちなみに「青不動」は文化庁による3年間の修復を経て以来の初めてのお出まし。さらに青龍殿も今秋、「青不動」の公開にあわせて新たに落慶しました。まさに満を持しての御開帳と言うわけです。


門跡前の楠。大変に立派です。天然記念物だそうです。

さて御開帳は青龍殿、場所は将軍塚です。同門跡の飛地とありますが、考えるまでもなく将軍塚は京都市内を一望出来る山の上。車がないと簡単には行き来は出来ません。


青蓮院門跡入口

ゆえに今回は青蓮院から将軍塚までを送迎するシャトルバスが出ています。というわけでまずは青蓮院から拝観することにしました。


青蓮院門跡内

着いたのは10時前、まだ時間が早いからか、そう多くの人はいませんでした。スムーズです。ふと見やると紅葉が色づいていました。


華頂殿から庭園方向

入口をあがって華頂殿へ進みます。ほか小御所、本堂、宸殿と続く。殿舎は渡り廊下で繋がっています。お庭は池泉回遊式。皇室とも所縁の深い門跡ということもあるのか、どこか優雅な雰囲気が漂う。思わず長居したくなるような造りでもあります。


華頂殿内部。襖絵。奉納は木村英輝氏です。

華頂殿は蓮の襖絵(60面)が特徴的な客殿です。上には三十六歌仙額絵が飾られていました。


華頂殿より庭園方向

障子越しにお庭が見えました。このお庭については後述しますが、相阿弥の作と伝えられるもの。殿舎から降りて散歩することも出来ます。


華頂殿より小御所を望む

小御所は後桜町上皇が仮御所として使われた建物です。ただしその建物は明治に焼失したため、後に江戸中期の建築を移しました。


青蓮院門跡内にて

それにしても写真でも映える庭園です。私の拙い写真ではうまく伝わらないかもしれませんが、ともかく目に飛び込んでくる景色がどこも美しい。鮮やかな紅葉もお庭をより引き立てます。


宸殿と前庭。杉苔に覆われていますが、かつては白砂だったそうです。

宸殿へ進みました。実は「青不動」、はじめにも触れたように国宝の原本は将軍塚で披露されていますが、ここ青蓮院でも忘れてはならない「青不動」があります。つまり模写です。しかも初公開。何でも原本の修復に際して、平安時代に描かれていたであろう姿を再現すべく、2年越しで復元したものだそうです。


復元模写「不動明王二童子像(青不動明王)」2014年 青蓮院門跡

復元模写に際しては原本修理の際に撮影された写真などが参照されています。また地の絹は国宝作の欠落を補うために使用されたものと同じものを用いています。原本と同じ糸の太さを西陣で織っているそうです。

そして何よりも模写とあって色や形が際立って見えます。例えば火焔の中の迦楼羅も見つけやすい。貧困や愚痴を喰う火の鳥です。全部で7羽います。また原本の科学調査では頭髪から銀も検出されました。よって当初の頭髪は金色だということも分かったそうです。


宸殿内部より前庭方向

宸殿内には重文の「濱松図」が襖絵としておさまっていました。金地に立ち並ぶ赤松の姿、必ずしも状態は良くありませんが、それでも見事な出来映えではないでしょうか。ちなみにこの宸殿こそ門跡寺院に特有の施設、青蓮院最大の建物でもあります。


孝明天皇所用「板輿」

そのほか孝明天皇所用の板輿なども展示され、この門跡が皇室と所縁の深いことを改めて示していました。


相阿弥の庭

お庭に降りてみました。まずは相阿弥作と伝えられる主庭、粟田山をそのまま借景に利用しています。


相阿弥の庭「龍心池」

広がるのは龍心池、半円の石橋が架かり、中央には平べったい石が横たわる。見る者の視線を山裾から低い水面へと誘います。なお石は沐浴する龍の背を示しているそうです。


霧島の庭

奥へと進みました。「霧島の庭」です。小堀遠州の作と伝わる庭、木々が視界を遮る。鬱蒼としていました。相阿弥の庭とは趣きが異なります。


門跡裏手の竹林

さらに背後には竹林もあり、進む度にがらりと景色が変わる。そう広い境内ではないかもしれませんが、お庭に建物と密度が濃い。そうした印象を受けました。


大玄関と紅葉

この後は入口前から発着するシャトルバスに乗り、国宝「青不動」の待つ、将軍塚の青龍殿へと向かいました。

「国宝青不動御開帳」(後編・将軍塚) 青蓮院門跡・将軍塚青龍殿(はろるど)

後編(将軍塚)へと続きます。

「青龍殿落慶記念 国宝青不動御開帳」 青蓮院門跡・将軍塚青龍殿
会期:10月8日(水)~12月23日(火・祝)
休館:会期中無休。
時間:9:00~21:30 *受付終了は21時まで。
料金:一般1300円、ライトアップ1500円。
 *ライトアップは青龍殿が17時、青蓮院が18時より開始。
 *上記は青蓮院・青龍殿共通拝観券。(青龍殿、将軍塚の個別拝観券あり。)
 *シャトルバスは片道100円。(8:00~20:30まで30分間隔にて運行。共通拝観券を提示すると無料。)
住所:青蓮院門跡(京都市東山区粟田口三条坊町69-1)、将軍塚青龍殿(京都市山科区厨子奥花鳥町28
交通:青蓮院門跡(地下鉄東西線東山駅下車徒歩5分、京都市営バス5・46・100系統神宮道下車徒歩3分。)、将軍塚青龍殿(青蓮院よりシャトルバスで15分。地下鉄東西線蹴上駅よりタクシー5分。)
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