都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「河北秀也 iichikoデザイン30年」 東京藝術大学大学美術館
東京藝術大学大学美術館
「河北秀也 東京藝術大学退任記念 地下鉄10年を走りぬけて iichikoデザイン30年」
11/13-11/26

大分の酒造メーカー三和酒類製造の麦焼酎、いいちこ。発売は1979年。以来、焼酎市場を牽引すべく販売され続けてきた。私も大の酒好き、しかも焼酎党です。これまでにも大いにいいちこのお世話になったものでした。
そのいいちこの広告制作を1983年から手がけているのが河北秀也です。長らく東北芸術工科大学で教鞭を振るった後、東京藝術大学のデザイン科の教授をつとめたアートディレクターでもあります。

河北の退任を祝しての展覧会です。彼がこれまでに制作した広告デザインがずらり。ポスター、パッケージ、雑誌やテレビCMなどと様々です。よく考えればいいちこのポスター、都内の電車内などで見かける機会も少なくない。かなり身近な広告です。まずは楽しめました。
さてタイトルに「地下鉄10年を走りぬけて」とありますが、それにはもちろん理由があります。ようは河北の制作したポスターは長年、東京メトロ(営団地下鉄時代を含む)で掲載されてきた。メトロと切っても切れぬ縁が存在するのです。
会場内撮影が出来ました。

というわけでいきなり地下鉄です。入口正面から奥に連なるのは電車内を模した空間、上に吊り広告、そして天井の縁の部分には歴代のポスターがぎっしりと並ぶ。しかもご丁寧に地下鉄のBGM付きです。実際にメトロで録音されたものでしょう。発車のアナウンスや電車の走行音が会場に流れています。

元々いいちこポスターは丸ノ内線と銀座線から始まりました。それから駅ばりのポスターは30年間、年13枚ずつ制作されています。作られなかった月は僅か計3ヶ月、1984年の5月と7月、そして2011年の4月に過ぎません。(後者は震災の影響だと思われます。)

何でもはじめは予算が少なく、制作や掲示などに難儀したとか。また東京地下鉄の路線図が目を引きました。これも河北が東京芸大在学中時代に制作したもの。時代は1972年です。南北線や大江戸線が開業していないのはもちろん、半蔵門線も永田町どまり。時代を感じます。そしてこのスタイルを基本に改良が繰り返され、以来約20年間、年1000万枚も発行されました。

また同じく営団地下鉄のマナーポスターも手がけています。これがウイットにとんでいて面白い。野球のユニフォームを着た少年がヘッドスライディングで電車に飛び込もうとし、それを駅員がアウトとコールする。下段には「かけ込み乗車は危険です。」との文言。1978年のポスターです。ともすると現在ではアイデアそのものが見送られるかもしれないほどに鮮烈。思わずにやりとしてしまいます。

大判の駅ばりのポスターもたくさん展示されています。時に美しき風景を背景にしながら、言わば決め台詞とも言える簡潔なコピーがのり、iichikoのロゴが刻まれる。基本的なスタイルは驚くほど変わっていません。それゆえの魅力でしょう。誰が見てもいいちこだと分かるような個性が確立しています。

それにしてもロケ地が広範囲です。ハワイにオーストラリアにウクライナにタヒチ、そしてポルトガル。世界各国です。ポスターを見ているだけで世界一周旅行気分を味わえます。

そのほかにはいいちこのオリジナルグッズや季刊誌「iichiko」の紹介もある。さらにTVCMの動画も流れていました。

帰りがけに受付で「iichiko design 2015」なるカタログをいただきました。青き水面をカヌーが進むデザイン、中身は展示に準拠しています。いいちこのポスターが美しい図版で掲載されていました。

なおカタログにはTVCMのDVDが付いています。しかもこれが何と無料です。そもそもこの展示も無料ですが、カタログまでが付いてのこの内容。かなり充実していました。

これからしばらくはカタログをめくりながら「いいちこ」で晩酌を楽しもうと思います。

会期中無休、入場は無料です。11月26日まで開催されています。
「河北秀也 東京藝術大学退任記念 地下鉄10年を走りぬけて iichikoデザイン30年」 東京藝術大学大学美術館
会期:11月13日(木)~11月26日(水)
休館:会期中無休。
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:無料
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
「河北秀也 東京藝術大学退任記念 地下鉄10年を走りぬけて iichikoデザイン30年」
11/13-11/26

大分の酒造メーカー三和酒類製造の麦焼酎、いいちこ。発売は1979年。以来、焼酎市場を牽引すべく販売され続けてきた。私も大の酒好き、しかも焼酎党です。これまでにも大いにいいちこのお世話になったものでした。
そのいいちこの広告制作を1983年から手がけているのが河北秀也です。長らく東北芸術工科大学で教鞭を振るった後、東京藝術大学のデザイン科の教授をつとめたアートディレクターでもあります。

河北の退任を祝しての展覧会です。彼がこれまでに制作した広告デザインがずらり。ポスター、パッケージ、雑誌やテレビCMなどと様々です。よく考えればいいちこのポスター、都内の電車内などで見かける機会も少なくない。かなり身近な広告です。まずは楽しめました。
さてタイトルに「地下鉄10年を走りぬけて」とありますが、それにはもちろん理由があります。ようは河北の制作したポスターは長年、東京メトロ(営団地下鉄時代を含む)で掲載されてきた。メトロと切っても切れぬ縁が存在するのです。
会場内撮影が出来ました。

というわけでいきなり地下鉄です。入口正面から奥に連なるのは電車内を模した空間、上に吊り広告、そして天井の縁の部分には歴代のポスターがぎっしりと並ぶ。しかもご丁寧に地下鉄のBGM付きです。実際にメトロで録音されたものでしょう。発車のアナウンスや電車の走行音が会場に流れています。

元々いいちこポスターは丸ノ内線と銀座線から始まりました。それから駅ばりのポスターは30年間、年13枚ずつ制作されています。作られなかった月は僅か計3ヶ月、1984年の5月と7月、そして2011年の4月に過ぎません。(後者は震災の影響だと思われます。)

何でもはじめは予算が少なく、制作や掲示などに難儀したとか。また東京地下鉄の路線図が目を引きました。これも河北が東京芸大在学中時代に制作したもの。時代は1972年です。南北線や大江戸線が開業していないのはもちろん、半蔵門線も永田町どまり。時代を感じます。そしてこのスタイルを基本に改良が繰り返され、以来約20年間、年1000万枚も発行されました。

また同じく営団地下鉄のマナーポスターも手がけています。これがウイットにとんでいて面白い。野球のユニフォームを着た少年がヘッドスライディングで電車に飛び込もうとし、それを駅員がアウトとコールする。下段には「かけ込み乗車は危険です。」との文言。1978年のポスターです。ともすると現在ではアイデアそのものが見送られるかもしれないほどに鮮烈。思わずにやりとしてしまいます。

大判の駅ばりのポスターもたくさん展示されています。時に美しき風景を背景にしながら、言わば決め台詞とも言える簡潔なコピーがのり、iichikoのロゴが刻まれる。基本的なスタイルは驚くほど変わっていません。それゆえの魅力でしょう。誰が見てもいいちこだと分かるような個性が確立しています。

それにしてもロケ地が広範囲です。ハワイにオーストラリアにウクライナにタヒチ、そしてポルトガル。世界各国です。ポスターを見ているだけで世界一周旅行気分を味わえます。

そのほかにはいいちこのオリジナルグッズや季刊誌「iichiko」の紹介もある。さらにTVCMの動画も流れていました。

帰りがけに受付で「iichiko design 2015」なるカタログをいただきました。青き水面をカヌーが進むデザイン、中身は展示に準拠しています。いいちこのポスターが美しい図版で掲載されていました。

なおカタログにはTVCMのDVDが付いています。しかもこれが何と無料です。そもそもこの展示も無料ですが、カタログまでが付いてのこの内容。かなり充実していました。

これからしばらくはカタログをめくりながら「いいちこ」で晩酌を楽しもうと思います。

会期中無休、入場は無料です。11月26日まで開催されています。
「河北秀也 東京藝術大学退任記念 地下鉄10年を走りぬけて iichikoデザイン30年」 東京藝術大学大学美術館
会期:11月13日(木)~11月26日(水)
休館:会期中無休。
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:無料
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
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