「平成知新館」(オープン記念展 京へのいざない) 京都国立博物館・平成知新館

京都国立博物館・平成知新館
「平成知新館オープン記念展 京へのいざない」
9/13-11/16(会期終了)



「オープン記念展 京へのいざない」が開催されていた京都国立博物館の平成知新館を見て来ました。

今秋、約5年間の休館を経て全面新築オープンした平常展示館こと平成知新館。設計はMoMAや法隆寺宝物館でもお馴染みの谷口吉生です。

そのお披露目として行われたのが「京へのいざない」展です。京の都をテーマに主に平安から桃山時代までの文化財を紹介。国宝50点余に重文110点余。絵画に書跡に彫刻から考古まで、総計400点もの作品が一堂に会しました。(途中、展示替えがありました。)



私は会期末日の観覧となってしまいました。建物の印象を簡単にまとめたいと思います。(展示室以外の撮影が可能でした。)



まずは外観です。京町家をイメージしたとも言われる建物、ともかく横に長い。直線を活かし、とてもシンプルに見えます。庇が大きく飛び出していました。



前に広がるのが水盤です。実は行く前に「法隆寺宝物館に似ている。」との話を耳にしていましたが、確かに建物と水盤との関係は法隆寺館を思わせます。そういえば入口の造りはそっくりです。ここだけ切り取って写せば、法隆寺館と見間違えてしまうかもしれません。



旧館との配置が特徴的です。直角に向き合うように建っています。また入口は三十三間堂の南大門と博物館の南門を直線で結んだ先に位置しています。



ちなみに知新館自体がかつての方広寺の境内南側に当たるそうです。そして知新館の水盤は寺の回廊の部分と重なります。その遺構を示す金属の円環が水盤の中に置かれていました。



薄い水盤に柱梁の整った外観、水平の庇。建物は左右対称ではありません。ボリュームはありますが、主張過ぎることもない。言葉は相応しくないかもしれませんが、どこか中庸的な印象を受けました。

館内に入ってみました。



入口は狭いものの開放的なエントランスです。前面のガラスから採られた光が空間を満たす。水盤に面したスペースが吹き抜け状の回廊となっています。椅子に腰掛けると博物館の敷地から三十三間堂を見渡すことが出来ました。



建物は地上3階に地下1階です。展示面積は3587平方メートル。かつての旧平常展示館は2761平方メートルです。面積は拡大しています。



地下は講堂です。1階から3階部分に展示室があります。ただ両サイドに階段などのスペースがあるからか、不思議と展示室自体は広く感じませんでした。そして興味深いのは吹き抜けです。そこにある格子越しに3階から2階が透け、2階から1階が見える。もちろん逆の場合もあります。つまり歩く度に、この先に進むであろう展示室が視界に飛び込んでくるのです。



次の展示室が景色として見渡せる仕掛け。先への期待感を高める演出かもしれません。もちろん美しい。ただあえて言えば目の前の作品よりも、景色の方が気になってしまい、あまり落ち着かなかったのも事実でした。(慣れれば別かもしれません。)

一階の仏像は圧巻です。天井高があって初めて出来得る展示。照明もドラマチックです。大きな仏様が露出で並んでいます。旧平常展示館ではこうはいきません。

一方で特に工芸の展示に関しては控えめな印象を受けました。例えば蒔絵、これも東博のリニューアルされた展示室(12室)の趣きとはかなり異なっている。そもそもあれほど暗室ではありません。それゆえに心なしか照明も朧げに映りました。

作品として一番惹かれたのは、近世の絵画、「桃山画壇の巨匠たち」でした。永徳の「花鳥図襖」に等伯の「枯木猿猴図」が並ぶ。また「京焼」のセクションも興味深いもの。なおオープン記念自体展は終了しましたが、現在はいわゆる常設に当たる「名品ギャラリー」を開催中です。一部、「京へのいざない」と同じ作品も展示されています。



完全に一新した平成知新館。旧平常展示館の面影はありません。間もなく会期末を迎える特別展の「鳥獣戯画と高台寺展」は凄まじい混雑(この日も120分待ちでした。)でしたが、知新館に関しては思っていたよりもスムーズでした。むろん行列もありません。当然ながら作品は見ごたえがある。新たな谷口建築を味わいつつ、常設のみをじっくり歩いて回るのも良さそうです。



11月27日の「関西文化の日」は無料で観覧出来るそうです。



「京へのいざない」は終了しました。

「平成知新館オープン記念展 京へのいざない」 京都国立博物館・平成知新館
会期:9月13日(土)~11月16日(日)
時間:9:30~17:00。但し毎週金曜日、及び11/1(土)、2(日)は20時まで。土・日・祝休日は18時まで開館。
休館:月曜日。但し9/15、10/13、11/3は開館。翌9/16、10/14、11/4は休館。
料金:一般520(410)円、大学生260(210)円、高校生以下、及び70歳以上無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:京都市東山区茶屋町527
交通:京阪電車七条駅より徒歩7分。JR京都駅より市バスD1のりばから100号、D2のりばから206・208号系統にて博物館・三十三間堂前下車。
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