「リギョン展 逆転移」 メゾンエルメス

メゾンエルメス
「リギョン展 逆転移」 
2014/10/31-2015/1/7



メゾンエルメスで開催中のリギョン個展、「逆転移」を見てきました。

1969年に韓国の全州で生まれ、ソウルに在住、以来「一貫して光をテーマ」(チラシより)に制作を続けるアーティスト、リギョン。

エルメスの空間を光で演出します。大小2つの展示室を用いてのインスタレーション個展が始まりました。

ちなみにタイトルは「蛇の口づけ」に「善悪の知恵の木」。いわばともに聖書の原罪を連想させるもの。それをどのようにして表現しているのか。実のところ殆ど予備知識なく会場に足を運びました。

とするといきなり驚かされる面があります。何故ならお馴染みの銀座エルメス8階フォーラム、ガラスブロックの壁面と柱の数本連なる特徴的なスペースですが、今回ほど言わば「一見」するだけでは空間に変化がなかったからです。


「蛇の口づけ」

ようはご覧の通り、スペースはさも元のまま。「蛇の口づけ」です。あくまでもガランとした展示室が広がる。そこに何か凝った装置なりがあるようにも見えない。言い換えればないもない空っぽとしても差し支えありません。


「蛇の口づけ」

しかしながらそれはあくまでも「一見」したところに過ぎませんでした。観覧には靴を脱いで上がる必要があります。係りの方の「滑りやすいのでお気をつけ下さい。」との言葉をしかと聞きながら、まずは展示室へと入ってみました。

すると足裏に何か独特の感触がある。それでいて危ういほどに滑りやすい。何やら床に細工されていることが足から感じられるのです。


「蛇の口づけ」(床面)

結論から言えば床に敷き詰められたのは光るパネル。その質感はまさに螺鈿です。展示室内の照明はもとより、時にガラスを通しての屋外からの光を受けてはきらめく。七色の光を放っているわけです。

この全身で七色の光を受け止め、また足先で何かを感じる感覚。シンプルな仕掛けかもしれませんが、体験は意外と新鮮でもあります。ひたすら滑りやすい床に注意しながら、まるで氷の上を恐る恐る歩くように進みました。

さてもう一つの「善悪の知恵の木」、こちらは輝かしくまた力強い光が空間の隅々まで満ち溢れていました。


「善悪の知恵の木」(*カメラではこの色になってしまいますが、実際は白です。)

煌々と明かりに照らされた真っ白い空間、同じく靴を脱いで進むわけですが、まさしく光に目を眩ませられるからか、もはやどこが壁なのかすら分からなくなるほど危ういもの。自分が立っている位置までも判然としません。まさにハレーション。もはやカメラでは光を収めきれません。知覚を大きく揺さぶります。

生まれた赤ん坊が初めて光を見た時の感覚はひょっとしてこのようなものではないか。そうも感じながら会場を後にしました。

螺鈿の床のインスタレーションは外光の変化、つまり時間によって見え方が変わるのではないでしょうか。私が出向いた際は既に日没後でしたが、次回は明るいうちに行きたいと思いました。

2015年1月7日まで開催されています。

「リギョン展 逆転移」 メゾンエルメス
会期:2014年10月31日(金)~2015年1月7日(水)
休廊:会期中無休。
時間:11:00~20:00 *日曜は19時まで。入場は閉場の30分前まで。
料金:無料
住所:中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8階フォーラム
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分。
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