「森山大道写真展:遠野 2014」 キヤノンギャラリーS

キヤノンギャラリーS
「森山大道写真展:遠野 2014」
2014/12/18-2015/2/9



キヤノンギャラリーSで開催中の「森山大道写真展:遠野 2014」を見てきました。

遠野こそが、森山にとっての写真家としての原点、そして「心の故郷」なのかもしれません。

切っ掛けは40年前のことです。まだ30代だった森山は、民俗学者の柳田國男の「遠野物語」に触発されて遠野へ旅立ちます。そして彼の地を歩いてはフィルムにおさめます。結果的にその作品が東京での初個展で披露されたそうです。

再び森山が遠野を訪ねたのは昨年、2014年のことです。40年経って森山は何を見たのでしょうか。

2014年に遠野で撮った写真を紹介する展覧会です。点数は約50点。お馴染みのモノクロームに加え、一部カラーの作品もありました。



森山が遠野に出かけたのは稲刈りの時期だそうです。それゆえのことでしょう。ちょうど稲穂の実る田を写した作品もありました。斜めに切り取られた稲穂、ぐっと山の際が迫ります。緊張感のある構図でもあります。

50点のうちには野山や街中の風景はもちろん、遠野に生きる人々の様子も捉えられています。



人気のない小道で手を繋いで歩く母子の姿は微笑ましいもの。また何か地域のイベントでもあったのでしょうか。山高帽をかぶり、背広を着ては杖をついてあるく初老の男性も雰囲気があります。農作業を終えて家路へ向かうのは年老いた女性です。ぐっと肩を落として見せた背中がまるで人生を物語るようでもあります。



写真をいくつか見ていると、遠野の人たちとは別に、もう一人の人間の姿が写っていることに気づきました。人の影です。おそらく森山本人でしょう。ホームから線路に長い影をのばして立っています。まるで足跡を残すかのように、遠野の地へ自らの影を残しています。

「日本人の心の故郷ともいうべき遠野郷に行ってみたい、久しぶりに東北の山河を目にしてきたい、という思いが僕の気持ちのなかに萌(きざ)したのは今年初夏の頃であった。」 森山大道(チラシ裏面より)

それこそ森山の今の心の在りかを反映するかのような遠野シリーズ、変わらぬ魅力は確かに存在しています。堪能出来ました。

ところで今回、キヤノンギャラリーSへ初めて行きました。



場所は品川駅の港南口を出て右折、高層ビルの間のデッキ(スカイウェイ)を進んだ右手にあるキヤノンSタワーの1階です。駅からは歩いて7~8分ほどでした。



デッキはビルの2階に接続しています。2階はカフェやキヤノンのカメラを展示するオープンギャラリーです。森山大道展を開催中のキヤノンギャラリーSはエスカレーターで一つ降りた1階にありました。



なお本展はキヤノンギャラリーSの100回を記念した展覧会だそうです。これからもチェックしていきたいと思います。

キヤノンギャラリーS 100回記念スペシャルサイト

「遠野物語/森山大道/光文社文庫」

日曜はお休みです。2月9日まで開催されています。

「森山大道写真展:遠野 2014」 キヤノンギャラリーS
会期:2014年12月18日(木)~2015年2月9日(月)
時間:10:00~17:30
休廊:日曜・祝日。年末年始(12/27~1/4)。
料金:無料。
住所:港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
交通:JR線品川駅港南口より徒歩8分。京浜急行線品川駅より徒歩10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )