都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「タイルが伝える物語」 IXILギャラリー
IXILギャラリー
「タイルが伝える物語ー図像の謎解き展」
2014/12/4-2015/2/21
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リクシルギャラリーで開催中の「タイルが伝える物語ー図像の謎解き展」を見てきました。
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右:陶板画「聖母子像」 ドイツ KPMベルリン製 19世紀
いきなりですが、上の写真の聖母子像、まるで油絵具による絵画に見えはしないでしょうか。
実際は陶板画です。19世紀はドイツのベルリンで制作されたもの。原画は16世紀のラファエロを参照していると考えられています。
こうした陶板を含むタイル画を集めた展覧会です。その数は約70点。愛知県常滑市の「世界のタイル博物館」(INAXライブミュージアム)のコレクションがやってきています。会場をヨーロッパ、中国、イスラムの3つにわけ、諸地域で多様に広まったタイル画を紹介していました。
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白地藍彩聖書場面タイル オランダ 19世紀
まずはヨーロッパです。やはり目立つの聖書の主題、例えば創世記のハガルの追放の場面です。タイル地に聖書の各場面を描き分けています。オランダの作品です。プロテスタントの影響も色濃い同国、タイルの絵を子どもに見せながら聖書の読み聞かせをしていたとも言われています。
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物語を描いたタイル
そもそもヨーロッパで一番早くタイルが住居に使われたのがオランダでした。タイルに描かれた聖書の物語は身近な生活の場に根ざします。一方でイギリスはより装飾的なタイルが隆盛。動物や植物、人物のポートレートや観光地の風景、さらにはシェイクスピア劇の一場面など、ありとあらゆるモチーフが描かれました。
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染付陶板「山水」 中国 17~20世紀(清代)
続いては中国です。古くから焼物の文化があった中国でも建築物にタイルが多用されます。染付けの陶板に描かれたのは「山水」の風景、清の時代の桃源郷のモチーフです。
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「二十四孝」 中国
また墓室にもタイルが用いられたそうです。儒教思想に基づく「二十四孝」なども目を引くかもしれません。
最後はイスラムです。そしてこれが色彩鮮やかで大変に美しい。私も一番惹かれたのがイスラムのタイルでした。
イスラムのタイルは大きくわけて2パターンあります。一つはモスクなどの宗教施設を飾るもの。ここでは偶像禁止の観点から幾何学や唐草模様が用いられます。一方で宮殿や世俗的な施設では人物や動物のモチーフが好まれました。本展でも後者のタイルが紹介されています。
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多彩物語図組絵タイル「ホスローとシーリーン」 イラン 18~19世紀
「ホスローとシーリーン」はどうでしょうか。ペルシャの恋愛叙事詩のワンシーンを描いたタイル。原作は12世紀のペルシャの詩作ですが、これはイスラムを代表する恋物語として知られているとか。よく絵画に描かれるそうです。
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多彩野宴図組絵タイル イラン 18世紀
貴人の遊楽の様子です。「多彩野宴図組絵タイル」は王の宮殿を飾りました。コーランに出てくる楽園とも言われる場面、飲み物を捧げるのは若き男性です。そして貴人も手を振り上げれては馨しいポーズを見せる。何とも艶やかではないでしょうか。
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多彩レリーフ動植物像タイル「王書」 イラン 19世紀
そのほかイラン最大の叙事詩をの場面を描いた「王書」なども興味深い。先の「ホスローとシーリーン」しかり、ともかく発色の良い青藍が目に染みます。
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「タイルが伝える物語」会場風景
洋の東西のタイル画を一揃え見られる展覧会です。京橋リクシルの小さなスペースではありますが、思いの外に楽しめました。
入場は無料です。2月21日まで開催されています。
「タイルが伝える物語ー図像の謎解き展」 IXILギャラリー
会期:2014年12月4日(木)~2015年2月21日(土)
休廊:水曜日。年末年始。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
「タイルが伝える物語ー図像の謎解き展」
2014/12/4-2015/2/21
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リクシルギャラリーで開催中の「タイルが伝える物語ー図像の謎解き展」を見てきました。
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右:陶板画「聖母子像」 ドイツ KPMベルリン製 19世紀
いきなりですが、上の写真の聖母子像、まるで油絵具による絵画に見えはしないでしょうか。
実際は陶板画です。19世紀はドイツのベルリンで制作されたもの。原画は16世紀のラファエロを参照していると考えられています。
こうした陶板を含むタイル画を集めた展覧会です。その数は約70点。愛知県常滑市の「世界のタイル博物館」(INAXライブミュージアム)のコレクションがやってきています。会場をヨーロッパ、中国、イスラムの3つにわけ、諸地域で多様に広まったタイル画を紹介していました。
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白地藍彩聖書場面タイル オランダ 19世紀
まずはヨーロッパです。やはり目立つの聖書の主題、例えば創世記のハガルの追放の場面です。タイル地に聖書の各場面を描き分けています。オランダの作品です。プロテスタントの影響も色濃い同国、タイルの絵を子どもに見せながら聖書の読み聞かせをしていたとも言われています。
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物語を描いたタイル
そもそもヨーロッパで一番早くタイルが住居に使われたのがオランダでした。タイルに描かれた聖書の物語は身近な生活の場に根ざします。一方でイギリスはより装飾的なタイルが隆盛。動物や植物、人物のポートレートや観光地の風景、さらにはシェイクスピア劇の一場面など、ありとあらゆるモチーフが描かれました。
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染付陶板「山水」 中国 17~20世紀(清代)
続いては中国です。古くから焼物の文化があった中国でも建築物にタイルが多用されます。染付けの陶板に描かれたのは「山水」の風景、清の時代の桃源郷のモチーフです。
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「二十四孝」 中国
また墓室にもタイルが用いられたそうです。儒教思想に基づく「二十四孝」なども目を引くかもしれません。
最後はイスラムです。そしてこれが色彩鮮やかで大変に美しい。私も一番惹かれたのがイスラムのタイルでした。
イスラムのタイルは大きくわけて2パターンあります。一つはモスクなどの宗教施設を飾るもの。ここでは偶像禁止の観点から幾何学や唐草模様が用いられます。一方で宮殿や世俗的な施設では人物や動物のモチーフが好まれました。本展でも後者のタイルが紹介されています。
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多彩物語図組絵タイル「ホスローとシーリーン」 イラン 18~19世紀
「ホスローとシーリーン」はどうでしょうか。ペルシャの恋愛叙事詩のワンシーンを描いたタイル。原作は12世紀のペルシャの詩作ですが、これはイスラムを代表する恋物語として知られているとか。よく絵画に描かれるそうです。
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多彩野宴図組絵タイル イラン 18世紀
貴人の遊楽の様子です。「多彩野宴図組絵タイル」は王の宮殿を飾りました。コーランに出てくる楽園とも言われる場面、飲み物を捧げるのは若き男性です。そして貴人も手を振り上げれては馨しいポーズを見せる。何とも艶やかではないでしょうか。
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多彩レリーフ動植物像タイル「王書」 イラン 19世紀
そのほかイラン最大の叙事詩をの場面を描いた「王書」なども興味深い。先の「ホスローとシーリーン」しかり、ともかく発色の良い青藍が目に染みます。
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「タイルが伝える物語」会場風景
洋の東西のタイル画を一揃え見られる展覧会です。京橋リクシルの小さなスペースではありますが、思いの外に楽しめました。
入場は無料です。2月21日まで開催されています。
「タイルが伝える物語ー図像の謎解き展」 IXILギャラリー
会期:2014年12月4日(木)~2015年2月21日(土)
休廊:水曜日。年末年始。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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