都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」 畠山記念館
畠山記念館
「開館50周年記念 THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」
1/17-3/15

畠山記念館で開催中の「開館50周年記念 THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」を見てきました。
定評のある畠山の琳派コレクション。まとめて公開されるのは2007年の「琳派 四季のきょうえん」以来のことではないでしょうか。
おおよそ8年ぶりとなる琳派展です。光悦、宗達、光琳、乾山、そして抱一、其一など、館蔵の琳派作品、約50件(展示替えあり)を展示しています。

酒井抱一「風神雷神図」18~19世紀 展示期間:1/17~2/12
冒頭は抱一でした。「風神雷神図」です。双幅の軸画、かの宗達、光琳はもちろん、抱一も屏風に描いたモチーフですが、何かと比較されることの多い屏風よりも抱一らしさの出た作品です。互いに視線をあわす風神と雷神、縦長の空間を活かしてか対角線上に配置しています。風神も雷神も表情は豊かです。もはやコミカルと言っても良いでしょう。諧謔味があります。微笑ましいほどでした。
光悦の「扇面月兎画賛」が絶品です。伝世品の少ない光悦の絵画の一つ、金箔を月、緑青の一部を大地に見立ています。何とも洗練された構図感ではないでしょうか。そして白兎の躍動感も素晴らしい。振り返っては空を見上げています。兎の周囲の秋草も可憐でした。

酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」(1月) 18~19世紀 展示期間:1/17~2/1
抱一の「十二ヶ月花鳥図」のいわゆる畠山本が出ていました。ただしスペースの都合もあるのでしょう。残念ながら出品は3点のみです。時候にもあわせた1月から3月の図が展示されています。
季節の草花に小鳥の組み合わせ。抱一得意の画題でもありますが、ともかく感心するのは鳥たちの動きです。一月や二月では鶯や雲雀が嘴を開いて鳴いています。そして配置も絶妙です。一月の梅の枝は上からやや後ろへ奥行きをもってのびるように描かれています。余白が空間へ変わる瞬間です。また小鳥の目線を追うと空間に動きも生まれます。
乾山では「紫陽花百合図」と「立葵図」に惹かれました。ともに正面性の強い構図です。丸みを帯びた百合はいかにも乾山と言ったところでしょう。胡粉の盛られた紫陽花はまるでモザイク画のようでもありました。

本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵「金銀泥四季草花下絵古今集和歌巻」17世紀 全3期で巻替えあり
宗達下絵、光悦書の「金銀泥四季草花下絵古今和歌巻」も素晴らしいもの。宗達一流の水墨の技を駆使した「騎牛老子図」や「蓮池水禽図」も見応えがあります。

本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘雪峯」17世紀 通期展示
光悦の「赤楽茶碗 銘雪峯」も忘れられません。小振りでやや丸みのある赤楽、口から胴にかけて大きな火割れがありますが、光悦はそこを金粉で繕い、雪解けの渓流になぞらえた。だからこその「雪峯」です。何という見立てでしょうか。
口縁付近からうっすらかかる白釉も雪を連想させます。また白を雲とすれば、火割れはさも天地を裂く稲光のようにも見える。一つの器から実に趣き深い世界が生まれていました。

尾形光琳「躑躅図」18世紀 展示期間:2/24~3/15
さて展示替えの情報です。*出品リスト(PDF)
第1期:1/17~2/1
第2期:2/3~2/22
第3期:2/24~3/15
通期で展示されるのは一部の工芸のみです。絵画は全て入れ替わります。ご注意下さい。

2007年の琳派展で販売されていた図録と同じものが販売されていました。新たに作られたものではありませんが、図版、解説ともに充実。畠山の琳派コレクションを一揃え知るのには最良の一冊です。手に入れておくのも良いかもしれません。
「琳派 最速入門:永遠に新しい、日本のデザイン/小学館」
落ち着いた畠山のスペースで見る琳派コレクション。点数は決して多くなく、何度か見た作品も少なくありませんが、良い物はいつ見ても良い。琳派好きには嬉しい展覧会でした。

3月15日まで開催されています。
「開館50周年記念 THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」 畠山記念館
会期:1月17日(土)~3月15日(日)
休館:月曜日、2月13日(金)。
時間:10:00~16:30(入館は16時まで)
*最終日は17:00(17:30閉場)まで開場。
料金:一般500(400)円、学生350(300)円、中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:港区白金台2-20-12
交通:都営浅草線高輪台駅A2出口より徒歩5分。東京メトロ南北線・都営三田線白金台駅1番出口より徒歩10分。
「開館50周年記念 THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」
1/17-3/15

畠山記念館で開催中の「開館50周年記念 THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」を見てきました。
定評のある畠山の琳派コレクション。まとめて公開されるのは2007年の「琳派 四季のきょうえん」以来のことではないでしょうか。
おおよそ8年ぶりとなる琳派展です。光悦、宗達、光琳、乾山、そして抱一、其一など、館蔵の琳派作品、約50件(展示替えあり)を展示しています。

酒井抱一「風神雷神図」18~19世紀 展示期間:1/17~2/12
冒頭は抱一でした。「風神雷神図」です。双幅の軸画、かの宗達、光琳はもちろん、抱一も屏風に描いたモチーフですが、何かと比較されることの多い屏風よりも抱一らしさの出た作品です。互いに視線をあわす風神と雷神、縦長の空間を活かしてか対角線上に配置しています。風神も雷神も表情は豊かです。もはやコミカルと言っても良いでしょう。諧謔味があります。微笑ましいほどでした。
光悦の「扇面月兎画賛」が絶品です。伝世品の少ない光悦の絵画の一つ、金箔を月、緑青の一部を大地に見立ています。何とも洗練された構図感ではないでしょうか。そして白兎の躍動感も素晴らしい。振り返っては空を見上げています。兎の周囲の秋草も可憐でした。

酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」(1月) 18~19世紀 展示期間:1/17~2/1
抱一の「十二ヶ月花鳥図」のいわゆる畠山本が出ていました。ただしスペースの都合もあるのでしょう。残念ながら出品は3点のみです。時候にもあわせた1月から3月の図が展示されています。
季節の草花に小鳥の組み合わせ。抱一得意の画題でもありますが、ともかく感心するのは鳥たちの動きです。一月や二月では鶯や雲雀が嘴を開いて鳴いています。そして配置も絶妙です。一月の梅の枝は上からやや後ろへ奥行きをもってのびるように描かれています。余白が空間へ変わる瞬間です。また小鳥の目線を追うと空間に動きも生まれます。
乾山では「紫陽花百合図」と「立葵図」に惹かれました。ともに正面性の強い構図です。丸みを帯びた百合はいかにも乾山と言ったところでしょう。胡粉の盛られた紫陽花はまるでモザイク画のようでもありました。

本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵「金銀泥四季草花下絵古今集和歌巻」17世紀 全3期で巻替えあり
宗達下絵、光悦書の「金銀泥四季草花下絵古今和歌巻」も素晴らしいもの。宗達一流の水墨の技を駆使した「騎牛老子図」や「蓮池水禽図」も見応えがあります。

本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘雪峯」17世紀 通期展示
光悦の「赤楽茶碗 銘雪峯」も忘れられません。小振りでやや丸みのある赤楽、口から胴にかけて大きな火割れがありますが、光悦はそこを金粉で繕い、雪解けの渓流になぞらえた。だからこその「雪峯」です。何という見立てでしょうか。
口縁付近からうっすらかかる白釉も雪を連想させます。また白を雲とすれば、火割れはさも天地を裂く稲光のようにも見える。一つの器から実に趣き深い世界が生まれていました。

尾形光琳「躑躅図」18世紀 展示期間:2/24~3/15
さて展示替えの情報です。*出品リスト(PDF)
第1期:1/17~2/1
第2期:2/3~2/22
第3期:2/24~3/15
通期で展示されるのは一部の工芸のみです。絵画は全て入れ替わります。ご注意下さい。

2007年の琳派展で販売されていた図録と同じものが販売されていました。新たに作られたものではありませんが、図版、解説ともに充実。畠山の琳派コレクションを一揃え知るのには最良の一冊です。手に入れておくのも良いかもしれません。

落ち着いた畠山のスペースで見る琳派コレクション。点数は決して多くなく、何度か見た作品も少なくありませんが、良い物はいつ見ても良い。琳派好きには嬉しい展覧会でした。

3月15日まで開催されています。
「開館50周年記念 THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」 畠山記念館
会期:1月17日(土)~3月15日(日)
休館:月曜日、2月13日(金)。
時間:10:00~16:30(入館は16時まで)
*最終日は17:00(17:30閉場)まで開場。
料金:一般500(400)円、学生350(300)円、中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:港区白金台2-20-12
交通:都営浅草線高輪台駅A2出口より徒歩5分。東京メトロ南北線・都営三田線白金台駅1番出口より徒歩10分。
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