「押江千衣子 新作展」 西村画廊

西村画廊
「押江千衣子 新作展」
2/4-3/7



西村画廊で開催中の「押江千衣子 新作展」を見てきました。

1969年に大阪に生まれ、1995年に京都市立芸術大学大学院を卒業。2001年にはVOCA賞を受賞した画家、押江千衣子。

私が最近、作品を見たのは昨年の武蔵野美術大学美術館です。倉敷の大原美術館の現代美術コレクションを紹介する「オオハラ・コンテンポラリー・アット・ムサビ」 でのことでした。

「オオハラ・コンテンポラリー・アット・ムサビ」  武蔵野美術大学美術館(はろるど)

同ギャラリーでは約7年ぶりとなる新作の個展です。主に植物をモチーフとしたペインティング5点とドローイング10数点。力強い筆致によって描かれた瑞々しい野菜や植物などが空間を彩っています。

さて押江、旧作ではランドスケープとでも言うのか、街や山の景色を俯瞰した構図で捉えた作品がありましたが、今回はあくまでも植物限定。しかもその多くがより身近な素材である野菜というモチーフです。

とりわけ目立つのがたまねぎです。「ひげね」と題された一枚、ずばりたまねぎを正面から描いています。ちょうど画面の上半分が葉のつけね、つまりは食する部分、そして下半分が根です。何本もの根がとぐろをまいては四方八方へのびています。

こうした植物は日頃、押江が家庭菜園で育てている野菜だそうです。収穫したたまねぎを吊り下げていたら、根が四方八方に広がっていることに気が付き、たまねぎが食品ではなく、生き物であることが分かった。そう押江は述べています。(下記リンク先より)

「押江千衣子 OSHIE Chieko」 (西村画廊)

しかし一見、穏やかな作風ではありますが、たまねぎの根のストロークしかり、植物を象る筆致には迫力があります。絵具をキャンバスへ強くめり込ませるように引いています。

DM表紙の「ぎぼし」はたまねぎの花をイメージした作品だそうです。先の「ひげね」しかり、対象をあくまでも写実的に捉えていますが、どこか様式化したような味わいがあるのも興味深いところ。必ずしも単純に具象的だとは言い切れません。

ドローイングも魅惑的ではないでしょうか。トマトやスイカなどを同じく瑞々しい色遣いで描いています。また唯一の人物、赤ん坊を描いた作品も目を引きました。何でも押江は2011年に長女を出産したそうです。母が子を優しく見る眼差し。それを反映した作品かもしれません。

壁一面、たくさんの紙を繋げては植物を象った大作も見応えがありました。花は薔薇でしょうか。鮮やかな緑や赤の色彩が目に染みます。生命感に満ちあふれていました。

[フェイス21世紀]:押江千衣子(Art Annual online)

久々の新作個展、7年前の西村での展示を思い出しました。変わらない魅力が確かにあります。

「押江千衣子目をすます/求龍堂」

3月7日まで開催されています。

「押江千衣子 新作展」 西村画廊
会期:2月4日(水)~3月7日(土)
休廊:日・月・祝日
時間:10:30~18:30
住所:中央区日本橋2-10-8 日本橋日光ビル9階
交通:東京メトロ銀座線・日本橋駅・東西線B1、C4出口より徒歩2分。都営浅草線 日本橋駅D3出口より徒歩2分。
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