都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「国宝『檜図屏風』修理後初公開」 東京国立博物館
東京国立博物館・本館2室
「国宝『檜図屏風』修理後初公開」
2/17~3/15

東京国立博物館で公開中の「檜図屏風」を見てきました。
桃山の絵師、狩野永徳が晩年に描いたと言われる「檜図屏風」。画面を貫く巨木の迫力はほかに代え難く、時に身悶えとも称される姿は、もはや檜自体に魂が宿っているかのような凄みがあります。
最近では2011年の「初もうで展」に出品がありました。ご記憶の方も多いかもしれません。
以来、約4年ぶりの公開です。東博本館の国宝室にて「檜図屏風」が公開されています。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 紙本金地着色 4曲1双 東京国立博物館
さて「檜図屏風」、一目見るだけでも、以前と趣きが違うことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
というのも8曲1隻から4曲1双に改装されているのです。しかも屏風のように折り曲げられているのではなく、襖絵のように立っています。それゆえか印象がかなり異なりました。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 部分 東京国立博物館
結論から述べると「檜図屏風」は2012年秋から2014年春にかけて大規模な修理が行われました。元々、素人目からしても傷みの激しかった同屏風、修理の際には「下張りを施し、亀裂や浮きの補修、汚れの軽減」(「檜図屏風 平成の大修理」パンフレットより)などの作業が行われたそうです。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 部分 東京国立博物館
また屏風は本来4面の襖だったものを8曲1隻にしていたため、左右の図柄の繋がりにズレが発生していました。今回の修復では元来の襖の形態に戻すことも視野に入れていたそうです。結果的に4曲1双の屏風に生まれ変わりましたが、図柄の接続に関してはより自然な形となりました。
また修理において屏風裏から墨書きが発見されたほか、唐紙の模様についても一部新しい発見があったそうです。
こうした修理のプロセスについては本館1階インフォメーションで配布中のパンフレット「檜図屏風 平成の大修理」が大変に参考になります。

パンフレット「国宝 檜図屏風 平成の大修理」
見開きの大きな図版なども付いています。何とも豪華版。これで無料です。
「国宝 檜図屏風 平成の大修理」(東京国立博物館)
パンフレットは東博のWEBからもダウンロードすることが出来ます。あわせてご覧下さい。
「檜図屏風」は私が日本美術に関心を持った頃、書籍の図版で見て、一目でその異様なまでの迫力に心奪われた作品です。
初めて実物を見たのは2007年。京都国立博物館で行われた「狩野永徳展」でのことでした。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 右 東京国立博物館
まるで両手を力強く振り回さんとばかりに枝を広げる檜の姿。幹はもはや屏風を破ろうとするのように激しく天をついています。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 左 東京国立博物館
左右で空間にかなり違いがあります。と言うのも幹の貫く右隻は余白が少なく、枝や葉を含めて密であるのに対し、左隻は細い枝が雲霞を鋭く裂くほかは、水や岩が描かれるなど粗でもある。視点は一度、根元のある地点から幹を辿って上にあがり、その後は枝葉を経由しながら、水辺の下方や岩山の上方へと向けられます。幹の押し上げる上下こそ狭いものの、左右は広い。思いの外に余裕があります。
なお現在、東洋館のミュージアムシアターでは「国宝 檜図屏風と狩野永徳」が上映されています。

TNM&TOPPANミュージアムシアター 国宝「檜図屏風と狩野永徳」
上演期間:2015年1月4日(日)~4月26日(日)
土・日、祝・休日 11:00/13:00/15:00
水・木・金曜 13:00/15:00
○所要時間40分 ○各回定員90名
この日は時間の都合で観覧出来ませんでしたが、シアターの上映は屏風公開終了後、4月末まで行われています。修復の新知見などについても触れているそうです。あわせて見るのも面白いのではないでしょうか。

東京国立博物館・本館2階国宝室
新たに甦った「檜図屏風」。色彩が鮮やかになったことで、以前よりも若々しく、また俊敏であり、なおかつ華やかさが増したようにも見えます。久々に向き合いましたが、やはりこれほど強い印象を与える作品はなかなかありません。時間を忘れて見入りました。
「もっと知りたい狩野永徳と京狩野/東京美術」
本館国宝室、一ヶ月限定です。3月15日まで公開されています。おすすめします。
「国宝『檜図屏風』修理後初公開」 東京国立博物館・本館2室(@TNM_PR)
会期:2月17日(火)~3月15日(日)
休館:月曜日。但し1月12日(月・祝)は開館。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
*特別展「みちのくの仏像展」のチケットでも観覧可。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
「国宝『檜図屏風』修理後初公開」
2/17~3/15

東京国立博物館で公開中の「檜図屏風」を見てきました。
桃山の絵師、狩野永徳が晩年に描いたと言われる「檜図屏風」。画面を貫く巨木の迫力はほかに代え難く、時に身悶えとも称される姿は、もはや檜自体に魂が宿っているかのような凄みがあります。
最近では2011年の「初もうで展」に出品がありました。ご記憶の方も多いかもしれません。
以来、約4年ぶりの公開です。東博本館の国宝室にて「檜図屏風」が公開されています。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 紙本金地着色 4曲1双 東京国立博物館
さて「檜図屏風」、一目見るだけでも、以前と趣きが違うことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
というのも8曲1隻から4曲1双に改装されているのです。しかも屏風のように折り曲げられているのではなく、襖絵のように立っています。それゆえか印象がかなり異なりました。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 部分 東京国立博物館
結論から述べると「檜図屏風」は2012年秋から2014年春にかけて大規模な修理が行われました。元々、素人目からしても傷みの激しかった同屏風、修理の際には「下張りを施し、亀裂や浮きの補修、汚れの軽減」(「檜図屏風 平成の大修理」パンフレットより)などの作業が行われたそうです。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 部分 東京国立博物館
また屏風は本来4面の襖だったものを8曲1隻にしていたため、左右の図柄の繋がりにズレが発生していました。今回の修復では元来の襖の形態に戻すことも視野に入れていたそうです。結果的に4曲1双の屏風に生まれ変わりましたが、図柄の接続に関してはより自然な形となりました。
また修理において屏風裏から墨書きが発見されたほか、唐紙の模様についても一部新しい発見があったそうです。
こうした修理のプロセスについては本館1階インフォメーションで配布中のパンフレット「檜図屏風 平成の大修理」が大変に参考になります。

パンフレット「国宝 檜図屏風 平成の大修理」
見開きの大きな図版なども付いています。何とも豪華版。これで無料です。
「国宝 檜図屏風 平成の大修理」(東京国立博物館)
パンフレットは東博のWEBからもダウンロードすることが出来ます。あわせてご覧下さい。
「檜図屏風」は私が日本美術に関心を持った頃、書籍の図版で見て、一目でその異様なまでの迫力に心奪われた作品です。
初めて実物を見たのは2007年。京都国立博物館で行われた「狩野永徳展」でのことでした。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 右 東京国立博物館
まるで両手を力強く振り回さんとばかりに枝を広げる檜の姿。幹はもはや屏風を破ろうとするのように激しく天をついています。

国宝「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代 天正18(1590)年 左 東京国立博物館
左右で空間にかなり違いがあります。と言うのも幹の貫く右隻は余白が少なく、枝や葉を含めて密であるのに対し、左隻は細い枝が雲霞を鋭く裂くほかは、水や岩が描かれるなど粗でもある。視点は一度、根元のある地点から幹を辿って上にあがり、その後は枝葉を経由しながら、水辺の下方や岩山の上方へと向けられます。幹の押し上げる上下こそ狭いものの、左右は広い。思いの外に余裕があります。
なお現在、東洋館のミュージアムシアターでは「国宝 檜図屏風と狩野永徳」が上映されています。

TNM&TOPPANミュージアムシアター 国宝「檜図屏風と狩野永徳」
上演期間:2015年1月4日(日)~4月26日(日)
土・日、祝・休日 11:00/13:00/15:00
水・木・金曜 13:00/15:00
○所要時間40分 ○各回定員90名
この日は時間の都合で観覧出来ませんでしたが、シアターの上映は屏風公開終了後、4月末まで行われています。修復の新知見などについても触れているそうです。あわせて見るのも面白いのではないでしょうか。

東京国立博物館・本館2階国宝室
新たに甦った「檜図屏風」。色彩が鮮やかになったことで、以前よりも若々しく、また俊敏であり、なおかつ華やかさが増したようにも見えます。久々に向き合いましたが、やはりこれほど強い印象を与える作品はなかなかありません。時間を忘れて見入りました。

本館国宝室、一ヶ月限定です。3月15日まで公開されています。おすすめします。
「国宝『檜図屏風』修理後初公開」 東京国立博物館・本館2室(@TNM_PR)
会期:2月17日(火)~3月15日(日)
休館:月曜日。但し1月12日(月・祝)は開館。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
*特別展「みちのくの仏像展」のチケットでも観覧可。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )