都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「同潤会の16の試み」 ギャラリーエークワッド
ギャラリーエークワッド
「同潤会の16の試みー近代日本の新しい住まいへの模索」
3/20-5/21
ギャラリーエークワッドで開催中の「同潤会の16の試み」を見てきました。
1923年に発生した関東大震災の復興住宅として建てられた同潤会。最も早いものでは震災の3年後です。現在の押上地区に中之郷アパートメントを建設。以降、約10年の間、東京と横浜に計16棟のアパートが次々と造られました。
その同潤会アパートを改めて振り返る展覧会です。会場には当時の写真やパネル、それに実際にアパートで使われた備品なども勢揃い。さらに模型やアパートの一室を復元した実寸大の再現展示もあります。
「同潤会の16の試み」パネル展示
はじめはパネルです。同潤会の歴史を年表で振り返ります。はじめにも触れたように同潤会アパートは僅か10年余りの間に全て造られましたが、その使用、あるいは建設年数は長く、第2次大戦下においても失われることはありませんでした。
「同潤会の16の試み」パネル展示
最初に取り壊されたのは1982年の平沼橋アパートです。以降、特に1990年から2000年代にかけて次々と建て直されます。最後まで残ったのは上野下アパートです。それも2013年に取り壊され、建物としての同潤会の歴史は幕を下ろしました。
もちろん私は16棟の全てを知りませんが、一番記憶に近いのは青山アパートです。表参道の目抜き通り、ケヤキ並木沿いにあった3階建ての建物。私の見知る頃は確かほぼ店舗や事務所として利用されていました。現在は表参道ヒルズに建て替えられています。
手前:「外壁飾り」 清砂通りアパートメント 昭和2年
清砂通りアパートの面影も頭の中に残っています。場所は江東区白河です。ちょうどバスなどで東京都現代美術館へ向かう時に良く目にしました。今では再開発によって高層マンションに姿を変えています。
「同潤会の16の試み」 パネル展示
各アパートが写真や模型で紹介されていました。そもそも一口に同潤会アパートと言えども、高さしかり、造りからして様々。また鉄筋コンクリート造として知られる同潤会ですが、最初の中之郷アパートは意外にも木造です。そして虎ノ門アパートは独身者向け、大塚女子アパートは文字通り女性専用、さらに青山アパートは復興住宅というよりも山手の勤め人のために提案された建物であるなど、用途に関しても幅広い層を想定して造られています。
同潤会アパートメントの備品類
とは言え、同潤会アパートにはコミュニティの存在という大きな特徴があります。一つのアパートの中には住宅だけではなく、共同浴場、店舗、医務室、談話室、児童遊園のほか、何と時には職業訓練のための工場までありました。いわゆる住、職、医を兼ね備えた施設でもあったのです。
同潤会アパートメントの備品類
アパートで実際に使用された備品が同潤会の歴史を物語ってくれます。住宅のドアノブに扉、換気口の格子、照明器具、浴室タイル、マンホールに集合室名板など。換気口の格子のデザインは今見ても決して古びていません。青山アパートは当時、「ハイカラなアパート」として宣伝されたそうですが、備品を見るからしても納得し得るというもの。意匠として凝っているものも少なくありません。
代官山アパートの一室を実寸大で再現した模型がハイライトではないでしょうか。
代官山アパートメント原寸模型
入居は昭和2年。今でこそ俄かに信じ難いものがありますが、当時は同潤会最大の郊外団地だったそうです。うち14号館、74号室を復元。世帯住居です。2続きの部屋。一つは6畳、もう一つは4畳半です。台所は土間ですが、ガスコンロに流し台、またダストシュートまでありました。
代官山アパートメント原寸模型
そしてトイレは和式の水洗です。玄関は防火性を持たせるために鉄板を巻いていたそうです。
代官山アパートメント原寸模型
復元模型、中に入ることは出来ませんが、当時の住まいの雰囲気は大いに伝わってきます。臨場感のある展示でした。
「同潤会の16の試み」会場風景
受付ではリーフレットが一部100円にて販売されていました。監修者のコメント付き、中は写真資料などが掲載されています。こちらも参考になりそうです。
竹中工務店東京本店
会場のエークワッドは竹中工務店東京本店のエントランス1階にあるスペース。主に建築をテーマとした展示を行っているギャラリーです。
東西線の東陽町駅の3番出口の近くです。案内には3分とありますが、確かに出口からあっという間に到着します。アクセスは良好ですが、本店ビルの付属ということで開廊は平日のみです。土日と祝日はお休みです。ご注意下さい。
今回の「同潤会の16の試み」は「都市に住まう」シリーズの第1回展です。今後も同テーマを掲げた展示を続けていくそうです。そちらにも期待しましょう。
ギャラリーエークワッド入口
5月21日までの開催です。平日のみのオープンですが、おすすめします。
「シリーズ『都市に住まう』第一回 同潤会の16の試みー近代日本の新しい住まいへの模索」 ギャラリーエークワッド
会期:3月20日(金)~5月21日(木)
休廊:土曜・日曜・祝日。
時間:11:00~18:00。*最終日は17時まで。
料金:無料。
住所:江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1階
交通:東京メトロ東西線東陽町駅3番出口徒歩3分。
「同潤会の16の試みー近代日本の新しい住まいへの模索」
3/20-5/21
ギャラリーエークワッドで開催中の「同潤会の16の試み」を見てきました。
1923年に発生した関東大震災の復興住宅として建てられた同潤会。最も早いものでは震災の3年後です。現在の押上地区に中之郷アパートメントを建設。以降、約10年の間、東京と横浜に計16棟のアパートが次々と造られました。
その同潤会アパートを改めて振り返る展覧会です。会場には当時の写真やパネル、それに実際にアパートで使われた備品なども勢揃い。さらに模型やアパートの一室を復元した実寸大の再現展示もあります。
「同潤会の16の試み」パネル展示
はじめはパネルです。同潤会の歴史を年表で振り返ります。はじめにも触れたように同潤会アパートは僅か10年余りの間に全て造られましたが、その使用、あるいは建設年数は長く、第2次大戦下においても失われることはありませんでした。
「同潤会の16の試み」パネル展示
最初に取り壊されたのは1982年の平沼橋アパートです。以降、特に1990年から2000年代にかけて次々と建て直されます。最後まで残ったのは上野下アパートです。それも2013年に取り壊され、建物としての同潤会の歴史は幕を下ろしました。
もちろん私は16棟の全てを知りませんが、一番記憶に近いのは青山アパートです。表参道の目抜き通り、ケヤキ並木沿いにあった3階建ての建物。私の見知る頃は確かほぼ店舗や事務所として利用されていました。現在は表参道ヒルズに建て替えられています。
手前:「外壁飾り」 清砂通りアパートメント 昭和2年
清砂通りアパートの面影も頭の中に残っています。場所は江東区白河です。ちょうどバスなどで東京都現代美術館へ向かう時に良く目にしました。今では再開発によって高層マンションに姿を変えています。
「同潤会の16の試み」 パネル展示
各アパートが写真や模型で紹介されていました。そもそも一口に同潤会アパートと言えども、高さしかり、造りからして様々。また鉄筋コンクリート造として知られる同潤会ですが、最初の中之郷アパートは意外にも木造です。そして虎ノ門アパートは独身者向け、大塚女子アパートは文字通り女性専用、さらに青山アパートは復興住宅というよりも山手の勤め人のために提案された建物であるなど、用途に関しても幅広い層を想定して造られています。
同潤会アパートメントの備品類
とは言え、同潤会アパートにはコミュニティの存在という大きな特徴があります。一つのアパートの中には住宅だけではなく、共同浴場、店舗、医務室、談話室、児童遊園のほか、何と時には職業訓練のための工場までありました。いわゆる住、職、医を兼ね備えた施設でもあったのです。
同潤会アパートメントの備品類
アパートで実際に使用された備品が同潤会の歴史を物語ってくれます。住宅のドアノブに扉、換気口の格子、照明器具、浴室タイル、マンホールに集合室名板など。換気口の格子のデザインは今見ても決して古びていません。青山アパートは当時、「ハイカラなアパート」として宣伝されたそうですが、備品を見るからしても納得し得るというもの。意匠として凝っているものも少なくありません。
代官山アパートの一室を実寸大で再現した模型がハイライトではないでしょうか。
代官山アパートメント原寸模型
入居は昭和2年。今でこそ俄かに信じ難いものがありますが、当時は同潤会最大の郊外団地だったそうです。うち14号館、74号室を復元。世帯住居です。2続きの部屋。一つは6畳、もう一つは4畳半です。台所は土間ですが、ガスコンロに流し台、またダストシュートまでありました。
代官山アパートメント原寸模型
そしてトイレは和式の水洗です。玄関は防火性を持たせるために鉄板を巻いていたそうです。
代官山アパートメント原寸模型
復元模型、中に入ることは出来ませんが、当時の住まいの雰囲気は大いに伝わってきます。臨場感のある展示でした。
「同潤会の16の試み」会場風景
受付ではリーフレットが一部100円にて販売されていました。監修者のコメント付き、中は写真資料などが掲載されています。こちらも参考になりそうです。
竹中工務店東京本店
会場のエークワッドは竹中工務店東京本店のエントランス1階にあるスペース。主に建築をテーマとした展示を行っているギャラリーです。
東西線の東陽町駅の3番出口の近くです。案内には3分とありますが、確かに出口からあっという間に到着します。アクセスは良好ですが、本店ビルの付属ということで開廊は平日のみです。土日と祝日はお休みです。ご注意下さい。
今回の「同潤会の16の試み」は「都市に住まう」シリーズの第1回展です。今後も同テーマを掲げた展示を続けていくそうです。そちらにも期待しましょう。
ギャラリーエークワッド入口
5月21日までの開催です。平日のみのオープンですが、おすすめします。
「シリーズ『都市に住まう』第一回 同潤会の16の試みー近代日本の新しい住まいへの模索」 ギャラリーエークワッド
会期:3月20日(金)~5月21日(木)
休廊:土曜・日曜・祝日。
時間:11:00~18:00。*最終日は17時まで。
料金:無料。
住所:江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1階
交通:東京メトロ東西線東陽町駅3番出口徒歩3分。
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