都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART1」 神奈川県立近代美術館鎌倉館
神奈川県立近代美術館鎌倉館
「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART1:1985-2016」
4/11-6/21
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/49/1475baff5f19e4c43d10f0d727e4892e.jpg)
神奈川県立近代美術館鎌倉館で開催中の「鎌倉からはじまった。1951-2016」のPART1、「1985-2016」を見てきました。
1951年、戦後初の公立美術館として開館した神奈川県立近代美術館の鎌倉館。設計は坂倉準三です。「日本のモダニズム建築を代表する名作」(リーフレットより)として評価も高く、長きに渡って鶴岡八幡宮境内、源氏池畔の景観を特徴付ける建物として知られてきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/0c/597488dcadfe22321e052ee2f6918817.jpg)
しかしながら葉山館への集約や、八幡宮との土地借地契約が満了することなどから、2016年1月末をもって閉館することが決定。現時点で建物自体は存続するそうですが、美術館としての役割を終えることになりました。
鎌倉館60年の最後の展覧会です。その名も「鎌倉からはじまった。」。どこか美術館の強い自負を感じるタイトルではありませんか。展示自体は純然たるコレクション展です。全三期にわけて所蔵作品を紹介。鎌倉館の活動を振り返っています。
現在は第1期のPart1。面白いのはPart3に向けて時代を遡っていることです。よってPart1は一番、新しい。1985年以降に鎌倉館で行われた展覧会を追いかけています。
さて一言に展覧会を追いかけるといえども、構成なり手法は至ってシンプル。館内に入ると一目瞭然ですが、先にも触れたように基本はコレクション展です。平面、立体の作品が端的に並んでいます。
キャプションに一工夫ありました。というのも作家、作品の解説とともに、その作家がいつ鎌倉館で個展なり展示を行ったのかについて記載があります。それによって作家が何時、どういう形で鎌倉館と接点を持ったのかが分かるというわけなのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/42/711188268879c727c1926c35467fddd0.jpg)
斎藤義重「鬼」 1957年 油彩、合板 神奈川県立近代美術館鎌倉館
例えば斎藤義重の「鬼」、画家は99年に生前最後の美術館での個展を鎌倉館で行っています。またウルフ・トロヅィッグの「樹間」は2000年に鎌倉館で行われた個展の際の新作。その時に初めて展示された作品でもあります。
中西夏之の「弓型・弓ぬき」が目を引きました。肌色の爛れたようなストロークが味わい深い。95年に展示があったそうです。
私が鎌倉館を見知るようになったのはここ数年のことですが、その中で印象深いのは2009年の伊庭靖子です。「まばゆさの在処」にも出展された「Untitled」が出ていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/f7/b80e8c2436cf98c680749f44b5b80d25.jpg)
出品は平面60点に彫刻10点ほど。そういえば池に面する内藤礼の「恩寵」も2009年の個展があってからの作品です。この展示も私の中では非常に強く印象に残っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/76/c2a80bfb126991eb5a0c4371ed956177.jpg)
久々に鎌倉館へ行きました。コルビュジエ建築を発想の元にしながらも、中庭を核に、屋内外を取り込んだ空間構成は極めて独特。池に面したテラスは伝統的な日本の建築を連想させます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/b9/e4852b9a5b43cab83b0737b88b93fb01.jpg)
当時は建材などに制約もあったそうですが、鉄骨や大谷石、またボードを組み合わせた建物の素材も今となっては新しい。歩き、また視点を変えると、常に意外な景色が現れてくるような美術館でもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/0e/1adca54141db64534d9834448995b6eb.jpg)
喫茶室も現在です。開館以来のスペース、壁画も2003年に復元されました。鎌倉の特等席です。もちろん鎌倉には素晴らしいカフェがいくつもありますが、少なくともこの喫茶室よりも眺めが良く、また落ち着いていて、なおかついつも余裕のあるスペースを知りません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/e1/83c5412ce8e77b8b684472e533cac87e.jpg)
なお「鎌倉からはじまった。」展では特典付きのカードを発行。PART1とPART2のスタンプを押すと、PART3会期が無料で観覧出来るそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/bf/1edd4be5785c825acc70fb2597227835.jpg)
「鎌倉からはじまった。1951-2016」特典カード(表紙)
PART 2: 1966-1984 発信する近代美術館
2015 年7月4日(土)~10月4日(日)
PART 3: 1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生
2015年10月17日(土)~2016年1月31日(日)
ちょうど五月の季節の良い時期です。鎌倉館内にも流れる心地よい風に吹かれながら、しばし時間を忘れて滞在しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/1b/3003243e32eed3c9b0c8b2a6d757d3e7.jpg)
ちなみに本展は鎌倉館から歩いて5分弱の鎌倉別館と同時開催の展覧会です。
「鎌倉からはじまった 。1951-2016」(日本画の部)@神奈川県立近代美術館鎌倉別館 4月11日(土)~6月21日(日)
鎌倉別館では日本画が20点ほど展示されています。チケットは当日のみの有効です。最終入館は16時半です。お見逃しなきようご注意ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/3e/7307e5a39579d59fd65c99b113fcfb20.jpg)
6月21日まで開催されています。
「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART1:1985-2016」 神奈川県立近代美術館鎌倉館(@KanagawaMoMA)
会期:4月11日(土)~6月21日(日)
休館:月曜日。但し5/4は開館。
時間:9:30~17:00。*入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1000(900)円 、20歳未満・学生850(750)円、65歳以上500円、高校生100円。中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*鎌倉館の観覧券で当日に限り、鎌倉別館の展覧会を観覧可。
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
交通:JR横須賀線、江ノ島電鉄線鎌倉駅下車、徒歩約10分。
「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART1:1985-2016」
4/11-6/21
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神奈川県立近代美術館鎌倉館で開催中の「鎌倉からはじまった。1951-2016」のPART1、「1985-2016」を見てきました。
1951年、戦後初の公立美術館として開館した神奈川県立近代美術館の鎌倉館。設計は坂倉準三です。「日本のモダニズム建築を代表する名作」(リーフレットより)として評価も高く、長きに渡って鶴岡八幡宮境内、源氏池畔の景観を特徴付ける建物として知られてきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/0c/597488dcadfe22321e052ee2f6918817.jpg)
しかしながら葉山館への集約や、八幡宮との土地借地契約が満了することなどから、2016年1月末をもって閉館することが決定。現時点で建物自体は存続するそうですが、美術館としての役割を終えることになりました。
鎌倉館60年の最後の展覧会です。その名も「鎌倉からはじまった。」。どこか美術館の強い自負を感じるタイトルではありませんか。展示自体は純然たるコレクション展です。全三期にわけて所蔵作品を紹介。鎌倉館の活動を振り返っています。
現在は第1期のPart1。面白いのはPart3に向けて時代を遡っていることです。よってPart1は一番、新しい。1985年以降に鎌倉館で行われた展覧会を追いかけています。
さて一言に展覧会を追いかけるといえども、構成なり手法は至ってシンプル。館内に入ると一目瞭然ですが、先にも触れたように基本はコレクション展です。平面、立体の作品が端的に並んでいます。
キャプションに一工夫ありました。というのも作家、作品の解説とともに、その作家がいつ鎌倉館で個展なり展示を行ったのかについて記載があります。それによって作家が何時、どういう形で鎌倉館と接点を持ったのかが分かるというわけなのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/42/711188268879c727c1926c35467fddd0.jpg)
斎藤義重「鬼」 1957年 油彩、合板 神奈川県立近代美術館鎌倉館
例えば斎藤義重の「鬼」、画家は99年に生前最後の美術館での個展を鎌倉館で行っています。またウルフ・トロヅィッグの「樹間」は2000年に鎌倉館で行われた個展の際の新作。その時に初めて展示された作品でもあります。
中西夏之の「弓型・弓ぬき」が目を引きました。肌色の爛れたようなストロークが味わい深い。95年に展示があったそうです。
私が鎌倉館を見知るようになったのはここ数年のことですが、その中で印象深いのは2009年の伊庭靖子です。「まばゆさの在処」にも出展された「Untitled」が出ていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/f7/b80e8c2436cf98c680749f44b5b80d25.jpg)
出品は平面60点に彫刻10点ほど。そういえば池に面する内藤礼の「恩寵」も2009年の個展があってからの作品です。この展示も私の中では非常に強く印象に残っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/76/c2a80bfb126991eb5a0c4371ed956177.jpg)
久々に鎌倉館へ行きました。コルビュジエ建築を発想の元にしながらも、中庭を核に、屋内外を取り込んだ空間構成は極めて独特。池に面したテラスは伝統的な日本の建築を連想させます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/b9/e4852b9a5b43cab83b0737b88b93fb01.jpg)
当時は建材などに制約もあったそうですが、鉄骨や大谷石、またボードを組み合わせた建物の素材も今となっては新しい。歩き、また視点を変えると、常に意外な景色が現れてくるような美術館でもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/0e/1adca54141db64534d9834448995b6eb.jpg)
喫茶室も現在です。開館以来のスペース、壁画も2003年に復元されました。鎌倉の特等席です。もちろん鎌倉には素晴らしいカフェがいくつもありますが、少なくともこの喫茶室よりも眺めが良く、また落ち着いていて、なおかついつも余裕のあるスペースを知りません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/e1/83c5412ce8e77b8b684472e533cac87e.jpg)
なお「鎌倉からはじまった。」展では特典付きのカードを発行。PART1とPART2のスタンプを押すと、PART3会期が無料で観覧出来るそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/bf/1edd4be5785c825acc70fb2597227835.jpg)
「鎌倉からはじまった。1951-2016」特典カード(表紙)
PART 2: 1966-1984 発信する近代美術館
2015 年7月4日(土)~10月4日(日)
PART 3: 1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生
2015年10月17日(土)~2016年1月31日(日)
ちょうど五月の季節の良い時期です。鎌倉館内にも流れる心地よい風に吹かれながら、しばし時間を忘れて滞在しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/1b/3003243e32eed3c9b0c8b2a6d757d3e7.jpg)
ちなみに本展は鎌倉館から歩いて5分弱の鎌倉別館と同時開催の展覧会です。
「鎌倉からはじまった 。1951-2016」(日本画の部)@神奈川県立近代美術館鎌倉別館 4月11日(土)~6月21日(日)
鎌倉別館では日本画が20点ほど展示されています。チケットは当日のみの有効です。最終入館は16時半です。お見逃しなきようご注意ください。
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6月21日まで開催されています。
「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART1:1985-2016」 神奈川県立近代美術館鎌倉館(@KanagawaMoMA)
会期:4月11日(土)~6月21日(日)
休館:月曜日。但し5/4は開館。
時間:9:30~17:00。*入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1000(900)円 、20歳未満・学生850(750)円、65歳以上500円、高校生100円。中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*鎌倉館の観覧券で当日に限り、鎌倉別館の展覧会を観覧可。
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
交通:JR横須賀線、江ノ島電鉄線鎌倉駅下車、徒歩約10分。
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