「村田朋泰 edge」 GALLERY MoMo 両国

GALLERY MoMo 両国
「村田朋泰 edge」 
4/25-5/30



GALLERY MoMo 両国で開催中の村田朋泰個展、「edge」を見てきました。 

1974年に東京で生まれ、アニメーション作家として幅広く活動している村田朋泰。ギャラリーモモでの個展は2009年以来のことだそうです。

さてコマ撮りのアニメーション映像だけでなく、三次元、例えばミニチュアのセットにて空間全体へ作品世界を広げる村田の制作。その手法は今回も変わることはありません。



まず目に飛び込んでくるのは一面に広がるセットです。何やら葉を失っては朽ちた木々が立ち並んでいます。森でしょう。照明は落とされて薄暗い。また獣の皮かもしれません。毛の長い絨毯のような素材が大地を象っていました。それに時に白く見えるのは雪のイメージなのでしょうか。石や草木がまばらに生えています。



洞穴がありました。中にはキラキラと輝くクリスタルのような物体があります。まるで鍾乳洞のようでもあります。



そしてこのセットを舞台にしたのが奥の映像、「木ノ花ノ咲クヤ森」です。全10分弱。主人公はオオカミ。ただし頭がオオカミであるだけで、身体は人間です。霧深い森、井戸からクリスタルを掘り出します。中には花が閉ざされていました。それを大切そうに抱えては持ち帰ります。すると追う者が現れました。2人のハンターです。容赦なくオオカミに発砲しては襲いかかります。



その後、映像は大きく展開。時代を超え、場所をも超えます。戦争が始まりました。爆弾で街は吹き飛び、瓦礫が散乱します。その惨禍を経た後に再び静かな森へと立ち返りました。しかしながらオオカミの男はハンターの狙撃により片腕を失ってしまいます。

「本作の物語は中世のヨーロッパ人のように「本来の位置」なるものを探っている。すでに古臭く時代遅れとされた世界の中で、主人公は失った記憶や痕跡を探っている。」 アーティストコメントより(ギャラリーサイトより)

夢か幻か、過去か未来か現在か。それらの全てを行き来してはない交ぜになったような世界。オオカミは過去の記憶や体験を探り辿ろうとしているのかもしれません。映像世界が目の前のセットというリアルと交錯してはイメージを膨らませてくれます。

奥の小部屋にももう1点の映像、「翁舞」がありました。文字通り翁の演舞する姿、もちろん人形。「天下安全五穀豊穣」(ギャラリーサイトより)を祈願するものだそうです。それにしてこの所作がスムーズ。おおよそコマ撮りとは思えないほどでした。



振り返れば平塚市美術館での個展は2008年のことでした。どこか謎めいた物語でもある「木ノ花ノ咲クヤ森」。より深化した世界と捉えるべきなのかもしれません。

5月30日まで開催されています。

「村田朋泰 edge」 GALLERY MoMo 両国@GalleryMoMo
会期:4月25日(土)~5月30日(土)
休廊:日・月・祝。*GW期間中(5/3~5/6)は休廊。
時間:11:00~19:00
場所:墨田区亀沢1-7-15
交通:都営大江戸線両国駅A3出口より徒歩1分。JR両国駅東口より徒歩約5分。
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