「パスキン展」 パナソニック汐留ミュージアム

パナソニック汐留ミュージアム
「パスキン展ー生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子」 
1/17-3/29



パナソニック汐留ミュージアムで開催中の「パスキン展ー生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子」を見て来ました。

以前から私も漠然とパスキンの名と絵のイメージこそ頭にありましたが、この展覧会を見て、実はパスキンを殆ど知らなかったことに気がつきました。

画家の名はジュール・パスキン。本名はジュリウス・モディカイ・ピンカス。ブルガリア生まれのユダヤ人です。ウィーンで教育を受け、ブタペストにも滞在しながら美術の勉強をはじめます。10代後半にはミュンヘンへ渡って美術学校に通いました。


ジュール・パスキン「ミュンヘンの少女」 1903年 鉛筆、紙 パリ市立近代美術館
©Eric Emo/ Musee d’Art Moderne/ Roger-Viollet


時系列での回顧展です。ゆえに最初期の作品も登場します。例えば10代の頃に描いた「ミュンヘンの少女」です。少し口をつぼめては強い眼差しでこちらを見やる少女。素材は鉛筆です。非常に細かい線でモデルの姿を的確に捉えています。早熟だったのかもしれません。早くも発揮された稀なデッサン力を伺い知ることが出来ます。

実際にパスキン自身も素描家としての才能を自覚していたそうです。その能力を買われてか、ミュンヘンではプロの挿絵家として雑誌に風刺画を寄稿します。また当初はドイツの表現主義にも影響を受けていました。

パリへやって来たのは20歳の頃です。ここで後に妻となるエルミーヌと出会います。


ジュール・パスキン「エルミーヌ・ダヴィッドの肖像」 1908年 油彩、カンヴァス グルノーブル美術館
©Musee Grenoble


彼女をモデルとする「エルミーヌ・ダヴィットの肖像」も目を引くのではないでしょうか。やや首を傾げてこちらを見やるエルミーヌ。キャプションには「ぎこちない」と記されていましたが、私には充実した作品に見えました。油絵はほぼ独学だったそうですが、どこか取り澄ましたようなモデルの雰囲気も良く伝わってきます。

それにしてもパスキン、画業を通して素描やエッチングに魅惑的な作品が多いのもポイントです。

中でもサロメや放蕩息子の主題の作品は面白い。断片的で震えるような線を多用し、さも即興的に描いたような画風を見せます。さらに躍動感すらあります。また「赤ずきん」と題した紙のコラージュもありました。油絵の趣きとは大きく異なります。


ジュール・パスキン「二人の少女」 1907年 水彩、紙 ポンピドゥー・センター 
©Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais/ Bertrand Prevost/ distributed by AMF


率直なところまさかパスキンの素描や小品がこれほど良いとは思いませんでした。その魅力を発見しただけでも、私の中では展覧会を見た価値は十分にありました。

さて油絵です。良く知られるのは晩年の「真珠母色の時代」と称される作品です。確かに独特の虹色に包まれた肖像画などは美しくもありますが、それに先立って描かれたより色彩の強い作品にもまた異なった良さがあります。

パスキンが色彩を獲得したのはアメリカです。1914年、一次大戦の戦渦を逃れるためにニューヨークへと移った彼は、エルミーヌを伴ってさらに南へと旅行。アメリカの南部やキューバなどに滞在して過ごします。そこで同地の土地の色や光を知ります。暖色を用いた油絵を描きました。


ジュール・パスキン「キューバでの集い」 1915/17年 油彩、カンヴァス(両面作品) 個人蔵

「キューバでの集い」はどうでしょうか。おそらくはカフェの一コマ、テーブルを囲んでは男たちが楽しそうに語っています。人物を象る赤みがかった土色や薄い緑の色彩は美しい。また後の真珠色を彷彿させるような透明感もあります。


ジュール・パスキン「少女ー幼い踊り子」 1924年 油彩、カンヴァス パリ市立近代美術館
©Eric Emo/ Musee d’Art Moderne/ Roger-Viollet


そのほか「少女ー幼い踊り子」や「二人の座る少女」なども、アイボリーや淡いピンク色と真珠色が巧みに混じり合い、美しい色彩のハーモニーを奏でています。一概に言えませんが、私は1927年から最晩年に至る「真珠母色の時代」よりも、少し前の色の強い油絵群が一番魅力的ではないかと思いました。

それにしてもパスキン、モデルはいずれも女性ばかり。男性の肖像画の作品は殆どありません。

「テーブルのリュシーの肖像」のリュシーとはパスキンの愛人です。何でも古くからの知り合いだったものの、1920年頃に再会。そこで恋に落ちたそうです。


ジュール・パスキン「テーブルのリュシーの肖像」 1928年 油彩、カンヴァス 個人蔵

何と物憂げな様子ではないでしょうか。肩を落として両手をテーブルの上で組み、視線を落としては困惑したような表情をしている。白いテーブルの上には淡く滲み出すような七色の花が置かれています。まるで見る側の視線を逸らすかのような姿。この同じテーブルの前に座るのはパスキンそのものなのかもしれません。

結果的に二人の恋は成就しません。何故ならパスキンにもリュシーにも伴侶がいたからです。叶わぬ恋に絶望したとも言われるパスキンは死を選びます。パスキンはこの絵を描いた二年後、45歳の若さで自殺してしまいました。

日本では16年ぶりとなる本格的な回顧展です。作品もパリ市立美術館や海外の個人コレクションと粒ぞろい。作品は油画に素描、また版画など120点です。(資料含む。)日本初公開の作品も少なくありません。

また写真や書簡類などパスキンの人となりを伝える資料も充実していました。そもそも本展はパスキンの遺作相続人である人物が会長を務めるコミテ・パスキンの全面的な協力をもって実現したそうです。

「パスキンの死後、遺作は、妻エルミーヌと愛人リュシーに半分づつ残されましたが、エルミーヌが相続を放棄したため、リュシーがすべてを受け継ぎました。コミテパスキンはリュシーの遺族が運営している団体です。」 公式アカウント(@PascinShiodome)より


ジュール・パスキン「二人の座る少女」 1925年 油彩、厚紙(板に貼付) パリ市立近代美術館
©Musee d’Art Moderne/ Roger-Viollet


画業半ばで自死を選んだパスキン。その理由には先にも触れた叶わぬ恋や自身の病などがあったとも伝えられています。しかし画風として次にパスキンはどこへ到達しようとしていたのか。ともすると行き詰まっていたのかもしれません。まるで自身に言い聞かせるかのようなパスキンの言葉も重く響きます。

「人間、45歳を過ぎてはならない。芸術家であればなおのことだ。それまでに力を発揮できていなければ、その歳で生み出すものは、もはや何もないだろう。」 ジュール・パスキン

二つの大戦の狭間、20世紀前半に展開したエコール・ド・パリ。その退廃的なムードを感じられる展覧会でもありました。

会期早々に出かけましたが、館内には余裕がありました。

3月29日まで開催されています。

「パスキン展ー生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子」(@PascinShiodome) パナソニック汐留ミュージアム
会期:1月17日(土)~3月29日(日)
休館:水曜日。但し2月11日は休館。
時間:10:00~18:00 *入場は17時半まで。
料金:一般1000円、大学生900円、中・高校生500円、小学生以下無料。
 *65歳以上900円、20名以上の団体は各100円引。
 *ホームページ割引あり
住所:港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
交通:JR線新橋駅銀座口より徒歩5分、東京メトロ銀座線新橋駅2番出口より徒歩3分、都営浅草線新橋駅改札より徒歩3分、都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩1分。
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「竹村文宏 Factory」 児玉画廊 東京

児玉画廊 東京
「竹村文宏 Factory」 
1/17-2/21



児玉画廊 東京で開催中の「竹村文宏 Factory」を見てきました。

上のDMの画像、キャンバス上に描かれた「立体的な絵」と知れば、驚く方もおられるのではないでしょうか。

素材はアクリル絵具です。チューブより絞り出し、針金もしくは糸ほどの太さに乾燥させ、それを組みあわせては、構造体をキャンバス上に半ば建築する。高速道路や観覧車、また鉄塔やビルなどの立ち並ぶ様子を描いています。

あくまでも「描いている」というのがポイントです。というのもそこに絵具以外のものは一切ありません。さもキャンバス上に線を引くように、立体物としての絵具を線状に繋げているわけです。もちろん3次元ではありますが、ほかの支持体なりが加えられることはありません。基本的にはキャンヴァスと絵具のみです。絵画という枠から離れることはありません。

「竹村文宏インスタレーションビュー」@児玉画廊 *作品の写真が多数掲載されています。

室内空間でしょうか。ピンク色の一枚のキャンバスの上には窓や扉、それに戸棚やハンガー掛けがありました。もちろん絵具で作られたもの。ほかにはピクニックでしょうか。ゴザの上にはワインボトルやバスケット、それに食器などが散らばります。また砂浜を模したような空間にはビーチチェアが置かれています。いずれもさも彫刻を作るかのように細い絵具を重ねては描いていました。

一方、さらに大きなキャンバスで展開されるのは、スケール感のある土地の景観、言わばランドスケープです。

まるでポロックの絵画の如く絵具は自在に散っていますが、良く目を凝らすと細かな線が立体的に浮き上がっていることが分かります。それこそが高架橋です。地のキャンバスについた線がいつしか浮き上がり、一本の立体的な線として橋をつくり、やがて地のキャンバスへと戻る。上の線と下の線が交錯します。その合間にあるのが鉄塔や観覧車です。視点は広い。地図を眺めるかのようです。また飛行機から大地を見下ろしたパノラマのようでもあります。

近作でしょうか。製図面のようなグリットを利用した絵画もありました。ビルやクレーンはパーツ毎にどこか規則正しく並んでいます。まるで整理された箱庭です。先の線の自在なランドスケープ的な作品とは異なっています。

作家の竹村は、本年3月に上野の森美術館で開催されるVOCA展に出展します。



「VOCA展2015 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち」@上野の森美術館(3/14~3/30)

私が竹村を知ったのは一昨年の同ギャラリーでの個展のことでした。そして今回も面白い。VOCAにも期待出来ると思います。

2月21日まで開催されています。

「竹村文宏 Factory」 児玉画廊 東京
会期:1月17日(土)~2月21日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
住所:港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス1階
交通:東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅3番出口より徒歩10分。東京メトロ日比谷線広尾駅1番出口より徒歩15分。
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「新印象派展」 東京都美術館

東京都美術館
「新印象派ー光と色のドラマ」
1/24-3/29



東京都美術館で開催中の「新印象派ー光と色のドラマ」のプレスプレビューに参加してきました。

スーラやシニャックに代表される新印象派の画家たち。いわゆる点描技法を用いては色彩の持つ表現力を探求しました。またピサロが彼らを「科学的印象主義者」と呼んだように、当時の最新の光学や色彩理論をも取り込んだ、言わば科学的な芸術運動でもありました。

その新印象派にスポットを当てた展覧会です。出品は全100点。オルセーやメトロポリタン美術館のほか、個人コレクションなど、海外からも多数作品がやってきています。展示は画家別ではなく時系列です。新印象派の運動を時間で追っています。

新印象派の誕生は1886年のことです。この年に行われたのが第8回印象派展。まさしく最後の印象派展でした。

ここで初めて参加したのがスーラやシニャックです。ほかドガやモリゾらも加わっていますが、かつて印象派の中心的存在であったモネやルノワールの名はありません。

第8回展に出た作品がまとめて紹介されています。その代表的な一枚がスーラの「セーヌ川、クールブヴォワにて」です。本展のちらしの表紙を飾る作品でもあります。


左:ジョルジュ・スーラ「セーヌ川、クールブヴォワにて」1885年 油彩、カンヴァス 個人蔵

ともかく目を引くのは緻密な点描ですが、手前の芝生上の光の表現はもとより、まるでガラス細工のように煌めく川の水面の透明感も素晴らしいもの。黒い影を横へのばす前景の樹木も構図を引き締めています。

ちなみに第8回展で大いに話題となったのが、同じくスーラの傑作として知られる「グランド・ジャット島の日曜日の午後」です。高さ2メートル、横幅3メートルをこえる超大作。田園の島でくつろぐ人々の姿を全て点描で描いた作品ですが、現在はシカゴ美術館に収蔵され、いわゆる門外不出の扱いです。残念ながら本展にはやってきていません。


*参照パネル ジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」1884-86年 油彩、カンヴァス シカゴ美術館(本展不出品)

ただこの「セーヌ川、クールブヴォワ」は「グランド・ジャット島の日曜日の午後」とほぼ同時期に描かれた作品です。後に展開される点描技法を取り込んでいるとも言われています。またあわせてグランド・ジャットの油彩の習作を4点紹介。かの大作がどう描かれたのかの一端を知ることも出来ました。


右:「ポール・シニャックのパレット」 個人蔵
左:「ジョルジュ・スーラのパレット」 個人蔵

スーラとシニャックのパレットも面白いのではないでしょうか。写真では分かりにくいかもしれませんが、良く見ると、ともにパレット上で絵具は殆ど混じり合っていません。つまりチューブから出した絵具をそのままのせ、筆でキャンバスに置いていく。規則正しい配色は補色の関係を意識しているそうです。


ルイ・アイエ「視覚混合のための色彩図解(見開き図6点)」1888年 厚紙に貼られた紙片 個人蔵

色彩理論についての展示も重要です。単に点描と捉えがちな新印象派も、実は科学の立場からの裏打ちがありました。筆触分割を実験的に試みたルイ・アイエの習作群なども興味深い作品だと言えそうです。

さて新印象派展、何もスーラやシニャックの作品ばかりが並んでいるわけではありません。実のところこの展覧会に登場する画家は全部で24名にも及びます。もちろんその中には日本では必ずしも有名とは言えない画家も含まれています。

ただあえて申し上げれば、ともすると知名度の低い画家の作品の方が殊更に面白い。今回はスーラ、シニャック以外の新印象派の魅力に触れられる絶好の機会としても過言ではありません。


右:アンリ=エドモン・クロス「農園、夕暮れ」1893年 油彩、カンヴァス 個人蔵
左:アンリ=エドモン・クロス「農園、朝」1893年 油彩、カンヴァス ナンシー美術館


具体的にはテオ・ファン・レイセルベルへにジョルジュ・モレン、そしてマクシミリアン・リュスとアンリ=エドモン・クロスです。


右:テオ・ファン・レイセルベルへ「マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人」1891年 油彩、カンヴァス アントワープ王立美術館

レイセルベルへの「マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人」はどうでしょうか。肖像画を得意とした画家の代表作、ピアノの前で横向きに座る女性が描かれていますが、細かな点描は衣服や椅子の陰影までも表しています。特に衣服の襞が強調されていました。どこか装飾的な画風と言えるかもしれません。

ちなみにレイセルベルへはベルギーの画家です。ブリュッセルの「レ・ヴァン(20人会)」の創立にも参加しました。ほかに同国生まれのジョルジュ・モレンも活動しています。ベルギーはフランスに次いで新印象派の活動が盛んな地域となりました。


右:マクシミリアン・リュス「ルーヴルとカルーゼル橋、夜の効果」1890年 油彩、カンヴァス 個人蔵

リュスの「ルーヴルとカルーゼル橋、夜の効果」も見事な一枚です。パリの街を描いたリュス、七色に染まるのはセーヌの夜景です。水面には赤やオレンジの光が反射しています。人の姿を明瞭に確認出来ませんが、どこかパリの夜の賑わいを伝えるような作品でした。


左:マクシミリアン・リュス「シャルルロワの高炉」1896年 油彩、カンヴァス シャルルロワ美術館

またリュスでは同じく夜景の「シャルルロワの高炉」や「シャルルロワの工場」も美しいのではないでしょうか。彼はこの鉱山のあるシャルルロワの地に魅せられ、訪ねては何枚もの作品を残しましたす。ただリュスは後に色彩分割を捨て、印象派的な表現に回帰していったそうです。

31歳の若さで亡くなったスーラに代わり、新印象派の活動を牽引していったのがシニャックやクロスです。両者とも時間を経るにつれて筆触は大きくなり、より形態や色も自由になっていきます。


右:アンリ=エドモン・クロス「地中海のほとり」1895年 油彩、カンヴァス 個人蔵

クロスは時に画面へアラベスク模様を散らすような手法をとりました。その代表的な例であるのが「地中海のほとり」です。海の際、木立でくつろぐ女性たちをモチーフとした一枚、木の幹や葉は時に黄色やピンク色で表されていて、現実とはかけ離れた色を用いています。ある意味で空想的です。まるで時代を大きく遡り、神話の時代の楽園を描いたかのような趣きさえ感じられます。


アンドレ・ドラン「コリウール港の小舟」1905年 油彩、カンヴァス 大阪新美術館建設準備室

ラストが意外にもフォーヴのドランでした。「コリウールの小舟」です。点描というよりも、より揺らぎのある筆触によって描かれた港の景色、赤や黄色の暖色と海の青みがさも対立するかのように交差しています。非常に力強い作品でもあります。

いわゆるフォーヴの誕生する前年(1904年)にマティスはシニャックによりサン=トロペに招かれ、そこでクロスと親交を深めては、点描を試みました。また後にドランとも制作し、そこからフォーヴが興ったそうです。新印象派からフォーブを見定める流れを追う。その辺も展覧会の見どころだと言えそうです。

一口に「点描」と言えども、その実は驚くほど多様でした。前史のモネから後に繋がるフォーヴィズムまで、新印象派の果たした役割は少なくありません。


東京都美術館入口より

僅か20年の間で様々に展開した新印象派。シニャック一つ挙げても作風はかなり変わります。新印象派の全般的な流れを知ることの出来る好企画だと言えそうです。

3月29日まで開催されています。

追記)荻窪6次元の「点描ナイト」が2月5日(木)に行われます。

6次元で「点描ナイト」が開催されます(はろるど)

東京都美術館の大橋菜都子学芸員をお迎えしてのトークイベント、新印象派に限らず、美術史全体の点描表現について語って下さるそうです。

まだ若干席に余裕があるそうです。参加ご希望の方は6次元までメールにてお問い合わせください。

「新印象派ー光と色のドラマ」 東京都美術館@tobikan_jp
会期:1月24日(土) ~3月29日(日)
時間:9:30~17:30
 *毎週月曜日日、及び11/1(土)、2日(日)、12/6(土)、13(土)、14(日)は20時まで開館)
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。
料金:一般1600(1300)円、大学生1300(1100)円、高校生800(700)円。65歳以上1000(900)円。中学生以下無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
 *毎月第3水曜日はシルバーデーのため65歳以上は無料。
 *毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日のため、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般料金の半額。(要証明書)
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「山本基展 原点回帰」 ポーラミュージアムアネックス

ポーラミュージアムアネックス
「山本基展 原点回帰」
1/30-3/1



ポーラミュージアムアネックスで開催中の「山本基展 原点回帰」を見てきました。

「塩も人間もいのちの原点は海」(チラシより)。その塩はやがて海へと「回帰」します。

1966年に広島で生まれ、現在は金沢に在住。主に塩を素材としたインスタレーションを手がける作家、山本基。2010年の「MOTアニュアル」(東京都現代美術館)にも参加していました。床一面へ塩がモザイク状に広がる光景を覚えておられる方も多いかもしれません。

もちろんここポーラでも用いるのは塩です。ワンフロアにほぼ一点勝負、タイトルは「たゆたう庭」です。床の大半を用いています。スケール感のあるインスタレーションでした。

撮影が出来ました。



ともかく広がるのは塩、その斑紋です。俯瞰してみると大きく渦を巻いているように見える塩の紋様ですが、近づくと塩がまるで泡のごとく円を描いては網状に繋がっていることが分かります。ところどころの隙間からは床の黒が覗いて見えました。それが時に湖や川のようにも映ります。まるで塩の描く巨大なランドスケープでした。



展示室奥に少し高い台が置かれていました。そこから立って見た景色は壮観の一言です。キャプションに「銀河」という言葉もありましたが、あながち誇張だと言えないかもしれません。

端的に見栄えのする作品でもありますが、山本が塩を使うには深い理由があります。

というのもまだ美大時代に妹を亡くすという悲しい経験を山本は、妹の生命の失われた瞬間を留めようと、「お清めの塩」を作品に用いようと考えました。この「たゆたう庭」でも一つ一つの形が妹との思い出を象徴しているのだそうです。

「亡き妹しのぶ白い光景 塩による創作、銀座で個展」(朝日新聞デジタル)

ちょうど私が出かけた時に作家の山本が公開制作をしていました。



マヨネーズチューブのような容器を手にとり、管のついた口先から一定の太さの塩を出しては床にのせていく山本。ひたすらその繰り返しです。しかしながら意外と動きは素早い。殆どためらいを見せずに線を引き続けます。そしてある時に手を休め、ふと息をついては再び塩の線をのばしていく。慎重でかつ大胆です。まさに塩を自己のものにしていました。



さてこの美しき塩の地紋、はたまた波紋。はじめにも触れたように最後は再び塩の故郷である海へと「回帰」します。

ずばり「海に還るプロジェクト」です。会期最終日に観客が作品を壊し、塩を持ち帰っては、思い思いに海へと返すというイベントが行われます。

「海に還るプロジェクト」
最終日にご来場くださった人々の手で作品を壊し、その塩を集めて、後日ご自身の手で海に還していただきます。
参加希望者は当日会場にお越しください。(先着100名を予定。)
日時:3月1日(日) 17:00~
場所:ポーラミュージアムアネックス

参加無料、先着100名(予定)です。壊すのは何とも惜しい気もしますが、逆に作品へ直に触れられるチャンスでもあります。興味のある方は参加しては如何でしょうか。



3月1日まで開催されています。

「山本基展 原点回帰」 ポーラミュージアムアネックス@POLA_ANNEX
会期:1月30日(金)~3月1日(日)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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「森山大道写真展:遠野 2014」 キヤノンギャラリーS

キヤノンギャラリーS
「森山大道写真展:遠野 2014」
2014/12/18-2015/2/9



キヤノンギャラリーSで開催中の「森山大道写真展:遠野 2014」を見てきました。

遠野こそが、森山にとっての写真家としての原点、そして「心の故郷」なのかもしれません。

切っ掛けは40年前のことです。まだ30代だった森山は、民俗学者の柳田國男の「遠野物語」に触発されて遠野へ旅立ちます。そして彼の地を歩いてはフィルムにおさめます。結果的にその作品が東京での初個展で披露されたそうです。

再び森山が遠野を訪ねたのは昨年、2014年のことです。40年経って森山は何を見たのでしょうか。

2014年に遠野で撮った写真を紹介する展覧会です。点数は約50点。お馴染みのモノクロームに加え、一部カラーの作品もありました。



森山が遠野に出かけたのは稲刈りの時期だそうです。それゆえのことでしょう。ちょうど稲穂の実る田を写した作品もありました。斜めに切り取られた稲穂、ぐっと山の際が迫ります。緊張感のある構図でもあります。

50点のうちには野山や街中の風景はもちろん、遠野に生きる人々の様子も捉えられています。



人気のない小道で手を繋いで歩く母子の姿は微笑ましいもの。また何か地域のイベントでもあったのでしょうか。山高帽をかぶり、背広を着ては杖をついてあるく初老の男性も雰囲気があります。農作業を終えて家路へ向かうのは年老いた女性です。ぐっと肩を落として見せた背中がまるで人生を物語るようでもあります。



写真をいくつか見ていると、遠野の人たちとは別に、もう一人の人間の姿が写っていることに気づきました。人の影です。おそらく森山本人でしょう。ホームから線路に長い影をのばして立っています。まるで足跡を残すかのように、遠野の地へ自らの影を残しています。

「日本人の心の故郷ともいうべき遠野郷に行ってみたい、久しぶりに東北の山河を目にしてきたい、という思いが僕の気持ちのなかに萌(きざ)したのは今年初夏の頃であった。」 森山大道(チラシ裏面より)

それこそ森山の今の心の在りかを反映するかのような遠野シリーズ、変わらぬ魅力は確かに存在しています。堪能出来ました。

ところで今回、キヤノンギャラリーSへ初めて行きました。



場所は品川駅の港南口を出て右折、高層ビルの間のデッキ(スカイウェイ)を進んだ右手にあるキヤノンSタワーの1階です。駅からは歩いて7~8分ほどでした。



デッキはビルの2階に接続しています。2階はカフェやキヤノンのカメラを展示するオープンギャラリーです。森山大道展を開催中のキヤノンギャラリーSはエスカレーターで一つ降りた1階にありました。



なお本展はキヤノンギャラリーSの100回を記念した展覧会だそうです。これからもチェックしていきたいと思います。

キヤノンギャラリーS 100回記念スペシャルサイト

「遠野物語/森山大道/光文社文庫」

日曜はお休みです。2月9日まで開催されています。

「森山大道写真展:遠野 2014」 キヤノンギャラリーS
会期:2014年12月18日(木)~2015年2月9日(月)
時間:10:00~17:30
休廊:日曜・祝日。年末年始(12/27~1/4)。
料金:無料。
住所:港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
交通:JR線品川駅港南口より徒歩8分。京浜急行線品川駅より徒歩10分。
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