サンバー クーラント漏れ
エンジン焼き付きで、あわれ載せ換えとなったサンバートラック。
載せ替え作業で、卸すエンジンからクーラント(エンジン冷却水)を抜いたところ、ずいぶんサビ色になっていた。
なので、エンジンを載せ換えてから、まずは真水で冷却系統内をかなり念入りにゆすいでやった。LLC(ロングライフクーラント)は入れずに水だけを入れて、温度で作動するラジエター冷却ファンが作動するまでエンジンを回し、次に、抜ける箇所から少しずつ抜きながら、上からは水を足す、という作業を、抜き取る水が澄んでくるまで繰り返した。
小一時間、いやもっとかな、しばらくしたら抜いた水もきれいになったので、LLCが入る分くらい水を抜いて、LLCを入れた。
北海道なので、念のため50%くらいにしてやった。-30℃でも凍らない濃さだが、ウチは道南だから、実際そこまで冷えることはない。
最後に再度、冷却系統のエア抜きを行う。
サンバーは、クルマの一番ケツに、エンジンがほとんど真横に寝かされていて、ラジエターは前輪のあたり、ヒーターはクルマの一番先端になる。それらの間は、ホースと、長いパイプでつながれて、冷却系統を構成しているのだ。
系統が長いし、エンジンも勝手にエアが抜けにくい角度のため、念入りにエアを抜かないと、冷却不足からオーバーヒートの原因になるのだ。
まず、クーラントを入れるときに、エンジン側のエア抜きを開放して、エンジン側のエアを抜く。それからエンジンをかけて、エンジンをアイドリングしたままクーラント液面を監視して、下がる分だけ補充し続けるのだ。
俺はさらに、アイドリングで少しずつエンジンエア抜きを開放してやった。少し開けては、すぐ閉じる。閉じたら液面が下がっているので、補充する。それを、どこにも気泡が出なくなるまで繰り返すのだ。疲れるったらない。
エンジン交換から数日は、念のため毎日、エンジンや各系統を慎重にチェックしながら乗っていた。
すると、そこまでエア抜きしたのに、クーラントが減るのだ。
実用回転域ではクーラントの流量もかなり増えるから、ヒーターあたりにトラップされてたエアが抜けて、液面が下がる可能性はある。
それにしても、毎日下がる。仕方ないからとりあえず足しながら、原因を考えていた。
よく見ると、クーラントのサブタンクがあふれそうになっている。ちょっと考えたら原因が想像できたので、タンクの液面をFullに合わせて、様子を見た。
すると案の定、走行後にはラジエター側の液面が下がり、サブタンクの液面は上がっていた。サブタンクの増えた分をラジエターに入れたら、見事に差し引きゼロ。
ラジエターキャップの不良だ。
ラジエターキャップには、圧力弁が付いている。水温が上がって圧力が上がったら、サンバーでは88kpaで弁が開き、サブタンクにクーラントを逃がして、圧力をコントロールする。温度が下がってクーラントが収縮しはじめたら、こんどは負圧弁が開いて、サブタンクのクーラントをラジエターに吸い込むようになっているのだ。
その圧力弁の調子が悪く、逃げたクーラントを戻しきれなくなっているようなのだ。
キャップもよく洗ったのが仇になったかもしれない。どこかの固着か拘束が取れてしまったのだろう。
で、汎用品から、PIAAのラジエターバルブ(PIAAではキャップをこう呼称しているようだ)に交換。
すると、サブタンク液面が上がってくることはなくなった。めでたしめでたし。
と思ったら、今度は走行後にクーラント臭いのだ。クルマの下を見てみると、、エンジンの下あたりに、わずかにクーラントが垂れている。
調べたら、クーラントのエンジンアウトレットホースと、床下のパイプ(リアのエンジンと座席下のラジエターの間をつなぐ、1.5m程の鉄パイプが、荷台の下をを通っている)の継ぎ目あたりから、クーラントが漏れている。
ホース類は元のエンジンから移植しているので、最初は普通に、つなぎ直したホースの、締め付けクランプ部の不良を疑った。
クランプを元のクランプ位置からずらしたり、パイプ接続部のサビを落としたり。でも改善しない。むしろひどくなってくる。
そこで、ホースを少し抜いて、エンジンを回して様子を見てみた。
すると、エンジンからのホースがつながる部分と隣接している、パイプをフレームに固定するクランプ部から漏れていることがわかった。
たぶん系統のフラッシング(洗浄)でパイプ内のサビが洗い流され、そこに、新しいキャップで系統内圧が上がったため、パイプのクランプ部の腐食がパンクし、漏れ始めたのだろう。
台風が近づいてるので、ゆっくり直している余裕はなかった。
とりあえず、サビで膨らんだパイプに径の合うホースを被せ、ホース両端を高圧用クランプでキリキリ締め上げて、応急処置。高速走ったりしなきゃもつだろう、と。
さて、穴の開いた、荷台の下を這っている鉄のウォーターパイプ。
ざっと長さを見て、1500mmあればOKと見当をつけ、ラジエター用がIN,OUTとも22Φ、ヒーター用(リターンのみ)が16Φで、ステンレスのパイプを買った。
錆びにくいからね。
で、いざ交換、とばらしてみたら・・・
ヒーター用パイプは、単なるストレートパイプに、両端に抜け止めのカリをつけてあるだけだったので、ステン管に交換できた。中は錆びてなかった。
ところがラジエター用は、ラジエターホースを挿してある前端部が二股になっていて、ヒーターへ分岐されていたのだ。
これは、ちょっとクルマの下に潜って覗いた程度では、気づかなかった。
純正部品は¥4000-くらいと、ずいぶん高かったのもこれで納得。
エンジンアウトレットパイプの二股の管は16Φ、ヒーター用のステン管の長さをそろえたときに出た切れっ端があったので、溶接にトライしてみた。
結果、自分の溶接下手さを思い知らされた。
何度か手直ししてみたが、漏れ検査をすればしつこく泡が出る。
しかも、加熱しすぎで歪みまで出る始末。SUS304(ステンレスの種類)だからなおさらだ。
安全に直結する箇所なので、ここは素直に断念。純正部品を手配した。
元のパイプは、軽く叩いてサビを落とすと、応急処置したとこ以外にも、数箇所に穴が開いた。管内は滑らかで、サビはほとんど浮いていない。
外から腐っていった管壁に、サビだけで保っていた箇所があったのだ。
マジでやばかった。黒く見えるのが「穴」だ。
サビがひどかったのは、最も外側で前輪の跳ね上げの影響を大きく受け、温度も高い、エンジンアウトレットのパイプだ。シャシに固定されているクランプ部では、サビがクランプと一体化していて、炙って外さないとならなかった。
道理で、エンジン交換したとき、クーラントがやけにサビで汚れていた。サビ自体が管壁になっていては、クーラントも汚れるというものだ。
今回抜いたクーラントには、わずかなサビの混入があったが、一晩置いて細かい粉が少し沈殿する程度だった。エンジン交換のとき洗ったためと、それから間もないためだろう。
部品を手配し、数日後、入手なったウォーターパイプを交換。
二股の純正部品は、黒の下塗りで出てきた。
エンジン→ラジエターのパイプには、部品統合で、元は無かった何かの取り付けラグらしきものが付いている。
外したパイプは、元はクロメートメッキ処理だったと思われる。
ディーラーに部品を取りに行った際、何でもいいからペイントしてから取り付けたほうがいい、とアドバイスされたので、高耐久を謳う塗料で、ホースの入るあたり以外を黒く塗りつぶしてやった。
22Φパイプの二股部分は、エンジンアウトレットパイプのは16Φ、インレットパイプのは8Φで、両者は角度も違ったりしていて、まったく互換性がない。
二股部分がそんな造りになっているのは、ちょうどそこに2本のケーブル(アクセルとスピードメーターのケーブルだと思う)があって、大小4本の配管がそれらを避けなければならないからのようだ。
写真は交換後になる。荷台の下から、ウォーターパイプをラジエター方向へ撮影した。ケータイで撮ったので暗くなったが・・・。
狭いスペースにいろいろ通すために、よくぞ造った、というべきか、他のとこ通せば良かったのに、というべきか。
両方あわせて¥8000-近くした。ユーザーとしては、もっと別の配管径路にして、ストレート管にするとかして、コストを抑えて欲しかった。
さらにヒーターのリターンパイプも交換したのだが、これは単なる16Φのパイプだったので、同径のステンレス管にした。
ヒーターのパイプだけ、ギラギラ光っている。
さらに、よく見ると他にも1本、細い冷却水のパイプがある。荷台のまさに裏を這わされている。今回は腐っていなかったが、ディーラーに訊いたら、そのパイプだけは荷台を外さないと交換できないと(!!)。でも見たところ、そんなとこ通す必要はまったくないのだ。
スバルのクルマはサンバーしか知らないが、細かいところまで(というか細かいところほど)丁寧に良く造ってあるし、コストのかかるメカニズムもたかが軽トラに惜しげもなくおごっていたりして好感が持てる。しかし、ところどころに行き過ぎというか、凝り過ぎの部分が見受けられるようにも思うのだ。
まあ、それがサンバーの並外れた耐久性の源だと言えなくもないわけだが・・・。
すっかり慣れた冷却系統のエア抜きもサクサクと終えた。
例によって数日は、クーラント液面を注意だが、当然というか、クーラントの漏れは完璧に止まっている。
載せ替え作業で、卸すエンジンからクーラント(エンジン冷却水)を抜いたところ、ずいぶんサビ色になっていた。
なので、エンジンを載せ換えてから、まずは真水で冷却系統内をかなり念入りにゆすいでやった。LLC(ロングライフクーラント)は入れずに水だけを入れて、温度で作動するラジエター冷却ファンが作動するまでエンジンを回し、次に、抜ける箇所から少しずつ抜きながら、上からは水を足す、という作業を、抜き取る水が澄んでくるまで繰り返した。
小一時間、いやもっとかな、しばらくしたら抜いた水もきれいになったので、LLCが入る分くらい水を抜いて、LLCを入れた。
北海道なので、念のため50%くらいにしてやった。-30℃でも凍らない濃さだが、ウチは道南だから、実際そこまで冷えることはない。
最後に再度、冷却系統のエア抜きを行う。
サンバーは、クルマの一番ケツに、エンジンがほとんど真横に寝かされていて、ラジエターは前輪のあたり、ヒーターはクルマの一番先端になる。それらの間は、ホースと、長いパイプでつながれて、冷却系統を構成しているのだ。
系統が長いし、エンジンも勝手にエアが抜けにくい角度のため、念入りにエアを抜かないと、冷却不足からオーバーヒートの原因になるのだ。
まず、クーラントを入れるときに、エンジン側のエア抜きを開放して、エンジン側のエアを抜く。それからエンジンをかけて、エンジンをアイドリングしたままクーラント液面を監視して、下がる分だけ補充し続けるのだ。
俺はさらに、アイドリングで少しずつエンジンエア抜きを開放してやった。少し開けては、すぐ閉じる。閉じたら液面が下がっているので、補充する。それを、どこにも気泡が出なくなるまで繰り返すのだ。疲れるったらない。
エンジン交換から数日は、念のため毎日、エンジンや各系統を慎重にチェックしながら乗っていた。
すると、そこまでエア抜きしたのに、クーラントが減るのだ。
実用回転域ではクーラントの流量もかなり増えるから、ヒーターあたりにトラップされてたエアが抜けて、液面が下がる可能性はある。
それにしても、毎日下がる。仕方ないからとりあえず足しながら、原因を考えていた。
よく見ると、クーラントのサブタンクがあふれそうになっている。ちょっと考えたら原因が想像できたので、タンクの液面をFullに合わせて、様子を見た。
すると案の定、走行後にはラジエター側の液面が下がり、サブタンクの液面は上がっていた。サブタンクの増えた分をラジエターに入れたら、見事に差し引きゼロ。
ラジエターキャップの不良だ。
ラジエターキャップには、圧力弁が付いている。水温が上がって圧力が上がったら、サンバーでは88kpaで弁が開き、サブタンクにクーラントを逃がして、圧力をコントロールする。温度が下がってクーラントが収縮しはじめたら、こんどは負圧弁が開いて、サブタンクのクーラントをラジエターに吸い込むようになっているのだ。
その圧力弁の調子が悪く、逃げたクーラントを戻しきれなくなっているようなのだ。
キャップもよく洗ったのが仇になったかもしれない。どこかの固着か拘束が取れてしまったのだろう。
で、汎用品から、PIAAのラジエターバルブ(PIAAではキャップをこう呼称しているようだ)に交換。
すると、サブタンク液面が上がってくることはなくなった。めでたしめでたし。
と思ったら、今度は走行後にクーラント臭いのだ。クルマの下を見てみると、、エンジンの下あたりに、わずかにクーラントが垂れている。
調べたら、クーラントのエンジンアウトレットホースと、床下のパイプ(リアのエンジンと座席下のラジエターの間をつなぐ、1.5m程の鉄パイプが、荷台の下をを通っている)の継ぎ目あたりから、クーラントが漏れている。
ホース類は元のエンジンから移植しているので、最初は普通に、つなぎ直したホースの、締め付けクランプ部の不良を疑った。
クランプを元のクランプ位置からずらしたり、パイプ接続部のサビを落としたり。でも改善しない。むしろひどくなってくる。
そこで、ホースを少し抜いて、エンジンを回して様子を見てみた。
すると、エンジンからのホースがつながる部分と隣接している、パイプをフレームに固定するクランプ部から漏れていることがわかった。
たぶん系統のフラッシング(洗浄)でパイプ内のサビが洗い流され、そこに、新しいキャップで系統内圧が上がったため、パイプのクランプ部の腐食がパンクし、漏れ始めたのだろう。
台風が近づいてるので、ゆっくり直している余裕はなかった。
とりあえず、サビで膨らんだパイプに径の合うホースを被せ、ホース両端を高圧用クランプでキリキリ締め上げて、応急処置。高速走ったりしなきゃもつだろう、と。
さて、穴の開いた、荷台の下を這っている鉄のウォーターパイプ。
ざっと長さを見て、1500mmあればOKと見当をつけ、ラジエター用がIN,OUTとも22Φ、ヒーター用(リターンのみ)が16Φで、ステンレスのパイプを買った。
錆びにくいからね。
で、いざ交換、とばらしてみたら・・・
ヒーター用パイプは、単なるストレートパイプに、両端に抜け止めのカリをつけてあるだけだったので、ステン管に交換できた。中は錆びてなかった。
ところがラジエター用は、ラジエターホースを挿してある前端部が二股になっていて、ヒーターへ分岐されていたのだ。
これは、ちょっとクルマの下に潜って覗いた程度では、気づかなかった。
純正部品は¥4000-くらいと、ずいぶん高かったのもこれで納得。
エンジンアウトレットパイプの二股の管は16Φ、ヒーター用のステン管の長さをそろえたときに出た切れっ端があったので、溶接にトライしてみた。
結果、自分の溶接下手さを思い知らされた。
何度か手直ししてみたが、漏れ検査をすればしつこく泡が出る。
しかも、加熱しすぎで歪みまで出る始末。SUS304(ステンレスの種類)だからなおさらだ。
安全に直結する箇所なので、ここは素直に断念。純正部品を手配した。
元のパイプは、軽く叩いてサビを落とすと、応急処置したとこ以外にも、数箇所に穴が開いた。管内は滑らかで、サビはほとんど浮いていない。
外から腐っていった管壁に、サビだけで保っていた箇所があったのだ。
マジでやばかった。黒く見えるのが「穴」だ。
サビがひどかったのは、最も外側で前輪の跳ね上げの影響を大きく受け、温度も高い、エンジンアウトレットのパイプだ。シャシに固定されているクランプ部では、サビがクランプと一体化していて、炙って外さないとならなかった。
道理で、エンジン交換したとき、クーラントがやけにサビで汚れていた。サビ自体が管壁になっていては、クーラントも汚れるというものだ。
今回抜いたクーラントには、わずかなサビの混入があったが、一晩置いて細かい粉が少し沈殿する程度だった。エンジン交換のとき洗ったためと、それから間もないためだろう。
部品を手配し、数日後、入手なったウォーターパイプを交換。
二股の純正部品は、黒の下塗りで出てきた。
エンジン→ラジエターのパイプには、部品統合で、元は無かった何かの取り付けラグらしきものが付いている。
外したパイプは、元はクロメートメッキ処理だったと思われる。
ディーラーに部品を取りに行った際、何でもいいからペイントしてから取り付けたほうがいい、とアドバイスされたので、高耐久を謳う塗料で、ホースの入るあたり以外を黒く塗りつぶしてやった。
22Φパイプの二股部分は、エンジンアウトレットパイプのは16Φ、インレットパイプのは8Φで、両者は角度も違ったりしていて、まったく互換性がない。
二股部分がそんな造りになっているのは、ちょうどそこに2本のケーブル(アクセルとスピードメーターのケーブルだと思う)があって、大小4本の配管がそれらを避けなければならないからのようだ。
写真は交換後になる。荷台の下から、ウォーターパイプをラジエター方向へ撮影した。ケータイで撮ったので暗くなったが・・・。
狭いスペースにいろいろ通すために、よくぞ造った、というべきか、他のとこ通せば良かったのに、というべきか。
両方あわせて¥8000-近くした。ユーザーとしては、もっと別の配管径路にして、ストレート管にするとかして、コストを抑えて欲しかった。
さらにヒーターのリターンパイプも交換したのだが、これは単なる16Φのパイプだったので、同径のステンレス管にした。
ヒーターのパイプだけ、ギラギラ光っている。
さらに、よく見ると他にも1本、細い冷却水のパイプがある。荷台のまさに裏を這わされている。今回は腐っていなかったが、ディーラーに訊いたら、そのパイプだけは荷台を外さないと交換できないと(!!)。でも見たところ、そんなとこ通す必要はまったくないのだ。
スバルのクルマはサンバーしか知らないが、細かいところまで(というか細かいところほど)丁寧に良く造ってあるし、コストのかかるメカニズムもたかが軽トラに惜しげもなくおごっていたりして好感が持てる。しかし、ところどころに行き過ぎというか、凝り過ぎの部分が見受けられるようにも思うのだ。
まあ、それがサンバーの並外れた耐久性の源だと言えなくもないわけだが・・・。
すっかり慣れた冷却系統のエア抜きもサクサクと終えた。
例によって数日は、クーラント液面を注意だが、当然というか、クーラントの漏れは完璧に止まっている。
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