クランクシール交換、だけですまなかった。
こないだからミッションとエンジンの継ぎ目にオイル漏れがあった、サンバートラック。
ここ数日は、たまにクラッチが滑ったりしていた。
単にクラッチ減ってるだけかもしれないけど、オイルはまだ漏れてるし、よく見たらタイベルカバーにもオイルが垂れてたりして。
山の中で走れなくなってもヤだから、ここは重かった腰をいやいやながら上げて、思い切って直すことにした。
今回は、前後(サンバーは横置きエンジンだから左右か)クランクシールと、カムシャフトシールを交換する。
手順は、車上でミッションを分離して、吊って下ろす。むき出しになったエンジンからクラッチを外し、シールを交換。
かいつまんで言えばそれだけだ。
作業準備にアオリを外している。エンジンフードやトラップドアも外す。
荷台に脚立。これはあとで使う。
マフラー外したら、ホットエアダクトの固定バンドが、腐ってなくなっていた。
マフラー外し自体は、一昨年エンジン交換で脱着しているからか、そんなひどいボルトかじりもなく、まあまあ順調に進んだ。
スタータも外す。
スタータ取り付けボルトの1本が、ミッション取り付けボルトの1本を兼ねているのだ。
小さいスタータ、バイクみたい。
エアクリケースも外して、ミッションのハーネスやシフトケーブル、その他つながってるものを外す。
写真手前がミッション、奥がエンジン。
オイル付いてるねえ。
タイベルカバーの下にもオイル。
カムシャフトシールが悪くなってるな。
タイベルやるには、右後輪内側のカバーを外す。
サンバーはタイベル周りの作業はホントにラクだ。
クラッチの作業はメンドクサイけどな。
普通の縦置きエンジンなら、クラッチはラクなんだけど。
4WDだから、フロントを回すプロペラシャフトも外す。
外すとミッションからギアオイルが出るから、すかさず適当な蓋をしておく。
直径30ミリだから、ペットボトルの蓋がジャストフィットだ。
蓋のギザを埋めるために、蓋にテープを一巻きしてから突っ込む。
リアのドライブシャフトをミッションから抜いて、ジャマになんないとこに縛っておく。
このサンバーはドラシャ抜いてもオイルは出ない。
ぶら下がってるのは、外したクラッチケーブル。
脚立登場。
脚立からハンドウインチを吊り、ミッションを吊り下ろす。
4WDのミッションは鼻が飛び出てるから、クロスメンバをかわすのにややコツがいる。
エンジンマウントの前と左はミッションにつながっているので、ミッション外すとエンジンの支持は右だけになるから、エンジンの下をジャッキで支えておく。
ミッション外れた。
これはインプットシャフトとクラッチレリーズ。
こっちはオイル漏れてない。
よかった。インプットシャフトのオイルシールは、ケース割らないと交換できないのだ。
露出したクラッチ。
外したクラッチ板とクラッチカバー。
カバーには、クラッチ板のくっついた形跡があった。
ずいぶん長いこと置いてあった時期があったんだろうな。
フライホイールを外すには、適当なモノでギアにブレーキをかける。
これはボルトとタイヤレバー。
フライホイールを外した。
ドライブプレートにオイルの跡がある。
ありゃ? ドライブプレートになんか引っ掛かってる。
クリップみたいなコイツの正体は・・・。
クラッチレリーズベアリングの押さえクリップだ。脱落はしていない。
以前作業した誰かさんが、フライホイールの裏にクリップ飛ばしたんだろう。
俺みたいなシロートならともかく(シロートでもダメだけど)そんなヘボ作業でカネ取ってんじゃなかろうな。
ドライブプレートも外した。
ここまでバラして、やっとオイルシールにアクセスできるのだ。
ドライブプレートの裏というかエンジン側。
ドライブプレートってのは、形の違うエンジンとミッションをつなぐためのアダプタみたいなもんだ。
じわじわ漏れたオイルの跡。
シールが傷ついてダダ漏れになったんでなく、摩耗でにじみが過大になったって感じだべか。
古いオイルシールを外す。
破壊しても問題ないから、ドライバーでも刺してこじれば取れる。
オイル漏れ防止のため、軸は絶対傷つけないことだ。
新旧シール。
左が新品だ。右のはリップが随分減ってるのがわかる。
新しいシールは、適当な当てモノをして打ち込む。
ソケットの駒なんてのが定番だけど、こんなでかいソケットは持ってない。
いろいろ探したら、このココアの空き缶がちょうどだな。
リップにシリコングリスをたっぷり塗ってから打ち込む。
コンコン、っと。
打ち込み完了。
フライホイールのボルトには、液ガスを塗るように指定されている。
もちろんトルクも指定されている。
取り付けたら、フライホイールのクラッチ当たり面をよく脱脂しておく。
廃材から拾った14ミリの丸棒と、内径14のパイプ。
丸棒をフライホイールのセンターに打ち込んで、パイプをクラッチ板のスプラインに挿し、クラッチ板の芯を合わせるのだ。
スプラインにきっちり合うように、パイプにガムテを巻いてサイズを微調整している。
センターが合った状態で、クラッチカバーを取り付ける。
ずれないように、ボルトは均等に締める。
クラッチはオイルが付いてるような感じには見えなかったが、ねんのため一昨年外した旧エンジンから移殖した。
クラッチ付いたっと。
・・・あ、ドライブプレート入れ忘れてるや。
俺のバカ。やり直しだ・・・。
・・・2コマ戻る。
やり直したら、あとは、またミッションを吊って組むだけ。
もっとも、ろくな道具もない中で、ひとりでやるのはなかなか大変だ。
次はタイベル周りを外す。
#1の圧縮上死点でやるのがセオリーだ。
クランクプーリーのナットは、強力なインパクトレンチがあればすぐ外れる。
・・・のだが、家庭用コンプレッサとホムセンインパクトの組み合わせでは無理だった。
レンチをクロスメンバに当てておいて、セルをチョン回しでなんとか外れたが。
外したタイベルカバーとカムスプロケ。
新旧カムシャフトシール。
適当な当てモノが見当たんなかったので、バイク用のピストンリングコンプレッサを使った。
コイツはフロントクランクシール。
クランクシール外したとこ。
シールを打ち込んだら、スプロケを嵌めて、タイベルを張るためにスプロケを合わせる。
クランクスプロケは、ドットマークをケースのマークに合わせる。
カムスプロケは、カバーの切り欠きにスプロケのドットマークを合わせる。
テンショナをベルトが緩む位置で固定して、ベルトを取り付ける。
ベルトにタイミングマークがあるから、マークがスプロケのマークに合うようにする。
クランク側も。
全てのタイミングマークを合わせれたら、テンショナのボルトを緩めて、ベルトを張る。
テンションは自動調整だから、テンショナが落ち着いたらボルトを締めておく。
カバーを付けてクランクプーリーを入れれば、合いマークが上死点を指示するはずだ。
プーリーは旧エンジンから移殖。
こっちのプーリーは、BTDC6°、10°、14°の位置にマークしてあるのだ。
赤帽プーリーは6°のみ。
マフラーのホットエアダクトの取り付けバンドを、廃材から作った。
ツギハギだけど、用は足りる。
もうひとつトラブル。
冷却系統のエア抜きラインのパイプが、腐って折れた。
ひでえなこりゃ。
例の、荷台の裏面を這っているパイプだ。
タイベル復旧してたらクーラントが垂れてて気付いた。
ミッション脱着でエンジン揺すったら折れたらしい。今までよくもったもんだ。
おかげで1日で終わんなくなった。
エンジン側のエア抜きラインもだいぶ腐ってる。
コイツは一昨年外したエンジンから取ってこよう。
問題は荷台裏のパイプだ。
当該パイプは、ラジエターサブタンクの裏あたりでホースにつながっている。
ホースはバイスプライヤで止めて、念のためボルトで栓をしてある。
パイプは荷台のビードと荷台のクロスメンバの間を通してある。
こんなのどう入れ替えろと。
とりあえずはめったに外さないスペアタイヤを外す。
ステンのパイプを買ってきた。
本来は8ミリだが、これしかなかったのだ。なんとかなるべ。
パイプベンダでちょっと曲げて、ヒーターパイプに沿わせて、ホースにつなぐ。
パイプが太いからホースはキツキツだけど、なんとか入った。
後ろ側も少し曲げて、ホースにつなぐ。
入手できたのは9.5ミリのホース。
ステンパイプにはちょうどだけど、元々のエア抜きパイプには緩いから、ヒシチューブでサイズ補正して挿した。
エア抜きパイプだから、エアが戻んないように、荷台の裏面みたいな高いとこを通しているのかもしれない。
ま、多少下がってもエアは抜けるはずだし、たとえエアがトラップされても、細いパイプで量は知れているから、問題あるまい。
配管は耐熱タイラップで固定。
もつかなあ。
これでやっと、エンジン始動にこぎつけた。
タイベルも正常に組めていたようで無事始動したので、エア抜きする。
エア抜きしたら、クーラント量を調整する。
やれやれ。これでしばらく大丈夫。
・・・だといんだけどな。