ダルビッシュ投手の移籍会見が、札幌ドームで行なわれた。
仕事そっちのけで観てしまったぞ。
飾り気も謙遜もお世辞もない、彼らしい、いい会見だったと思う。
彼がファイターズに入団した2005年は、ファイターズが北海道に移転して2年目であり、俺は札幌への単身赴任初年度だった。
それまでプロ野球に全く興味がなかった俺が、単身で暇をもてあまして聴きはじめたファイターズの試合中継で、単身赴任の4年間ですっかりファイターズのファンになってしまった。
そこにはもちろん、新人だったダルビッシュ投手の活躍と成長も大きな要因となっているだろう。
今日の会見で、ダルビッシュ投手は、真っ向勝負を避けられるような空気が強くなってきて、モチベーションを維持するのが大変になっていた、と語っていた。
そして、メジャーリーグ志向はないが、勝負のステージをメジャーリーグに移さなければならない、と感じるようになった、と。
それはおそらく、正直なところなのだと思う。
日本のプロ野球内で移籍したところでその空気が急に変わるとも思えないのであれば、よく知らないけどメジャーリーグにでも行くしかなかった、というところなのだろう。
真っ向勝負を避けるのも勝負なのかもしれないが、彼にそう思わせた選手や監督は、勝負を生業とするものとして、猛省すべきだ。
心配なのは、彼の今日の発言を断片的にあげつらって、ことさらに曲解したような書かれ方をしないか、ということだ。
飾り気も謙遜もお世辞もなかっただけに、意地悪く書こうと思えば、「日本にはもはや敵はいない」とか「別にメジャーは行きたくなかった」と「言い放った」みたいに書けてしまいかねないからな。
日本の野球できちんと勝負したかった、と彼は言っている。敵がいないのではなく、勝負ができなかったのだ。勝負が仕事だと言い切る彼にとって、これほど悔しいことはなかったろう。
俺は勝負師の類ではないが、彼の言わんとしていることは理解できる。
また、メジャーでプレーしたい選手は、本国アメリカにこそ、それこそ星の数ほどいるはずだ。日本のそれの比ではあるまい。
そこに、「メジャーに興味はない」うえに「メジャーはよく知らない」やつが、高額契約で入ってくる、となれば、いらん敵を作ってしまいかねない。
彼の真意は、メジャーでプレーしたいのではなく、勝負できる場がメジャーにあると思うから行ってみる、というだけなのだ。きわめてシンプルだ。
でも、それ以上に彼らしい動機もないとも思う。
だから、アメリカで思う存分勝負を楽しんできてほしい。
そして、目指すとおり世界一のピッチャーの評価を得たら、また帰ってきて、今日言っていたとおり、ぜひファイターズのユニフォームを再び着てほしい。
応援してるぞ。
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