先にEU憲法がフランス、オランダで否決されたのに続き、今度はEU首脳会議で予算案を合意することが出来ず決裂して終わった。議長国ルクセンブルクのユンケル首相はEUの深刻な危機だと認めた。決裂の理由は独仏が94年から始まった英国に対するリーベート(予算の払い戻し)の削減要求をブレア首相が拒否したためである。
要求の根拠は20年前の英国がどん底の時代で救済的な措置として認められたもので、現在の経済が好調な英国には不要とは言わないにしても減らしても良いだろうというものである。英国の反発にも理由がある。EU全人口のたった5%農業のために予算の4割もの補助金を使うのを同時に見直さないと嫌だと主張した。背景に農業補助金を含めるとフランスはオランダよりも少ない金額しかEUに払ってないことがある。双方とも従来の国内向けジェスチャーとは違い一歩も後に引かない姿勢を貫き決裂に至った。
20年前日本経済が台頭し日米貿易戦争の影に埋没してしまうという危機感がUEにはあった。今回独仏は団結という言葉を再三使ったが、危機感がなくなった現環境下ではあまり説得力がなかった。このような非常事態を欧州人はどう見ているのか、BBCの投書欄を見た。当然ながら9割以上は英国人からの投書で圧倒的にブレアを支持しおり簡単に後に引けないことを予測させる。当然オランダ人は英国支持、ドイツ人は英国を非難している。ポルトガルやスペインは微妙な表現である。フランス人の書き込みが全く見られない。
非難の多くはグローバル化でEU各国と貿易をして利益を得ているのは英国だろう、最も経済が好調な英国がリベートを返上しEUにもっと貢献しても良いだろうという声が多い。英国人は昼夜必死で働いて今日の経済を実現したのに、未だに週35時間しか働かないで経済が停滞しているフランスに巨額の補助金を出す必要があるのか、農業補助金が貧しい中欧諸国に配分されるならまだ理解できるが、と反論している。
もう一つの投書の特徴は、先の日中関係摩擦が世界的な波紋を呼んだのに比べ圧倒的にEU域外からBBCへの投書が少ない。意外だったのは米国からの投書が殆どなくNZやカナダからも1,2件見かけただけだった。米国のメディアは最初ヘッドラインで報じたがそれっきりで目立った論評もしていない。自国や世界への影響が少ないと見ているのか複雑でまだ状況を読み解こうとしているのか、私にはどっちとも言えない。
結局は拡大EU内での独仏と英蘭の主導権争いが既得権益をめぐる争いに形を変えて始まった、対立の根が深く後まで尾を引く、という見方を私はとる。シラク、シュローダー、ブレアなどの老首脳(オールドガード)の政権基盤が弱まっているので、早くとも新政権が出揃うまで落着しないだろうという見方が有力である。■
要求の根拠は20年前の英国がどん底の時代で救済的な措置として認められたもので、現在の経済が好調な英国には不要とは言わないにしても減らしても良いだろうというものである。英国の反発にも理由がある。EU全人口のたった5%農業のために予算の4割もの補助金を使うのを同時に見直さないと嫌だと主張した。背景に農業補助金を含めるとフランスはオランダよりも少ない金額しかEUに払ってないことがある。双方とも従来の国内向けジェスチャーとは違い一歩も後に引かない姿勢を貫き決裂に至った。
20年前日本経済が台頭し日米貿易戦争の影に埋没してしまうという危機感がUEにはあった。今回独仏は団結という言葉を再三使ったが、危機感がなくなった現環境下ではあまり説得力がなかった。このような非常事態を欧州人はどう見ているのか、BBCの投書欄を見た。当然ながら9割以上は英国人からの投書で圧倒的にブレアを支持しおり簡単に後に引けないことを予測させる。当然オランダ人は英国支持、ドイツ人は英国を非難している。ポルトガルやスペインは微妙な表現である。フランス人の書き込みが全く見られない。
非難の多くはグローバル化でEU各国と貿易をして利益を得ているのは英国だろう、最も経済が好調な英国がリベートを返上しEUにもっと貢献しても良いだろうという声が多い。英国人は昼夜必死で働いて今日の経済を実現したのに、未だに週35時間しか働かないで経済が停滞しているフランスに巨額の補助金を出す必要があるのか、農業補助金が貧しい中欧諸国に配分されるならまだ理解できるが、と反論している。
もう一つの投書の特徴は、先の日中関係摩擦が世界的な波紋を呼んだのに比べ圧倒的にEU域外からBBCへの投書が少ない。意外だったのは米国からの投書が殆どなくNZやカナダからも1,2件見かけただけだった。米国のメディアは最初ヘッドラインで報じたがそれっきりで目立った論評もしていない。自国や世界への影響が少ないと見ているのか複雑でまだ状況を読み解こうとしているのか、私にはどっちとも言えない。
結局は拡大EU内での独仏と英蘭の主導権争いが既得権益をめぐる争いに形を変えて始まった、対立の根が深く後まで尾を引く、という見方を私はとる。シラク、シュローダー、ブレアなどの老首脳(オールドガード)の政権基盤が弱まっているので、早くとも新政権が出揃うまで落着しないだろうという見方が有力である。■