躍進を続けている中国経済だが、個別企業の業績を見るとここに来て業績悪化の報道が流れてきた。例のIBMパソコン事業を買収したレノボやシノペック(中国石油加工)、宝山製鉄、長安汽車(自動車メーカー)などの大手企業である。中国の株式市場は昨年来その不透明性などのため投資家の信頼を失い低調であったが少なくとも公表された業績は悪くなかった。
マクロ的には過熱した経済の引き締めが非常にうまく機能しているが、その結果として国内消費が落ち着き一部に供給過剰が起こっているのが第一の原因のようだ。昨年の7-9月の消費者物価指数は5%超だったが、3Qは1%を切ったらしい。素材から川下商品まで需要が落ち着いた一方で供給能力が高まったためである。該当するのは家電や自動車業界とその川上の鉄鋼・アルミや建材産業である。二番目の原因はガソリンや電力価格は規制により固定されているため、石油高騰によるエネルギー・コストアップを製品価格に転嫁できず業績が悪化した石油化学や電力業界である。
これら産業の多くは過去数年大規模な設備投資を続け、金利負担と設備償却費が膨れ上がり重荷になっていると報じられている。言い換えると中国経済の急成長の継続が前提になっているはずである。これまでのところ中国政府は非常にうまく舵取りをしており、今回の業績悪化程度なら想定内のようである。業績悪化が2期続くと、ウォーニングランプがつくだろう。
私が注目していた某社の大中国ファンド(台湾・香港・中国企業ファンド)は今夏頃からじりじりと値を下げていた。しかし、アナリストは業績悪化はこれら中国企業の株価に既に織り込まれていると見ており慌てた様子は無い。石油価格も落ち着いてきた。しかし電力など設備投資の成果が来年出て供給能力が高まるような分野は過剰供給に陥る可能性があると見られている。石油価格の安定は日米より、実は中国経済にとって非常に重要になるものと見られる。■
マクロ的には過熱した経済の引き締めが非常にうまく機能しているが、その結果として国内消費が落ち着き一部に供給過剰が起こっているのが第一の原因のようだ。昨年の7-9月の消費者物価指数は5%超だったが、3Qは1%を切ったらしい。素材から川下商品まで需要が落ち着いた一方で供給能力が高まったためである。該当するのは家電や自動車業界とその川上の鉄鋼・アルミや建材産業である。二番目の原因はガソリンや電力価格は規制により固定されているため、石油高騰によるエネルギー・コストアップを製品価格に転嫁できず業績が悪化した石油化学や電力業界である。
これら産業の多くは過去数年大規模な設備投資を続け、金利負担と設備償却費が膨れ上がり重荷になっていると報じられている。言い換えると中国経済の急成長の継続が前提になっているはずである。これまでのところ中国政府は非常にうまく舵取りをしており、今回の業績悪化程度なら想定内のようである。業績悪化が2期続くと、ウォーニングランプがつくだろう。
私が注目していた某社の大中国ファンド(台湾・香港・中国企業ファンド)は今夏頃からじりじりと値を下げていた。しかし、アナリストは業績悪化はこれら中国企業の株価に既に織り込まれていると見ており慌てた様子は無い。石油価格も落ち着いてきた。しかし電力など設備投資の成果が来年出て供給能力が高まるような分野は過剰供給に陥る可能性があると見られている。石油価格の安定は日米より、実は中国経済にとって非常に重要になるものと見られる。■