それは私のことだ。私の身体が薄いと、付き合いの長い田舎の友人に突然言われた時、最初どういう意味かピンと来なかった。私の胸が物理的に薄いということのようだった。もう少し痩せなければいけないと思っていたので、嫌な気分にはならなかった。男性的な逆三角形の体形になりたいと若い頃思ったが、今はそれより健康第一なので悪くないと思った。
というのも、このところ体重が増えていわゆるメタボ体質になってきているからだ。先日家内が下着姿の私をみて「ボンレスハム」と言い放った。そうかもしれないが、はっきり言われるとショックだった。薄い胸にボンレスハムの腹。典型的な老人体形の醜いイメージが浮かんだ。マズイ。
それ以来、再開したジム通いの頻度を上げて2日に一度エキササイズをやっている。先月24日、記事「田舎暮し雑感12春(番外)」を投稿した時と比べると、血圧は変わらず高いが、脈拍数は70前後、体重は1kg減って67kg、心肺能力と持久力は昨年のガン騒ぎ直前の状態に戻った。あと2kgお腹の周りの脂肪を減らしたい。
このままトレーニングを続ければ、筋力も多少は回復するだろう。だが、胸周りは殆ど変わらず薄っぺらい男のままだろう。加えて、バイク(自転車漕ぎ)をやると顔面や頭から大粒の汗が出て来るが、かつてのように湧き出るような汗が腕から出なくなった。足が汗をかかなくなったのは更にずっと前のことだ。明らかに老化が進んでいる現象だ。
物理的に「薄っぺらい」だけではない。先日、家内と青山に行き用を済ませた後、青山通りから表参道を歩き、原宿から電車で新宿に行った。その間ずっと家内の買物に付き合った。青山周辺は以前いつ来たか記憶に無い位久し振りで、景色の余りの変わり様に田舎者の私は完全におのぼりさん状態になった。
だが、長時間の買物の付き合いに耐えられたのは‘観光’だけではない。家内の後について店に入るとどこでも姿のいい売り子の女性が飛んできて相手してくれた。お客だと思えば私みたいなジーサンでも相手をしてくれる。私は調子に乗って受けを狙った小話連発。それを青山、原宿、新宿のお店でやったのだから歩き疲れるなんてありえない。
こんな愉快な経験はこのところ絶えてなかった。伊勢丹の婦人服売り場でふと周りを見渡すと、殆ど男性がいない。たまに見つけるとベンチに大人しく座った老紳士、私より洗練されている都会風の老紳士がいた。私はといえば、底の浅い冗談で売り子と話に熱中。これって、正に薄っぺらい男だ、否定はしない。■