先のダボス会議やG7/G20等で欧州関係者の発言が麻生副総理ならずとも癇に障った。お前に言われたくないと思った。機会を見て皮肉の一つ二つ言いたいと思ったら、日経編集委員の菅野氏が欧州で大騒ぎの馬肉バーガー事件と引っ掛けて書いた皮肉の効いた記事(2/25)を見て小気味良く思った。
ところが、欧州では留まらない深刻な事態が発生した。昨日の朝起きて円相場が急騰のニュースを見て驚いた。書斎に行かずとも居間のタブレットで一体何が起こったのか直ぐ分かった。イタリアの総選挙結果がどの党も上院で過半数を取れず政局混迷、他の南欧諸国に危機が波及するかもと世界市場を揺るがしていた。欧州危機を再燃させ長期化させる恐れが出て来た為だ。
年初に投稿した「2013年大胆占い」で何と予測したかを急いでチェックした。「今年も世界経済は欧州次第、だが期待はない、危機がドライブする後手の政治が続く」とあり概ね予測通りだ。だが、2月に危機再燃とは早すぎる、来るとすれば年央の独選挙と予測した、こんなに早く来るとは。
モンティ首相の緊縮政策が市場の信頼を得て小康状態にあったが、イタリア国民は緊縮生活にうんざりしてスキャンダルまみれのベルスコーニ元首相とコメディアンの急進派グリッロを選んだ。中道左派と右派の連立政権が仮に成立しても、政策が全く異なる両党では安定した政権運営が出来るはずもなく、数ヶ月で再選挙になる恐れがあるという。欧州危機再燃が頭をよぎった。
ユーロ圏経済規模第3位のイタリアの財政危機は、何とか踏みとどまっているスペイン等の南欧諸国に波及し、更には欧州危機が再燃する恐れだ。そうなれば新興国から日米まで立ち直りかけた世界経済に影響を与えることは必至だ。昨日の世界市場は軒並み大幅下落した。
この欧州のドタバタを象徴する事件が先週から欧州メディアを騒がせている。馬肉入りの偽装ハンバーガーが欧州の各地で発覚し、消費者の抗議を受けて大規模な製品回収が起こっているという。犯人追求の為に製品納入ルートを辿ると、原材料調達から加工まで規制が異なる欧州各国の業者を経由した複雑なルートが浮かび上がった。誰が犯人か中々特定できない。
この馬肉入りバーガーの問題は、一つの商品が複数の国と企業を経由して作られるグローバル・サプライチェーンが惹き起こした。EU内なら話題のTPPより断然貿易の自由度が高い。リーマン・ショックの引き金となったサブプライムが金融技術で形を変え世界各国の金融機関に行き渡った。そして足元の欧州では、一つの金融政策の下で異なる国の財政悪化がユーロ危機を引き起こしたのと同じ構図だ。不良債権や馬肉、毒がブラックボックス化され見逃される仕組だ。
欧州の問題は危機が勃発してから何年も経つのに、何時までたっても抜本的改革ができない。今回は誰がいけないのか、EUなのか、イタリアの政治家か、それともイタリア国民か。私は欧州そのものだと思う。つまり、欧州の歴史と教訓から引き継がれた遺伝子を持つシステムや人々である。端的にいうと賢い人々が考え抜いて作った「欧州バカ同盟」といいたい。
鼻から欧州を馬鹿にしたような題名にした。イタリアの総選挙結果が巻き起こした混乱に呆れてやや感情的になったかもしれない。だが、これは欧州の遺伝的な持病であり今後も続く難病だと覚悟した方がいい。偉大な歴史を持つイタリア国民は生活苦で誇りを捨てたのだろうか。まるで小沢一郎とタケシに国を預けるようなことをした。日本もえばれたもんではないが。■