小池百合子氏は与党自民党あげての反対の中で立候補、組織の支援ををバックとした増田・鳥越両候補に大差をつけて都知事選に勝利し、初の女性都知事となった。無党派だけでなく与野党支持者からも票を得て正に圧勝だった。私は都民感覚として鳥越氏の立候補の動機に違和感があると批判し、小池・増田の戦いになるとの読みは当たった。
選挙戦を通じて目を見張ったのが小池氏の柳腰とともいうべき強さだった。彼女の政治キャリアを振り返ると小泉政権時代に落下傘候補の刺客として東京10区で戦い、防衛相時代にドンと言われた守屋事務次官を更迭したのが印象的だ。彼女には挑戦を受けたら後に引かず勝負をする、売られたケンカを買う「男気」のようなものを感じる。
都知事選では既存政界で孤立無援の立場に立たされたときひるまなかった。勝てる見込みがあった訳ではないと思う。しかし逆説的だが逆境の中に目標に達する道を見つけて徹底的に利用して邁進した。昔よく使われた言葉「勝負師」という言葉がピッタリ、しかし無謀な勝負を挑んだドン・キホーテではなかったと思う。
今、世界は3人の強い女性リーダーが注目されている。今後数年間世界は彼女達に率いられる可能性があると思っている。それは、メルケル独首相・メイ英首相とヒラリークリントン米大統領候補だ。現在彼女達は3人とも厳しい状況にある。だが、一歩も後に引かず真正面からしたたかに取り組んでいる様に感じる。
メルケルは移民が関わる国内テロ頻発で支持を減らし対応を求められている。今後予定されている地方選挙結果によっては影響力をそこねレームダック首相になる恐れがある。しかし、先月彼女は難民受け入れは国是であり、今後も難民受け入れを続けると明言した。ドイツの特別な事情はあるが彼女の揺らぎのない強い言葉が報じられた時、私は彼女のハートの強さに驚いた。凄いな、キャメロン前英首相とは大違いだと。
そのキャメロンが逃げ出した跡を継いだのがメイ新首相だ。彼女はEU残留派ながらEU離脱の交渉を担う難しい役回りをすることになった。私はキャメロンの気持ちが分かる。こんな嫌な仕事はやってられない、心がぽっきり折れたはずだ。男はこういう無責任さ、良く言えば「いさぎよく切腹する」ところがある。
だが、その難しい仕事にあたる最前線の3閣僚に、離脱派リーダーなのに勝った瞬間に事の重大さに恐れをなして逃げだしたジョンソン前ロンドン市長等のEU離脱派を引っ張り出した。メイ首相は「お前ら責任とれよ、交渉の最前線で汗をかけ」と誰もが驚く仰天人事をやった。最初ファッショナブルないでたちの目立ちやと思った彼女の印象は一気に変わった。
「スゲーな、サッチャー張りの剛腕だ」と思っている人も多いと思う。多分、最初の人事で驚かせるのは「クイック・ヒット」的アプローチで、EU離脱交渉の過程で時間をかけて英国の金融に偏った産業構造を変えて行くのではないかという予測(FT)をみて、この難局で英国は優れたリーダーに恵まれたことになるのかもと思った。
蛇足ながら、英国は難局に立たされた時、最高のリーダーに恵まれる歴史がある。今回もそうなるかもと思った、或いは難局が優れたリーダーを生み出すのだろうか。我が国はどうだろうか、と思わずにはいられない。若いリーダが屍を乗り越えて次々と出て来た明治維新以降、優れたリーダーを生み出す社会的仕組みが徐々に劣化した様に個人的には感じる。
ヒラリー民主党大統領候補については圧倒的な量の情報が流れて来るので私が語れることは殆ど無い。彼女の強さは何十年に亘り実績で証明されている。どんなことがあっても謝る姿を見た記憶がない、そんな印象がある。この人が女性初の世界最強軍の司令官になり核兵器の発射ボタンを握る、と言っても全く違和感がない。ある意味怖い人だ。
来年は、世界は女性リーダーに率いられ、世界最大の都市東京が女性知事に率いられる。そういう時代が私が生きている間に来るとは予想もしなかった。今まで「女は強し」という言葉はあったが、この時代は「女性は強し」という表現が相応しい。個人的には「女」でいいのですが。■
選挙戦を通じて目を見張ったのが小池氏の柳腰とともいうべき強さだった。彼女の政治キャリアを振り返ると小泉政権時代に落下傘候補の刺客として東京10区で戦い、防衛相時代にドンと言われた守屋事務次官を更迭したのが印象的だ。彼女には挑戦を受けたら後に引かず勝負をする、売られたケンカを買う「男気」のようなものを感じる。
都知事選では既存政界で孤立無援の立場に立たされたときひるまなかった。勝てる見込みがあった訳ではないと思う。しかし逆説的だが逆境の中に目標に達する道を見つけて徹底的に利用して邁進した。昔よく使われた言葉「勝負師」という言葉がピッタリ、しかし無謀な勝負を挑んだドン・キホーテではなかったと思う。
今、世界は3人の強い女性リーダーが注目されている。今後数年間世界は彼女達に率いられる可能性があると思っている。それは、メルケル独首相・メイ英首相とヒラリークリントン米大統領候補だ。現在彼女達は3人とも厳しい状況にある。だが、一歩も後に引かず真正面からしたたかに取り組んでいる様に感じる。
メルケルは移民が関わる国内テロ頻発で支持を減らし対応を求められている。今後予定されている地方選挙結果によっては影響力をそこねレームダック首相になる恐れがある。しかし、先月彼女は難民受け入れは国是であり、今後も難民受け入れを続けると明言した。ドイツの特別な事情はあるが彼女の揺らぎのない強い言葉が報じられた時、私は彼女のハートの強さに驚いた。凄いな、キャメロン前英首相とは大違いだと。
そのキャメロンが逃げ出した跡を継いだのがメイ新首相だ。彼女はEU残留派ながらEU離脱の交渉を担う難しい役回りをすることになった。私はキャメロンの気持ちが分かる。こんな嫌な仕事はやってられない、心がぽっきり折れたはずだ。男はこういう無責任さ、良く言えば「いさぎよく切腹する」ところがある。
だが、その難しい仕事にあたる最前線の3閣僚に、離脱派リーダーなのに勝った瞬間に事の重大さに恐れをなして逃げだしたジョンソン前ロンドン市長等のEU離脱派を引っ張り出した。メイ首相は「お前ら責任とれよ、交渉の最前線で汗をかけ」と誰もが驚く仰天人事をやった。最初ファッショナブルないでたちの目立ちやと思った彼女の印象は一気に変わった。
「スゲーな、サッチャー張りの剛腕だ」と思っている人も多いと思う。多分、最初の人事で驚かせるのは「クイック・ヒット」的アプローチで、EU離脱交渉の過程で時間をかけて英国の金融に偏った産業構造を変えて行くのではないかという予測(FT)をみて、この難局で英国は優れたリーダーに恵まれたことになるのかもと思った。
蛇足ながら、英国は難局に立たされた時、最高のリーダーに恵まれる歴史がある。今回もそうなるかもと思った、或いは難局が優れたリーダーを生み出すのだろうか。我が国はどうだろうか、と思わずにはいられない。若いリーダが屍を乗り越えて次々と出て来た明治維新以降、優れたリーダーを生み出す社会的仕組みが徐々に劣化した様に個人的には感じる。
ヒラリー民主党大統領候補については圧倒的な量の情報が流れて来るので私が語れることは殆ど無い。彼女の強さは何十年に亘り実績で証明されている。どんなことがあっても謝る姿を見た記憶がない、そんな印象がある。この人が女性初の世界最強軍の司令官になり核兵器の発射ボタンを握る、と言っても全く違和感がない。ある意味怖い人だ。
来年は、世界は女性リーダーに率いられ、世界最大の都市東京が女性知事に率いられる。そういう時代が私が生きている間に来るとは予想もしなかった。今まで「女は強し」という言葉はあったが、この時代は「女性は強し」という表現が相応しい。個人的には「女」でいいのですが。■