今週初めの早朝6時半過ぎに2階の書斎から南側の廊下に出ると、見たこともない風景が現れた。日の出直後で手前から東半分は真っ黒な山の端が斜めに下り、その向こうに新谷藩のシンボルの神南山の灰色の姿が見えた。この組み合わせは季節に関わらず実家から見える風景だった。
しかし、手前の山陰と神南山の間に奇跡があった。神南山の中腹をやや厚い雲が西に向かってたなびいていた。奇跡だと思ったのは、雲の上側に朝日があたり黄金に光り、下側に向かって濃い灰色になるまでグラデーションが続き、雲が切れてその下に山裾が見えたからだ。美しい景色に心を奪われた。
是非とも奇跡の写真を撮ろうと思ったが、ベストショットのど真ん中に電柱があった。急いで1階に降りて庭の西側に移動すると、今度は手前の山陰が大きく迫り美しい神南山の姿が台無しになった。やむを得ず再度2階に戻り写真ととろうとしたら、雲が大きくなって上昇し神南山の頂上を覆いグラデーションの代わりに真っ白い霧がかかったように見えた。
翌日から3日続けて同じ時間帯に2階の廊下に立った。だが、日の出のタイミングで神南山の中腹にだけたなびく雲なんて都合の良い景色はなく、その後は本格的な冬になると例年発生する「全ては真っ白な霧の中」になってしまった。
あの時見えた景色は長年ここに住んだけど初めて見たものだった。その「奇跡の瞬間」が見えたのは幸運だったが、写真を撮りそこなったのは残念だ。まだ頭の中に残像が残っているのでスケッチしておこうかと思ったが、私にそんな才能はないことを思い出した。■
しかし、手前の山陰と神南山の間に奇跡があった。神南山の中腹をやや厚い雲が西に向かってたなびいていた。奇跡だと思ったのは、雲の上側に朝日があたり黄金に光り、下側に向かって濃い灰色になるまでグラデーションが続き、雲が切れてその下に山裾が見えたからだ。美しい景色に心を奪われた。
是非とも奇跡の写真を撮ろうと思ったが、ベストショットのど真ん中に電柱があった。急いで1階に降りて庭の西側に移動すると、今度は手前の山陰が大きく迫り美しい神南山の姿が台無しになった。やむを得ず再度2階に戻り写真ととろうとしたら、雲が大きくなって上昇し神南山の頂上を覆いグラデーションの代わりに真っ白い霧がかかったように見えた。
翌日から3日続けて同じ時間帯に2階の廊下に立った。だが、日の出のタイミングで神南山の中腹にだけたなびく雲なんて都合の良い景色はなく、その後は本格的な冬になると例年発生する「全ては真っ白な霧の中」になってしまった。
あの時見えた景色は長年ここに住んだけど初めて見たものだった。その「奇跡の瞬間」が見えたのは幸運だったが、写真を撮りそこなったのは残念だ。まだ頭の中に残像が残っているのでスケッチしておこうかと思ったが、私にそんな才能はないことを思い出した。■