今回は「勘違い」繋がりで、今気になっていることを紹介します。我ながらかなり無理なこじ付けだと感じながら言わずにいられない事です。
世界的な株価回復が進む
日経平均株価が3ヶ月ぶりに9000円台を回復し、9015円で引けた。速報では円相場の下落と海外株価高が背景と伝えられた。昨年12月に欧州中央銀行(ECB)が大量の資金を供給して以来、世界各国の金融緩和が続き、世界の株価は上昇基調に乗った。私もその恩恵を受けた。
私の僅かな個人資産もほぼ同じような山谷を経験した。リーマン・ショック後の世界同時株安で半減した金融資産は2009年12月に元本回復し、翌2010年4月には最高値を記録した。が、その翌月ギリシャ危機勃発で又も大きく値を下げた。以降下げ基調が続き昨年10月に元本を5%割ったが、年末に底を脱し昨日現在で年初来+3.5%まで回復した。再度元本回復するのも近そうだ。
根拠なき勘違いの上昇基調
喜ばしいことだが、何故市場がこれほど楽観的になったのか私には今一よく理解できない。破綻寸前のギリシャ財政危機は債務再編がヘッジファンド等の抵抗にあい依然として不透明、更にはポルトガルがターゲットとして浮上して来た。米国は雇用回復が進み好調な消費に後押しされて株価上昇が続いているが、家計の借金体質が解消された訳ではなく持続性に疑問が残る。
マーケットが理屈に合わない動きをする状況を説明する為「XX疲れ」、「悪材料で尽くし」、「灰汁だし」、「想定内で織り込み済み」とかよく言われる。グリーンスパン前連銀議長風に言うと、市場は「根拠なき勘違いの上昇基調」に乗ったように私には感じる。
報道ではギリシャ政府は反発が強い緊縮政策を国民に納得させるのは至難で、欧州副委員長が「ギリシャ離脱」について異例の言及をしたという。といっても万が一の事態に備えEU内で善後策が検討され準備した、即ち市場がそこまで織り込んだとは私は思わない。日本の財政赤字に対し備えが出来てない状況で、過剰に楽観的になって国民が危機感を失うことを私は危惧する。
政局優先報道が重要政策の議論を阻む
勘違いといえば、最近日本中が勘違いしているように私は感じる。その元凶となっているテレビメディアは相変わらず能天気な報道を続けている。最も重要な一体改革と消費増税の妥当性を議論せず、その周辺で誰が言った、言わないと政局ネタを熱心に報道する。
同じ投稿を繰り返して恐縮だが彼等は何が重要で、何が重要でないか理解しているのだろうか。重箱の隅がピカピカ光るまでつつき続けそれを理由に重要政策の政治決定より優先して政局報道を続けるニュースバラエティ番組は、勘違いの正義感を振り撒いている。国民が年金を貰う為に不足分の消費税を議論しているのに、公が先ず身を切ろという矛盾に平気なのも理解できない(是非やるべきだが別の議論)。
先日のIMF勧告にもあったように、外から見た日本財政赤字は極めて厳しい状況にある。だが、警告は無視された。識者が危機感を説明しても古館氏はその前にやることがあると言って終り、TBSは識者もキャスターも政局ばかり論じる。自らの主張に都合のいい海外論調しか利用しないツマミ食いの報道姿勢は、国民を勘違いさせ自ら決定する機会を逃し問題を先送りする。
大事より細事に拘る本末転倒の体質
本筋の議論をさせないのは一体改革と消費増税だけではない。今話題の在日米軍再編についての報道は普天間基地の固定化の恐れに関連付けてのみ報じられている。何故、再編が先ずは日本の安全保障にどういう影響があるのかという視点で報道されないのか私には理解できない。いまや政府ですら批判を恐れ萎縮して安全保障に言及しない。
北朝鮮や中国の脅威が直接的に日本を脅かす事態が生じると、マスコミは思い出したように日米安保条約に基づいた自衛隊の能力と米軍との同盟体制の問題を指摘する。その意義を抜かして再編の妥当性を論じるのは無責任だ。勿論住民の気持ちは別だが。普天間基地が細事というのは申し訳ないが、先ず国の安全保障という大事を報じるのがメディアの責任だと私は信じる。
民主主義の危機
この「勘違い伝統」は戦後55年体制下で刷り込まれた体質の延長と推測する。当時の野党社会党はマスコミに支援され重箱の隅をつついて何でも反対するが、重要な国策の決定は与党自民党に委ねられた。一方で小数派の社会党には重要な国策で拾いきれない小数派のニーズを代弁する役割があった。
だが、状況は変わった。ネジレ国会になった今、旧態然としたマスコミの後押しを受け少数派が重要政策の実現を阻止し政治が進まない状況が続いている。新しい状況でマスコミが公器としての役割を果せないでいる。我国だけではないが危機に直面して中国やロシアのモデルの方が機能する、民主主義が挑戦を受けている。
書き出しで世界市場は勘違いしているかもと言ったが、勘違いの最後は民主主義の危機にまで議論が発展した。ちょっと無理な展開は無理筋だったかもしれないが、個別の主張は間違ってないと思う。■
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