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K字回復が何故悪い?

2021-02-22 21:36:11 | 社会・経済
コロナ下で経済格差の拡大と民主主義の危機が語られている。経済格差を象徴的に表す経済の「Kの字の傷」について議論してみたい。

昨日から日本経済新聞(日経)で興味深い特集連載記事が始まった。「パクスなき世界」と題して長らく続いたアメリカ一強の世界が転機にある、民主主義と資本主義という価値の両輪が傷つきコロナが米国の衰えに拍車をかけている、そんな世界の描く壮大なテーマだ。是非一読を勧めたい。

Iブレマー氏はこのような覇権国のいない「G0の世界」の到来を予測していたが、新型コロナがもたらした危機がその到来を早めた。「パクスなき世界」とG0は同じ意味だと思うが、世界を見る視点が違うと私は捉えたい。日経は、今の世界は「Kの字」の傷で内から切り裂かれているという。

1989年から30年間で上位10%の所得が一貫して上昇、一方下位50%が低下、その差がKの字の形の如く開いた。独仏等の欧州も同じ傾向にある。米国の上位1%の富裕層が資産全体の3割を握るという。コロナ下で持つ者と持たざる者の差は更に開いた。

運が悪いことに最悪のタイミングでトランプ元大統領がKの字格差を更に広げ、欧米でも暴動が起こり民主主義は深く傷ついたという。バイデン政権は巨額の財政出動で底辺を支えKの傷を癒すことを狙ってリスクのある賭けに打って出た。というのが私なりの日経記事の概要だ。

だが、矛盾するようだが、ここに来てKの字の開きが更に開いたのは、見方によっては「悪」(格差の拡大)と捉えるべきではないと私は考える。というのは現在はコロナ回復の過程にあり、業種によって明暗が分かれる「K字回復」と重なっているからだ。

19日のトムソンロイターのニュースメールによれば、K字回復の要因は製造業の急回復とサービス業の低迷である。製造業とは先行回復する中国向けの輸出産業であり、これに加えて異例の金融緩和がこれを支えているという仕掛けだ。リーマンショック後の世界を救った中国経済の構図だ。

これが無ければ日本経済は先が見えない、K字回復どころか最悪のL字回復になると見られている。回復速度は業種や会社ごとに異なり、労働者の格差も大きくなるだろうが回復過程では避けられない。欧米の民主国家から毛嫌いされている中国も、見方によって回復を主導する救世主にもなるのだ。

日経の特集記事は長期的な視点で見た世界であり、コロナ下の経済回復という短期的視点で見ると別の世界が見えてくる典型的な例だと思う。こういう場合、米国のように夫々が自己の意見を信じて後に引けないポピュリズムの世界が現れる。お互いに時間軸を変えて世界を見ようじゃないか。■

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