日本サッカーのW杯南ア大会出場が決まった。1点差で終盤にもつれ込み選手や監督が退場になる際どい勝ち方だったが、見ていてそれほどハラハラしなかった。もう負けはない状況だったし、押し込まれてあたふたするかつての日本に比べ、チーム全体に落ち着きを感じたからだ。
昨年岡田監督が引き継いだ時、彼の戦術はシンプルな守備偏重のカウンター攻撃だと思っていたが、それほど単純ではないと考えを変えた。基本は「全員守備、全員攻撃」だそうだ。私は年初に「日本サッカーが、攻撃重視のスピード・サッカー・スタイルが機能し、W杯予選突破する」と予測し、その通りになったと思う。
スピードというのは「走力」だけではない、チーム戦術に基づいた個人とチームの「判断の早さ」だ。そして次々と展開する局面を判断し90分間チーム戦術を実行し続ける技術・体力があって実現される「総力」と置き換えてよい。総合的な速さで相手を上回る戦術だ。日本はこの総力でウズベキスタンを上回っているように見えた。では世界に出て行ってどうだろうか。
私は、このスピードサッカーが日本の特徴を生かせる戦術で精度を上げていけばやれると思う。狭い地域でノートラップパスを繋ぎ形を作り、機を見てロングパスで相手チームの裏をつき高速のFWもしくは第2列が飛び出してシュートを狙う。これを実行できる技術が十分でないにしても、徐々に身に付き始めたと感じた。
高い技術を持つ遠藤と二人の中村に加え、海外で活躍する長谷部や本田など技術に力強さが加わり、チーム戦術の選択肢を増やすスピードのあるサイドバック、そして待望のフォワードらしいフォワード岡崎が現われた。チーム戦術を具現化できる個々の選手のレベルアップが閾値を超え、90分のうち何分かは機能し始めたように感じる。
同じ戦術でガンバ大阪がワールド・クラブ・チャンピオンシップで活躍したと私は思う。いつも一緒にいて練習できるから、ガンバの方が完成度が高い。しかし、逆に言うと日本代表も完成度を高めていく時間は十分あるし、それが出来ればより高いレベルで本大会でも十分活躍できることをガンバが証明したのではないだろうか。
たかがサッカーでこれ程の薀蓄を垂れるなと言われそうだが、されどサッカーだ。■
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