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西日本豪雨後に聞いた市井の声(5)

2018-10-16 16:31:05 | ニュース
実家のある愛媛県大洲市の各地が西日本豪雨で水浸しになって3か月余り経過した。幹線道路沿いの新興商店街は復旧が進んだが、水の被害を受けた家に住む人達の多くは依然難儀を強いられている。豪雨がかつてない被害に発展した原因を分析し、災害に強い町造りは更に難航しているようだ。

先月末から3回にわたり被害の大きかった地区で住民説明会が開かれた。肱川氾濫の引き鉄をひいたとされる上流の二つのダムの放流に関する説明会だ。何度も有線放送で報じられ、どんな議論がされるのか興味があったがよそ者が行くところではないと自重した。先週の土曜日に説明会に参加した友人に会の様子を聞いて失望し、図らずも彼と口論をしてしまった。

ニュース報道を見た印象では、会議で「天災じゃない、人災だ」と興奮気味に叫ぶ住民の姿が画面に映っただけで、会議全体がどんな風に進みどういう結論が出たのかテレビ報道では良く分からなかった。説明会はまるで与党を徹底的に追及する野党の姿と重なり、私に非生産的という印象(偏見)を与えたかもしれない。

友人もダムの管理者(国土省管轄)と市の対応を強く非難し、テレビニュースの私の印象を再現した。私は「そういう姿勢では何も解決しないよ」と意地になって反論、彼も持論を繰り返した。話を途中で打ち切って、親しい友人と気まずく別れた。一番望ましくない会話だった。

私から見れば、豪雨から20日余り経って「建築土木メールby日経xTECH」(8月1日)の記事に肱川氾濫を理論的に分析した下記の記事、つまり容易に答えが導き出せるネタが既に出ていた。

▼2018年7月列島縦断豪雨 中小洪水対応」の操作規則、マニュアル通りの放流は適切だったか https://nkbp.jp/2KcUaq6

その後10月7日の日本経済新聞の記事「貯水重視『大洪水適さず』」や、ダイヤモンド社の特集記事も技術的な分析という観点では、上記記事の範疇を越えるものではなかったというのが私の印象だ。逆に言うと概ね答えは分かっているのに対応策がなかなか具体化しないと感じている。国土省の出先は今年一杯かけて検討するという。

当事者の責任追及が激しければ激しい程、テレビネタにはなるがそれがベストの災害対策になる訳ではない。説明会が責任者追求或いは「吊し上げの場」になっては、再発防止という観点からは決して生産的ではない。加えて私は住民の普段からの備えや連携をもっと改善することも多いと思う。

冷静に災害事実を分析し、そこから被害をミニマムにする為に当局と住民が連携してハードウェア・ソフトウェアの両面から対応策を追求して次の災害に備えるのが理想だとすれば、哀しいかな現実は責任追及と責任逃れの戦いに近いものを感じた。

この記事が偉そうで他人事のような印象を与えるかも知れない。特に現実に被災された人達にとってみれば頭に来るかもしれない。だが、私の長い人生の経験から言えば、この手の問題は優秀な一握りのリーダーがやり遂げるか、関係者が試行錯誤しながら改善を重ね最終解に到達する。そしてこの地域は後者しかないと私は思う。これまたよそ者の戯言ですが。■

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