かぶれの世界(新)

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周回遅れの読書録14/12月-15年始

2015-01-09 14:46:02 | 本と雑誌
昨年12月から正月休み中の1か月半に読んだ本を紹介する。今回は「周回遅れ」の本ではなく、最近ずっと読みたいと思っていた領域の本を図書館で借りて読んだ「半歩遅れ」位のものだ。どこの古本屋にでもある訳ではなく、安価に手に入れるのは難しいと思われるのでご承知を。

今回読書を勧めたいのは以下の3冊である。

最初の2冊「ウォール街の物理学者」と「ザ・クォンツ」である。市場変動を数学で解明して変化を予測し、金融技術を駆使して巨額の利益を手にする新しい形のヘッジファンドの黎明期から現代までの姿を描いている。クォンツがどういう人達でどんなロジックで投資したか、その投資判断に何が欠けていてリーマンショックの要因になったのか教えてくれる。

今迄リーマンショック関連の本を沢山読んだ。サブプライムの販売現場から投資銀行の担当幹部やトップ、財務長官や連銀議長、内外の経済評論家が書いた本まで読んだ。何だか主役が欠けている気がしていたが、この2冊を読んでリーマンショックの全体像が見えて来た気がする。

次の3冊目「伝説のFRB議長ボルカー」は上記とほぼ同時代を政府・連銀(FRB)で規制する立場で公僕としてキャリアを過ごした信念の人の伝記本である。私が社会人になった頃からオバマ現大統領まで国の為に働き尊敬されている伝説の人だ。金融業界から忌み嫌われている「ボルカールール」が出て来た背景が理解できたように感じた。

(3.0-)(L)ウォール街の物理学者 JOウェザーオール 2013 早川書房 19世紀末からリーマンショックまで経済現象を数理・物理学的に解読してゆくもので、この異なる領域の文化・視点の違いがぶつかり合いが極めて劇的で興味ある展開を遂げる。何物にも囚われない若き物理学者の自由な発想が米国の活力になっていると感じた。個人的にも興味ある領域だが、文系理系のどちらの読者にも勧められる読み物。

(3.0)(L)ザ・クォンツ Sパターソン 2010 角川書店 クォンツとは数学物理法則を使って投資をする天才のことで、70年代からリーマンショックまで4人の代表的なクォンツを中心に金融機関が崩壊していく姿を描いた佳作。天才たちがコンピューターを駆使して巨額の利益を得て金融機関の主役に上り詰め、大数の法則の外にあるファットテールを見落とし破綻させていく。クォンツ側から見たリーマンショックを起こした要因が解きほぐされる。

(2.5+)(L)伝説のFRB議長ボルカー WLシルバー 2014 ダイヤモンド社 71年のニクソン・ショック(金兌換停止)からレーガン時代のインフレを抑え込み、オバマ大統領下でのボルカールール確立まで描かれている。キッシンジャーからカーターやレーガンまで歴代の権力者と政治的な妥協せず信念を貫く正に伝説の人である。

(3.0-)(L)オープン&クローズ戦略 小川紘一 2014 翔泳社 かつて無敵の日本の製造業が競争ルールの変化に対応できず没落した過程を詳細に解説、21世紀型製造業のあるべき姿は競争力のあるコア領域を守りつつその外部境界を他社に開示して競争力ある製品を作らせその成果を得る仕組みだと著者は主張する。前回の読書録(14秋)の「日本の技術が危ない」の続編として読まれることを勧めたい。

(2.0)(古)はやぶさの大冒険 山根一眞 2010 マガジンハウス 中学生でも読める科学NFを目的に書かれたというが、衛星の個別機能がどうなっているのか、それに関わる科学者たちの姿など初めて知る内容も多く、大人も楽しめる科学読み物だった。

今回読んだ本にはちょっと変わっているけど魅力的な人物が登場してくる。中でもボルカー氏が政府高官になっても質素な家に住み、袖口の擦り切れたスーツを平気で着る姿にこの人の凄さを感じる。昔読んだJFKやバフェット等の伝記にも質素な生活やしつけをされる場面が出て来る。ポールソンが財務長官に任命された時よれよれのコートを新調したら、奥さんにまだ着れると言われお店に返しに行ったのも印象的だった。何故かそういう人柄に好感を持ち記憶に残っている。■

凡例:
 (0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
 (3):お勧め、得るもの多い  (4):名著です  (5):人生観が変わった 
 0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
 -/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。

古:「古本屋では手に入れた本
L: 図書館で借りた本
新: 「定価」で買った本
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イスラム過激派襲撃事件報道の問題

2015-01-08 18:43:26 | ニュース
7日フランスパリの週刊誌の編集者等11人と警官1人がイスラム過激派に襲われ死亡したという速報が入って来た。被害にあったのは政治週刊誌で編集会議中の編集者や風刺漫画家で、予め会議を狙った計画的なものだったようだ。風刺画家はイスラムだけでなく米国も皮肉っていた過去があり、イスラムの非寛容性が世界を揺るがしているように感じる。

犯人は3人で、未成年の一人は自首し、残り2人は逃亡中だという。2人は警察の監視下にあった、関連して7人が逮捕したという。そこまでやっていたのに、何故フランス警察がテロを防げなかったのか問題になるかも知れない。まるで映画を見るように倒れている警官を撃った犯人の姿は衝撃的で、警察は威信をかけて犯人を追及するだろう。

CNNは24時間体制で報じているのに、日本のテレビがマクドナルドのチキンナゲット等の異物混入ばかり報じているのはチョット呆れた。この連中は何が重要で何を報じなければいけないか全く分かっていない。ジャーナリストならこれは他人事ではないと考えないのだろうか。

先日TBSのサンデーモーニングで評論家がイスラム国を批判するようなことをしてはならない、日本人がトラブルに巻き込まれると発言するのを見て驚いた。それに対し何の反論もなかった。その恐れはある。だが、脅されたら黙って引っ込んで、血を流す欧米の後ろに隠れろというのか。

この人は日本はそんな恥知らずの無責任な国になっても平気らしい。日本は同じ民主主義国として欧州の英仏などに寄り添ってテロを絶対に許さないという姿勢をとるべきだと私は思う。安倍首相が直ちにフランス大統領に支持を伝えたのは当然だ。

確かに犯人をどう非難するか微妙な問題だ。イスラム教徒に何の問題もない、悪いのはイスラム過激派だと欧米トップの発想は一致している。中国が悪いのは日本軍部であり、日本国民ではないというのと同じ発想だ。だが、フランスでは移民イスラム教徒に世俗化を求めているのが対立を煽っているという指摘がある。日本のマスコミも突っ込んで詳細を紹介し報じて欲しい。■
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2015年大胆占い

2015-01-03 18:53:00 | 国際・政治
あけましておめでとうございます。恒例の当たらずも八卦の「大胆占い」で2015年を始めたいと思います。

一言で言うと2015年の「世界経済は米国次第の年」になる。昨年後半からの好調な米国経済が今年も続くのはほぼ確実だ。残りの世界はその恩恵を受け、米国金融政策の変更によっては大きく影響を受ける国も出て来る。だが、それは経済だけの話で影響力低下した米国と国家資本主義の中ロとの軍事・外交・情報を含む激しい総合戦は必ずしも米国に有利に働かないだろう。

経済に戻ると焦点はFRBがいつ金利上昇を決定するかだ。金融政策の変更は世界のリスクマネーの流れを一変させる恐れがある。イエレン議長は物価や雇用状況に加え世界経済を配慮した利上げ判断を強いられるだろう。好況でも利上げは年央以降になると見る。米国は引き締めに向かうが、世界的にはマネー拡大トレンドで引き続き株式市場は過熱すると予想する。

次に、中国の高度成長が減速するのは誰もが指摘するところだが、ついに今年7%台を割るかどうかが注目される。負債増加・住宅市場不調などを考えると6%台に落ちると私は予測する。その理由は習近平が7%確保に拘っていない、中国の優先順位が変わった様に感じる。一方、新興国は98年アジア危機に比べ強くなった、米国の利上げに耐える力がついてきたと読む。

懸念するのは寧ろ欧州と日本であろう。中でも欧州はギリシャの大統領選を巡る混乱が避けられない状況になり、英国をはじめとする反EUの動きが次に控えている。緊縮財政と高失業率で移民増に対する反感が高まり右傾化が進み遠心力が強まっている。EUは冷戦終了後平和の配当を満喫したが、ここに来てその代償を長引くウクライナ紛争で払い続けそうだ。

日本は人口減少下で潜在成長率が0.6%のまま原油安となりデフレ脱却が怪しくなった。だが、円安トレンドと原油安の後押しで経営者は楽観的だ。今年は決して悪条件ではないが、安倍首相がどこまで踏み込んで成長戦略を推進するか不安だ。私は楽観的になれない。円安がどこまで進行するかもポイントになるが、ここでは緩やかな円安でドル125円程度になると仮定する。

以上を総括して2015年の経済成長率を予想する。下記の様に大方の予測に比べると、大胆占いは米国は強め、中国・新興国はほぼ同じ、日欧は弱めになった。(IMF予測は昨年10月時点なので年末の民間予測と比較して欲しい。)

        IMF  N証券 大胆占い
世界経済  3.8    3.4   3.5
米国     3.1   3.1 3.3
欧州     1.3   0.9 0.6
中国     7.1   6.8 6.9
新興国    5.0   4.8 4.7
日本     0.8   1.5 1.0
(注)IMFは2014/10時点の予測

午後大國魂神社の参道の前を通ると、昨日より参拝客が多かった。甲州街道も旧道も上り車線は車が連なり殆ど動いてなかった。昨日参拝客が少ないと心配したが、正月三日目の方が混雑して活気があった。明日は長男と娘の家族が年賀の挨拶に来てくれ我が家も賑やかになりそうだ。今年は文字数節約の為海外で勝負するスポーツマンの予測は割愛させて頂く。世界に挑戦する若者が益々増え我々を元気付けてくれることを期待したい。■
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2015年天邪鬼占い

2015-01-01 23:25:48 | 国際・政治
明けましておめでとうございます。今年の年賀状には恒例の「真面目な」大胆占いではなく、少し捻って主要国のリーダーを各国の状況にひっかけて皮肉っぽく予想しました。先ずは年賀状を見て頭をひねっている方の為に「天邪鬼占い」を説明し、後日恒例の大胆占いを紹介します。

年賀状に書いた予測の心は以下の通りです。
1)オバマは経済が高成長なのに支持を下げる初の米国大統領になる。
 米国経済は順調に回復し今年一人勝ちが続く見込みだが、オバマ大統領の内政外交ともに手順前後が優柔不断に見え評判が悪かった。好調な経済が続いても支持率が低迷したままか注目される。民主党が少数派に陥落した議会で次期大統領選を控え、レームダック化が進む恐れがある。グッドニュースは昨年末の世論調査で大統領の支持率がやや回復したことだ。

2)プーチンは経済が滅茶滅茶でも支持を上げる初のロシア大統領になる。
 欧米の制裁では踏ん張っているように見えたが、原油高でルーブルが暴落しロシア経済は苦境に陥っていると報じられている。このところルーブルが持ち直し傾向にあるが、プーチン大統領の命運は結局のところロシア国民がどの位不況に耐えられるかによる。日本ではありえない。

3)欧州停滞の中ドイツ一国栄え、メルケルは最も支持が高い首相になる。
 ウクライナ危機の先行き不透明が続く中、大統領選を巡りギリシャ危機が再燃し南欧に波及する可能性が出、英仏等国民の反EU反移民感情の高まり等欧州は分裂リスク含みで推移している。一方、ドイツ経済は相対的に堅調で加盟国に堅実な運営を求めるメルケル首相が広範な支持を受けている。加盟国がどこまで緊縮財政に耐えられるかが鍵となろう。

4)習近平は最も巧みに恐怖を利用して内政外交を仕切るリーダーになる。
 習近平は国内では徹底的に腐敗を追及し、南シナ海・東シナ海の権益を一方的に主張、容易に妥協する積りはないように見える。巨大な経済力と軍事力を恥ずかしげもなく振り回し始めた。習近平が権力維持に自信があるのか或いはギリギリで勝負しているのか、今後どの領域でどの程度妥協して行くのかがその表れであり注目される。

5)安倍首相のドリルが強力な岩盤に歯が立たず第3の矢が折れる。
 衆院選勝利後も高齢者・医療・農業等自民等の支持基盤に影響が出て来る痛みの配分に手を付ける様子は伺えない。その程度のぬるい改革でアベノミクスが成果を上げることが出来、財政再建が進むかが焦点になる。金融政策と公共投資の時間稼ぎ効果が無くなるとアベノミクスが失敗に終わる。

以上5つの懸念事項のうち一つでも問題になるようならややこしいことになり、二つなら世界は思い悩み、三つなら世界経済は深刻な影響を受けるだろう。■
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