なんと、新橋駅前で、大盤解説会をやっていた!! 暗がりの中、大盤がくっきり浮かんでいた。
「新橋解説会」は、このブログの古参読者にはおなじみであろう。これは大内延介九段プロデュース(たぶん)。大内一門が新橋駅前で、名人戦、竜王戦七番勝負の無料解説会をするというものである。むかしは解説・大内九段、聞き手・藤森奈津子女流四段、駒操作・藤森哲也五段のトリオだった。大内九段が亡きあとは、解説・鈴木大介九段、駒操作・梶浦宏孝七段などが務めていた。
当時は家の仕事が終わると新橋まで足を運び(これが自営業の強みだ)、大内九段や鈴木九段の軽快な解説を拝聴したものだ。途中で「次の一手」の出題もあり、これで無料とはうれしい限りで、毎回楽しみだった。
しかしそれからコロナ禍になり、大盤解説会は中止。コロナ禍は明けたが、今度は私がバイトに行くことになり、時間の自由が利かなくなった。しかもABEMAで無料配信が始まったのも大きく、私はそちらを見るようになってしまった。そして新橋解説会が復活したのかも分からないまま、きょうに至った次第である。
だけど、解説会は復活していたのだ。ネットではほとんど告知しないから、全然知らなかった。
もう時刻は午後8時半をとうに過ぎているから、ふつうは閉会している。しかし名人戦で終局が遅かったのと、閉会するにしても、藤井聡太名人が永瀬玉を詰ます段階に入っていたので、打ち切るに打ち切れない状況だったと思う。
もちろん、我が京浜東北線が新橋に着いたとき、車両から駅前が見えていれば、降りていた。これも京浜東北線に乗ったのが運で、山手線に乗ったら、どの車両に乗ってもハナから見えなかった。だが今回は京浜東北線でも後方の車両に乗ったため、それが見えなかった。ここが運命の岐れ道だった。
もっとも、次の有楽町で引き返せばいい。だけど、ホームを上がり下りするのは面倒臭いし、逆の電車が来るのに数分かかる。しかも、表は小雨が降っていたっぽい。しかも局面は、藤井名人が詰ましにかかっているから、すぐに終局するだろう。
電車は有楽町に着いた。私は相当迷ったが、そのまま帰宅を優先した。
ところがスマホでは、広瀬章人九段が「この詰みは簡単じゃないですよ」とか言っている。藤井名人の角成を、取らず逃げるのが粘り強い手で、けっこう先手玉が広い。私の頭では、皆目詰み筋が分からない。しかし形勢バーは「永瀬1:99藤井」になっているので、詰みはある。そして藤井名人だから、100%詰ます。ただ、相当な長手順であることは確かだ。
私は電車に乗り続けるが、全然将棋は終わらない。……これなら新橋まで引き返したほうがよかった……。私の人生は、この後悔ばかりである。あのときああしておけばよかった。これを何百回もやっている。だけど矯正できないのは、私がバカだからだ。
局面は、やっと分かりやすくなってきた。広瀬九段は「さすがに私も、詰みが分かってきました」と言う。
藤井名人の角引きに、永瀬拓矢九段投了。それと同時に、電車の扉が私の最寄り駅で開いた……。
私は複雑な気持ちである。広瀬九段の解説もそれなりに面白かったが、私は新橋の大盤解説で、(たぶん)鈴木九段をはじめ将棋ファン有志と、この奇跡的な詰みの感動を共有したかった。これが解説会の醍醐味ともいえる。
それにしても藤井名人、相変わらず見事な収束だ。こんな長手数を読み切るなんて、人間技とは思えない。……あ、藤井名人はAIだった。こんなスーパー棋士と戦う相手は大変だ。
第2局は29日、30日。私はどちらもバイトだが、30日は新橋解説会が行われるのか。もし将棋がもつれて解説会に伺えるタイミングがあったら、今度は迷わず下車したい。
「新橋解説会」は、このブログの古参読者にはおなじみであろう。これは大内延介九段プロデュース(たぶん)。大内一門が新橋駅前で、名人戦、竜王戦七番勝負の無料解説会をするというものである。むかしは解説・大内九段、聞き手・藤森奈津子女流四段、駒操作・藤森哲也五段のトリオだった。大内九段が亡きあとは、解説・鈴木大介九段、駒操作・梶浦宏孝七段などが務めていた。
当時は家の仕事が終わると新橋まで足を運び(これが自営業の強みだ)、大内九段や鈴木九段の軽快な解説を拝聴したものだ。途中で「次の一手」の出題もあり、これで無料とはうれしい限りで、毎回楽しみだった。
しかしそれからコロナ禍になり、大盤解説会は中止。コロナ禍は明けたが、今度は私がバイトに行くことになり、時間の自由が利かなくなった。しかもABEMAで無料配信が始まったのも大きく、私はそちらを見るようになってしまった。そして新橋解説会が復活したのかも分からないまま、きょうに至った次第である。
だけど、解説会は復活していたのだ。ネットではほとんど告知しないから、全然知らなかった。
もう時刻は午後8時半をとうに過ぎているから、ふつうは閉会している。しかし名人戦で終局が遅かったのと、閉会するにしても、藤井聡太名人が永瀬玉を詰ます段階に入っていたので、打ち切るに打ち切れない状況だったと思う。
もちろん、我が京浜東北線が新橋に着いたとき、車両から駅前が見えていれば、降りていた。これも京浜東北線に乗ったのが運で、山手線に乗ったら、どの車両に乗ってもハナから見えなかった。だが今回は京浜東北線でも後方の車両に乗ったため、それが見えなかった。ここが運命の岐れ道だった。
もっとも、次の有楽町で引き返せばいい。だけど、ホームを上がり下りするのは面倒臭いし、逆の電車が来るのに数分かかる。しかも、表は小雨が降っていたっぽい。しかも局面は、藤井名人が詰ましにかかっているから、すぐに終局するだろう。
電車は有楽町に着いた。私は相当迷ったが、そのまま帰宅を優先した。
ところがスマホでは、広瀬章人九段が「この詰みは簡単じゃないですよ」とか言っている。藤井名人の角成を、取らず逃げるのが粘り強い手で、けっこう先手玉が広い。私の頭では、皆目詰み筋が分からない。しかし形勢バーは「永瀬1:99藤井」になっているので、詰みはある。そして藤井名人だから、100%詰ます。ただ、相当な長手順であることは確かだ。
私は電車に乗り続けるが、全然将棋は終わらない。……これなら新橋まで引き返したほうがよかった……。私の人生は、この後悔ばかりである。あのときああしておけばよかった。これを何百回もやっている。だけど矯正できないのは、私がバカだからだ。
局面は、やっと分かりやすくなってきた。広瀬九段は「さすがに私も、詰みが分かってきました」と言う。
藤井名人の角引きに、永瀬拓矢九段投了。それと同時に、電車の扉が私の最寄り駅で開いた……。
私は複雑な気持ちである。広瀬九段の解説もそれなりに面白かったが、私は新橋の大盤解説で、(たぶん)鈴木九段をはじめ将棋ファン有志と、この奇跡的な詰みの感動を共有したかった。これが解説会の醍醐味ともいえる。
それにしても藤井名人、相変わらず見事な収束だ。こんな長手数を読み切るなんて、人間技とは思えない。……あ、藤井名人はAIだった。こんなスーパー棋士と戦う相手は大変だ。
第2局は29日、30日。私はどちらもバイトだが、30日は新橋解説会が行われるのか。もし将棋がもつれて解説会に伺えるタイミングがあったら、今度は迷わず下車したい。