一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2020年冬・哀切の北海道旅行(6)

2020-04-30 00:07:13 | 旅行記・北海道編
地上に出てさっぽろテレビ塔を見ると、時刻は10時49分だった。けっこう時間が経ってしまった。今日も天気はよく、ふつうに過ごせそうだ。
今年は雪不足が報道されたが、雪像はしっかり造られてある。4丁目の中雪像は「スーモわくわく雪像」。不動産・住宅情報サービスのキャラクター「SUUMO」の雪像である。
大雪像は「ALL IS ONE~世界のはじまり、アイヌ物語~」。アイヌの神話の一場面を雪像化している。
5丁目は道新・雪の広場で、大雪像は「世界を目指して駆けるサラブレッド」。手前ではジョッキーとサラブレッドが駆け、その後ろに凱旋門が聳えている。これは凱旋門賞の一場面のようだ。



6丁目は市民の広場で、「北海道食の広場」。ここまでの人出は時間的なこともあるのか少ない感じだが、さすがにここは人が増えた。各地のラーメンに海鮮の数々、そのほか美味いものが揃っているのだが、私はここで食べたことがほとんどない。北海道に来たからには、店内で落ち着いて食事をしたいのだ。
中雪像は「うももも」という奇妙なものだった。
私は運営本部に入り、さっぽろ雪まつりのパンフレットをもらった。
また、この反対側では北方領土返還署名コーナーがあり、今回も署名する。
「32年連続で、東京から来ております」
いらぬことを言ってしまった。
7丁目はHBCポーランド広場。大雪像は「ワジェンキ公園の水上宮殿とショパン像」である。毎年各国の伝統的建造物が披露されるが、今年も細かい造作が素晴らしい。雪まつりの「顔」となるべき出来である。夜のライトアップが楽しみだ。



傍らでは永谷園が出店している。お茶づけ各種が食べられるが、一杯300円は微妙な値段だ。
その右手は永谷園撮影コーナーになっており、「お湯あっつ!」「永谷園サイコー」「お茶づけにオレはなる!!」など、面白吹き出し看板が用意されていた。撮影者はこれを持って撮影するのだ。
中雪像は太田胃散・公式PR大使「太田胃にゃん」。太田胃散といえばショパンの「プレリュード第7番である。
そのほかにも、雪ミクの中雪像など。オフィシャルグッズ売り場では、雪ミクの商品が多数展示されている。姪に何か買っていきたい気もするが、荷物になるので躊躇する。
8丁目は雪のHTB広場。大雪像は「ウポポイ(民族共生象徴空間)2020.4.24OPEN」である。4月24日に白老町ポロト湖畔に大規模なフィールドミュージアムが開園するらしい。
ステージ上ではアイドルタレントの画像をバックに、親子が記念撮影の列を作っている。やはりステージでは有人のイベントが必須である。
白老は観光的に地味なのだが、私は学生時代にほっこりする経験をし、応援したいエリアである。ウポポイの成功を祈る。
9丁目は市民の広場。中雪像は「うなぎのぼり滝登り!」。市民は制作に時間を取れないので、造作よりアイデア勝負となる。
中雪像は「ヒカキン&セイキン」。彼らはYouTuberだが、その職業の人が雪像になるとは、時代も変わったものだと思う。
小雪像は、市民の雪像である。「きたきつね」グループは毎年、旬の有名人を雪像にしており、楽しみである。ちなみに昨年は「大坂なおみ」で、人気投票の1位に輝いた。
今年はラグビーのリーチ・マイケル選手だった。今年も噴き出すくらいよく似ていた。







10丁目はUHBファミリーランドで、大雪像は「サザエさん一家とウィンタースポーツin SAPPORO」である。「サザエさん」放送50年を記念し、満を持して登場である。雪像は、サザエさん一家がウィンタースポーツに興じているものである。
中雪像は「巨大カップヌードル&八村塁の雪像トンネルwithミニSL」。巨大カップヌードルの精巧さはいつものことだが、八村塁がよく似ている。最初は誰を模していると思ったのだが、「解答」を見なくても、八村塁に思いあたった。



11丁目は国際広場。ここの目玉は「国際雪像コンクール」で、世界の英知が結集された雪像が鑑賞できる。
小雪像はおなじみ「雪ミク(初音ミク)Snow Parade Ver.」。雪ミクはあっちこっちに雪像があり、大人気だ。11丁目の雪ミクは昼より夜のほうがいい。雪像も色が入って映えるし、ミクオタが集まり、音楽に乗って踊りまくるのも、雪まつりの風物詩だ。
背後の雪ミクオフィシャルショップでは、客が列をなしている。私は赤十字が発売しているクリアファイルを購入するのが定跡になっているが、それはどこにあっただろう。
もうひとつの小雪像は、「北海道だいすき発見隊アローラロコン」。ポケモンのキャラのようだ。
12丁目も市民の広場。こちらのほうが9丁目より市民色が強く、ほのぼのとした作品が見られる。
ここで雪まつり会場は終わりだが、私はその先の北海道資料館に行く。昨年は改修工事の話があったが、どういう予定になっているのだろう。ただ、今年も通常通り開館しているようだ。
入口で催しモノの案内を見る。「ゆきみどりの部屋」があった。ここも含めすべてが今日9日までの開催で、私は11日の来場も考えていたから、あぶないところだった。
しかし2階に上がると、ゆきみどりさんはいなかった。しかも室内の展示が妙にさっぱりしている。
奥の部屋は、おなじみ「札幌市子ども造形展」だ。これが子供とは思えぬ力作ばかりで唸ってしまう。感性というか発想が素晴らしく、とても大人には太刀打ちできない。







ゆきみどりさんの部屋に戻ると、彼女がいた。相変わらずの八嶋智人顔で、元気そうでなによりだ。
「どうも。ずいぶん室内がさっぱりしてますが」
「コロナウイルスの関係で、装飾を最小限のものにしたんです」
コロナとの因果関係が分からぬが、メンタル的にやる気にならなかったのだろうか。「今年は窓からの眺めも楽しんでいただきたいと思います」
なるほど、窓からは大通公園がまっすぐ見え、一幅の絵だ。それはいいとして、私は昨年の、自身の反乱を述べねばならない。ゆきみどりさんも残念がってくれたが、私は愚行を吐露したことで、多少気分が軽くなった。
ゆきみどりさんとは話が弾んだが適当なところで部屋を辞し、「創作わら細工のふじやま」に行く。ここの職人氏ともこの何年かお話をさせていただいている。職人氏は私を憶えているふうだったが、どうだったのだろう。
「ぽんち展16」は、アマチュアカメラマンの写真展だ。日常の風景を自然に切り取っている。
「村井紘一水墨画展」の部屋にも入る。昨年まではここに乞望さんの店があったのだが、昨年をもって出店を辞めてしまった。
村井氏は見学の客を相手に、おしゃべりしながら制作している。いまは城郭の絵だ。
「昔は頼まれて制作したこともあったんですが、いまは作品を売っていません」
客の女性の問いへの答えである。これが本業じゃないなら、どうやってメシを食っているのだろう。
気が付くと、客の中に乞望さんがいたのでびっくりした。
「山水画といえば海、森、河ですが……」
村井氏はそう言って、薄墨を紙の上で伸ばす。私もしゃべらなければいけない雰囲気になったので、
「黒一色なのに、風景の色が想像できるのが素晴らしい」
と言った。我ながらいまいことを言ったもので、村井氏の表情もほころぶ。
私は乞望さんにも挨拶をし、その部屋を後にした。





(つづく)
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2020年冬・哀切の北海道旅行(5)

2020-04-29 02:46:14 | 旅行記・北海道編
私は買物公園通りに戻り、氷像の鑑賞である。
氷像は、例年にも増して力作揃いだった。ちょいと前までは、飛び跳ねる鮭か、女性の裸像か、鷹や鷲が定番だったが、最近は作り手も、題材に工夫を凝らしている。
ところでカメラを見ると、電池のマークが半分になっていた。きのう充電しなかったので、バッテリーがなくなってきたのだ。ことに冬場では電力を多く消費する。
それで、私は鑑賞もそこそこに、昨年もお邪魔した「家族亭」に入った。ここで充電をお願いするつもりだ。
私はおねえさんに用件を告げる。これじゃあ出川哲朗の充電番組みたいだが、しょうがない。
幸い、おねえさんは快諾してくれた。
私は改めて大もり(520円)を頼む。ここは分類的に食堂なのだが、蕎麦も美味い。今年も美味しくいただいた。
充電も完了し店を出たが、その先に三代目京ラーメンがある。私が数年前に見つけたお気に入りの店で、とくに塩ラーメンが絶品である。今日は営業日だと思うが、とりあえず確認しておこう。
だが、様子がおかしい。あっ!! ええっ……!?
店舗が……もぬけの殻になっていた!!
私は事態が飲み込めす、立ちすくむ。2軒隣が店舗だったので、聞いてみる。夫婦らしき人だった。
「かくかくしかじか」
「ああ京ラーメンさんね、昨年の8月にやめたんですよ」
「やめた!」
「店の人は健康だったんだけど、やめるのは予定だったみたいね。突然だったんで、私たちも驚きました」
「なんだー、私、ここのラーメン好きだったんですよ。塩ラーメンが美味くて」
「そうね、最終日は麺がなくなるまで客が来たらしくてね」
「はあー」
「私も京ラーメンロスですよ。あの建物もね、来月解体するみたいですよ」
私はガッカリである。古くは釧路のラーメン屋、最近では鹿児島のラーメン屋、熊本のうどん屋、旭川の蕎麦屋。みんな、私が馴染みになると店を閉めてしまう。京ラーメン、おたくもか、という感じだった。



その足で、再び河畔会場へ向かう。その途中、古本屋に立ち寄る。ここはヴィンテージもののマンガが置いてあるのだが、頭数が少ないのが難点だ。
今回は、女性店主が店を早じまいする直前だったようで、私は居づらくなって店を出た。
それでいったんは河畔会場へ入ったのだが、ステージはこれといって観るべきものがなく、たまたまシャトルバスが出るところだったので、私は飛び乗った。私は何をやっているのだろう。
旭川駅前に着き、隣接されている建物に入ってみた。これがあらゆる店舗が入っていて、びっくりした。表へ出ると、イオンモールだった。何年も前から工事していたが、完成したそれがこれだった。
駅前にこれだけ充実した施設ができては、買物公園に活気がなくなりそうだ。
駅前の氷像群を初めて見たが、「竹林」が目を惹いた。節にリアリティがあり、本物みたいである。「竹」は10数年前にも常磐公園で観たが、やはりよかった。今回はライトアップが楽しみだ。





体が冷えてきたので、喫茶店に入る。ここは店内が簡素だが、美味いコーヒーを飲ませる。それでいて350円はリーズナブルだ。
コーヒーを一口すすり、幸せをかみしめるのである。
多少生気が戻り、私は三たび旭橋河畔会場に再び出向く。会場は夜の帳が降り、さっきと雰囲気を異にしていた。
私は例の400円うどん(わかめうどん)を、改めて食した。これで麺類3連発だ。ただ、このうどんが晩飯代わりにはならないと思う。
まだシャトルバスが走っていたのでそれに乗った。駅前で下車し、今度はライトアップされた氷像を鑑賞する。「竹節」は素晴らしく光り輝いていた。













このあとは19時から河畔会場で、「Snow Night Show~REIWA~未来へ」がある。が、今年は花火がないようだ。恐らくプロジェクションマッピングをやるのだろうが、それだけを見ても仕方ない気がする。
今宵の宿泊地はどうしようか。例年なら旭川のネットカフェなのだが、何年か前にそこの会員カードを紛失してしまい、何となく泊まりにくい。札幌まで戻り、昨日のネットカフェに泊まろうか。
考えた末、私は河畔会場に戻るのを止め、札幌に行くことにした。今日のうちに入っておけば、明朝ゆっくりできる。
私は駅近くにある中華料理屋「新華楼」に入った。ここも何度か利用したことがあり、ハズレなしに美味い。今日の特別メニューは鮭炒飯(610円)で、これを頼む。鮭炒飯は、美味かった。
上りは20時00分発の特急カムイ46号に乗る。瀕死状態のJR北海道だが、函館本線の札幌―旭川間はドル箱で、頻繁に特急が出ている。
札幌着は、定刻を6分遅れの21時31分だった。私は昨日と同じ、アイカフェ・札幌ロイヤルセンチュリーホテル店に旅装を解いた。
今夜は前夜より余裕があるのだが、体力的に疲れてしまって、何をする気も起きない。
とりあえず家計簿を付けたが、どうも100円合わない。旭川美術館のロッカーにリュックサックを預けた際、取り出し時に100円を取るのを忘れたようだ。
直前にトイレですっきりしたので、すべてを忘れてしまったらしい。

9日(日)。今回のネットカフェは「12時間パック」のつもりなので、朝は余裕である。といっても昨夜は21時42分の入店だから、今朝は09時42分に出なければならない。
今日は「さっぽろ雪まつり」一本である。よってJRも使わない予定だ。フリーきっぷがあるからもったいないが、明日以降は長距離乗車をし、今日の乗車不足を取り返すつもりである。
ネットカフェをチェックアウトし、地下街を歩く。大通公園下まで来て、4丁目方面から地上に出ようとした。その先でピアノの音が聴こえた。何と、グランドピアノが置いてあった。
これ、誰でも弾けるヤツじゃないか? 北海道に来る前、札幌市営地下鉄の職員が華麗な演奏をしたというニュースをやっていたが、それがここじゃないか?
いまも腕自慢氏が弾いている。X JAPANの「Say Anything」だろうか。その後方では、順番待ちの列がけっこう伸びている。
円柱には、「ご自由にお弾きください Feel free to play STピアノin 雪まつり」のポスターが貼ってあった。
私も隠れ目立ちたがり屋なので、ここで弾ける腕を持つ人を羨ましく思う。
2人目は、運動会で有名な「天国と地獄」を弾いた。
3人目は外国人女性で、「キラキラ星(Twinkle Twinkle Little Star)」をたどたどしく弾いた。棋譜を披露するのはプロやアマ高段者でなくてもいいのと同じで、彼女もこれでよい。
4人目は小学生の少年だったが、これはうまく弾いた。将棋でいえば、奨励会入り間近の研修会員というところか。
5人目は、太田胃散のCMに使われている音楽だ。確か、ショパンの「24のプレリュード(前奏曲集)第7番イ長調Op.28-7」だったと記憶する。
6人目のお嬢さんは、外国の有名な曲を弾いたが、タイトルは知らない。彼女は何となく、どこかの音楽学校に通っているふうだった。





……いかん、このまま聴き入ってたら先へ進めない。私は断腸の思いで地上へ上がった。32年連続、32回目の「さっぽろ雪まつり」である。
(つづく)
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2020年冬・哀切の北海道旅行(4)

2020-04-28 08:30:03 | 旅行記・北海道編
コンビニ前にある「新十津川役場」停留所からバスに乗り、タイム13分で滝川駅に着いた。
いつもだったらここから路線バスの利用となるが、今回は堂々とJRの特急に乗れる。次は特急カムイ9号・10時22分発である。4分ほど遅れて入線したが、このくらいの遅れはなんでもない。
旭川には定刻を5分遅れの11時ちょうどに着いた。ここから買物公園通りを通り、「氷彫刻世界大会」の氷像を観てもいいのだが、今回は駅前からシャトルバスを利用する。11時15分の便に乗り、旭橋河畔会場まで直行した。
11時25分、会場着。32年連続、32回目の「旭川冬まつり」である。
あさっぴーとゆっきりんが会場内にいた。しかし齢50をとうに過ぎたオッサンがスリーショットを所望できるはずもなく、私は遠巻きに眺めるのみである。私の精神年齢は25年前から変わっていないが、このくたびれた容姿が25年前と同じ行動を許さない。
ステージのメイン雪像は、あさっぴーがオリンピック会場で活躍しているデザインだった。
そしてステージ上には、各地のゆるキャラ勢ぞろいしていた。
私はあたりをぷらぷら歩く。昔は市民の雪像に興味深く見入ったものだが、ここ数年は場の雰囲気を楽しむことに重きを置いている。
12時になり、TOSHIBAスノーステージが始まった。ステージ前は多くの観光客で賑わっている。今日は天気もよく、最高の観光日和だ。
司会の2人が登場し、撮影禁止をやんわりと告げた。昔はそんな制限はなかったが、SNSの普及により、昨今はどこもかしこも撮影禁止である。
一番手は旭川の歌姫・浅井未歩の登場である。まずは持ち歌を2曲歌う。相変わらず伸びのある声である。一時期「自分を見直して」いたのだが、復調したようだ。昨年は旭川の観光大使にも就任したそうで、とりあえずはめでたい。
3曲目は「愛していますあさひかわ」。しっとり聴かせる雰囲気かと思いきや、アップテンポで元気が出る曲だった。ただ、観客もノリはあまり良くなかった。
最終4曲目は玉置浩二「田園」を歌った。
2人目もおなじみ、柳ジュンである。今年も季節を無視した妖艶な衣装である。あらためて撮影禁止が残念でならない。
まずは「夢去りぬ街」を歌う。この曲はここで何回聴いただろう。「私は旭川観光大使を25年やっています」。もう、年季が違うのである。
続いて美空ひばりメドレーである。「お祭りマンボ」「悲しき口笛」「越後獅子の唄」「あの丘越えて」「人生一路」「港町十三番地」と立て続けに歌う。本家が偉大すぎるのでメドレーは大変だと思うが、それでも柳色を出して、なかなかに熱い。
ラストは「ライラック・トレイン」を熱唱した。
ここでトークショーとなる。浅井未歩と柳ジュンが再び登場し、元パラリンピック・テニス選手の、二條実穂が加わった。もちろん北海道出身で、私も以前この場で拝見したことがある。
二條実穂はかつて大工の棟梁だったが、23歳の時、作業中に事故に遭い、車椅子生活となった。しかし持ち前の根性でテニスプレイヤーとなった。
柳「きのうはサンロク街に行ってお酒を3杯飲みましたよ」
浅井「私はしょうゆラーメンが好きです。旭川は、雪の美術館がオススメです」
そんな施設があることを、私はいままで知らなかった。
再び歌謡ステージに戻り、今度はプラチナボーイズという男性アイドル5人組の登場である。デビューシングル「君へ届け」を披露したが、なよなよとしていて、ちょっと異色である。歌の雰囲気は純烈の「プロポーズ」っぽく、妙に耳に残った。
腹が減ったので、冬マルシェに行く。例年は400円でうどんを食べられる店があるのだが、どこを探しても、ない。仕方ないから「北海道そば」の店で食した。こんな、かけそばみたいのが500円。お金の価値はなんなんだろうと思う。
食べ終わったあとふらふらしたら、400円うどんの店があった。完全な見落としで、クサッタ。
ステージ前に戻ると、ステージ脇で、浅井未歩がニューアルバム「涙のさきに」を手売りしていた。私は以前も浅井未歩のシングルを買ったことがある。今回も求める。
「1枚ください」
「あ、ありがとうございます。あの、私のこと、前から?」
「ああ、ああ、私東京から毎年このまつりに来てまして、未歩さんのCDは数年前も買わせていただきました」
「そうですか! ジャケットにサインしていいですか?」
「もちろん、お願いします」
独身女性と話したのは久しぶりなので、しどろもどろになってしまう。
「SNSとかやられてますか?」
「イエ、ブログしかやってなくて。以前、未歩さんのことも書いたんですけど、あ、その時は写真を載せちゃった、まずいですね」
なんだか私のセリフが怪しすぎて、自己嫌悪に陥ってしまう。ただブログはともかく、ツイッターぐらいは開設しなくちゃいかんと痛感した。
13時30分になり、いよいよりんごちゃんの登場である。柳ジュンや浅井未歩を差し置いてトリで登場だから大したものだ。
りんごちゃん、「皆さんのストレスを私が吸い取りますから~!!」と、なかなかうれしいことを言う。
HOUND DOGの「FFフォルテシモ」、武田鉄矢の「贈る言葉」をオーバーアクションで歌った。
冷えた体をあっためる意味も含め、旭川美術館に行く。今回の企画展は「七彩の美」。旭川ゆかりの画家の作品を展示している。
かなり見応えがあるのだが、急にお腹が痛くなって、催してきた。そういえば旭川では昨年も、河畔会場でお腹が緩くなり、何度も簡易トイレに飛び込んだものだ。
いまもトイレに行きたいが、一度会場を抜けたら再入場はできないんじゃないか?
とはいえいまにも漏れそうである。人間において最大の危機は、こういう時だと思う。
学芸員さんには申し訳ないが、ササッと鑑賞し、トイレに駆け込んだ。
ギリギリセーフだった。あやうく大惨事になるところで、ほっと一息である。私はウンがいい。心からそう思った。
(つづく)
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2020年冬・哀切の北海道旅行(3)

2020-04-27 00:12:22 | 旅行記・北海道編
まず、昨年、一昨年と楽しんだ「さっぽろ雪まつり」内の「ジモステLIVE!チアダンス編」は、今年は6日(木)に終わっていた。密かに楽しみにしていたので、ガッカリである。
恒例のNatsuki&ブライトサッポロゴスベルクワイアのステージは、9日(日)の15時30分からだった。
また「旭川冬まつり」8日(土)12時からのTOSHIBAスノーステージは、今年はりんごちゃんがゲストだった。私はりんごちゃんのファンではないが、いまいちばん勢いのある人だから、それにあやかりたい思いはある。
このほか、名寄の「なよろ雪質日本一フェスティバル」の鑑賞も組み込まなければならない。さらにJRバス深名線の乗車、せいわ温泉ルオントの入湯もある。
それと今回は、札沼線の乗り納めがある。北海道医療大学前―新十津川間が、今年の5月6日をもって運行終了となるのだ。私は毎年乗車していただけに、残念でならない。
これはメインイベントとして旅行の後半にしたいが、どう考えても明朝に組み込むのがベストだ。週末なので人が多くなりそうだが。
よって、今年はNatsuki&ブライトを断念し、8日・札沼線→旭川冬まつり、9日・JRバス深名線→せいわ温泉ルオント→なよろ雪質日本一フェスティバル、11日・さっぽろ雪まつり……と決めた。
それで横になったが、もうひとつ忘れていた。さっぽろ雪まつりの、陸上自衛隊第11音楽隊のステージだ。調べると、9日の14時からだった。となれば、9日の札幌が絶対か。
いや、参った。しかし8日と9日に旭川と札幌を組み入れると、名寄近辺の観光がすべて飛んでしまう。
また行程の組み直しになり、眠れなくなってしまった。

8日(土)朝になった。ネットカフェは室内がざわざわしていて、なかなか眠れない。どこかでアラームが鳴っているのだが、止まらない。ブースの住人は、どれだけ熟睡しているのだ。
私は6時前にチェックアウトした。これでナイト9時間パックが適用され、1,700円+税(+シャワー代)となる。PCも使い放題だったし、改めて、かなり格安である。
きょうの予定は、札沼線と旭川冬まつりである。
まずは札沼線。札幌発は57本もあるのに、新十津川着はたった1本となる。この落差が凄まじい。
新十津川行きの始発駅は石狩当別07時45分である。この一駅先の北海道医療大学前まで電化区間なので、石狩当別で気動車に乗り換えなければならないのだ。
これは札幌発06時58分でも石狩当別着07時38分なので乗り継ぎ可能だが、それではほかの乗客に遅れて、ボックス席手前のシートに座れない可能性がある。よって、1本前の06時39分発で行く必要があるのだ。
だが、それも多くの旅行者が考えているのではないか?
というわけで、06時21分の列車に乗った。何と、札沼線の始発である。ふだんは寝坊三昧なのに、なぜ旅先ではハードなのだ。
車両は、快速エアポートでおなじみの721系だった。クロスシートなので、ゆったりくつろげる。私はコンビニで買ったおにぎりを頬張り、つかの間のリラックスタイムである。
石狩当別06時59分着。新十津川行き車両は、向かいのホームにいた。その先にも気動車が1両停まっている。07時02分発の浦臼行きだった。浦臼までは上下6本が出ているのだ。札沼線に乗る、という意味ではこれに乗ってもよく、はるかに空いてもいるだろう。だが鉄道マニアとしては、あくまで「新十津川行き」に乗りたいところである。
浦臼行きは発車し、新十津川行きの扉が開いた。幸い、同好の士は適度な数だった。
私はボックス席の手前窓際に座れ、まずは一安心である。私は、残り3席に人が座るのはウェルカムだが、自分からこの席に座る気はしない。





07時18分着の列車で来た客が乗車し、私のナナメ前に男性が座った。これでよい。ボックス席の独り占めは、何かと肩身が狭い。逆の立場にならなかった分だけ、早い列車に乗った甲斐があった。
さらに07時38分着の客を乗せ、我が列車は定刻に出発した。乗車率は60%というところか。いつもこのくらい乗っていれば、札沼線の寿命ももう少し延びたのだが、地元住民がふだん乗らないのだからしょうがない。
乗客はほぼ全員、鉄道マニアである。向こうの親子は、親は車窓を凝視しているのに、息子は眠っている。あっちの青年は、ありったけの荷物をシートに置き、他者の侵入を防いでいる。運転席後方では、ビデオを回す男。いろいろいる。
私の斜め前の彼は、マスク着用で、瞑想している。私もマスクは携行しているが、いまのところ、する気はない。
08時18分、石狩月形着。ここで列車の行き違いのため、22分の待ち合わせである。
駅舎に入ると、「ありがとう札沼線 ラストラン令和2年5月6日」の幟があった。
今年は多くの旅行者がホームに出ている。しばらくすると、上り列車が見えた。みんなカメラを構え、ちょっとした撮影会である。日本でいちばんホットな路線、それがこの札沼線なのだ。
列車はシュルシュルと雪道を滑り、入線した。私は上下線が揃った列車を撮る。このカットを撮るのも今日が最後である。







上り列車を見送り、我が列車も出発した。
列車は広い大地を淡々と走る。左手の山脈は、何か名前がついているのだろうか。
右手には国道275号が並走している。これはオホーツク海の浜頓別町まで通じている。我が列車は、時折自動車に抜かれていくが、それでいい。
小駅に停まる。遠くの男性が立ち上がったので下車するのかと思いきや、ホームの写真を撮って戻ってきた。そのパターンを繰り返すので、かなりせわしない。最初からデッキにいればいいのに。
09時05分、浦臼着。ここで何人か乗ってきた。07時02分に石狩当別を出た列車は08時00分に浦臼に着いているが、その客も含んでいるだろうか。
そしてひとりの客が、例の男性がいた席に座ってしまった。こういうことになるから、あまり離席してはいけないのだ。
09時28分、列車は新十津川に着いた。懐かしき駅舎は健在である。そしてここにもさっきの幟がはためいていた。
駅舎内では例によって窓口が営業し、グッズを売っていた。一番人気は、於札内・南下徳富・下徳富・新十津川の記念入場券。4枚が連なって印刷されており、入場券として使えるのは新十津川駅のみ。というわけで価格も200円で、良心的といえよう。
ほかに硬券も売っていた。これらを1枚ずつ買う。さらに、終着駅到達書が無料でもらえた。これなど、ほかの駅なら100円か200円を取るところである。
駅舎の賑わいは相当なものだ。駅舎を出れば、左奥にプレハブの土産物屋も出ていた。これは5月6日までの限定営業だろうか。
上りの発車は10時00分である。私は滝川行きの09時56分のバスに乗るので、もう行かねばならない。私の札沼線の旅は、これにてフィニッシュである。
いままでありがとう。
私は札沼線に礼をいい、新十津川駅をあとにした。
(つづく)
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2020年冬・哀切の北海道旅行(2)

2020-04-26 01:05:17 | 旅行記・北海道編
何と、「小樽雪あかりの路」は、9日(日)からの開催だった。8日(土)は前夜祭らしい。
いやこれは大誤算である。このイベントは開催期間が長いので、とっくに始まっていると思っていた。
私は小樽運河の浮き玉、運河沿いや旧手宮線のキャンドル群を楽しみにしていたのに、どうしたらいいのか。
列車はもうすぐ小樽築港に着く。運河自体はもちろん存在しているが、どうせなら祭りの時に楽しみたい。いまから引き返して、さっぽろ雪まつりを見ようか。
でもここまで来たら、小樽へ行くしかないだろう。私は予定通り、南小樽で下車した。
念のため、オヤジにもう一度電話を掛けたが、やはり繋がらない。私は駅前の「砂場」に入った。ここの蕎麦が美味いのだ。
壁には、2008年にロケで訪れた大滝秀治のサインが掲げられていた。「僕は第九を指揮した」。指揮者の役だったのだろう。
大もり(800円)は、更科で美味かった。



店を出てからオヤジに電話を掛けると、やっと繋がった。それでオヤジに文机を探してもらったが、そこにANAカードはなかった。
これで万事休すである。考えたくはないが、出先で落としたのだろうか。とすると、駅の改札を抜けてから自宅までの間、となる。しかしなあ……。
私はメルヘン通りに出た。ちょうどいい黄昏時である。しかし、「平日」「コロナウイルス禍」「イベント前」とあってか、観光客は少なかった。



私は堺町通り商店街をぶらぶら歩く。積雪はやはり少ない。北一硝子などに入るのもいいが、どうせ何も買わないので先を急ぐ。
LeTAOの店頭では、スタッフ嬢が試食用のチョコレートを配っていた。私も欲しいが、みじめになるのでもらいに行かない。
港側の大通りに出て、小樽運河に着く。ここでも呆気に取られるくらい、観光客は少なかった。出店もなかった。
欄干の手前では、三脚を据えた観光客が撮影をしていた。……あれ? あいつ、昨年もこの場にいなかったか? 大勢の観光客でごった返しているのに、ヤツは「特等席」で踏ん張り、ずぅっとそこに居座っていた。韓国語をしゃべっていた気もするのだが、そうだ、ヤツに違いない。
……こいつは一体何なのだ? そんなに小樽運河に惚れ込んでいるのだろうか。それにしたって「特等席」に独占はまずいだろう。とっとどけ、ボケ!
明かりのない小樽運河は味気なかった。
私は脇の遊歩道を歩く。雪像群は造られているが、キャンドル群は設置されていない。つまり明かりがないので、雪像が全然映えていないのだ。











反対の方角からも小樽運河を愛で、小樽駅方面に向かう。途中で旧手宮線にぶつかったが、こちらも奥は真っ暗で、侵入が妨げられている。ここでお餅やジャガイモをいただきたかったのだが、イベント前では何をかいわんやだ。
小樽では寿司を食べたかったが、寿司屋通りまで行く気力がなくなった。もう札幌に行くことにする。
小樽駅着18時10分。次の快速エアポートは18時30分である。この時間を利用して、カード会社に連絡をしようと思う。屈辱だが、カードの再発行を依頼するのだ。しかしANAカードをよく失くす。これで3度目だ。
スマホを取り出すと、オヤジから電話が2回も来ていた。「28分前」とあるが、これは私と話した後に来たものだろうか。よく分からないが、掛け直す気力がなかった。
カード会社に電話をして、要件を伝える。その時、スマホが「ピッピッ」と鳴った。
これはオヤジからだろう。もしやANAカードが見つかった?
いや、それはない。私はその信号音を無視して、そのまま話を続ける。
「1月分は10,453円の引き落としがありますね? 未確定ですが」
と係の女性。
「それ、私が使ったんでしょうか? 誰かに使われた可能性あります?」
「それは分かりません」
私は恐ろしくなって、そのまま手続きを済ませた。再発行料1,100円はバカバカしい出費だ。カード番号も変わって面倒なのだが、仕方ない。
函館本線の下りに乗った。すると、オヤジから電話が来た。何と、ANAカードがあったというのだ! 旧工場(こうば)の事務室にあるテーブルの上に置かれている、ポケットティッシュの下に隠れていたという。
……あっ!!
そうだ、思い出した。私は出先でポケットティッシュをもらうのだが、あまりにもポケットに多くなったので、ある日まとめて取り出したのだ。その時、ANAカードも一緒に出してしまっていたのだ。
工場にあるはずがないと思い、こちらは探さなかったのだが、完全に盲点だった。
「お前に言われて、工場の机の抽斗とか探してみたんだけどさ、なくて、それでティッシュの下を漁ったら出てきたよ。すぐ電話をしたんだけど、繋がらなくて」
「……」
電話がバイブになっていて、まったく気付かなかった。あああ、あの時の電話に出ていれば!!!
私は気が遠くなった。
快速エアポート190号は、19時02分、札幌に着いた。私はKIOSKに入り、北海道時刻表(524円)を買う。最近はスマホの乗換案内で事足りるが、時刻表のほうがさすがに便利だ。
私は地下街を歩き、すすきのに出た。小樽でポシャッたので、とりあえず「氷の祭典」の鑑賞である。
今年の氷像は細工が見事で、なかなかに力作揃いである。観光客もそれなりに増え、ようやく観光らしくなってきた。





さて夕食を摂ろうと思う。「ラーメン山岡家」が美味そうだったが、ここは注文が券売機のチケット制で、待ち人が2人いた。こいつらがグズグズしているので、私は入るのを止めた。私はかなり短気なのである。
そのまま地下街を戻り、札幌駅近くまで来た。ここのグルメタウンで食すか。
杵屋に入ったが、ラストオーダーの時間が過ぎていて、断られた。吉野家もてんやも微妙に人が多く、入るのをためらわれた。
結局私はどこにも入らず、駅前のネットカフェ(アイカフェ・札幌ロイヤルセンチュリーホテル店)にチェックインした。21時06分の入店は、まずまずであろう。ネットカフェは、滞在時間の関係で、なるべく夜遅くがいいのだ。
フラットブースに入り、明日以降の本格的な旅行計画に入る。今回は出発前に、札幌と旭川の冬まつり情報を軽く検討したが、やはり出先のほうが熱が入る。旅行は、計画を立てている時がいちばん楽しいのだ。
(つづく)
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