28日に行われたマイナビ女子オープン・里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花・奨励会1級対矢内理絵子女流四段の一戦は、里見女流三冠の勝ち。
これでシード権を失った矢内女流四段は来期、初の公開予選対局に臨むことになった。もっとも、私は観に行かないけれども。フン!
(前日のつづき)
放課後の食事は、近所の海鮮居酒屋で摂ることになった。参加者は大野八一雄七段、W氏、Mi氏に私。Kun、His、Honの各氏は参加しなかった。きょうはここに植山悦行七段、中井広恵女流六段も合流することになっている。今回はさらにスペシャルゲストとして、野月浩貴七段も参加するとのことだった。
店内は満員。しかし15分ほど待って、席に着くことができた。
ほどなくして、先の3人が現れた。ここで例によって、席の配置を記す。
野月 植山 中井 Mi
テーブル 壁
大野 一公 W
棋士が何人来ようが、私がテーブルの中央「王将席」に座る。私の向かいは中井女流六段で、これはいつものとおり。別に意識したわけではないが、なぜかそうなる。私も、正面に中井女流六段が座らないと、落ち着かなくなってしまった。
その中井女流六段とは今月に入って、すでに5回目の対面となる。まだ17日だから、けっこうな頻度だ。それも12日の「LPSAマンデーレッスンS」をカウントしないでの数字である。
以前も書いたが、私が沖縄から帰京してから、中井女流六段には迷惑の掛けっぱなしだ。一般の将棋ファンで、これほど中井女流六段に愚痴をこぼした人はいないだろう。あれは身を切られるように残念なことだったが、私はこんな環境の中にいて、本当に恵まれていると思う。幸せだと思う。
野月七段とは、一昨年11月に行われた「蕨市制50年記念将棋大会」でお目にかかって以来だ。実質初対面なので、ちょっと緊張する。野月七段の口グセは「死ね」で、いままでに何人もの同僚を「殺して」いる。私の愚行を聞いたら、顔をしかめて、即「死ね」だろう。
まずは挨拶がわりに、野月七段の著書について、いくつか質問をする。野月七段はねっちょりした話し方をするイメージがあったのだが、実際は言語明瞭、回答は明快だ。貴重な裏話が聞けて、有意義だった。
その野月七段はスマートフォンの伝道師らしく、「これからはスマホの時代」と、みんなに熱弁をふるう。きょうは中井女流六段にスマホを買わせたらしく、中井女流六段が、それと思しきスマホを首から下げていた。ちなみに前日は、植山七段にスマホを買わせたらしい。
そういえば植山七段は、きのうの飲み会で、スマホをゴソゴソいじっていた。
野月七段のきょうのターゲットはW氏で、彼にも買い替えを勧めていた。ただ閉口したのはそれがこちらにも飛び火したことで、それでなくても、みんなが私にケータイを買わせたがっている。とくに植山七段、中井女流六段、W氏が熱心だ。
「オレはケータイいらない。なくても不便じゃないから」
私は強く拒絶する。
「大沢さんがいらなくても、周りが不便なんだよ。連絡を取りたくても取れねーし」
W氏が言う。
「そっちが必要でも、こっちはいらない」
「まったく。去年かおととしだかの社団戦でも、打ち上げ会場に行くときに大沢さんに連絡が取れなくて大変だったんだから。頼むから買ってくれよ」
「そうだよ」
植山七段も加勢する。
「いや私は、プロの先生とメル友になるのはお断りですから。畏れ多いです。それにケータイは彼女に勧められたときでさえ買わなかったんだから、いま買ったら方針が一貫しない」
「そんなこと言ってる場合かよ。あのね大沢さん、昔はいらなかったかもしれないけど、いまは時代が違うんだよ。ケータイは生活に欠かせないものになってる。ケータイだってもっと早く買ってたら、彼女とは違った展開になってたはずだよ」
W氏は熱心だ。
「それはそうだったと思う。あれはオレがバカだった」
「だろ? 26日にAyakoさんと会うのに、ケータイ持ってなきゃヤバイだろ」
「メールならPCがある」
「PCじゃダメなんだなー。24時間送信できない。電話もできない。仮に彼女とメアド交換してたって、PCじゃダメだったと思うよ。とにかく26日までに買おう!」
野月七段らもうんうんと頷いている。野月七段はさっき、近くのケータイ販売店へ行って、パンフレットを貰ってきていた。何という行動力だろう。
「スマホはいくらぐらいするんですか」
W氏が野月七段に聞く。
「この機種だとだいたい○万円だけど、2年契約だと毎月割引してくれるんで、実質タダ、もしくは○万円くらいになる。買い換えより新規のほうがもっと安いよ」
野月七段は立て板に水のごとくしゃべる。あんたは営業マンか。
これはいよいよ、私もケータイ、いやスマホデビューをするしかないのだろうか。W氏は、本気で買わそうとしている。私も今度ばかりは、陥落しそうな予感がした。
(つづく)
これでシード権を失った矢内女流四段は来期、初の公開予選対局に臨むことになった。もっとも、私は観に行かないけれども。フン!
(前日のつづき)
放課後の食事は、近所の海鮮居酒屋で摂ることになった。参加者は大野八一雄七段、W氏、Mi氏に私。Kun、His、Honの各氏は参加しなかった。きょうはここに植山悦行七段、中井広恵女流六段も合流することになっている。今回はさらにスペシャルゲストとして、野月浩貴七段も参加するとのことだった。
店内は満員。しかし15分ほど待って、席に着くことができた。
ほどなくして、先の3人が現れた。ここで例によって、席の配置を記す。
野月 植山 中井 Mi
テーブル 壁
大野 一公 W
棋士が何人来ようが、私がテーブルの中央「王将席」に座る。私の向かいは中井女流六段で、これはいつものとおり。別に意識したわけではないが、なぜかそうなる。私も、正面に中井女流六段が座らないと、落ち着かなくなってしまった。
その中井女流六段とは今月に入って、すでに5回目の対面となる。まだ17日だから、けっこうな頻度だ。それも12日の「LPSAマンデーレッスンS」をカウントしないでの数字である。
以前も書いたが、私が沖縄から帰京してから、中井女流六段には迷惑の掛けっぱなしだ。一般の将棋ファンで、これほど中井女流六段に愚痴をこぼした人はいないだろう。あれは身を切られるように残念なことだったが、私はこんな環境の中にいて、本当に恵まれていると思う。幸せだと思う。
野月七段とは、一昨年11月に行われた「蕨市制50年記念将棋大会」でお目にかかって以来だ。実質初対面なので、ちょっと緊張する。野月七段の口グセは「死ね」で、いままでに何人もの同僚を「殺して」いる。私の愚行を聞いたら、顔をしかめて、即「死ね」だろう。
まずは挨拶がわりに、野月七段の著書について、いくつか質問をする。野月七段はねっちょりした話し方をするイメージがあったのだが、実際は言語明瞭、回答は明快だ。貴重な裏話が聞けて、有意義だった。
その野月七段はスマートフォンの伝道師らしく、「これからはスマホの時代」と、みんなに熱弁をふるう。きょうは中井女流六段にスマホを買わせたらしく、中井女流六段が、それと思しきスマホを首から下げていた。ちなみに前日は、植山七段にスマホを買わせたらしい。
そういえば植山七段は、きのうの飲み会で、スマホをゴソゴソいじっていた。
野月七段のきょうのターゲットはW氏で、彼にも買い替えを勧めていた。ただ閉口したのはそれがこちらにも飛び火したことで、それでなくても、みんなが私にケータイを買わせたがっている。とくに植山七段、中井女流六段、W氏が熱心だ。
「オレはケータイいらない。なくても不便じゃないから」
私は強く拒絶する。
「大沢さんがいらなくても、周りが不便なんだよ。連絡を取りたくても取れねーし」
W氏が言う。
「そっちが必要でも、こっちはいらない」
「まったく。去年かおととしだかの社団戦でも、打ち上げ会場に行くときに大沢さんに連絡が取れなくて大変だったんだから。頼むから買ってくれよ」
「そうだよ」
植山七段も加勢する。
「いや私は、プロの先生とメル友になるのはお断りですから。畏れ多いです。それにケータイは彼女に勧められたときでさえ買わなかったんだから、いま買ったら方針が一貫しない」
「そんなこと言ってる場合かよ。あのね大沢さん、昔はいらなかったかもしれないけど、いまは時代が違うんだよ。ケータイは生活に欠かせないものになってる。ケータイだってもっと早く買ってたら、彼女とは違った展開になってたはずだよ」
W氏は熱心だ。
「それはそうだったと思う。あれはオレがバカだった」
「だろ? 26日にAyakoさんと会うのに、ケータイ持ってなきゃヤバイだろ」
「メールならPCがある」
「PCじゃダメなんだなー。24時間送信できない。電話もできない。仮に彼女とメアド交換してたって、PCじゃダメだったと思うよ。とにかく26日までに買おう!」
野月七段らもうんうんと頷いている。野月七段はさっき、近くのケータイ販売店へ行って、パンフレットを貰ってきていた。何という行動力だろう。
「スマホはいくらぐらいするんですか」
W氏が野月七段に聞く。
「この機種だとだいたい○万円だけど、2年契約だと毎月割引してくれるんで、実質タダ、もしくは○万円くらいになる。買い換えより新規のほうがもっと安いよ」
野月七段は立て板に水のごとくしゃべる。あんたは営業マンか。
これはいよいよ、私もケータイ、いやスマホデビューをするしかないのだろうか。W氏は、本気で買わそうとしている。私も今度ばかりは、陥落しそうな予感がした。
(つづく)