一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

桐山九段、現役引退

2022-04-30 23:07:02 | 男性棋士
4月27日、桐山清澄九段の現役最後の対局が行われ、現役生活にピリオドが打たれた。
最終局は惜しくも敗れ、通算996勝でフィニッシュ(歴代10位)。1000勝に届かなかったのは我がことのように残念だが、4勝足りないところが桐山九段らしい、ともいえる。
その桐山九段の代表局はどれだろう。私は、桐山九段の初タイトルとなった第10期棋王戦第4局(1985年3月22日)を挙げたい。
田中寅彦八段に勝って棋王戦五番勝負初登場となった桐山九段。当時の棋王は米長邦雄永世棋聖で、4連覇中だった。このころ、米長棋王と大山康晴会長との間でちょっとしたやり取りがあった。通算5期の棋王を手にした米長棋王は、ウソかホントか分からぬが、大山会長に「永世棋王」を直訴したらしい。
しかし大山会長が首をタテに振るはずもない。だが代替案として「連続5期で永世棋王」を提示した。これなら米長棋王ももう1期棋王を獲ればよい。いい落としどころだったと思う。
桐山九段にとって米長棋王は最強の敵だった。それまで28局戦って7勝21敗。カモにされていたうえ、当時米長棋王は、十段、棋聖、王将を併せ持つ四冠王。下馬評でも米長棋王の防衛の声が高かった。
第1局は米長棋王が勝ち、やっぱり、となった。
ところが第2局、第3局と桐山九段が勝ち、将棋ファンは「あれっ?」となった。
そして運命の第4局を迎えた。桐山九段の先手で、ひねり飛車。ひねり飛車というのは不思議な戦法で、居飛車に分類されるが部分的に石田流の形で、玉形も片美濃囲いに似ているから、振り飛車の味がある。しかし純粋居飛車党の加藤一二三九段が愛用し、高い勝率を挙げていた。結局、棋士はどんな将棋も指せるのだ。
将棋は桐山九段がひねり飛車らしい捌きを見せたが、米長棋王も反撃し、第1図の△7七歩が痛打。

これに▲8八金は△8五飛なので先手が困ったようだが、じっと▲9一とが好手。桐山九段は、忙しいときに緩そうな手を指し、それが後で利いてくるところがある。いぶし銀といわれるゆえんである。
実戦は▲9一と以下、△5五角▲3七桂△7八歩成▲3五香△3三桂▲5四歩△同金▲3四桂(第2図)と進み、桐山九段の面白い形勢になった。

この後も形勢不明の局面が続いたが、最後は179手目▲7五馬(投了図)まで、桐山九段の勝ち。うれしい初タイトルとなった。同時に、この年の将棋大賞では、殊勲賞を受賞した。

この奪取がフロックでなかったことは、桐山九段がこの翌年、米長棋聖から棋聖を奪取したことからも分かる。
通算996勝、順位戦A級14期、名人戦などタイトル戦登場10回、棋聖3期、棋王1期。弟子に豊島将之九段。素晴らしい現役生活だったのではなかろうか。桐山先生、お疲れさまでした。
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第33期女流王位戦第1局

2022-04-29 00:30:25 | 女流棋戦
27日は第33期女流王位戦第1局が行われた。里見香奈女流王位に西山朋佳白玲・女王が挑戦する形で、現在進行中の第15期マイナビ女子オープンとは逆の立場だ。
里見女流王位は昨年、西山女流二冠から女流王座と女流王将を奪取したのに、加藤桃子女流三段に清麗、伊藤沙恵女流三段に女流名人を奪われてしまった。これは想定外だっただろう。
西山女流二冠は女流棋士2年目だが、昨年のいまごろは三冠王だった。そこから女流王座と女流王将を取られるとは、自身の青写真にはなかっただろう。
しかも奪取者の里見女流王位が他者に清麗と女流名人を手渡すとは、西山女流二冠としては納得がいかなかったと思う。
マイナビ女子オープンは現在1勝1敗。女流棋界では実力が抜きん出ているふたり、ダブルタイトル戦は宿命みたいなもので、どっちにしても勝つしかない。
女流王位戦は西山女流二冠の先手で、相三間飛車となった。西山女流二冠は里見女流王位の飛車の位置次第で居飛車に戻すこともあるが、本局はこの筋で戦っていくようだ。
将棋は持久戦になり、戦っているうちに双方右矢倉になった。
ここからじっくりした戦いになったが、91手目▲6五桂(第1図)が気持ちいい桂ハネ。左桂がこう捌ければ、先手に不満はない。

第1図から△6五同金▲同銀△5七歩成は、▲5三角成で先手の攻めが一手早いのだろう。
よって里見女流王位は△5五飛と浮いたが、そこで▲6三歩が玄妙な一手。△同金引とさせて損をしているようだがそこはそれ、深い読みがあるに違いない。
そこからも見応えのある攻防が展開されたが、109手目▲5七銀(第2図)が手堅い受け。西山女流二冠くらいの剛の者になると、受けも「鋼鉄」の気がする。

将棋はさらに難解度を増し、一手指した方がよく見える展開。実際、そうだったと思う。
そんな207手目、▲6八金(第3図)がまた最強の一手。これに△3六馬は▲3七香があるから、これで馬が詰んでいる。

よって里見女流王位は△3七歩と攻めたが、西山女流二冠は▲5八金と馬を取り、まだ難しいながら、先手が一息ついた形となった。
最後は西山玉が敵陣に抜け出し、入玉確定。対して里見玉は△8二のうえ駒数も足りず、潔く投了となった。
総手数239手は、女流タイトル戦の最長手数とのこと。両者の負けたくない思いが出た、アツい一局だった。
さてこれで両者の対戦成績は、里見女流王位14勝、西山女流二冠16勝となった。マイナビ女子オープンとの絡みもあり、今後の星の予想はまったく立たない。ただ、一局でも多くふたりの対戦を見たいと思う。
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第2期女流順位戦D級5回戦の結果

2022-04-28 13:17:25 | 女流棋戦
きょうの読売新聞「アンテナ」欄で、放送作家の松田健次氏がNHKの「将棋フォーカス」を取り上げ、ベタ褒めしていた。同欄が将棋を取り上げることは珍しく、というかたぶん初めて。そして最後だと思うが、時代は変わったとつくづく思う。
確かに今年4月からの将棋フォーカスは大幅リニューアルしていて、コーナーが細分化された。飽きっぽい人はチャンネルを変えずに楽しめると思う。


第2期女流順位戦D級5回戦は27日に行われた。では、結果を記しておこう。
カッコ内は5回戦の対戦相手、○数字は開幕前の順位、段位の後の※はLPSA所属である。

◎昇級4名、降級点5名
■5勝0敗
⑧加藤結李愛女流初段(○長谷川)
■4勝1敗
②中村桃子女流二段(□山口絵)
⑤山口恵梨子女流二段(○大島)
⑦高浜愛子女流1級(○中倉)
⑳水町みゆ女流初段(○飯野)
㉗田中沙紀女流2級※(○北尾)
■3勝2敗
⑨上川香織女流二段※(○脇田)
㉑貞升南女流二段(○相川)
㉔内山あや女流1級(●渡辺)
㉕山口稀良莉女流1級(○石高)
■2勝3敗
①堀彩乃女流1級※(○長沢)
③島井咲緒里女流二段※(○斎田)
④飯野愛女流初段(●水町)
⑪相川春香女流初段(●貞升)
⑬長沢千和子女流四段(●堀)
⑭斎田晴子女流五段(●島井)
⑮山口絵美菜さん(■中村)
⑯渡辺弥生女流初段(○内山)
⑰長谷川優貴女流二段(●加藤)
⑱山口仁子梨女流2級(○安食)
⑲中倉宏美女流二段※(●高浜)
㉓安食総子女流初段(●山口仁)
㉖大島綾華女流初段(●山口恵)
■1勝4敗
⑫脇田菜々子女流初段(●上川)
㉒北尾まどか女流二段(●田中)
■0勝5敗
⑩石高澄恵女流二段(●山口稀)
■休場
⑥井道千尋女流二段

加藤女流初段が星を伸ばし唯一の5連勝。マジック2で、もう昇級はキマリだ。
中村女流二段は不戦勝、山口恵梨子女流二段は勝って星を伸ばした。
順位最下位の田中女流2級も斎田女流五段に勝ち、4勝目。現在6位だが、今後上位陣に星の潰し合いがあるのと、7回戦に中村女流二段戦がある関係で、ついに自力になった。
リーグ戦は対戦相手が決まっているのが強み。残り3局、対戦相手を徹底的に研究して、とにかく勝つしかない。
D級もC級と同じく星が熾烈で、2勝3敗者が13名もいる。こちらも順位の差で、昇級と降級点が決まりそうである。
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第2期女流順位戦C級5回戦の結果

2022-04-27 00:34:38 | 女流棋戦
第2期女流順位戦C級5回戦は25日に行われた。では、結果を記しておこう。
カッコ内は5回戦の対戦相手、○数字は開幕前の順位、段位の後の※はLPSA所属である。

【5勝0敗】
⑦室田伊緒女流二段(○室谷)
【4勝1敗】
②野原未蘭女流初段(○中澤)
⑪山田久美女流四段(○本田)
【3勝2敗】
①室谷由紀女流三段(●室田)
④本田小百合女流三段(●山田)
⑤和田あき女流初段(○竹部)
⑥清水市代女流七段(●藤田)
⑨藤井奈々女流初段(●矢内)
⑬頼本奈菜女流初段(○村田)
⑯藤田綾女流二段(○清水)
⑱礒谷真帆女流初段※(○和田は)
【2勝3敗】
⑰中澤沙耶女流初段(●野原)
⑲船戸陽子女流三段※(○川又)
⑳村田智穂女流二段(●竹部)
【1勝4敗】
⑧竹部さゆり女流四段(●和田あ)
⑩矢内理絵子女流五段(○藤井)
⑫川又咲紀女流初段(●船戸)
【0勝5敗】
⑮和田はな女流1級(●礒谷)
【休場】
③宮宗紫野女流二段
⑭カロリーナ・ステチェンスカ女流初段

室谷女流三段VS室田女流二段の新婚同士の一戦は室田女流二段が勝ち、一歩抜け出した。室田女流二段は残り3局を2勝1敗で昇級だ。
野原女流初段は中澤女流初段に勝ち、星を伸ばした。6回戦以降は星のつぶし合いと順位の関係で、こちらも残り2勝1敗で昇級である。
本田女流三段は山田女流四段に屈し、一歩後退。山田女流四段は貴重な4勝目で、競争相手が相次いで倒れたこともあり、自力になった。
ビックリしたのが藤田女流二段で、清水女流七段に勝った。藤田女流二段には一発がある。ダテにNHK杯の司会を長く務めていたわけではないのだ。
反対に清水女流七段は、昇級に黄信号が灯った。C級の格ではないだけに、意外な展開となった。
和田はな女流1級は初日が出ず、苦しんでいる。ひとつ勝てば流れが変わりそうだが……。
C級も実力伯仲で激戦だが、8回戦までしかないのが残念。たぶん順位の差で昇降級が決まる感じで、10回戦まであればハッキリした結果になるだろうに、惜しい。
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将棋ペンクラブ関東交流会、5月22日(日)に開催!!

2022-04-26 00:12:46 | 将棋ペンクラブ
将棋ペンクラブでは3年振りに、関東交流会を行う。24日(日)に詳細が発表されたので、ここでも紹介する。

日時:5月22日(日)12:30~18:00(入場は12:00を予定)
場所:御徒町将棋センター(東京都台東区3-21-10 宝島ビル5階)
参加費:2,000円、指導対局は1局1,000円。
参加棋士:渡辺和史五段、加藤結李愛女流初段、堀彩乃女流1級

ここから細かい事項である。このご時世ゆえ、ここでも参加人数の上限があり、50名(予定)である。
申し込みは将棋ペンクラブのサイトから行う。申し込み締め切りは5月8日(日)。
50名を越えると抽選になるが、将棋ペンクラブ会員を優先するとのこと。なお抽選に関係なく、申し込みの結果が5月11日(水)に、メールで知らされる。
当日の内容は、交流将棋会が主となる。あらためて、参加費は2,000円。以前は会員でも3,500円だったから、だいぶリーズナブルになった。これは、館内での食事が不可になり、昼の軽食提供、夕方からの懇親会がなくなったためと考えられる。ただ軽食はともかく、懇親会がなくなったのは痛い。
指導対局は1,000円がかかるようになったが、むかしは指導対局ナシでも3局でも同額(実質無料)だったから、これは実情に見合った改定といえる。
交流会内のイベントとしては、例年どおり、バトルロイヤル風間氏の「似顔絵コーナー」がある。ただしこれも人数制限がある。
将棋会の最後には、成績優秀者の表彰や自己紹介がある。たぶん参加者には、レア色紙か棋書がもれなくもらえると思う。つまり、2,000円の元は取れる。
今回は昼始まりとなるので、参加の暁には、事前に食事を摂ることになる。
ただどうであろう、以前もうすうす感じたが、将棋を指すだけだったら、町の道場で指せばよい。将棋連盟で指したころは、棋士が対局している部屋で指せるから楽しかった、棋士がふらっと遊びに来てくれるから楽しかった、ということはあった。
場所を提供してくださる御徒町将棋センター様には申し訳ないけれど、むかしほどの魅力は感じないのである。
私はさて、申し込むかどうか思案中である。ヒトを押しのけてまで参加しようとは思わないからだが、そのいっぽうで、50名の応募がない気もするのだ。
ただ、もうホント、この1年はほとんど他者(知人)との接触がなかったので、このあたりで知人と旧交を温めたい気持ちはある。

   ◇

ついでだから書いてしまうが、4月30日(土)は下北沢で「シモキタ名人戦」がある。しかし私は諸般の事情があり、お邪魔できない。
また、玉川高島屋での「花みず木女流棋士オープン戦」は今年もないみたいだが、もし29日あたりにあったとしても、同様の理由で、やはりお邪魔できない。
また5月には博多どんたくが完全な形で復活するが、これもまた同様の理由で、現地に行けない。まったく、どこにも行けないのである。文字通り、断腸の思いである。
こんな生活はバカバカしくてやってられないから、というか、これでは何を楽しみに生きているのか分からないから、こんな生活はあと1、2年で止めようと思っている。もう、精神的にもたない。
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