一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

沖縄旅行2013・17「ラストチャンス」

2013-09-30 22:20:24 | 旅行記・沖縄編
また雨が降ってきた。今旅行、4回目である。
さっきまで快晴だったのに、なんなんだこれは…。なんだか神様にバカにされているような気がして、私はユーグレナモールに行く気力が失せてしまった。
アクビ娘(ハクション大魔王)のTシャツは買えないが、この前ぶらぶらしたときは、その店もなかった気がする。
それになんだかもう、疲れた。ちょっと早いが、空港に向かっちゃおう、と思った。
私は石垣バスターミナルに駆け込む。今年から、路線バスは石垣港ターミナル前を経由するようになったが、こういうのは始発から乗るのがスジである。
窓口にて、普通回数券を買う。ここ数年はフリーパスの類を使っていたので、久しぶりの購入だ。1,000円で、100円券×5枚、50円券×10枚、10円券×10枚が付き、全部使うと100円得することになる。新石垣空港には520円かかるから、モトを取るには、次も石垣島に訪れなければならない。仮にそれが叶わなくなっても、東運輸に寄付したと思えばよい。
よく分からぬが、空港までの臨時特急が出ていた。16時45分のバスに乗り、発車。いよいよこれで、石垣港周辺ともお別れである。
あっ、と思った。アクビ娘のTシャツは、2年前に訪れたとき、Tシャツ専門店の一隅にあったことを思い出した。
次のバス停で降りればいいが、なんか、面倒臭い。そのまま乗ることにする。
新石垣空港には17時18分に着いた。乗車時間33分は、まずまずである。しかし、旧空港のときは15分で着いた。現状では、空港利用客は新空港の恩恵にあずかっていない。新空港-バスターミナル間は、30分は切ってほしいところだ。
新石垣空港も、雨だった。行きも帰りも雨とは、何の因果か。
空港内には、土産物屋が充実していた。ここにアクビちゃんTシャツがあることを期待したが、どこを探してもない。まあ、そうであろう。
「海人×キティちゃん」のTシャツがあったが、これは適当なサイズがない。しかし「海人」なら、石垣港ターミナルの真ン前に専門店があった。バスに乗る前、ここだけでも覗いておけばよかった…。
出発まで1時間以上もあるが、もうどうすることもできない。私はボーッとして、時間を潰した。
ANA1782便・新石垣空港18時45分発の那覇行きに乗る。那覇空港には定刻15分遅れの19時50分に着いた。
羽田行きには、そのまま搭乗口で待てばいいのだが、私はいったん表へ出る。空港内の土産物屋で、再度アクビちゃんTシャツを求めるためである。しかしここも、アクビちゃんはなかった。海人Tシャツも、やはり適当なサイズがなかった。
私は項垂れて、再度手荷物検査場を抜ける。と、私が乗るべき便に放送があった。乗客が定員オーバーになりそうですが、席を譲っていただく方はおられないでしょうか、という例のあれである。
しかし今回は、その振替便が、あすの11時30分だった。ANAはその前に1本あったはずだから、これは本当に乗客が満杯なのではあるまいか。
謝礼は破格?の2万円である。幸か不幸か私は自宅勤務なので、翌日の仕事はいかようにも調整できる。私はカウンターに協力の意志ありの旨を申し出た。
2万円なら、片道をほぼ無料で行ける計算になる。最後の最後で、最高のチャンスが訪れた。
羽田行き138便は20時50分発。しかし機材の遅れで、21時10分の出発になった。が、これは乗客過多による不可抗力で、羽田に着いてからの公共交通機関については、責任は持ちません、のアナウンスが入る。その口調がやや冷たく、あまりいい感じはしなかった。
まあそれはいいとして、気になるのは「協力者募集」の件である。
しかし…。飛行機は何事もなく、客を搭乗させた。我が目論見、またも崩れ去ったのであった。
土産物屋になんか行かず、もっと早くに協力者として申し出ればあるいは…とも思うが、結果論であろう。当日中に東京に帰れることを素直によろこぶべきだ。
飛行機は定刻を相当遅れて離陸した。機内のスッチー(客室乗務員)はまずまずである。
あとの楽しみは、機内でハーゲンダッツアイスクリームを食すことだ。沖縄便には、マンゴー味のそれが売られている。行きのときのような緊張感もなく、私はスッチーに声を掛けることができた。
ところがスッチーは、マンゴーアイスは当便にはないという。そんなバカな、これは沖縄便でしょ? と返すと、スッチーは誤りを認めた。どこかの便と勘違いしたのであろう。
ようやくアイスが来たが、さっきのスッチーではなかった。ああ、そういうことになってしまうのか…。
マンゴー味を美味しくいただくと、いよいよ最後のミッションである。機内販売だ。8歳のめいにはピンクのバッグを。5歳のおいには飛行機のミニチュアを贈りたい。ただしそれは、機内一の美人スッチーから買いたい。
そのスッチーが、販売商品を抱えて、まわり始めた。彼女がようやく、私の近くに来る。私はドキドキしながら、右手を上げた。
(おわり)

以上、9月7日に記したとおり、あす以降はブログの更新を停止します。思いのほか続行の要望があったのでアレですが、とにかくしばらく休みます。
「角館の美女」、女流棋士との○○を賭けた勝負、LPSA芝浦サロンでの指導対局紹介、似ているシリーズなど、書き残したネタが数多くあります。それは必ず完結させたいと思っています。では、また。
コメント (16)
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沖縄旅行2013・16「満席の店」

2013-09-29 21:37:01 | 旅行記・沖縄編
岩場から砂浜に至る通りに、階段が設置されていた。手すりつきの、本格的なヤツである。
仲本海岸は、人の手があまり加えられていないところが魅力だったので、これはどうか、というところもあるが、転倒の危険は軽減されたわけで、そこは評価したい。
天気がいいので、海が綺麗だ。沖の中途に、リーフが見える。潮が引いている時は、ここを歩くことができる。しかし海は、これから満ちてくるようだ。
バスタオルを腰に巻いて砂浜を即席脱衣場とし、海水パンツを履いて、海に入る。時刻は12時を過ぎており、遊泳はあと2時間足らずとなっているから、無駄な行動は許されない。
水中は岩場のサンゴが綺麗だ。しかし仲本海岸、惜しむらくは潮の流れが早い。私も、軽く流されかかったことがある。そのときは本気を出して泳ぎ岸に着いたが、あまり気持ちのいいものではなかった。
さらに書けば、意外に海が深い。いままで浅い所にいたのにいきなり深くなったりして、戸惑うことがある。
さらにさらに書けば、魚がやや凶暴だ。ここは数年前まで「餌づけゾーン」があり、そこでは海水浴客が魚肉ソーセージをやったりしていた。
ところが、生態系を壊すことを懸念したか、町が禁止の措置を取った(と記憶する)。しかし収まらないのが「魚」で、いつも餌をもらっていたから、人間に逆ギレ?して、攻撃してきた。ある年私は右足中指の爪を食われ、大変な目に遭ったものだった。
…といろいろ書いたが、悪条件はあるものの、そろそろと泳いでいれば、楽しめることはたしかだ。なんといっても八重山の海である。眺めているだけでも、十分癒される。
午後1時45分になった。名残惜しいが、浜に上がる。
ここ仲本海岸は、無料のシャワー施設があり、男女合わせて4室ある。近くに軽食を販売しているプレハブ小屋があるから、町がその気になれば、そこの販売員に代行してもらって、シャワー料を徴収することもできる。が、そうしないのが町の良心である。
遊泳時間が決まっていたので、同じ時間に海から上がる人も多く、結果、今年はシャワー待ちがあったが、とくに問題はなかった。
さっぱりして、「パームツリー」へ向かう。パームツリーは本土出身者が数年前に開店させた軽食喫茶だ。それまでは島内にしゃれた店がなく、この店の出現はうれしかった。
店内に客はいなかった。私は入口近くの、2人用テーブルの席に着く。ここが私の定番席である。ゴーヤとベーコンのスパゲッティ(大盛り)と、アイスコーヒーを頼んだ。
と、4人連れの家族が入店した。カップル1組、男性1人。さらにカップル1組…。次々と入店し、店内はたちまち満員になってしまった。私とほぼ同時に海を出た人たちだろうか。妙にタイミングが合っている。
しかし、彼らは自転車を使っているし、何もここに入らなくても、と思う。ほかにも店はあるのだが、まあ、オシャレな店に入りたくなるのは人情であろう。
スパゲッティはあつあつで、味もしっかりしていて、美味かった。
ただ、アイスコーヒーがいつまで経ってもこない。私は店内の混み具合に敏感なほうで、外で待ち人を確認したりすると、もうダメである。すぐに店を出たくなってしまう。
きょうはまだ順番待ちはないが、誰か来たらオワリである。私は厨房に行くが、ただひとりで切り盛りしているおねえさんは、調理の真っ最中だ。私はアイスコーヒーをキャンセルして、店を出た。
黒島といえば、黒島小中学校の近くにある黒島展望台も見ておきたいところである。しかし島内の地図を所持していないので、港への道の、どこで右折していいか分からない。
石垣への高速船は、16時00分。これが東京に向かう「最終便」で、乗り遅れは許されない。私は港の近くまで来て内陸部に入ったが、これは展望台への道ではないようだ。無理をせず、途中で引き返した。
黒島港に着く。ここは味のある待合室があり、まあその建物はいまもあるのだが、数年前、新しい待合室が増設された。
売店は旧待合室にある。冷水機も健在で、私はそこで、喉をうるおした。ここではブルーシールアイスが売られていたが、今年はそれはなかった。かき氷の「サクレレモン」を買う。120円は、八重山では良心的な値段である。
新待合室で、サクレレモンを頬張る。これがこよなく美味い! 腹にに沁み渡った。
行きと同じ第18あんえい号に乗った。これが最後の八重山の海かと思うと、感傷的になる。誰かからスマホに電話が入る。これが将棋ペンクラブのA氏からで、聞くと、私(一公)が意味不明のメールを送ったから、心配になって、連絡をしたというのだ。
見ると、確かに私が、A氏にメールを送っていた。メール画面にしたまま尻のポケットに入れたら、尻が勝手にタップして、送信してしまったらしい。
A氏には丁重に謝っておく。それにしても、東京から八重山の海上に電話が来るとは、改めて、恐ろしい世界になったものだ。
16時35分、あんえい号は石垣港に着いた。
新石垣空港からの那覇行きは、18時45分発である。空港への連絡バスは、通常の空港線と、ホテル経由の線があり、これも準急便があるから、なにがなんだか、よく分からない。ただ、最低でもこの地で、あと30分の余裕はあった。
私はこの間にユーグレナモールに行き、おいとめいへのお土産「アクビちゃん(ハクション大魔王)Tシャツ」を買うつもりである。
が、ターミナルに出て、その気分が萎えることが起こった。
(つづく)
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沖縄旅行2013・15「竹富島の宿に満足」

2013-09-28 21:06:34 | 旅行記・沖縄編
明けて8月18日(日)。いよいよ沖縄最終日である。
同室の彼とは、結局一言も交わさなかった。こちらから話しかけることもないと思ったからそうしたし、彼もそんな感じだったから、そういうことになった。
食堂に降りて、朝食である。この朝食も品数が多く豪華で、我が家なら昼食…いや夕食に相当した。
前も書いたが、白飯のお代わりが自由、というのがよい。宿によっては白飯の量が決まっていて、お代わりをしようと思ったらご飯がなく、バツの悪い思いをする、というケースもある。いっぱいご飯をどうぞ、というYHの心意気がよい。朝食も美味しくいただいた。
石垣へ行く高速船は、朝が7時45分からで、30分ヘッドである。きょうは黒島へ行くつもりだが、ちょっと竹富島の観光もしたいところである。
私は首からカメラを提げ、島内をぶらぶらする。パーラーぱいぬ島は、まだ開店前だった。まあ、そうであろう。ここは来年以降のお楽しみだ。
なごみの塔には先客がいたので、パスする。
西桟橋に着くと、先客のカップルが何組かいた。今朝は天気もよく、海の色がエメラルドブルーだ。
桟橋の突端で佇んでいると、2組きた。きょうこそ本当にカメラマン役をやらされそうなので、私は早々に退散する。
そのままコンドイビーチに向かったら黒島に行けなくなるので、いま来た道を引き返す。
前の道を、水牛車が横切る。いうまでもないが、うしろの貨車に観光客が乗っており、竹富島では有名な光景である。私もかつて楽しんだことがあるが、いまはおカネを出してまで乗る気はしない。
なごみの塔に戻ると、タイミングよく客が途切れていた。私はスタスタ登る。ここは階段の角度が急なので、ゆるゆると登っていると、恐怖感が増してしまうのだ。
「展望台」からの眺めは最高だった。竹富島では新築の家を建てるとき、周りの景観に交わるようなデザインが求められる。高層の家も建てられないそうで、そうした配慮が、この景色を造っているともいえる。それにより私たちは、昔と変わらぬ景観を愉しむことができるのだ。
YHに戻ると、スタッフが朝食中だった。私は挨拶してチェックアウトしようとしたが、スタッフの女性が「歩いて(港まで)行くんですか?」と目を剥く。
港までの距離だったら、私には十分に徒歩圏内なのだが、島の感覚では、「港まではクルマ」らしい。
私はお言葉に甘える。しばらくして、宿のクルマに乗せてもらい、港に着く。YHからクルマで送ってもらったのは初めてだが、しばらく来ない間に、ホステラーへのサービスがずいぶん充実した感じだった。高那旅館YH、いい宿だった。
石垣島へは、10時15分の高速船で戻る。出発が8分遅れ、石垣島に着いたのは10時35分だった。
私は安栄観光のカウンターに向かう。カウンターで黒島往復のチケットを求めると、係の女性が、
「きょうの仲本海岸は、遊泳が午後2時までになっております」
といった。
こんな枷は初めてだが、これも6月の死亡事故を受けてのものだろう。こんなことなら早くから黒島に入っておけばよかったと後悔したが、泳げるだけでも儲けもの、と気分を切り換えなければならない。私はもちろん許諾した。
アイランドホッピングキップには、行程を記す欄があるのだが、それが7列では埋まらなくなり、新たに紙が貼られた。
ちなみに黒島往復は、2,150円。いままで利用した高速便をふつうに買えば、鳩間島4,390円、小浜島1,960円、竹富島1,110円だから、今回の企画キップでは、5,110円もトクをした計算になる。ありがたいことである。
安栄観光・第18あんえい号は11時00分発を4分遅れて出航し、黒島には11時34分に着いた。
黒島にも、レンタサイクルがある。むかしは海岸まで乗合バスが通じていたが、数年前に廃止になった。当時は片道300円・往復で600円だったが、観光客にレンタサイクルを使わせれば、1時間200円としても、3時間でバスと同額になる。レンタサイクルは運転手もいらないし、ガソリン代、税金等もかからず、初期費用も安くて済む。店舗の営業がクルマからレンタサイクルに代わるのも、やむを得ないことだった。
私は徒歩で海岸に向かう。もちろん自転車を借りる手はあるのだが、あれは泳いでいる最中も課金されていくのが気に食わない。
歩道は綺麗に舗装されている。両側は牧場で、黒牛が草を食んでいる。身が締まって、美味しそうだ。
だいぶ歩いて、軽食喫茶「パームツリー」に着いた。ここは帰りに寄るつもりである。
なにぶんにも時間がないので、黒島研究所、黒島ビジターセンターには寄らず、仲本海岸を目指す。以前は黒島研究所でライフジャケットを無料で借りられたが(私は借りたことがないが)、いまはどうなっているのだろう。
仲本海岸に着いた。…あれっ!? ああっ!! す、砂浜に…!!
(つづく)
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沖縄旅行2013・14「迷子になる」

2013-09-27 00:34:50 | 旅行記・沖縄編
相川先生、きのうの将棋、▲6二歩~▲8一とって、何ですか? 4手もかけて桂を取ることが本筋ですか?
と、こんなことを書くと、「その場にいないヘボアマチュアが、プロの指し手を非難するんじゃないっ!!」とか文句を言う人がいますけど、こんな手を見せられちゃ、一言言いたくなりますよ。
相川先生、これから相当努力しないと、ヤバイですよ。

(きのうのつづき)
石垣港には、16時02分に着いた。定刻より3分早いが、早ければ早いほどよい。このあとの予定も詰まっているからだ。私はカウンターで、竹富往復のチケットを発券してもらう。そう、きょうは竹富島で一泊する。かなり久しぶりだ。
16時30分発の高速船に乗る。列車の乗り継ぎのごとく忙しないが、それはそれで楽しいものだ。竹富島へは、順調なら最短10分で着くが、今回は少し時間がかかって、竹富着は16時46分だった。
私は集落に向かう。もちろん徒歩である。10分ほど歩くと、集落になる。竹富郵便局があるが、沖縄仕様の赤瓦がいい味だ。記念撮影している観光客もいるが、私はもう何度か撮ったので、パス。
その道を隔てたところに、きょうの宿泊地、高那旅館ユースホステルがある。ここのペアレントさんは有名で、むかし、島コショウの紹介で、日本テレビ系「どっちの料理ショー」にVTR出演したこともある。
ここは「旅館」と付いているくらいだから、旅館を併営している。私は受付を済ませると、裏の部屋へ案内された。こちらがYHの部屋である。
2階の一部屋に案内されるが、ひとり分の荷物が置いてある。竹富島は人気がある。相部屋は電話予約のときも言われたし、覚悟のうえだ。
1階の浴室でシャワーを浴び、さっぱりして、散歩に出る。竹富島には、ふわふわのかき氷を食わせてくれる店があり、何度もお邪魔したことがある。店はYHの近くにあるのだが、今回はよく分からなかった。
さらに歩くと、なごみの塔が見えてきた。定員最大2人の展望台は、いまも列を作っている。順番待ちをしてまで登りたくないから、パスする。今年は塔に登ることは叶わぬのだろうか。
YHに戻り、食堂で夕食となる。YHのホステラー(宿泊客)は十数人で、さすがに多い。さすがに人気の島だけあって、外国人女性の姿もある。ちなみに旅館の夕食は、壁を隔てた向こう側である。旅館に泊まっている子供が、こちらの客に興味津々のようだ。
感心したのだが、ここ高那旅館の夕食は、品数が多い。肉、魚、野菜と、バランスよく供されている。「旅館はこれにもう一品付くんですよ」と、常連風の客が、私に言った。白飯もおひつに入り、店の方もどんどん勧めてくれる。これで850円は安い。沖縄のYHの本領発揮であった。
きょうもなかなかにハードな行程で、若干体調はよくないが、時間をかけてゆっくり咀嚼したら、全部平らげることができた。
向かいの女性は少し残したようで、罪悪感が漂ってしまっている。
「こういうのは、残すのがいいんです」
と、私は妙な慰め方?をした。
ちなみに外国人の女性は、タッパーにおかずの残りをいれ、それに白飯も入れた。翌日の食事にするようだ。
さて、夕食後の散歩である。が、表へ出ると、雨が降っていた。今沖縄旅行、3度目の雨である。いい加減勘弁してほしい。
幸い、YHで傘を借りることができ、私はぶらぶらと西に向かう。そうだ、今度こそあのかき氷屋に行かねば。
あれは数年前、石垣島の八洲旅館YHに泊まったとき、やたらと沖縄の情報に詳しいホステラーがいた。そのとき私がこのかき氷屋の話をしたら、彼はこの店を知らなかったらしく、根掘り葉掘り聞いてきたのだが、その聞き方が一種異様で、閉口した覚えがある。
たぶん彼は、沖縄通になるのが無上の幸福だったのだろう。だが知識ばかりあっても、実践を伴わなければなんにもならない。
「あそこのかき氷は美味しいらしい」
より、
「あそこのかき氷はふわふわして美味しい!!」
のほうが、はるかに信頼性があるのは言うまでもない。

YHでもらった島内地図を部屋に忘れてきてしまったのだが、今度はなんとか見つけた。「パーラーぱいぬ島」。おお、そんな名前だった。しかしもう、店は閉まっていた。まあ、そうであろう。こんなことなら、YHに着いてすぐに向かえばよかったのだが、あのときはシャワーを浴びるのを最優先事項にしていたから、やむを得ない。
パーラーぱいぬ島は、来年のお楽しみというところか。
さらに歩くと、とある海岸に着いた。桟橋があり、何組かのカップルがいる。男ひとりは私だけで、おもしろくない。あたりはだいぶ暗くなっているが、まだ水平線は見える。しかし長居は無用だ。あまり佇んでいて、カップルのカメラマン役にされても不愉快である。
私はそのまま、南に下る。コンドイビーチに着いた。竹富島の海の代名詞で、遠浅の海が美しい。しかし陽は暮れ、雨も激しくなり、人っこひとりいない。何だか虚しくなって、ここも早々に離れる。
カイジ浜に着いた。ここは星砂で有名だ。当ブログにも書いたことがあるが、K大学の学生が、ここの星砂を一升瓶いっぱいに詰め込んだものを、宿で自慢していたことがあった。学校の勉強ができても、社会常識のない奴は軽蔑する。
さあ、帰ろう。
いまきた道を戻ればいいのだが、「旅は一筆書きが理想」だから、別の道を選んだら、なんだか道に迷ってしまった。ポッポッと灯りはあるのだが、人がまったくいない。雨脚は激しくなってくるし、心細い。
民家はあるのだが、灯りが消えていて、訪ねることもできない。洒落た沖縄料理の店があったが、そこも訪ねづらく、いよいよ困った。と、向かいからカップルが現われた。集落の位置を教えてもらい、事なきを得る。あんなに嫌っていた?カップルに助けてもらうとは、人生は皮肉だ。
YHに戻るが、庭先ではゆんたくが始まっていた。数年前に泊まったときはゆんたくはしなかったが、いまではこれが定跡化されているのだろうか。
ただ何というか、八重山の思い出作りにムリヤリゆんたくをしている気がして、私は参加する気になれなかった。
私は食堂(兼談話室)に入り、備え付けのさんぴん茶を飲む。インスタントコーヒーもあり、それも無料だ。冷房も効いているし、私はここでいい。表では誰かが三線を弾いていて、あるある~的な、沖縄の夜だ。テレビでは土曜ワイド劇場「拘置所の女医」が始まったので、私はそのまま見始めた。
やがてペアレントさんも来て、やはりテレビを見始めた。しかし私たちは、とくに話さない。それでいいのである。
きょうはこのまま、1日が終わるようである。
(つづく)
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沖縄旅行2013・13「さよなら、小浜島」

2013-09-26 00:08:39 | 旅行記・沖縄編
それは沖縄ドリーム観光の便だった。カーフェリーで、あの小さい船に、クルマが載っていたらしい。ちなみに運行日は月・木・土。きょうは土曜日である。
わがアイランドホッピングパスは、安栄観光と八重山観光フェリーを利用できるから、沖縄ドリーム観光は別料金になる。しかし10時45分の高速船より、確実に早く石垣島に着けるわけで、私は「第3の便」を調べなかったことを、激しく後悔した(注:その後の調べで、このカーフェリーは、西表島・上原港止まりということが判明した。その後鳩間~石垣に戻る行程で、つまり、この船に乗ることは不可だった)。
気を取り直し、10時45分発の八重山観光フェリー・サザンイーグル号に乗る。ついに鳩間島ともお別れである。船内から島恒例の別れの光景が見えて、ちょっとほろっとした。
石垣島には11時31分に着いた。ちょっと早いが、昼飯とする。石垣島の昼食は、石垣市役所の近くにある、日本そば「ひらのや」と決めている。断定はできないが、八重山諸島で唯一の日本そば屋であり、本土に負けない、美味いそばを食わせてくれる。
今年は「冷やし精進セット」(800円)を初めて頼んでみた。冷たいぶっかけそばの上に天ぷらが載り、それにいなり寿司が2つ付く。これで800円はお値打ちである。今年も美味しくいただいた。
続けてA&Wに入り、ルートビアと、フライドポテトを注文する。昼時とあって店内は混んでいたが、何とか座れた。
冷えたルートビアをぐびっと飲む。薬草のような味が、美味いようなマズいような感じだ。とにかくクセになる、不思議な味である。八重山に来たんだな、と、感激を新たにした。
さて、午後の一発目だが、小浜島に行こうと思う。小浜島といえばリゾート施設「はいむるぶし」が対句になっているが、内陸部は観光地もそこそこあり、楽しめる。今回は、どこか静かな海岸でのんびりしようと思った。
12時50分発の八重山観光フェリー・ちゅらさん号に乗る。「ちゅらさん」とは、2001年にNHKで放映された連続ドラマで、小浜島が舞台になった。現在でも小浜島には、ちゅらさんの名前を冠した観光地が多い。
13時17分、「ちゅらさん」は小浜島に着いた。
港からはレンタサイクルがあり、以前も利用したことがあるが、これが1時間250円~300円と、やや高い。そこで今回は、徒歩で回ることにした。
港近くの観光案内所に入る。以前はここで自転車を借りたのだが、今回は節約である。申し訳ないが、島内マップだけいただいて、失礼した。
島の南東に海岸があるが、そこははいむるぶしの敷地内なので、行かない。北の方に綺麗な海岸があるとのことだったので、そちらに向かう。
きょうも雲ひとつない、いい天気だ。さんぴん茶が底をつきかけており、干からびそうだ。
北側のビーチ近くに着いたが、ここにもリゾート地の一群がある。海のほうに向かうと、レンタカーを置いて海岸に向かったであろう、若い女性の3人組が戻ってきた。
聞くと、この先は行き止まりとのこと。徒歩の私にとって無駄な行動は厳禁である。
彼女らと少し話をしたが、大岳(うふだき)からの眺めが綺麗だったという。大岳はここからすぐ近くなので、私はそちらに向かうことにした。大岳は以前も登ったことがあるが、まあいいだろう。
大岳は標高99メートル。酷暑の地での登山はキツいが、山頂からの眺めを楽しみに、一歩一歩進める。途中、「ちょっと遠回りだけど、ず~っと楽な迂回路」の看板があり、そちらを選ぶ。高尾山の「男坂」「女坂」のようなものだ。
小浜島版「女坂」、初めはラクだったが、途中から急坂になった。けっきょく、ツライことはツライのだった。
とにもかくにも、山頂の東屋(あずまや・四阿とも書く)に着く。先客のカップルがいた。私は汗をふきふき、景色を眺める。かなたに拡がる海が絶妙のグラデーションを描き、素晴らしい。
「あれは鳩間島?」
と、女性がいっている。鳩間島があんなに小さいわけないだろう。あれは嘉弥真島である。標高が最高でも19メートルという平板な島で、私は一度訪れたことがある。とにかく海が綺麗で、野生のウサギを何度も見かけたのが印象に残っている。
このまま反対側の道をゆけば、北側の海岸に通じる道路に出るのは分かっているのだが、万が一ということもある。私はいま来た道を引き返し、再び、北側の海岸に向かった。
例のリゾート地帯にまた着く。今度はさっきより一本奥の道を行く。と「ここは現在裁判係争中につき、第三者の侵入を禁止します」との看板があった。
よく分からぬが、このリゾート地は、経営破綻したようだ。それは構わないが、だから海岸に行くなとは、ずいぶん身勝手ではないか?
無視して海岸まで行こうと思ったが、なんか、小浜島に疲れてしまった。もはや小浜島は完全なリゾート地。綺麗な海岸は民間企業に占拠され、私のような旅行スタイルの人間には、隅々まで楽しむことが適わぬ事態になっていた。
私は踵を返し、港に戻る。待合室にある自動販売機のポカリスエットが、500mlで120円と激安だったので、買う。ポカリスエットを流し込むと、五臓六腑に沁み渡った。
15時35分発の高速船で、石垣に戻る。船は行きと同じく、「ちゅらさん号」だ。
船が港を離れる。護岸から離れて行く港を見て、私はもう小浜島に訪れることはないだろう、と思った。
(つづく)
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