「私、植山先生に4連勝中なんです」
とFuj氏が言う。聞けば平手での成績だそうで、いくら指導対局とはいえ、これは快挙である。さっき私が植山悦行七段に角を落としていただいたとき、
「植山先生は、大沢さんには駒を落とすんだなあ」
と不服そうだったが、この成績ならばFuj氏は平手で当然であろう。そして私とFuj氏の手合いも「角」が適当ということになる。次にFuj氏と対局するときは、角を落としてもらおう。
私は▲5五同角と取ったが、△5四銀右▲7七角△4五歩で、下手がつまらない将棋になった。
この後私も、角筋を活かした攻めがあったと思うのだが、それを逃しジリ貧になる。
その終盤の局面。
以下の指し手。▲5五歩△7六桂▲5四歩△同金右▲2四歩△2九飛▲4九歩△4八歩▲2三歩成△4一玉▲4八玉△4五桂▲同銀△同金▲6三銀△2八飛成 まで、植山七段の勝ち。
△6四桂とは、いちばんイヤな手を指された。これに▲7八飛は歩切れを解消しての△5六桂の味がいいので、私は▲5五歩と突きだしたが、これが負けを早めた。
私の読みは▲5五歩に△同銀で、▲同銀△7六桂▲4四歩△5七飛▲5八金△3七飛成▲4三歩成でどうか、だったが、典型的な勝手読みだった。
▲4九歩に△4八歩が一歩千金の好打。これで負けを覚悟した。以下は見るべきところもなく、私が負けた。
感想戦では植山七段が、3時休み後の△5五歩に触れられ、ここは▲4七銀がよかったのではないか、とのことだった。指摘されればナルホドという手で、いかにも腰の入った手だ。これに△5四銀右なら▲5六歩が継続手で、下手も十分に戦える。
男性棋士からの指導対局は思わず唸る指摘が多く、本当に勉強になる。今回も私の力では絶対に指せない3手だった。
4局目(3人目)は、Honma君とのリーグ戦。Honma君とは久しぶりで、むかし大野杯ミニトーナメント戦で指して以来ではなかろうか。
私の角落ちで対局開始。Honma君は三間飛車に振り、石田流に組む。私は金銀をそちら側に集中させるが、Honma君の的確な攻めにこちらは崩壊寸前。これが平手の対局だったら投了しているが、もう少し粘ってみる。
と、Honma君が秒読みに追われ、緩手を指した。私は受けるだけだから気楽だが、攻めるほうは大変だ。Honma君はなおも指し手が乱れ、最後は私が入玉して勝った。
しかし何というか、こちらは勝った気がしない。Honma君は10回ぐらい勝ちを逃しているだろうから、この感想戦をやってもムダだ。私のほうでさっさと切り上げ、腰を上げた。
私も秒読みは苦手偉そうなだからことは言えないが、Honma君は秒読みの克服が課題だろう。せっかくいい将棋を作っても、秒読みで乱れて星を落としてはつまらない。
5局目はWatanabe氏と。大野七段門下のWatanabe君とは別人の、生徒のWatanabe氏である。ところが私が、そのWatanabe氏が分からない。見ると、教室でよく見かける人だった。Ok氏の好敵手だ。
「あ、あなたでしたか」
「大沢さんのブログを読んでいて、Shinさんは認識されてると思ったんですよね。でも私の名前はご存じないんじゃないかと思ってました」
「……」
も、もうその話はいいだろう。洋室の隅に移り、リーグ戦である。私の飛香落ち。
飛車香落ちは難しい手合いで、上手がふつうに指していれば、必ず端を破られる。だから植山七段などは、飛香落ちより二枚落ちのほうが指しやすいと言っているくらいだ。これは私も同感である。
私は△3三角から△2二銀。下手は1筋の歩を換えてきたが、私は△2三銀と上がり▲1二歩を拒絶した。上手は、ふつうに△4三銀とするから角交換で端を破られるのだ。だから銀が端にいってでも、守りに徹すればよい。反面右辺にスキが出やすいが、そこはこっそり△7三桂と跳び、△9一香は取られてもいいと思った。
私のナナメ前では和田あき女流2級とOkai君が対局中。私たちはお気楽な戦いだが、この2人は将来の自分のための真剣勝負だ。
Watanabe氏は飛車を4筋に回ったが、こういう戦いになれば上手ペースである。以下は秒読みもあって、何とか誤魔化すことができた。
時刻は午後5時にならんとしている。続いてS君と対局しそうになったのだが、S君は成長著しく、さっきも分の悪い将棋を逆転勝ちしていた。ここで負かされてはおもしろくないので、味のいいところで退席することにした。
とFuj氏が言う。聞けば平手での成績だそうで、いくら指導対局とはいえ、これは快挙である。さっき私が植山悦行七段に角を落としていただいたとき、
「植山先生は、大沢さんには駒を落とすんだなあ」
と不服そうだったが、この成績ならばFuj氏は平手で当然であろう。そして私とFuj氏の手合いも「角」が適当ということになる。次にFuj氏と対局するときは、角を落としてもらおう。
私は▲5五同角と取ったが、△5四銀右▲7七角△4五歩で、下手がつまらない将棋になった。
この後私も、角筋を活かした攻めがあったと思うのだが、それを逃しジリ貧になる。
その終盤の局面。
以下の指し手。▲5五歩△7六桂▲5四歩△同金右▲2四歩△2九飛▲4九歩△4八歩▲2三歩成△4一玉▲4八玉△4五桂▲同銀△同金▲6三銀△2八飛成 まで、植山七段の勝ち。
△6四桂とは、いちばんイヤな手を指された。これに▲7八飛は歩切れを解消しての△5六桂の味がいいので、私は▲5五歩と突きだしたが、これが負けを早めた。
私の読みは▲5五歩に△同銀で、▲同銀△7六桂▲4四歩△5七飛▲5八金△3七飛成▲4三歩成でどうか、だったが、典型的な勝手読みだった。
▲4九歩に△4八歩が一歩千金の好打。これで負けを覚悟した。以下は見るべきところもなく、私が負けた。
感想戦では植山七段が、3時休み後の△5五歩に触れられ、ここは▲4七銀がよかったのではないか、とのことだった。指摘されればナルホドという手で、いかにも腰の入った手だ。これに△5四銀右なら▲5六歩が継続手で、下手も十分に戦える。
男性棋士からの指導対局は思わず唸る指摘が多く、本当に勉強になる。今回も私の力では絶対に指せない3手だった。
4局目(3人目)は、Honma君とのリーグ戦。Honma君とは久しぶりで、むかし大野杯ミニトーナメント戦で指して以来ではなかろうか。
私の角落ちで対局開始。Honma君は三間飛車に振り、石田流に組む。私は金銀をそちら側に集中させるが、Honma君の的確な攻めにこちらは崩壊寸前。これが平手の対局だったら投了しているが、もう少し粘ってみる。
と、Honma君が秒読みに追われ、緩手を指した。私は受けるだけだから気楽だが、攻めるほうは大変だ。Honma君はなおも指し手が乱れ、最後は私が入玉して勝った。
しかし何というか、こちらは勝った気がしない。Honma君は10回ぐらい勝ちを逃しているだろうから、この感想戦をやってもムダだ。私のほうでさっさと切り上げ、腰を上げた。
私も秒読みは苦手偉そうなだからことは言えないが、Honma君は秒読みの克服が課題だろう。せっかくいい将棋を作っても、秒読みで乱れて星を落としてはつまらない。
5局目はWatanabe氏と。大野七段門下のWatanabe君とは別人の、生徒のWatanabe氏である。ところが私が、そのWatanabe氏が分からない。見ると、教室でよく見かける人だった。Ok氏の好敵手だ。
「あ、あなたでしたか」
「大沢さんのブログを読んでいて、Shinさんは認識されてると思ったんですよね。でも私の名前はご存じないんじゃないかと思ってました」
「……」
も、もうその話はいいだろう。洋室の隅に移り、リーグ戦である。私の飛香落ち。
飛車香落ちは難しい手合いで、上手がふつうに指していれば、必ず端を破られる。だから植山七段などは、飛香落ちより二枚落ちのほうが指しやすいと言っているくらいだ。これは私も同感である。
私は△3三角から△2二銀。下手は1筋の歩を換えてきたが、私は△2三銀と上がり▲1二歩を拒絶した。上手は、ふつうに△4三銀とするから角交換で端を破られるのだ。だから銀が端にいってでも、守りに徹すればよい。反面右辺にスキが出やすいが、そこはこっそり△7三桂と跳び、△9一香は取られてもいいと思った。
私のナナメ前では和田あき女流2級とOkai君が対局中。私たちはお気楽な戦いだが、この2人は将来の自分のための真剣勝負だ。
Watanabe氏は飛車を4筋に回ったが、こういう戦いになれば上手ペースである。以下は秒読みもあって、何とか誤魔化すことができた。
時刻は午後5時にならんとしている。続いてS君と対局しそうになったのだが、S君は成長著しく、さっきも分の悪い将棋を逆転勝ちしていた。ここで負かされてはおもしろくないので、味のいいところで退席することにした。