一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

69たび大野教室に行く(後編)

2014-09-09 00:13:30 | 大野教室
「私、植山先生に4連勝中なんです」
とFuj氏が言う。聞けば平手での成績だそうで、いくら指導対局とはいえ、これは快挙である。さっき私が植山悦行七段に角を落としていただいたとき、
「植山先生は、大沢さんには駒を落とすんだなあ」
と不服そうだったが、この成績ならばFuj氏は平手で当然であろう。そして私とFuj氏の手合いも「角」が適当ということになる。次にFuj氏と対局するときは、角を落としてもらおう。

私は▲5五同角と取ったが、△5四銀右▲7七角△4五歩で、下手がつまらない将棋になった。
この後私も、角筋を活かした攻めがあったと思うのだが、それを逃しジリ貧になる。
その終盤の局面。

以下の指し手。▲5五歩△7六桂▲5四歩△同金右▲2四歩△2九飛▲4九歩△4八歩▲2三歩成△4一玉▲4八玉△4五桂▲同銀△同金▲6三銀△2八飛成 まで、植山七段の勝ち。

△6四桂とは、いちばんイヤな手を指された。これに▲7八飛は歩切れを解消しての△5六桂の味がいいので、私は▲5五歩と突きだしたが、これが負けを早めた。
私の読みは▲5五歩に△同銀で、▲同銀△7六桂▲4四歩△5七飛▲5八金△3七飛成▲4三歩成でどうか、だったが、典型的な勝手読みだった。
▲4九歩に△4八歩が一歩千金の好打。これで負けを覚悟した。以下は見るべきところもなく、私が負けた。
感想戦では植山七段が、3時休み後の△5五歩に触れられ、ここは▲4七銀がよかったのではないか、とのことだった。指摘されればナルホドという手で、いかにも腰の入った手だ。これに△5四銀右なら▲5六歩が継続手で、下手も十分に戦える。
男性棋士からの指導対局は思わず唸る指摘が多く、本当に勉強になる。今回も私の力では絶対に指せない3手だった。
4局目(3人目)は、Honma君とのリーグ戦。Honma君とは久しぶりで、むかし大野杯ミニトーナメント戦で指して以来ではなかろうか。
私の角落ちで対局開始。Honma君は三間飛車に振り、石田流に組む。私は金銀をそちら側に集中させるが、Honma君の的確な攻めにこちらは崩壊寸前。これが平手の対局だったら投了しているが、もう少し粘ってみる。
と、Honma君が秒読みに追われ、緩手を指した。私は受けるだけだから気楽だが、攻めるほうは大変だ。Honma君はなおも指し手が乱れ、最後は私が入玉して勝った。
しかし何というか、こちらは勝った気がしない。Honma君は10回ぐらい勝ちを逃しているだろうから、この感想戦をやってもムダだ。私のほうでさっさと切り上げ、腰を上げた。
私も秒読みは苦手偉そうなだからことは言えないが、Honma君は秒読みの克服が課題だろう。せっかくいい将棋を作っても、秒読みで乱れて星を落としてはつまらない。
5局目はWatanabe氏と。大野七段門下のWatanabe君とは別人の、生徒のWatanabe氏である。ところが私が、そのWatanabe氏が分からない。見ると、教室でよく見かける人だった。Ok氏の好敵手だ。
「あ、あなたでしたか」
「大沢さんのブログを読んでいて、Shinさんは認識されてると思ったんですよね。でも私の名前はご存じないんじゃないかと思ってました」
「……」
も、もうその話はいいだろう。洋室の隅に移り、リーグ戦である。私の飛香落ち。
飛車香落ちは難しい手合いで、上手がふつうに指していれば、必ず端を破られる。だから植山七段などは、飛香落ちより二枚落ちのほうが指しやすいと言っているくらいだ。これは私も同感である。
私は△3三角から△2二銀。下手は1筋の歩を換えてきたが、私は△2三銀と上がり▲1二歩を拒絶した。上手は、ふつうに△4三銀とするから角交換で端を破られるのだ。だから銀が端にいってでも、守りに徹すればよい。反面右辺にスキが出やすいが、そこはこっそり△7三桂と跳び、△9一香は取られてもいいと思った。
私のナナメ前では和田あき女流2級とOkai君が対局中。私たちはお気楽な戦いだが、この2人は将来の自分のための真剣勝負だ。
Watanabe氏は飛車を4筋に回ったが、こういう戦いになれば上手ペースである。以下は秒読みもあって、何とか誤魔化すことができた。
時刻は午後5時にならんとしている。続いてS君と対局しそうになったのだが、S君は成長著しく、さっきも分の悪い将棋を逆転勝ちしていた。ここで負かされてはおもしろくないので、味のいいところで退席することにした。
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69たび大野教室に行く(前編)

2014-09-08 00:10:21 | 大野教室
6日(土)夜、久しぶりに知人からメールが来た。大野教室のW氏からで、教室へのお誘いだった。だからというわけではないが、7日(日)は大野教室に行った。

午後1時20分ごろ入室すると、講師の大野八一雄七段は4面指しの真っ最中だった。奥の植山悦行七段は3面指しで、生徒計7人はちょっと少ない。私はまず、大野七段に教わることになった。
私の居飛車で、私は飛車先の歩を交換したあと、▲3七桂と跳ぶ。大野七段は△4二金と締める。まだ15手だが、私はここがチャンスと見た。
初手から記せば、△5四歩▲7六歩△6二銀▲2六歩△5三銀▲2五歩△4二玉▲2四歩△同歩▲同飛△3二玉▲3六歩△8四歩▲3七桂△4二金で、下の局面となる。

以下の指し手。▲4五桂△2三歩▲5三桂不成△2四歩▲6一桂成 以下、一公の勝ち。

私は▲4五桂と跳ねた。これに△4四銀なら▲4六歩△5五銀▲5四飛△4六銀▲4八銀で、次に▲4七歩を狙い下手優勢。
よって大野七段は△2三歩と打つが、私の▲5三桂不成が狙いの一手。ここ「成」だと、△2四歩▲4二成桂△同銀で下手敗勢。「不成」で行き、▲6一桂成とこちらの金を取るのがいいのである。飛車を渡す二枚換えとなるが、成桂が残る分、下手が指せると思った。
和田あき女流2級とHanaちゃんが来席した。和田女流2級は午前の「将棋フォーカス」にビデオ出演していたが、いまや教室一の有名人といえる。
中盤になり、私の角が敵陣に直射している局面で、私は▲2二歩。やむない△同銀に▲2三歩。そして△同玉▲3四銀。これに△3二玉なら▲2二角成△同玉▲2三銀打△3一玉▲5一成桂で、上手は次の▲2二金を受けにくい。
大野七段はキッパリ△同玉と応じ、私は▲2二角成。もっともこれでも難しい形勢だったが、大野七段に粘ろうの気はなく、最後はアッサリ投げてくれた。
感想戦に入るが、やはり△4二金がのちの▲5三桂不成を軽視した疑問手で、△5二金右が本手とされた。
ということで、△4二金を△5二金右とし、ここから2局目を始めることになった。
大野七段は序盤でしくじったとき、まれに分岐の2局目をやることがある。
その2局目は私が序盤でしくじり、△7六歩と急所を押さえられ、つまらない形勢になった。私は開き直って▲4六角と出たが、そこでふつうに△8六歩と攻められたら、こちらが悪かったと思う。
本譜は大野七段が中央に目を向けてくれたので、私も指せる棋勢となった。
進んで終盤、私の▲3四歩に大野七段が△2二銀と受ければまだ難しいと思ったのだが、それを放棄してくれたので、私は3三の地点でバラし、▲4五桂の王手。これで大野七段が投了してくれた。
ちょっと2局とも、勝ちを譲っていただいた感じである。もっとも一日に2局も緩めていただくのはかなり久しぶりで、素直に喜びたいところ。きょうは教室に来る予定ではなかったのだが、来てよかったと思った。
時刻は2時45分だが、さっき来たFuj氏に促され、植山七段に教えていただくことになった。Fuj氏はいまや大野教室に欠かせない存在で、W氏の代わりを十分務められるまでに成長した。おめでとう。
対局開始。私はさっきの成功に味をしめて、またも▲3七桂。しかし植山七段は△5二金右。これに▲4五桂跳ねを強攻すると、△2三歩▲5三桂不成△2四歩▲4一桂成△同玉▲7一銀△9二飛▲8二金となろうが、これはこちらの攻めがダサく、不可。私は▲4八銀と上がった。
中盤の入り口に入り、私は▲4五歩。ここで3時休憩になった。部屋にはW氏や、大野七段門下のWatanabe君、Okai君の姿があった。
私が和田女流2級に「将棋フォーカス」のことをいうと、「観ていない」の返事。あんなにアップで出ていたのに、もったいない。私がその立場だったら、事前にチェックして、録画しているところである。
さて休憩もそこそこに、私と植山七段は対局を再開する。植山七段は△5五歩。これにはどう指すのが本手か。

(つづく)
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68たび大野教室に行く(後編)・愛

2014-08-19 00:10:15 | 大野教室
フジテレビの「ネプリーグ」に告ぐ。解答者が答えようとしたときに、CMを入れるのはやめてくれないか。こちらの血圧が上がる。
今、2014年だよねえ。まだこんなCMの入れ方をしてるとは、バカじゃないのフジテレビ。

(きのうのつづき)
続いて男性氏とのリーグ戦。私の飛車落ちである。
▲2五歩と決めてきたので私は△3三銀と上がり、金矢倉に組んだ。しかし進展性に乏しく、あまり面白くなかった。人により見解は違うが、3三には角か桂がいくのがいいと思う。
私は角を転回し△4五歩と飛車を攻めたが、あまりうまくいかなかった。
しかも男性氏にうまく反撃され、上手芳しくない。こちらの頼みは下手の持ち時間で、秒読みになれば何とかなると思った。
△3七歩成に男性氏は▲1八飛。ここはいったん▲同桂があったが、男性氏には見えてなかったようだ。数手後私は△2八とと、飛車を詰ます。しかしこれも微妙で、1歩を渡すと、▲4四歩の反撃が厳しいのだ。
が、そこまで細かく読んでいたらキリがない。駒落ちの上手の極意は、「この手は下手は指さないだろう」と、タカをくくって指すことだと思う。例えば、5手目に下手に好手があっても、そこまで読まないだろう、と図々しく指す。これがよい。
本局の結果は、私の勝ち。終始難しい戦いだったが、最後は下手の秒読みに助けられた。
和服の女性は、いまは大野八一雄七段に教わっている。どこまで理解しているだろう。
W氏はパソコンとにらめっこしている。17日に蕨で将棋大会があるようで、そこで配布する「わらび将棋教室」のチラシをデザインしているのだ。
私もいろいろ口を出す。といってもこっちも素人だから、適当だが。
和服の女性はそろそろ引き揚げるようだ。周りは鬱陶しいオジサンが多いが、彼女の教室に対する印象はどうだったのだろう。
チラシはなんだかんだ言って、最終的には見やすいモノができたのではないだろうか。
かつてはLPSA駒込サロンの一顧客だったW氏、いまは大野七段と植山七段にとって、欠かせない存在になっている。
渡部愛女流初段は、Morita奨励会1級と実戦の最中。Morita君はついこの前まで6級で苦しんでいた印象があるのだが、あれよあれよという間に1級に上った。この分なら入品(にゅうほん・初段になること)も時間の問題だろう。
時間は午後7時を過ぎているが、まだ実戦は続いている。ここ大野教室の最大の特色は、生徒が将棋を指したければ、とことん指せるということである(もちろん限度はあるが)。
少なくとも熱意を持って指していれば、大野七段もそれに応えてくれる。「もう閉席の時間だから…」と生徒を追い出すことはない。
ということで、私はShin氏に「将棋指す?」と聞いてみた。
「はい」
「Shinさんも将棋好きだなあ」
というバカっぽい会話を経て、対局開始。
私の四間飛車藤井システムに、Shin氏は△7四歩から急戦できた。私は木村美濃に組み、▲7四歩と桂取りに突いて好調と思いきや、△6五桂と空跳ねされてシビレた。
しかし数手後、私も飛車を成りこみ、まずまず。どうも、Shin氏に誤算があったようだ。
終盤は明らかに私がよかったが、Shin氏も嫌らしく攻めてくる。

ここでShin氏は△3六桂と跳ねたが、これに▲1七玉と上がったのが大悪手だった。Shin氏にすかさず△1四歩と突かれ、先手もうヤバい。
以下▲2一銀△同玉▲2三香成と必至を掛けたが、銀を渡したため、△2八銀以下詰まされてしまった。
▲1七玉で▲1八玉は△3八成桂を気にしたのだが、これなら銀を渡しても自玉が詰まないので、上記の3手必至を掛けて先手が勝ちだった。
「大沢さんに初めて勝ちました」
とShin氏。
「えっ? 大沢さん(あの将棋を)負けたの!?」
とOg氏が叫ぶ。私は返す言葉がなかった。
渡部女流初段とMorita君の将棋も終わったようだ。感想戦を見ていると、どうもMorita君が勝ったらしい。しかし激戦の跡が窺えた。私は奨励会員の実力を高く買っているが、その彼に互角以上に渡り合うとは、さすがに渡部女流初段、実力があると思った(注:この将棋、愛ちゃんが勝ったらしい。失礼!)。
時刻は8時を過ぎており、さすがにこれでお開きである。みなで遅い夕食に出る。きょうの参加者は多く、総勢11人となった。
お盆のこの時期、11人を収容する食事処があるのかと思ったら、カレーを食べさせる店があるらしい。大野教室も、いろいろ新規開拓しているようだ。
その道中、先ほどの和服美人の年齢の話になる。彼女はOg氏の紹介で来たようで、Og氏が正解を知っている。
私は31歳と予想したが、実際はもうちょっと上だった。ただ、ピタリと年齢を当てた猛者もいて、その冷徹な観察眼には唸った。
カレー店は、駅前のビル内にあった。インド人?が経営している、本格的な店だ。
ではここで、参加者と席の配置を記しておこう。

 Shin Og 大野 Mor Wat
              壁
一公 Is 愛 W 男性 男性
      壁

渡部女流初段は手前中央の女王席。こういう席に成人女性が参加したのは久しぶりである。そもそも渡部女流初段と食事を共にするのも久しぶりで、考えたら、2010年10月に棋友とご一緒して以来だ。
私たちはめいめいにカレー料理を頼んだ。出されたカレーは、まずまず。私はライスを選んだが、米がパサパサしていた。やはり私の口には、日本の米が合うようだ。
食事の合間におしゃべり。渡部女流初段は、来月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式に、指導棋士として参加するという。私も出席するつもりだったので、これは好都合だ。来月の楽しみが増えた。
食事の後も、ここでおしゃべり。Og氏がパソコンを取り出して、ゴチャゴチャやっている。生年月日を入力して、相性診断をしているらしい。
私も、自分と中井広恵女流六段ら何人かを見てもらった。
気が付けば、時刻は10時を過ぎている。みなはこのあと花火をやりそうな雰囲気だったが、私と渡部女流初段、ほか2人は、帰ることにした。
渡部女流初段とは、帰る方向が同じ。期せずして、「プチ・女流棋士と語ろう」になった。渡部女流初段は私相手にもハキハキしていて、とても好感が持てた。
私が女流棋士に指導対局を受けて、「この女流棋士は強え」と感嘆したのは、上田初美女流三段ただひとりである。ただし、アマチュアの女性も加えれば、アマ時代の渡部女流初段も含まれる。そしてその見解に、こんにちまで訂正はない。
いま渡部女流初段は勝ったり負けたりの成績だが、いつか大きく飛躍するときがくる。
それまで緊張感を失わず、精進してほしい。
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68たび大野教室に行く(中編)・実戦続く

2014-08-18 00:31:47 | 大野教室
きのうのNHK杯将棋トーナメント、久保利明九段と金井恒太五段は、ともにサウスポー。こういうときは、盤の左側に駒台を置けばいいのにといつも思う。

(きのうのつづき)
局面――。植山悦行七段の△8六歩に、私は▲9七角と上がる。
「よく分からないけど、よさそうな手ですねえ」
と植山七段。
以下△8七歩成▲7五角(金を取る)△7八と(金を取る)のあと、▲7五の角が5三金取りに当たっているのが自慢だったが、△6四金と強く出られてみると、角を渡せば△8七角以下の詰みがあり、それほどでかしていなかった。
以下▲8七歩△7五金▲同飛△7三歩▲7四歩△6四角の局面で、ちょっと遅い3時休憩となった。
「すぐ終わりますよ」
と植山七段がつぶやいたが、下手がうまくやっているのだろうか。
室内は20人近くの人がいる。人いきれから逃げるべく、表へ出ようとすると、Is氏が来た。Is氏に会うのは久しぶりで、1年ぶりぐらいではないか。
続いてHon氏も来た。私は貧乏性なので、この時間まで遅れたらその日は教室に行かないが、2人は気にしていないようだ。
表で休んでいると、そのHon氏が来た。私が沖縄へ行かなかったテンションの低さを嘆くと、Hon氏も最近は肉体の衰えを感じているとのことで、ふたりで「歳取ったね」を連発した。
そこへ植山七段とW氏も来る。と、その途端に大粒の雨が降りだし、私たちは軒下へ避難した。植山七段、さすがの雨男ぶりである。
その植山七段、私をじっと見るのだが、私は関係ないだろう。
室内に戻ると、Og氏が、
「あれっ? 大沢さん、(そういえば)久しぶりですねえ」
と大声で言う。
シッ!! 確かに私が教室に訪れたのは5月以来で不義理だったが、その事実を誰にも知られず乗り切ろうと思ったのに、Og氏が盛大にバラしやがった。私は小さくなった。
ま、しかし大野教室はこのところ大盛況だから、私の出席率はもはや関係ない。
3時休みも終わり、対局再開。では、指し掛けの局面から終局までの手順を記そう。

以下の指し手。▲7三歩成△同桂▲7四飛△8八歩▲7五銀△1九角成▲5四飛△5二歩▲8八玉△8三香▲8四銀打△同香▲同銀△2九馬▲7七歩△8六歩▲同歩△4七馬
まで、植山七段の勝ち。

▲7四飛に、△8八歩が厳しかった。▲同玉は△8六歩▲同歩△同角で下手一手一手。
私は▲7五銀と攻め合いに出たが、植山七段は黙って△1九角成。そこで得た香を△8三に据えられ、私は泣く泣く銀を手放した。
さらに△8六歩から△2九馬と桂馬を取られ、次に△8七歩▲同玉△6九馬や、△6五馬の狙いがあり、下手は収拾がつかない。ここで私は投了した。
感想戦では、▲7五銀で▲5五歩を指摘された。以下△8九歩成▲5四歩は、この局面も難しいが、△6四角がいなくなれば▲5三歩成があり、下手もまだまだ楽しみがあったようだ。
大野八一雄七段に続き本局も敗れ、残念だった。
先の女性は、植山七段に八枚落ちの指導対局を受けていた。しかし植山七段の教えが今一つ理解できていないようで、彼女に実戦はまだ難しいように思った。
果たして植山七段はW氏に講師をバトンタッチした。これは適切な選択と思う。
私は少年とリーグ戦。私の飛車落ちである。
少年は向かい飛車に振った。私は△3五歩から△4五歩。これを少年が▲同銀と取ったので、私は△5五歩。次に△4四歩の銀殺しを見せられ忙しくなった少年はなおも攻めてきたが、私は丁寧に対応する。もっともそこは飛車落ちだから簡単ではなかったが、何とか勝ちを収めることができた。
感想戦で少年は、▲4五同銀で▲6五歩を指摘した。なるほどこうやって角交換に持ち込めば下手に手が多く、どの変化も下手が有望だった。
負けはしたが少年、なかなか強いと思った。
さてこれだけ人がいるのに、意外に指す相手がいない。私は他の対局を観戦したりするが、何しろ人が多いので、そこにいるだけで邪魔になる感じだ。
傍らにはWatanabe君もいるが、先のアマ大会で県代表になったという猛者に、私が対局を申し込めるわけがない。あまりにも強すぎるアマは、敬遠される定めにある。
そのうちOg氏に請われ、自由対局となった。振り飛車党のOg氏、本局は四間に振った。
私の居飛車急戦に、Og氏は袖飛車の趣向。大山名人みたいだ。
左の盤では、W氏が和服の女性に将棋を教えていた。女性側には歩がない「青空将棋」である。
▲1一竜△4一金、5一玉、6一金の局面で、女性は▲5三桂。
ところが△6二金に、女性は▲6一桂成とやった(4一、ではない)。
どうも女性は、駒を取る、あるいは駒得をする、という概念がまだないように思われた。
私見だが、彼女に実戦はやっぱり無理だと思う。以前中井広恵女流六段から聞いた気がするのだが、初心者に将棋を教えるときは、▲2三歩△2二角の局面で、次の手はどう指しますか? と問うくらいがいいと思う。
初心者はみなが思うより、ずぅっと将棋の指し方を知らないのだ。
さて、私の局面。△6二金で飛車の横利きが消えたので、私は▲4五歩と仕掛ける。これを△同歩なら、▲4四歩△同銀▲同銀△同角▲3二飛成(金を取る)が理想手順。将棋はまず、虫のいい手順を考えることが肝要だ。
Og氏は△6五歩▲7七銀を利かしてから△4五歩としたが、私はやはり▲4四歩とし、△5二銀▲3四銀△4六歩▲3三銀成△同桂と、角銀交換の成果を上げた。
しかし次の▲5七金が悪手。△4七銀の打ち込みを防いだものだが、Og氏にすかさず△3七歩と叩かれ、シビレた。これを▲同飛は△4八銀があるので、私は▲1八飛と逃げたが、これものちに△2七銀が残ってよくなかった。ここは▲2八飛とひとつ寄るべきだった。
本譜も△2七銀と飛車を殺され、私のジリ貧となった。さらに△6四桂と好所に据えられ、戦意喪失。ここで私は投了した。
感想戦では、▲5七金で▲4八飛を指摘された。さらに私指摘の▲7九角もよかったかもしれない。これに△4七銀なら、▲4六角の王手で、4七銀を抜ける。
「こういうところ(5七)に金が出ていくのは、だいたい良くない」というOg氏の指摘には、大いに唸った。
大野七段、植山七段はもちろんだが、Og氏の教えにも学ぶところは多い。
(つづく)
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68たび大野教室に行く(前編)・美女二人

2014-08-17 01:52:20 | 大野教室
16日(土)。私のテンションが高かったら今頃は沖縄にいて、宮古島の吉野海岸か新城海岸で泳いでいるはずなのだが、自ら予定を破棄したのだから仕方がない。
たまたま時間が空いたから、というわけではないが、私は「大野教室」へ向かった。
教室へは午後1時27分に入った。下駄箱と三和土は靴でいっぱい。お盆の時期だから生徒は少ないと思いきや、その逆だった。みんなどこにも行かないのか。
大野八一雄七段は5面指しの真っ最中。しかし知った顔がほとんどない。また、壁には大盤が設置されていた。これから生徒全員を対象に、実戦解説ができる。大野教室、生徒も増え設備も充実し、ますます好調である。
私は端の盤の前に座り、まずは大野七段に角落ちでお願いする。
私は居飛車。展開次第では急戦の用意もあったが、ガッチリ金矢倉に組んだ。
奥の部屋には、植山悦行七段の姿が見える。4面指しをしているようだ。その左側にも自由対局をしている人がいる気配だが、和田あき女流2級とHanaちゃんはいないようだ。
私の右側では、詰将棋を解いている新人さんが2人いる。注目すべきは奥の生徒で、何と妙齢の和服美人だ。顔はさっぱり系で、名前が思い出せないが、似ている女優がいる。
チャイムが鳴って、新規の客が来た…と思ったら、大野七段の一番弟子だった。Watanabe君で、大野七段は私と彼が初対面とフンでいたようだが、彼はかつて私に角を落として勝った猛者ではあるまいか? 私はヒトの顔を憶えないタチだが、よく似ているように思う。
「きょうはワタナベが3人だね。マナちゃん…」
とか大野七段が言っている。ワタナベ…マナ? 渡部愛女流初段が来ているのか? 部屋の奥には彼女がいるのか? まさか。
しばらく経って渡部女流初段が顔を出し、挨拶してくれた。ああ、いたんだ…。か、かわいい…!!
渡部女流初段は、新規女流棋士ファンランキングの2位である。私の感激がいかばかりだったか、お分かりいただけよう。
今回は沖縄に行かなくてよかったかもしれない――。
今回初めて、そう思えた。
局面――。△5五同金に私は▲5八飛と回り、△5四金には▲5五歩から▲5六金。6七の地点が空いたので▲6七金と上がり、形を整えて▲7八玉と上がる。位を張って好調のようだが、駒が上擦ってしまった。
満を持して▲4五歩と仕掛けたが、△4五同桂から桂交換の数手後、△5五桂から金を取られ、よく分からないうちに下手が敗勢になった。
さらに△4七金と飛車取りに打たれ、この将棋は負けたと思った。
では、その局面から終局までの手順を記そう。

以下の指し手。▲3三銀△同銀▲同歩成△同玉▲3四歩△4二玉▲2八飛△5七金打▲2三飛成△6九銀▲8八玉△6七金▲2二竜△3二歩▲1一竜△8二飛▲5四桂△同金直▲2四角△5三玉
▲5一竜△6四玉▲5六歩△5二歩▲6一竜△6三歩▲5一角成△7八銀成▲9八玉△7七金▲6五香△同金▲同歩△同玉
まで、大野七段の勝ち。

私は▲3三銀と打ち込む。これに大野七段が△同銀と付き合ってくれたので、数手後に▲2八飛と回って、棋勢の好転を感じた。
△8二飛にはじっと▲6一竜が読みだったのだが、眠っていた角を働かせようと、私は▲5四桂捨てから▲2四角と出る。しかしこれが疑問の構想で、△5三玉で紛れてしまった。
以下は大野七段に着々と包囲網を狭められ、無念の投了となった。
感想戦では、▲2二竜で▲3五桂を指摘された。次は▲4三桂成~▲5四桂の狙いで、上手はこの手順が分かっていても受けにくい。▲3五桂は私の第一候補だったのだが、考えすぎて次善手を指してしまった。
さらに上記の通り▲5四桂~▲2四角もやっぱりマズく、角は6八にいたほうが、いろいろ働きがあった。
また▲4五歩と仕掛ける前に私は、形とばかり▲7八玉と上がったが、これは△7三桂と替わって損だったらしい。すぐに▲4五歩と仕掛ければ下手がよかったらしい。
なおこの場合、玉が一段目のほうが、アタリが少なくてベターとのこと。いやはや本当に将棋は難しい。
負けて言い訳するわけではないが、私の私生活がもう少し充実していたら、この将棋は私が勝ち切っていたと思う。繰り返すが、残念無念だった。
3時休みまではあと20分ほどだが、さっき来たW氏が、植山七段との手合いを付けてくれた。私は休憩モードに入っていたのだが、甘かったようだ。
植山七段は駒を落としたがらないが、強引に角を落としていただく。大野七段と違って、こちらの上手はすぐにラクをしようとするからいけない。
「さっきはShinさんに、大沢流をやられましたよ」
と植山七段。どうも、受けの強手を指されたらしい。
本局は急戦調になった。こういうチャンバラのほうが、将棋を指している感じがする。
すると、先ほどの女性が、今度は植山七段の前に座った。植山七段に教えを請おうというわけだ。
ああ、彼女は女優の長谷川京子にそっくりだと思った。
(つづく)
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