第80期名人戦第5局が28日、29日に行われ、渡辺明名人が97手で斎藤慎太郎八段を降し、4勝1敗で名人位を防衛した。
第5局は渡辺名人の先手で、角換わり相早繰り銀になった。
第1日目を終え、消費時間は渡辺名人が3時間13分、斎藤八段が4時間54分だった。前局もこの時点で、渡辺名人2時間47分、斎藤八段5時間6分と、大量差がついていた。
序盤の長考は加藤一二三九段や郷田真隆九段が有名だが、このおふたりは考えるのが楽しくて、時間を消費しているにすぎない。だが斎藤八段の長考には、迷いが感じられる。これでは余計くたびれて、中盤以降で正着を指す確率が低くなってしまう。
藤井聡太竜王にはいくつか名言があるが、先日感心したのは、「序盤は互角で十分。優位に立とうとは思っていない」である。渡辺名人にもそんなところがあるが、斎藤八段は貪欲に優位を勝ち取ろうとする。そこに無理が生じているのではなかろうか。
ともあれそんなわけで、もはやどんな展開になっても、最後は渡辺名人が勝つんだろうな、と思った。
果たして2日目、渡辺名人は優位を拡げ、勝ち切ったのだった。
終わってみれば、渡辺名人の強さをまざまざと見せつけられたシリーズとなった。これで名人3連覇で、二十世名人資格取得に向け、同じ名人3期の、佐藤天彦九段の半歩先を行くことになったわけだ。
だが、あと2期をスンナリ、とはいかないだろう。来期名人戦には藤井聡太竜王が出てくるからだ。1993年の名人就位式で、米長邦雄新名人が「来期はあの男が(名人戦に)出てくる」と羽生善治竜王を名指ししたときと似た状況だ。
谷川浩司十七世名人は、羽生九段の攻勢に遭いながらも、何とか十七世名人を獲得した。しかし渡辺名人はどうだろうか。藤井竜王がいったん名人位を手にしたら、20連覇ぐらいしそうで恐いのだ。
斎藤八段にしてもそうで、実は名人に連続挑戦した棋士は、例外なく名人を経験するのだが、だから斎藤八段も……とは言いきれない理由がここにある。
それに「十八世名人」も、羽生九段3期、森内俊之九段0期から、森内九段が逆転で取得したのだ。よって渡辺名人も、二十世名人が間近に迫ってきた、とは露ほどにも考えていないだろう。
まあともかく来年、来年の名人戦である。
第5局は渡辺名人の先手で、角換わり相早繰り銀になった。
第1日目を終え、消費時間は渡辺名人が3時間13分、斎藤八段が4時間54分だった。前局もこの時点で、渡辺名人2時間47分、斎藤八段5時間6分と、大量差がついていた。
序盤の長考は加藤一二三九段や郷田真隆九段が有名だが、このおふたりは考えるのが楽しくて、時間を消費しているにすぎない。だが斎藤八段の長考には、迷いが感じられる。これでは余計くたびれて、中盤以降で正着を指す確率が低くなってしまう。
藤井聡太竜王にはいくつか名言があるが、先日感心したのは、「序盤は互角で十分。優位に立とうとは思っていない」である。渡辺名人にもそんなところがあるが、斎藤八段は貪欲に優位を勝ち取ろうとする。そこに無理が生じているのではなかろうか。
ともあれそんなわけで、もはやどんな展開になっても、最後は渡辺名人が勝つんだろうな、と思った。
果たして2日目、渡辺名人は優位を拡げ、勝ち切ったのだった。
終わってみれば、渡辺名人の強さをまざまざと見せつけられたシリーズとなった。これで名人3連覇で、二十世名人資格取得に向け、同じ名人3期の、佐藤天彦九段の半歩先を行くことになったわけだ。
だが、あと2期をスンナリ、とはいかないだろう。来期名人戦には藤井聡太竜王が出てくるからだ。1993年の名人就位式で、米長邦雄新名人が「来期はあの男が(名人戦に)出てくる」と羽生善治竜王を名指ししたときと似た状況だ。
谷川浩司十七世名人は、羽生九段の攻勢に遭いながらも、何とか十七世名人を獲得した。しかし渡辺名人はどうだろうか。藤井竜王がいったん名人位を手にしたら、20連覇ぐらいしそうで恐いのだ。
斎藤八段にしてもそうで、実は名人に連続挑戦した棋士は、例外なく名人を経験するのだが、だから斎藤八段も……とは言いきれない理由がここにある。
それに「十八世名人」も、羽生九段3期、森内俊之九段0期から、森内九段が逆転で取得したのだ。よって渡辺名人も、二十世名人が間近に迫ってきた、とは露ほどにも考えていないだろう。
まあともかく来年、来年の名人戦である。