一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

十四たび大野教室に行く(後編)・大野八一雄七段の提案

2011-11-30 00:04:21 | 大野教室
続いて植山悦行七段に教えていただく。当人はイヤがったが、もちろん角落ちでお願いする。
植山七段との角落ち戦は、最初の5局こそ私の3勝2敗だったが、そこから植山七段に本気を出され、私の1勝7敗。植山七段はしきりに平手戦を誘うが、この体たらくでは夢のまた夢である。
本局は、これも私の矢倉。いままで私の玉の囲いは、薄いものが多かった。それが先月ぐらいから、意識的に矢倉を指すようになった。やはり玉が固いのは大きいからである。
植山七段、△8五桂。シャクに障るが、▲8八銀と引く。植山七段△6五歩。△8五桂と指した以上、攻め続けるよりない。▲6五同歩△同金▲6六歩△同金▲同金△同飛▲6七歩△5六飛。
最後の▲6七歩が疑問で、△5六飛と横歩を取られビックリした。最初はここで、▲6六金と打てば飛車を殺せると思っていた。しかしそれは△5一飛と引かれて何でもない。この錯覚は痛かった。
私は忍の▲5八歩。△7五歩~△7六歩にも▲6六金~▲7六金と辛抱した。と、植山七段が私を見て、
「遊んでるでしょ」
と苦笑した。遊ぶも何も、私は必死である。
△9五歩にも平然と▲同歩と取ったら、取るのかよ、と、これも意外そうだった。植山七段と私は読み筋が似ているらしいが、この数手は、植山七段の読みにはなかったようだ。ということは、私の手が疑問だったのだ。
最終盤、上手王に詰みはなく、下手玉も必至、というところで私は投了。しかし植山七段は、エエッ? と驚く。まだむずかしいでしょう、というわけだ。
▲9六玉・△5八竜△7八と△8七と…の局面で投了したのだが、私は▲8七玉と取れないと錯覚していた。しかし当然▲8七玉と取れる。以下、上手の追撃に、上部に逃げてどうか。ただこれも検討の結果、下手に勝ちはなかった。
少し戻って、△6六同飛には▲6七金と手厚く打つのが正着だったらしい。以下△6一飛▲6六歩となるが、自分だけ金を手放した上に▲6六歩の後手まで引くので、とても指す気になれなかった。
しかし上手から見ると、こう収めて下手からやってこい、と催促されると、指す手がないという。上手は△8五桂と跳ねているから攻めを継続せねばならないが、駒を渡すことになるので、後の反撃がキツイのだ。
下手は桂と歩が入れば、▲3四歩~▲3五歩から▲3四桂があり、攻め手には困らない。
言われてみればなるほどそうで、13日の大野八一雄七段の教えもそうだったが、プロ棋士の指摘は毎回毎回、本当にためになる。
また本譜の▲5八歩以下でも、下手に面白い変化が潜んでいた。こうしてみると、やはり角のハンデは大きいのかと思う。
この時点で午後5時はとっくに過ぎ、6時も回っていたのだが、子供さんを迎えに来る親御さんを待つことになり、食事会は少し遅れることになった。
表はすごい雨である。大野七段が、
「きょうはこんな雨なのに、皆さんが来てくれてありがたい」
ともらす。確かに雨の日は外出も大変だが、教室に入ってしまえば、天候は関係ない。ついでに書けば、私たちが大野教室に集うのは、大野七段を慕っているからである。天気に左右されることは全くない。
手持無沙汰の私(たち)は、また将棋を指すことにした。Fuj氏と再戦である。
Fuj氏の先手で▲7六歩△3四歩▲6六歩。またかよ…と思う。この3手を見れば、ふつうは先手の振り飛車を予想する。しかし矢倉党のFuj氏はここから矢倉に変化するのだ。
それがイヤだから、私は△3五歩と突き、三間飛車に振った。
ところがFuj氏も向かい飛車に振ってきた。もう何が何だか、訳が分からない。Fuj氏とは、まったく読みが合わない。
混乱した私は、中盤で作戦負けに陥る。▲2六桂で△3四飛が殺され、ピンチに見える。しかし私は、△3六飛の只捨てを用意していた。やむない▲同金に△3五歩で金が死んでいる。以下、△3六歩~△4六角と飛び出して逆転、これは勝ったと思った。
しかしFuj氏も最善手で粘る。これに私が業を煮やし、角、銀を渡して△3三銀と薄い詰めろを掛けたのだが、Fuj氏の次の一手に飛び上がった。
▲9三角成!! 全く見えていなかった。一段目に飛車が利いているので△同玉とは取れないが、△同香でも▲9一角△9二玉▲8一銀△9一玉▲7二銀成で詰んでしまう。この見落としは痛かった。
私は力なく△7三玉だが、▲5一角と王手銀取りを掛けられて投了。何だか知らないが、またFuj氏に負けた。これはもう、実力が違うのだろうか。
生徒の親御さんもようやく来て子供さんと帰り、いよいよ食事タイムである。参加メンバーは大野七段、W氏、Fuj氏、M君、私。植山七段は、翌日に職団戦の審判があるとかで、きょうは自宅へ戻った。
外はまだ雨が降っていたが、クルマで少し走り、「華屋与兵衛」に入った。
私は蕎麦と寿司の定食をオーダーしたが、残りの4人はトンカツ定食。ここのキャベツがおかわり自由なのだが、みんなが何度もおかわりするので、私はちょっと恥ずかしくなった。
中学生のM君を駅前まで送り届け、私たちはとって返して、ガストへ入る。先日のキャンペーンは終了し、現在は「39円キャンペーン」なるものをやっていた。しかしこれは小学生までの注文に限るもので、私たちは対象外。2色アイスクリームとドリンクバーを注文する。
いいオトナが4人固まって、アイスクリームを口に運ぶ。ハタから見たら少し気色悪い。この仲間には入りたくないなと思う。
「大沢さんとも、これからは平手でやりましょうよ」
大野七段が再び勧めてくださる。
「いえ、私は…」
とてもありがたいが、私にそんな実力はない。プロ相手に平手は畏れ多い。
「平手の指し方も勉強したほうがいいですよ。私はFujさんとも平角交じりで指し始めたし」
「お断りします」
私は苦笑しながら言う。いかにも愚直だが、それも私らしくてよい。
スマホを見ると11時20分である。このまま話しこんで、また終電を逃したら一大事だ。きょうはこれでお開きとなった。
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十四たび大野教室に行く(前編)・Minamiちゃんと初対局

2011-11-29 00:14:51 | 大野教室
19日(土)は朝から雨。きょうは7歳の「めい」の学芸会があったので、朝から板橋区の小学校に出向いた。私はビデオ撮影係。めいはかわいらしくて将来のAKB48だが、自分の娘ではないからいまひとつ気分が乗らない。いつか将棋のイベントで、室谷由紀ちゃんを思う存分カメラに収められたらと思う。

午後から雨脚もひどくなったが、私は「大野教室」に行った。午後2時20分入室。お馴染みの生徒が何人かおり、私も含めて大人5人、子供5人、奨励会員1人の参加だった。なお、植山悦行七段が特別講師として加わっていた。
まず、Fuj氏と指す。相矢倉になった。△5三角△4四銀の局面から、敵角頭めざして△3五歩。これにFuj氏は▲5八飛。私は喜んで△3六歩と取り込んだが、▲2八角と我慢されてみると、次の▲5五歩が厳しい。これは容易ならざる形勢で、己の大局観の悪さに唖然とした。
数手後▲6四歩。ここにと金を作らせるわけにはいかないから△同歩だが、▲7四角と王手飛車をかけられてシビれた。これには△4二玉と立つのがまだしもだったが、私は△5二歩と受ける。しかし▲9二角成△同香のあと、一段目に飛車を下ろされて、受けに窮した。…△4二玉▲6三桂まで、私が負けた。
しかし、どうもよくない。私も矢倉の勉強をしなければならない。でも将棋の勉強はイヤだな。
2局目は大野八一雄七段と角落ち戦。13日に続いて矢倉の作戦を採る。今度は飛車先の歩も無事切れたが、どうも指し手がダサイ。重たいのだ。
大野七段は中央で戦いを起こす。私は▲6五歩と突っ張る。これが局後大野七段に褒められた一手だった。下手にこう強気で来られると、上手が困るらしい。下手にはこのあたりでビビッてほしいんだけど…とのことだった。
私は成り駒を作り、▲7四銀と飛車を責める。
「これは…大沢さんの好きな展開になっちゃったな」
と大野七段がつぶやく。
数手後大野七段、私の歩の頭に△8五桂(打)の非常手段に出た。もし▲同歩なら△同飛▲8六歩に△7五飛、と私の角と指し違え、もう一暴れしてくるつもりだろう。
しかしその順でも指せると思ったので、私も強く迎えうった。実戦もそのように進み、大野七段、▲6五銀取りに△4七角と打つ。これに私が▲6二の成桂を▲5一成桂と入ったのが好手だった。
もし△6五角成なら、▲6二飛と王手馬取りをかけて下手勝ち。以下も徐々に上手王に肉薄し、最後は▲1三香△同王▲1一竜△1二銀▲2二銀△2三王▲1二竜△同王▲1三銀打△2三王▲2四銀成(2八に飛車がいる)まで、下手の勝ちとなった。
私はいつものようなダサイ将棋にしてしまったとクサっていたのだが、大野七段には
「大沢さん好みの手厚い将棋にしてしまって、これはダメだと思いました。本局はこれまでの大沢さんの将棋の中で、一番いい出来だったんじゃないですか? これで私に連勝したし、次からは平角交じり(平手と角落ちを交互に指すこと)で指しましょう」
と、もったいない言葉をいただいた。平角交じりはともかく、私の将棋を「手厚い」と評してくれたのはうれしかった。アマチュアへのホメ言葉では、「手厚い将棋」が最上級ではないかと、私は思っている。
さてきょうもかわいらしいお嬢さんが何人かいた。Akiちゃん、Hanaちゃんのプリティ姉妹に加え、前回に続いてMinamiちゃんがいた。Minamiちゃんは今年5月に行われた「LPSA将棋パーク」で拝見したが、その時より大人びて見えた。聞くところによると、最近髪を切ったらしい。Minamiちゃんは現在中学1年生だが、女子の成長は早い。
そのMinamiちゃんと指すことになった。これはちょっとした好取組である。「おおっ、一公-Minami戦ですか!」という声が上がった。
私の二枚落ちで対局。Minamiちゃんのご両親には日頃からお世話になっているが、それと勝負事は別。私は子供相手でも全力で戦う。それで高校の時の対局をはじめ、何人かの女の子を泣かせてしまったが、私の方針は変わらない。
将棋は、Minamiちゃんの右銀が立ち遅れているのに▲3四歩△同歩▲同飛と来たので、私は△3三銀と図々しく上がる。以下、手練手管で下手を誤魔化してしまった。Minamiちゃんは残念そうだったが、そこはそれ、である。
まだ空きの対局者がいなかったので、Minamiちゃんともう一局指すことにする。
今度はMinamiちゃんも右銀を素早く繰り出して、▲3四歩ときた。これでは△3三銀とは上がりづらく、私は△3三歩。Minamiちゃんは、着々と攻めの態勢を整える。
Minamiちゃんは、級位者にありがちな、文字どおりのノータイム指しや、何を考えてるんだか分からない、謎の長考がない。一手一手、少しずつだが時間を使い、ここぞと思う所は熟考する。考慮時間にメリハリがあって、これは級位者にはない長所である。
丁寧にめんどうを見ていたら、徐々にこちらの形勢が悪くなってきた。Minamiちゃんはサウスポーである。Minamiちゃんの形勢が良くなってきて、駒を持つ手つきも変わってきた。「もうワタシの勝ちですわよ」とばかり、私の駒を中指でポーン、とはじくやサッと駒台に乗せ、空いたマス目にチャッ、と駒を置くのだ。
Minamiちゃんの攻めはやや重いが、着実に上手玉を追いつめていく。なんだかMinamiちゃんの顔が、Hiroeママそっくりに見えた。
最後、Minamiちゃんは豊富な持ち駒があったが、「まだ一公さんとは今後対局があるから」とばかり、あえて上手玉を詰ますことはせず、がんじがらめの必至を掛ける。ここで私は無念の投了となった。く…悔しい!!
私はMinamiちゃんに、
「お母さんより強いかもしれないよ。ここだけの話だけど」
と言った。
後でみんなに聞いたが、Minamiちゃんはこの勝利を、とても喜んでいたそうである。うう…次回は私のリベンジである。Minamiちゃんと次に対局する日を、私は楽しみにしている。
(つづく)
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8人のジョナ研

2011-11-28 00:03:57 | ジョナ研
18日(金)は、前週に続いて「ジョナ研」があった。9月から月2回の開催となったので、それを厳格に守って、2週連続の開催である。
きょうの参加予定は7人。前週は2人だったが、1週違うと、こうも参加人数が違う。
午後6時半ごろ駒込ジョナサンに入ると、Hon氏が先着していた。早くもビールを飲み、ヤル気満々である。
やがてW氏、Kun氏が到着。しばらく経ってR氏も入店した。R氏は参加予定ではなかったが、たまたま大塚近くまで来る用事があり、ついでに寄ったらしい。R氏、先月も似たような理由で来店したが、ジョナ研の神様に導かれているのかもしれない。
続いてKaz氏、Y氏、Fuj氏が来店し、8人となった。これはレギュラーメンバーが揃ったというべきだろう。
ただし今回はジョナ研のマドンナ・Ayakoさんが休みだった。これはけっこうキツくて、ジョナ研の覇気が落ちた。いまやAyakoさんは、このジョナ研に欠かせない存在になっているのだ。
ここで席の配置を記す。

R Hon Fuj Kaz

Kun 一公 W Y

Kaz氏とFuj氏は4人テーブルだったので、これから食事をするには皿が多くなってキツかろうと、Fuj氏と私が席を替わる。と、Kaz氏が
「大沢さんに隣に来られるとドキドキしちゃうなあ」
と言った。な、何を言ってるんだKaz氏。ヤローに言われても、全然うれしくない。このセリフは、Ayakoさんか室谷由紀ちゃんに言われたい。あ、もちろん中井広恵女流六段でもいい。ところでAyakoさんと飲みに行ったら、カウンターで並びの席なのか。それともテーブル席で向かい合わせなのか。店はどこがいいのだろう。彼女は沖縄の出身だから、沖縄料理の店がいいか。やっぱし棋友もお供にしたほうがいいのか。でも邪魔じゃないか…。話題は何がいいのだろう。AKBネタがいいのか。将棋のことは話していいのか。マズイよな、将棋はマズイ。やっぱり沖縄の話だ。Ayakoさんは離島に行ったことがありますか。ボクは八重山が好きで…。
などと、果てしなく妄想をしてしまう。しかしこうやってイメージすることは、大事である。

ジョナ研もこれだけ人数がいれば、話題には事欠かない。何しろふたりだけだって、3時間半もつのだ。今回も合宿や社団戦の話、来年の企画のことなど、いろいろ盛り上がった。
その途中途中で、私にスマホを買わせた張本人のW氏が、ケータイを片手に仕事をしていた。ふだん私たちは将棋バカの一面しか見せていないから、こうした姿は逆に新鮮だ。
私も20代から30代にかけては、スーツ姿でバリバリ働いていたものだが、いまはすっかり堕落し、見る影もない。
W氏の抱えている案件が、野次馬的にはなかなかに面白いのだが、面白すぎてブログには書けない。けっこうこのブログでは、面白ネタをボツにしている。それらを詳らかに書いたら、このブログが消滅してしまう。
きょうはKun氏が指し将棋熱にかかっていて、ひとつだけ用意されてあった布将棋盤と駒で、R氏と指し始めた。
以前も書いたが、こうして将棋を指すのを大目に見てくれる駒込ジョナサンは、神様みたいなファミレスである。
Kun-R戦が終わると、今度はR氏とKaz氏が入れ替わって、再び対局。
それ以外の者は、再び将棋談議に花を咲かす。ファミレスの中でこの一角だけが、いい雰囲気を醸し出している。めいめいが、癒しのオーラを出しているのだろう。これはジョナ研に参加しなければ味わえないものである。
そんな中Kun-Kaz戦は、妙な緊張感を出している。両者の目が真剣で、どこかの大会みたいだ。それもまたよしである。ジョナ研は、雑談でも実戦でも、なんでもありなのだ。
中井さんは来週名人リーグだよね、勝つといいね、負けても大丈夫だよね、という話になる。中井女流六段は女流棋界を代表する大豪でありながら、それを鼻にかけることもなく、いつも気さくに私たちと接してくれる。もはや私たちの間では、中井人気は連日ストップ高である。いささかもマイナス要素がない。
Kun-Kaz戦が終わり、先に退店したHon氏に続いて、Kun氏も退店した。空いたKun氏の席にFuj氏が座って、今度はKaz-Fuj戦が開始された。これも好取組だ。
私たちは、対局している彼らを「バカだねぇ」と言いつつ、温かい目で見る。
そのKaz-Fuj戦も一手を争う名局だったが、残念ながら12時が近くなり、結局これは指し掛けとなった。
次回はAyakoさんに会いたいものだ。
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第38期女流名人位戦・挑戦者および昇降級者予想・答え合わせ

2011-11-27 00:12:22 | 勝敗予想
第38期女流名人位戦A級・B級リーグは、24日(木)に行われた最終局をもって終了した。
当ブログでは、3月30日に、A級リーグの女流名人挑戦者と降級者、B級リーグの昇級者と降級者を予想した。きょうはその答え合わせをする。

A級リーグ
【予想】
1位 清水市代女流六段
2位 早水千紗女流二段 ▼降級
3位 甲斐智美女王・女流王位
4位 斎田晴子女流四段
5位 上田初美女流二段
6位 岩根忍女流二段 ▼降級
7位 中井広恵女流六段 ◎挑戦
8位 矢内理絵子女流四段
9位 中村真梨花女流二段
張出 千葉涼子女流三段 ▼降級
【結果】
1位 清水市代女流六段(9-0)◎挑戦
2位 早水千紗女流二段(1-8)▼降級
3位 甲斐智美女流王位(4-5)
4位 斎田晴子女流五段(4-5)
5位 上田初美女王(4-5)
6位 岩根忍女流二段(4-5)
7位 中井広恵女流六段(4-5)▼降級
8位 矢内理絵子女流四段(6-3)
9位 中村真梨花女流二段(5-4)
張出 千葉涼子女流四段(4-5)▼降級

A級リーグは清水女流六段が9戦全勝。1局を残して女流名人位挑戦を決めた。あとは早水女流二段を除いた8人で、星をつぶし合う形となった。
清水女流六段の充実ぶりは素晴らしい。2年連続A級全勝は特筆モノである。清水女流六段の将棋を見ていると、ストイックなまでに将棋に打ち込む姿が想起され、ある種のすがすがしささえ覚える。強い人ほど勉強している。だからますます実力が離れるのだ。
挑戦者と予想した中井女流六段はまさかの降級。今期は早々と挑戦争いから脱落し、残留できるかどうかに焦点が絞られていた。それでも最終局の前までは、負けても残留の目が濃かったが、終わってみると作ったような星で、中井女流六段の降級となった。
甲斐女王○-矢内女流四段●、斎田女流五段○-岩根女流二段●、上田女王●-中村女流二段○。これら3局の勝敗がどれかひとつでも入れ替わっていたら、中井女流六段は助かっていた。まったく、中井女流六段は運がなかった。
それにしても…とつぶやかずにおれない。中井女流六段の降級は何回目なのか。私は中井女流六段の実力を高く買っているが、その中井女流六段でさえ、昇降級を繰り返している。A級のレベルは高いと言わざるを得ない。
そんな中井女流六段に私は、25日に直接話を聞くことができた。と、本人いわく「自分が負けたんだから、諦めがつく」とのことだった。つねに前を向いて生きる、中井女流六段らしい言葉と思った。
前述したように、今期は清水女流六段の独走だった。しかしそれを許したほかのメンバーがだらしなかった、ともいえる。来期は上田女王、甲斐女流王位ら、実力者の巻き返しに期待したい。

B級リーグ
【予想】
1位 石橋幸緒女流四段 △昇級
2位 北尾まどか女流初段
3位 本田小百合女流二段 △昇級
4位 竹部さゆり女流三段 ▼降級
5位 室田伊緒女流初段 ▼降級
6位 山田久美女流三段 △昇級
6位 山口恵梨子女流初段 ▼降級
6位 野田澤彩乃女流1級 ▼降級
6位 渡辺弥生女流1級 ▼降級
6位 室谷由紀女流1級
【結果】
1位 石橋幸緒女流四段(8-1)△昇級
2位 北尾まどか女流初段(2-7)▼降級
3位 本田小百合女流二段(6-3)△昇級
4位 竹部さゆり女流三段(4-5)
5位 室田伊緒女流初段(5-4)△昇級
6位 山田久美女流三段(4-5)▼降級
6位 山口恵梨子女流初段(4-5)▼降級
6位 野田澤彩乃女流1級(3-6)▼降級
6位 渡辺弥生女流1級(4-5)▼降級
6位 室谷由紀女流初段(5-4)

B級リーグは、実力者の石橋女流四段が早々と昇級を決めた。このクラスでは格が違う感じである。
本田女流二段も同様。本田女流二段はB級の将棋ではない。
ほかの女流棋士は勝ったり負けたりで実力伯仲。4勝と5勝が昇降級の分水嶺で、5勝で順位が上だと昇級し、4勝で順位が下だと降級となった。
室谷女流初段は、最終局を勝っていれば昇級だったが、無念の頭ハネ。しかしこれまでどおり精進を続ければ、来期はラクに昇級できるだろう。
山口女流初段は、最終局を前に降級決定。しかし山口女流初段も、メキメキ力をつけている。来期も有力なリーグ入り候補なのは間違いない。

里見香奈女流名人と清水女流六段との五番勝負は来年1月15日から。両者とも秘術を尽くして頑張ってほしい。
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悲運の闘将・西本幸雄監督、逝く

2011-11-26 02:58:43 | プライベート
きのう25日(金)、元プロ野球監督の西本幸雄氏が死去した。享年91歳。プロ野球の監督経験者は数百人に上るだろうが、「日本一にさせたかった男」の筆頭が西本監督だった。
名選手必ずしも名監督ならず、という諺があるが、その逆も然りで、名監督必ずしも名選手ならず、ということがある。西本監督もそうで、現役生活はわずか6年。成績もパッとしなかった。
しかし昭和30年に現役を引退すると、二軍監督やコーチを経て、昭和35年、毎日オリオンズの監督に就任。その年いきなりリーグ優勝を果たし、日本中をあっと言わせた。
西本監督は、自分がこれ、と思った選手を集中的に鍛えた。世にいう「西本道場」である。この熱血指導で、西本監督は数々の名選手を育て上げた。
以降、阪急ブレーブス、近鉄バファローズの監督を歴任し、通算20年の監督生活でリーグ優勝8回。しかし日本一になることはついぞなく、「悲運の闘将」と呼ばれた。
この8回のシリーズ中、最も日本一に近づいたのが、昭和54年・広島東洋カープとの戦いだった。近鉄の○○●●●○で迎えた第7戦、4-3の1点ビハインドで迎えた9回裏、近鉄は広島のリリーフエース江夏豊を攻め、無死満塁の大チャンスを掴んだ。
ここで代打・佐々木恭介は、三塁線に強いゴロを放つ。しかし判定はファウル。これはかなり際どい当たりで、フェアと判定されてもおかしくなかった。
結局佐々木は三振。続く石渡茂の2球目、近鉄はスクイズを試みる。しかし江夏は咄嗟にウエストボールを投げ、三塁走者藤瀬史朗は憤死、2アウトとなった。
ここまでくれば江夏のもの。1球ファウルを挟んで、4球目に石渡を空振り三振に打ち取り、ここに広島の日本一が決まった。これが後に語り継がれる「江夏の21球」でもあった。
昭和56年に監督を勇退してからは、フジテレビ系の野球解説者を務めた。タレント色の濃いフジテレビ解説陣にあって西本解説はピリッと辛く、それでいて滋味があふれる、不思議な温かさがあった。
著名人が亡くなると、「昭和が終わった」という言葉を使う。西本監督もそのひとりで、輝ける昭和のプロ野球の、パ・リーグを代表する野球人だった。
西本監督のご冥福を、心よりお祈りします。

参考文献:
「プロ野球 遅咲きの人間学」近藤唯之著(PHP文庫)
「監督たちの戦い[決定版]上巻」浜田昭八著(日経ビジネス人文庫)
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