昨日の冒頭の局面の再掲。
先手:1七歩、1九香、2四桂、3一馬、3八銀、4七歩、4九金、5七歩、6七歩、7六歩、8五銀、8六玉、9七歩 持駒:飛、金、桂2、歩2
後手:1一香、1三歩、3三銀、4三歩、5二王、6三歩、7二金、7三歩、8一桂、8八竜、8九銀、9一香、9三歩、9九角 持駒:金、香、歩5
☖8八竜と王手された局面。ここで第一感は☗8七金合で、竜を逃げてくれれば☗3二飛☖4二香☗5四桂、ぐらいで一手一手と思ったのだが、金合いには☖9五金☗同玉☖8七竜があり、これで先手玉は必死。後手王は☗5一金☖同王☗4一飛☖5二王でわずかに詰まず、これは先手負けだ。
だから☗8七歩と受けたのだが、☖7七竜☗9六玉☖9五香以下、詰まされた。
数手前の局面はともかく上の局面は、感想戦では先手の勝ちは出なかった。結局負けか…と思ったが、27日の夜中に風呂に入っているとき、☗8七桂合があることに気付いた。この手は対局中ももちろん考えたが、☖7七竜☗9六玉☖8六金以下、詰むと思った。
しかし「8六」には馬が利いているではないか!! それならばこの桂は「9五」にも利き、指す価値はあった。実際はそう指しても、☖7七竜☗9六玉☖9八銀不成~☖8八角成で負けだし、冷静に☖5三歩と馬筋を止められても、先手に勝ちはない。
しかしこれは、対局していた私だけが分かるのだが、もし私が☗8七桂と指したら、☖7七竜☗9六玉に、後手氏が☖8六金と打とうとして馬の利きに気付き、王手をしなければならぬという強迫観念にかられ、秒読みに追われて、☖9四香、もしくは☖9五香と打った気がするのだ。
一枚入れば後手王が詰めろになる。後手氏に正確に指されていたら負けは負けだが、「勝負術」として、☗8七桂と打つ手はあったのだ。しかし馬が「8六」に利いていることをうっかりしていたのだから、何をか言わんや。けっきょく私も、残り時間の少なさに追われ、冷静な判断ができなかったのだ。しかしこれも実力。後手氏が強かった、ということである。
大将のW氏も負け。このカードは負け越した、と観念し、LPSAブースへ向かう。勝った時はそうでもないが、負けたときは、然るべき女流棋士に慰めてもらいたくなる。
「負けちゃいましたよ」
誰にともなくそう言うと、船戸陽子女流二段が
「このサイン入りのTシャツどうですか」
と言う。3年前に東京・新宿でLPSA設立イベントを行った際に設えた「LPSA×MOA4Cafe」のTシャツだ。これは私も一枚持っているので、買わない。
別のお客さんが、1,500円前後のグッズを買う。と、船戸女流二段が、
「いま2,500円以上のお買い物をしていただくと、こちらをサービスしてます」
と言う。見ると、傍らに無地のTシャツらしきものが積まれている。船戸女流二段もなかなか商売上手だ。そういえば昨年の社団戦では、藤田麻衣子さんに、どうぶつしょうぎと巾着袋のセットを「買ってよー。買ってよ買ってよー」とお願いされたものだった。船戸女流二段にもこの手を使われたら、拒絶できない。
まだ時間があるので、(たしかこの時だったと思うが)LPSA月組の様子を見に行く。妙齢の美女ふたりが、ふつうに将棋を指している。東京アマチュア将棋連盟は、なんでもアリなのだ。素晴らしいと思う。
傷心が癒えないまま対局場所に戻ると、嬉しい報せがあった。
なんと、星組が4勝3敗で勝ったというのだ。大将と副将がスットコドッコイな将棋で惨敗したのに、後続がフォローしてくれたのだ。
将棋は個人対個人の孤独な勝負だが、このときほど団体戦の醍醐味、有難味を感じたことはなかった。
3回戦は午後2時30分から、「NECソフト」と。ここで七将がW氏からHak氏に代わる。W氏はLPSAブースで女流棋士とのおしゃべりに専念するらしい。
しかし相手の七将がおらず、Hak氏の不戦勝。用事を済ませて駆けつけてくれたのに、Hak氏は力を発揮できず、残念だった。
私は後手番。先手氏の居飛車明示に三間飛車に振ると、先手氏は☗5七銀。これは居飛車穴熊でくる、と決め打ちして、向かい飛車に振り直し、急戦を仕掛けた。
数手進んで☖5三桂と☗6五銀取りに打ったが、ここで☗5四歩と打たれたら難しかった。しかし本譜は☗6六歩だったので、ありがたく銀をいただいた。あとは竜、成銀、と金を作り、角2枚をベタベタ打って、☗8七飛に☖7五桂と打ったところで、先手氏の投了となった。
早く終わったので、LPSAブースへ行く。松尾香織女流初段が、
「このTシャツ買ってよー」
と、自らが着ているLPSA緑Tシャツを示す。松尾女流初段がブースの手伝いをするのは珍しいと思う。緑Tシャツもよく似合う、若奥様だ。この緑Tシャツ、いつか買おうと思っているが、いつも買わない。でもこの日に買えば、別のTシャツのおまけがついてくるんだった。懐具合の問題もあるが、買うのだったか。
戻ってみると、チームは5勝2敗で勝利していた。私が席を立った時、Wパパは勝勢だったし、順当な結果であろう。やはり1勝のアドバンテージは大きく、戦う前から指し分け(3勝3敗)でいいと思えば、チーム全体に余裕が出る。
最終4回戦は4時30分から。相手は「Dこぼこフレ」。このチームは全体的に若く、私たちが待っているのに、3回戦の相手チームと感想戦を熱心にやっていた。Wパパとも話したのだが、こういう「若い」チームがいちばん手ごわい。
先手番になる。先ほどの感想戦をのぞいていたら、後手氏は飛車を振っていた。本局は私の居飛車明示に、後手氏はゴキゲン中飛車。
なかなか☖5五歩と突いてこないので☗5六歩と突き、飛車先の歩を交換したが、これは☗6八玉が王手飛車のラインに入って、危険だった。
そこをすり抜けると、以下は指しやすくなったが、こちらも疑問手をいくつか指す。しかし咎められなかったので、事なきを得た。優勢から勝勢になったが、後手氏はなかなか投げないので、最後は完勝になってしまった。1局目と3局目もそうだったが、こちらが勝勢なのに、相手はまったく投げる気配がない。これが「社団戦」なのだと実感した。
全7局が終わったようで、監督であるY氏の持つ対戦表を確認すると、4勝3敗で勝利していた。
これでチームは4勝0敗。当然の目標だったとはいえ、よく勝ったと思う。ふだんは敵に回すと厄介な連中ばかりだけに、味方にすると、実に頼もしい仲間たちだった。私個人は3勝1敗。負けた一局が引っかかるが、贅沢は言えまい。
このあとは打ち上げである。Y氏、To氏はそのまま帰宅。月組のHo氏が合流し、8人で居酒屋へ向かう。私は喫茶店でケーキセットを食したかったのだが、同調者がいない。それはまたの機会とする。
居酒屋へ入って、生ビールを8つ頼む。勝利を祝して、乾杯。
私は飲めないが、この一杯は、美味かった。
先手:1七歩、1九香、2四桂、3一馬、3八銀、4七歩、4九金、5七歩、6七歩、7六歩、8五銀、8六玉、9七歩 持駒:飛、金、桂2、歩2
後手:1一香、1三歩、3三銀、4三歩、5二王、6三歩、7二金、7三歩、8一桂、8八竜、8九銀、9一香、9三歩、9九角 持駒:金、香、歩5
☖8八竜と王手された局面。ここで第一感は☗8七金合で、竜を逃げてくれれば☗3二飛☖4二香☗5四桂、ぐらいで一手一手と思ったのだが、金合いには☖9五金☗同玉☖8七竜があり、これで先手玉は必死。後手王は☗5一金☖同王☗4一飛☖5二王でわずかに詰まず、これは先手負けだ。
だから☗8七歩と受けたのだが、☖7七竜☗9六玉☖9五香以下、詰まされた。
数手前の局面はともかく上の局面は、感想戦では先手の勝ちは出なかった。結局負けか…と思ったが、27日の夜中に風呂に入っているとき、☗8七桂合があることに気付いた。この手は対局中ももちろん考えたが、☖7七竜☗9六玉☖8六金以下、詰むと思った。
しかし「8六」には馬が利いているではないか!! それならばこの桂は「9五」にも利き、指す価値はあった。実際はそう指しても、☖7七竜☗9六玉☖9八銀不成~☖8八角成で負けだし、冷静に☖5三歩と馬筋を止められても、先手に勝ちはない。
しかしこれは、対局していた私だけが分かるのだが、もし私が☗8七桂と指したら、☖7七竜☗9六玉に、後手氏が☖8六金と打とうとして馬の利きに気付き、王手をしなければならぬという強迫観念にかられ、秒読みに追われて、☖9四香、もしくは☖9五香と打った気がするのだ。
一枚入れば後手王が詰めろになる。後手氏に正確に指されていたら負けは負けだが、「勝負術」として、☗8七桂と打つ手はあったのだ。しかし馬が「8六」に利いていることをうっかりしていたのだから、何をか言わんや。けっきょく私も、残り時間の少なさに追われ、冷静な判断ができなかったのだ。しかしこれも実力。後手氏が強かった、ということである。
大将のW氏も負け。このカードは負け越した、と観念し、LPSAブースへ向かう。勝った時はそうでもないが、負けたときは、然るべき女流棋士に慰めてもらいたくなる。
「負けちゃいましたよ」
誰にともなくそう言うと、船戸陽子女流二段が
「このサイン入りのTシャツどうですか」
と言う。3年前に東京・新宿でLPSA設立イベントを行った際に設えた「LPSA×MOA4Cafe」のTシャツだ。これは私も一枚持っているので、買わない。
別のお客さんが、1,500円前後のグッズを買う。と、船戸女流二段が、
「いま2,500円以上のお買い物をしていただくと、こちらをサービスしてます」
と言う。見ると、傍らに無地のTシャツらしきものが積まれている。船戸女流二段もなかなか商売上手だ。そういえば昨年の社団戦では、藤田麻衣子さんに、どうぶつしょうぎと巾着袋のセットを「買ってよー。買ってよ買ってよー」とお願いされたものだった。船戸女流二段にもこの手を使われたら、拒絶できない。
まだ時間があるので、(たしかこの時だったと思うが)LPSA月組の様子を見に行く。妙齢の美女ふたりが、ふつうに将棋を指している。東京アマチュア将棋連盟は、なんでもアリなのだ。素晴らしいと思う。
傷心が癒えないまま対局場所に戻ると、嬉しい報せがあった。
なんと、星組が4勝3敗で勝ったというのだ。大将と副将がスットコドッコイな将棋で惨敗したのに、後続がフォローしてくれたのだ。
将棋は個人対個人の孤独な勝負だが、このときほど団体戦の醍醐味、有難味を感じたことはなかった。
3回戦は午後2時30分から、「NECソフト」と。ここで七将がW氏からHak氏に代わる。W氏はLPSAブースで女流棋士とのおしゃべりに専念するらしい。
しかし相手の七将がおらず、Hak氏の不戦勝。用事を済ませて駆けつけてくれたのに、Hak氏は力を発揮できず、残念だった。
私は後手番。先手氏の居飛車明示に三間飛車に振ると、先手氏は☗5七銀。これは居飛車穴熊でくる、と決め打ちして、向かい飛車に振り直し、急戦を仕掛けた。
数手進んで☖5三桂と☗6五銀取りに打ったが、ここで☗5四歩と打たれたら難しかった。しかし本譜は☗6六歩だったので、ありがたく銀をいただいた。あとは竜、成銀、と金を作り、角2枚をベタベタ打って、☗8七飛に☖7五桂と打ったところで、先手氏の投了となった。
早く終わったので、LPSAブースへ行く。松尾香織女流初段が、
「このTシャツ買ってよー」
と、自らが着ているLPSA緑Tシャツを示す。松尾女流初段がブースの手伝いをするのは珍しいと思う。緑Tシャツもよく似合う、若奥様だ。この緑Tシャツ、いつか買おうと思っているが、いつも買わない。でもこの日に買えば、別のTシャツのおまけがついてくるんだった。懐具合の問題もあるが、買うのだったか。
戻ってみると、チームは5勝2敗で勝利していた。私が席を立った時、Wパパは勝勢だったし、順当な結果であろう。やはり1勝のアドバンテージは大きく、戦う前から指し分け(3勝3敗)でいいと思えば、チーム全体に余裕が出る。
最終4回戦は4時30分から。相手は「Dこぼこフレ」。このチームは全体的に若く、私たちが待っているのに、3回戦の相手チームと感想戦を熱心にやっていた。Wパパとも話したのだが、こういう「若い」チームがいちばん手ごわい。
先手番になる。先ほどの感想戦をのぞいていたら、後手氏は飛車を振っていた。本局は私の居飛車明示に、後手氏はゴキゲン中飛車。
なかなか☖5五歩と突いてこないので☗5六歩と突き、飛車先の歩を交換したが、これは☗6八玉が王手飛車のラインに入って、危険だった。
そこをすり抜けると、以下は指しやすくなったが、こちらも疑問手をいくつか指す。しかし咎められなかったので、事なきを得た。優勢から勝勢になったが、後手氏はなかなか投げないので、最後は完勝になってしまった。1局目と3局目もそうだったが、こちらが勝勢なのに、相手はまったく投げる気配がない。これが「社団戦」なのだと実感した。
全7局が終わったようで、監督であるY氏の持つ対戦表を確認すると、4勝3敗で勝利していた。
これでチームは4勝0敗。当然の目標だったとはいえ、よく勝ったと思う。ふだんは敵に回すと厄介な連中ばかりだけに、味方にすると、実に頼もしい仲間たちだった。私個人は3勝1敗。負けた一局が引っかかるが、贅沢は言えまい。
このあとは打ち上げである。Y氏、To氏はそのまま帰宅。月組のHo氏が合流し、8人で居酒屋へ向かう。私は喫茶店でケーキセットを食したかったのだが、同調者がいない。それはまたの機会とする。
居酒屋へ入って、生ビールを8つ頼む。勝利を祝して、乾杯。
私は飲めないが、この一杯は、美味かった。