一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

社団戦第1日目に参戦する(後編)

2010-06-30 01:07:33 | 社団戦
昨日の冒頭の局面の再掲。
先手:1七歩、1九香、2四桂、3一馬、3八銀、4七歩、4九金、5七歩、6七歩、7六歩、8五銀、8六玉、9七歩 持駒:飛、金、桂2、歩2
後手:1一香、1三歩、3三銀、4三歩、5二王、6三歩、7二金、7三歩、8一桂、8八竜、8九銀、9一香、9三歩、9九角 持駒:金、香、歩5

☖8八竜と王手された局面。ここで第一感は☗8七金合で、竜を逃げてくれれば☗3二飛☖4二香☗5四桂、ぐらいで一手一手と思ったのだが、金合いには☖9五金☗同玉☖8七竜があり、これで先手玉は必死。後手王は☗5一金☖同王☗4一飛☖5二王でわずかに詰まず、これは先手負けだ。
だから☗8七歩と受けたのだが、☖7七竜☗9六玉☖9五香以下、詰まされた。
数手前の局面はともかく上の局面は、感想戦では先手の勝ちは出なかった。結局負けか…と思ったが、27日の夜中に風呂に入っているとき、☗8七桂合があることに気付いた。この手は対局中ももちろん考えたが、☖7七竜☗9六玉☖8六金以下、詰むと思った。
しかし「8六」には馬が利いているではないか!! それならばこの桂は「9五」にも利き、指す価値はあった。実際はそう指しても、☖7七竜☗9六玉☖9八銀不成~☖8八角成で負けだし、冷静に☖5三歩と馬筋を止められても、先手に勝ちはない。
しかしこれは、対局していた私だけが分かるのだが、もし私が☗8七桂と指したら、☖7七竜☗9六玉に、後手氏が☖8六金と打とうとして馬の利きに気付き、王手をしなければならぬという強迫観念にかられ、秒読みに追われて、☖9四香、もしくは☖9五香と打った気がするのだ。
一枚入れば後手王が詰めろになる。後手氏に正確に指されていたら負けは負けだが、「勝負術」として、☗8七桂と打つ手はあったのだ。しかし馬が「8六」に利いていることをうっかりしていたのだから、何をか言わんや。けっきょく私も、残り時間の少なさに追われ、冷静な判断ができなかったのだ。しかしこれも実力。後手氏が強かった、ということである。
大将のW氏も負け。このカードは負け越した、と観念し、LPSAブースへ向かう。勝った時はそうでもないが、負けたときは、然るべき女流棋士に慰めてもらいたくなる。
「負けちゃいましたよ」
誰にともなくそう言うと、船戸陽子女流二段が
「このサイン入りのTシャツどうですか」
と言う。3年前に東京・新宿でLPSA設立イベントを行った際に設えた「LPSA×MOA4Cafe」のTシャツだ。これは私も一枚持っているので、買わない。
別のお客さんが、1,500円前後のグッズを買う。と、船戸女流二段が、
「いま2,500円以上のお買い物をしていただくと、こちらをサービスしてます」
と言う。見ると、傍らに無地のTシャツらしきものが積まれている。船戸女流二段もなかなか商売上手だ。そういえば昨年の社団戦では、藤田麻衣子さんに、どうぶつしょうぎと巾着袋のセットを「買ってよー。買ってよ買ってよー」とお願いされたものだった。船戸女流二段にもこの手を使われたら、拒絶できない。
まだ時間があるので、(たしかこの時だったと思うが)LPSA月組の様子を見に行く。妙齢の美女ふたりが、ふつうに将棋を指している。東京アマチュア将棋連盟は、なんでもアリなのだ。素晴らしいと思う。
傷心が癒えないまま対局場所に戻ると、嬉しい報せがあった。
なんと、星組が4勝3敗で勝ったというのだ。大将と副将がスットコドッコイな将棋で惨敗したのに、後続がフォローしてくれたのだ。
将棋は個人対個人の孤独な勝負だが、このときほど団体戦の醍醐味、有難味を感じたことはなかった。
3回戦は午後2時30分から、「NECソフト」と。ここで七将がW氏からHak氏に代わる。W氏はLPSAブースで女流棋士とのおしゃべりに専念するらしい。
しかし相手の七将がおらず、Hak氏の不戦勝。用事を済ませて駆けつけてくれたのに、Hak氏は力を発揮できず、残念だった。
私は後手番。先手氏の居飛車明示に三間飛車に振ると、先手氏は☗5七銀。これは居飛車穴熊でくる、と決め打ちして、向かい飛車に振り直し、急戦を仕掛けた。
数手進んで☖5三桂と☗6五銀取りに打ったが、ここで☗5四歩と打たれたら難しかった。しかし本譜は☗6六歩だったので、ありがたく銀をいただいた。あとは竜、成銀、と金を作り、角2枚をベタベタ打って、☗8七飛に☖7五桂と打ったところで、先手氏の投了となった。
早く終わったので、LPSAブースへ行く。松尾香織女流初段が、
「このTシャツ買ってよー」
と、自らが着ているLPSA緑Tシャツを示す。松尾女流初段がブースの手伝いをするのは珍しいと思う。緑Tシャツもよく似合う、若奥様だ。この緑Tシャツ、いつか買おうと思っているが、いつも買わない。でもこの日に買えば、別のTシャツのおまけがついてくるんだった。懐具合の問題もあるが、買うのだったか。
戻ってみると、チームは5勝2敗で勝利していた。私が席を立った時、Wパパは勝勢だったし、順当な結果であろう。やはり1勝のアドバンテージは大きく、戦う前から指し分け(3勝3敗)でいいと思えば、チーム全体に余裕が出る。
最終4回戦は4時30分から。相手は「Dこぼこフレ」。このチームは全体的に若く、私たちが待っているのに、3回戦の相手チームと感想戦を熱心にやっていた。Wパパとも話したのだが、こういう「若い」チームがいちばん手ごわい。
先手番になる。先ほどの感想戦をのぞいていたら、後手氏は飛車を振っていた。本局は私の居飛車明示に、後手氏はゴキゲン中飛車。
なかなか☖5五歩と突いてこないので☗5六歩と突き、飛車先の歩を交換したが、これは☗6八玉が王手飛車のラインに入って、危険だった。
そこをすり抜けると、以下は指しやすくなったが、こちらも疑問手をいくつか指す。しかし咎められなかったので、事なきを得た。優勢から勝勢になったが、後手氏はなかなか投げないので、最後は完勝になってしまった。1局目と3局目もそうだったが、こちらが勝勢なのに、相手はまったく投げる気配がない。これが「社団戦」なのだと実感した。
全7局が終わったようで、監督であるY氏の持つ対戦表を確認すると、4勝3敗で勝利していた。
これでチームは4勝0敗。当然の目標だったとはいえ、よく勝ったと思う。ふだんは敵に回すと厄介な連中ばかりだけに、味方にすると、実に頼もしい仲間たちだった。私個人は3勝1敗。負けた一局が引っかかるが、贅沢は言えまい。
このあとは打ち上げである。Y氏、To氏はそのまま帰宅。月組のHo氏が合流し、8人で居酒屋へ向かう。私は喫茶店でケーキセットを食したかったのだが、同調者がいない。それはまたの機会とする。
居酒屋へ入って、生ビールを8つ頼む。勝利を祝して、乾杯。
私は飲めないが、この一杯は、美味かった。
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社団戦第1日目に参戦する(前編)

2010-06-29 01:11:29 | 社団戦
先手:1七歩、1九香、2四桂、3一馬、3八銀、4七歩、4九金、5七歩、6七歩、7六歩、8五銀、8六玉、9七歩 持駒:飛、金、桂2、歩2
後手:1一香、1三歩、3三銀、4三歩、5二王、6三歩、7二金、7三歩、8一桂、8八竜、8九銀、9一香、9三歩、9九角 持駒:金、香、歩5
(☖8八竜と王手された局面)

昨日書いた、ぜひ盤に並べていただきたい将棋である。きのうは多少熱くなっていたが、きょう冷静に見ると、それほどおもしろい将棋でもなかった。おヒマな方は並べていただいて、どちらが勝ちか、2、3分で答えを出していただきたい。

27日(日)は社団戦に参加するべく、午前9時すこし前に家を出た。社団戦は全国からの参加がある。地方から来る人は朝早く新幹線に乗ったり、前日から東京入りしたりと、いろいろ苦労が多い。「9時すこし前」に家を出られるありがたさを改めてかみしめる。
対局場の産業貿易センターに向かっていると、うしろから石橋幸緒・LPSA代表理事に声を掛けられる。
「大沢さんは背が高いから、すぐ分かります」
石橋代表理事・女流四段は、先日の倉敷藤花戦で、矢内理絵子女流四段に苦杯を喫し、倉敷行きの切符と「マッカラン」のふたつを獲り損ねた。私は出費がなくなり助かったが、ベスト16での敗退は早すぎる。もう少し楽しませてほしかったと思う。
代表理事は激務だが、それで本業に支障が出ては意味がない。繰り返し書くが、石橋代表理事の仕事を各自がサポートするべきである。
昨年に引き続き、私はLPSA星組(5組)で参加した。このチームはおもにLPSA金曜サロンの会員で構成されている。もうひとつのチーム、月組は4組で出場している。こちらはマンデーレッスンの生徒で構成される予定だ。
出場するにあたりいつも苦労するのが選手集めで、私もそうだが、毎回出場はできないから(したくないから)、その確保がたいへんである。
星組か、月組か。一度登録してしまうと、同じ団体でも途中でチームの変更は利かないので、最初が肝心である。
星組参加予定の選手はぼちぼち集まってきたが、月組には現在ひとりしか選手がいないという。大丈夫か。
盤、駒とチェスクロックの到着が遅れていて、1回戦の開始は10時20分ごろになる、との放送が入る。しかし選手登録は10時ごろまでに済まさなければならず、星組はなんとか頭数がそろったものの、月組がヤバイ。そこで、急遽駆けつけてくれたTo氏に月組で登録してもらう。それでもまだ足りなかったらしいが、なんとか7人そろったようだった。もっともこれ、後で聞いたら、ええっ!? という妙齢の美女ふたりを参加させるという奇手を用いたらしい。
私は副将で参加。昨年は大将で参加し、毎回すごいプレッシャーを感じていたから、この位置は気分的にだいぶラクである。
参加選手は、大将から順に、Wパパ、私、Is、Y、Har、Iz、Wの各氏。大将にWパパ氏が新規参加した分、昨年よりは層が厚くなったと感じる。
社団戦の担当者が開会の挨拶。続いてLPSA代表理事・石橋女流四段の挨拶。続いて日本将棋連盟理事・上野裕和五段の挨拶。あまり知られていないが、上野五段の理事としての働きは、特筆すべきものがある。理事の中で最も精力的に活動されているのではないか。ちなみに、毎日毎日お偉方と会食することは、私は仕事とは解釈していない。
10時40分、第1戦開始。相手は「O電気工業3」。Wパパ氏が振ると、表2枚、裏2枚に、1枚駒が立った。振り直して、奇数後手。ということは、私は先手。私は先手がほしいタイプなので、幸先がいい。
将棋は相手の三間飛車に私の棒銀。私は☗3八飛から☗3五歩。これに☖同歩と取ってくれたので、喜んで☗3五同銀と進む。以下☖4二角☗3四歩☖×××☗4四銀☖3四飛☗同飛☖同銀☗3二飛の角銀両取りに、☖3三角??という妙な手が出て、以下もたついたものの、何とか勝ち。
今回用意した扇子は、中井広恵女流六段の非売品直筆扇子、金曜リーグ優勝記念に頂戴した船戸陽子女流二段直筆扇子、扇子サインラリーでコンプリートした1本目の扇子、の3本。メインの使用は船戸女流二段の扇子とした。
とりあえず自分が勝ったので、あとはお任せ。一足早く食事に向かう。
LPSAのブースには、石橋代表理事、蛸島彰子代表理事代行、船戸女流二段、松尾香織女流初段、大庭美樹女流初段に、スタッフが参加。あとは藤森奈津子女流四段、大庭美夏女流1級がいらした。
同じブースには、「ねこまど」社長の北尾まどか女流初段もいる。「どうぶつしょうぎ」の発案者でもある北尾女流初段の、普及にかける情熱は素晴らしいものがある。女流名人位戦A級リーグでも好調で、充実の毎日を送っているようだ。
船戸女流二段には挨拶だけして、外へ出る。ここでおしゃべりをしてしまうと、緊張感が切れる。
ビルを出て、向かいの立ち食いそば屋へ向かう。右に牛丼専門店の「すき家」があったが、あまり食べ物を入れて、思考能力が鈍るのもまずい。
「小諸そば」と「ゆで太郎」が並んでいるが、「ゆで太郎」に入る。こちらのほうが「もりそば」の量が多いからだ。260円。
食後は、浜松町駅に隣接する世界貿易センター内の本屋へ向かう。ここで時間をつぶすつもりだったが、今年からスケジュールが変わって、1局目の直後に2局目が行われることになっていたらどうしよう…などと考えたら落ち着かなくなり、すぐに対局場へ戻った。
対局場は5階だが、ほかの階ではゲームソフトや、漫画同人誌の即売会をやっている。ちょっと食指が動くが、ここで浮気をするわけにはいかぬ。
2局目はやはり昼食を挟んでいたが、それでもほどよい戻りだった。わがチームは5勝2敗で勝利したらしい。これまた幸先がいい。
午後12時50分、「S棋チェスネット」との対戦。Wパパ氏が振ると、また表2枚、裏2枚に、1枚が立った。微苦笑が起きる。
振り直して、また偶数先手。将棋は私が横歩取りに出たが、☗3四飛に☖8八角成~☖3八歩と指されて面食らった。
これ、以前「将棋世界」の「イメージと読みの将棋観」の題材に採用されていたもので、たしか正確に指せば先手が指せるが、一番勝負なら後手も指す価値はある、という結論だったと思う。しかしこんな将棋になるとは…。そういえばこのチーム、対局前に、まるで受験生のように棋書を読んでいる人が何人かいた。もっと相手チームの言動に注意を払うべきだった。
というわけで、将棋は大苦戦。こちらだけ終盤戦だったが、そこで相手が緩手を指してくれたので、だいぶよりが戻った。途中、私の玉が右へ遁走する順があったのだが、それを見送り攻め合いを目指したのが、以下の局面である。

先手・一公:1七歩、1九香、2四桂、3八銀、4七歩、4九金、5六香、5七歩、6七歩、7六歩、7七玉、7八金、8五銀、8八歩、9七歩 持駒:飛、角、桂2
後手:1一香、1三歩、3一金、3三銀、4三歩、5一王、5三歩、6三歩、6九竜、7二金、7三歩、8一桂、9一香、9三歩、9九角 持駒:銀、歩5

この将棋は並べ返してみると、私の疑問手だらけで、形勢を多少盛り返してからも、首を傾げる手を指している。やはり実戦と机上の研究では、心理状態が違うのだ。
ここから私は、何かのときに☗6八金と寄ったときにその金を守ろうと、攻防兼備で☗8六角と打ったのだが、ここではほかに手がなかっただろうか。
本譜は以下☖8九銀☗5三香不成。この手で☗6八金が利くと思ったのだが、素朴に☖7九竜で先手負けそうなのが誤算だった。とはいえ、☗5三香不成も、捻りだした好手だったと思う。
以下☖5二歩☗同香成☖同王☗3一角成☖7八竜☗8六玉☖8八竜、と進んだのが冒頭の局面である。
(つづく)
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6月25日のLPSA金曜サロン・船戸陽子女流二段のリベンジ?

2010-06-28 00:54:06 | LPSA金曜サロン
きのう27日、社団戦に参加した。結果だけ書くと、個人では3勝1敗。チームでは4勝0敗だった。チームとしては最高の結果だが、私自身は、負けた1局が悔しくて仕方がない。明日はその将棋を紹介するが、これはぜひ盤に並べていただきたい。

25日(金)午後5時20分ごろ、工場の電話が鳴った。出ると、LPSA金曜サロンのW氏からだった。私は携帯電話を持っていないので、会社あてにくるのだ。
「おお、おおー!! 私です、大沢です。どうしたの」
「大沢さん、なんでサロンに来ないのよ」
「いやいや、これでも一応、仕事らしきことしてるんだよ」
「いやさー、きょう島井先生休みになっちゃったんだよ」
「あれあれ」
25日は、先日の1dayトーナメントで大いに盛り上げてくれた、島井咲緒里女流初段の担当(2部)だった。指導対局を楽しみにしていたのに、休みとは残念である。
「でさ、代わりに(船戸)陽子先生が来てくれたんだけどさ、大沢さんがなかなか来ないもんだから、陽子先生が、早く大沢さんを呼んで! って怒っちゃってさあ」
ふ、船戸陽子女流二段が? 直々に私を? お、お…お誘いを受けるとは、光栄である。
「ええ!? わ、分かった、これからすぐ行くよ!」
終業の6時まであと少し、時間的に終わったようなものだし、急ぐ仕事もない。なんだかクラブのママさんにお呼ばれされたみたいだが、私は電話を切るやオヤジに断りを入れ、そそくさと私服に着替えると、駅に向かったのだった。
エスカレーターをトントン駆け上がっていると(これはいけないこと)、「社会の窓」が全開だったことに気づく。この恰好で堂々と駅まで来たのか。これじゃあ変質者ではないか。
すんでのところで山手線に乗り遅れたが、すぐあとに来た京浜東北線に乗る。田端でその山手線が待ち合わせをしていたので、すかさず乗り換える。これで乗り損ねた電車に、乗れたわけだ。急いでいる時、やってみる価値はあるテクニックである。
5時40分ごろ、駒込サロン着。ドア・トゥー・ドアで20分足らずである。
インターフォンを押すと、聞きなれない女性の声だ。櫛田陽一手合い係の担当は、第1、3金曜日。きょうは第4金曜である。手合い係はどなただろう。
3階のドアを開けると、船戸女流二段が指導対局を行っている。しかし対局に没頭しているのか、こちらを見ない。
私はいつも船戸女流二段の服装を楽しみにしているが、この服装は何と言ったらいいのか。ノースリーブの、青のワンピースだった。初夏らしく爽やかではあるが、なんだかこれ、先日の島井女流初段のいでたちに似てないか?
左手手前を見ると、今回の手合い係は寺下紀子女流四段だった。金曜サロンでは初めてお目にかかる。自己紹介をすると、ほどなく大盤解説の時間になった。
今回の将棋は、先日指された「日レスインビテーションカップ」の船戸女流二段-松尾香織女流初段戦である。聞き手は1部担当の大庭美夏女流1級だった。
解説開始。大盤の駒を操作する船戸女流二段の腕が、抜けるように白い。まったく、何という美しさであろうか。なんだかムラムラしてしまう。
しかしこのいでたち、やっぱり島井女流初段に似ている。先日の1dayトーナメントの件で、私が島井女流初段のファッションを褒めまくったから、船戸女流二段がヘンな対抗意識を燃やしたのだろうか。いやまさか。考えすぎだ。
会員と1局指した後、船戸女流二段との指導対局に入る。船戸女流二段はいつもと変わらないが、爪がネイルアートになっている。船戸女流二段のそれは初めて見た。香水の香りがたまらない。うまく表現できないが、妙な迫力を感じる。そしてなんだか、怒りのオーラが出ているような気がした。
そ、そうだ、島井女流初段はヒザ上ミニのワンピースだった。しからば船戸女流二段はどうか。
それとなく窺ってみると、かわいらしいヒザ小僧が見えていて、しっかりミニである。
うっ…
(アナタ、さんざんわたしのことをファンだファンだって言っておきながら、あのブログは何よ! そんなに咲緒里ちゃんのワンピースがよかったの? ほら、わたしのノースリーブのワンピースはどうなの? 咲緒里ちゃんと比べてどうなの? 答えなさいよ!)
という声が聞こえたような気がする。これが船戸女流二段の本心なら、電話でわざわざ私を呼んだ意味が解ける。せっかく勝負服を着てきたのに、肝心の私が欠席では、肩すかしになってしまうからだ。…いや、船戸女流二段が私のような粘着者の名前を出すわけがない。W氏が言っていた船戸女流二段のことづては、W氏の創作に違いない。
…と考えているそばから、船戸女流二段が、
「きょうは穴熊を指さないの」
とか言っている。
そういえば先日のブログで私は、「船戸女流二段は穴熊に囲うが、いつも急戦を仕掛けられて苦しくしている。構想に無理があるのではないか?」ということも書いた。
まさか彼女がそれを読んで気分を害し、穴熊を放棄したということだろうか?
「穴熊を指さなくても勝てるんだから」
ということだろうか?
いやいや、これも気のせいだろう。たとえ船戸女流二段が私のブログを読んだとしても、そんなことで服装や戦法を変えるわけがない。実際指導対局が終わったあとも、船戸女流二段は島井女流初段のことを口にしなかった。これこそあの日のことを何とも思っていない証左ではないか。いや、口にしないのが逆に不自然ではないか?
違う違う、考えすぎだ。船戸女流二段は、自分が着たい服を着ただけだ。穴熊も、気楽な指導対局だから、囲わなかっただけだ。私はカブリを振って、そう否定する。

食事会を終えて帰宅すると、LPSAの「教室ブログ」が早速更新されていた。
読むと、船戸女流二段は、サッカーワールドカップの「サムライブルー」を意識して、ペディキュアを含め、青一色にしたのだという。
なるほど、それで青だったのか。それなら納得がいく。私は余計なことを考えすぎたのだ。
…しかし、本当に私は関係なかったのだろうか…。
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今日、対局。

2010-06-27 00:27:24 | 社団戦
きょうは午前10時から、東京都港区で、第21回・社会人将棋団体戦リーグ(社団戦)が行われる。
リーグ戦は今回から「5部」が新設され、私はそこの「LPSA・星組」のメンバーで出場する。
「5部」はクラスとしては最下位だが、「4部」から派生したようなものなので、その実力に差はないと思う。それゆえ、前回同様今回も、厳しい戦いになることに変わりはない。
社団戦は秋まで全5回行われる。私は全部に出場するのは無理だが、出る以上は最善を尽くして頑張る。
とりあえずきょうは出場するが、目標はチームも個人も、4戦全勝である。絶対に勝って、放課後に美味しいチーズケーキとコーヒーを味わいたい。
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「NIS×Tefu CUP」はファッショナブル⑤・つ、ついに船戸陽子女流二段と…!!

2010-06-26 12:42:09 | LPSAイベント
きょう26日は渡部愛先生の、17歳のお誕生日。おめでとうございます!!
「17歳」は英語で「セブンティーン」。年齢の英語表記でいちばんカッコイイのは、「セブンティーン」だと思います。将棋や学校の勉強、それに遊びなど、いっぱいいっぱい、青春を謳歌してください。

(前日のつづき)
前述のとおり、私は早い時間に、すでに足湯に浸かっていた。しかしそれはL氏とのツーショットで、いささか味気ないものだった。ここは中井広恵女流六段…否、船戸陽子女流二段と入り直して、「足湯の思い出」の記憶の、上書きをしたいところである。
「入りましょう入りましょう!」
F氏とも合流して、私は足湯へ向かう。足湯の定員は3人だが、詰めてすわる。先に浸かっていると、中井女流六段、船戸女流二段も入ってくる。私は船戸女流二段が隣になるよう画策したので、窓際からF氏、私、船戸女流二段、中井女流六段の配置になった。
あ、ああ…船戸女流二段とついに「混浴」となった。彼女にこれだけ接近したのは初めてである。左を向けば、目の前に船戸女流二段の顔があるのだ。夢じゃないだろうか。夢じゃないだろうか。夢じゃないだろうか。頭がスパークして、思考能力がマヒしてしまう。しかし右横のF氏は、隣が私だからおもしろくないだろう。中井女流六段-私-船戸女流二段-F氏の配置が最善だったかも…と、ボンヤリした頭で考えた。
お湯は熱くもなくぬるくもなく、いい湯加減である。スカートをたくしあげた船戸女流二段の御御脚が妙になまめかしく、赤のペディキュアが愛らしい。見えないところのファッションにも気を遣う、船戸女流二段の面目躍如である。
先ほど、島井咲緒里女流初段のファッションに5点をつけるべきだった、と書いたが、船戸女流二段に2点をつけるべきだった…と後悔する。
ああ…頭がクラクラする。10分ほど浸かって、出る。しかしこんな状態だから、千載一遇のチャンスだったのに、船戸女流二段とはほとんど話ができなかった。
ともあれ船戸女流二段と混浴できたのは、いい思い出になった。しかし澱のような、言いようのない欲求不満が残ったのは、なぜだろう。まあいい。次のチャンスを勝ち取れるよう、これからも努力すればいいのだ。
店内を見ると、スーツの上を脱いだ石橋幸緒天河が、カッターシャツ姿でキビキビ動いている。まるで店員のようで、完全に同化している。
足湯は女流棋士の間で好評だったようである。たしか藤森奈津子女流四段もいらしたが、皆さん気軽に、「そのまま入っちゃえばいいよ」と、代わるがわる入ったという。
そのまま入る? それはどういうことだ? そのまま入るのは、当たり前じゃないのか。
「ストッキングを脱がないで、そのまま入るのよ…」
と、どなたかが説明してくれる。そうか…女性はストッキングの問題があるのだ。しかし当然というべきか意外というべきか、ストッキングを脱いで入った女流棋士のほうが多かったらしい。しかし、どこで脱いだのだろう。ストッキングを、脱ぐ…。
ストッキングを脱ぐ、フナトヨーコ…。ス、ストッキングを脱ぐ、ナカクラヒロミ…。ス、ス、ストッキングを脱ぐ、シ、シマイ、サオリ…。
女性は足湯に入るのも難儀なのだ。
中倉宏美女流二段もいらっしゃる。私は言う。
「私いまDVDビデオの保存作業をしてるんですけど、3年前のNHK杯トーナメントの決勝戦、中倉先生の司会のときのやつですが、あれをDVD-Rに焼き直しました。あれは永久保存モノですよねえ」
若干分かりづらい説明をしたが、中倉女流二段は理解してくださったようで、にっこりほほ笑む。いつもながら、実に魅力的だ。
そのあと中倉女流二段も足湯に浸かったが、隣に男性客がすわっている。おもしろくないが、私も船戸女流二段と思いを遂げたし、あまり欲張るのは禁物だ。邪魔はせず、ふたりの世界にしてあげる。
ビンゴゲームが始まるようだ。松尾女流初段がカードをくださる。進行は島井女流初段である。数字は昔のようにガラガラポン、ではなく、テレビモニターに映し出される。序盤は不調だったW氏はすべりこみでビンゴになり、島井女流初段のサイン入りコースターを獲得した。私は全然ダメ。
楽しい時間は早く終わる。懇親会の時間も残り少なくなってきた。前方では、島井女流初段がイスにすわって談笑している。本当に女優のようだ。思わず見とれてしまう。
船戸女流二段は再び足湯に浸かっている。いまはひとりだが、そこへ私が再び乱入するのは、今度はヤボというものだ。ここはそっとしておくのが筋である。
私はふたりを交互に見やって、
「島井先生、いいですよねぇ…。いやちょっとこれ、瞬間最大風速で船戸先生を抜いちゃったんじゃないかなぁ」
と嘆息する。と、周りの会員から、ドッと笑いが起きた。
と、その中のひとりが、
「大沢さんヤバイよ。船戸さんが気分わるくしてるよ」
と言う。
「え? でもオレは船戸先生の前で島井ちゃんを褒めたわけじゃないし、聞こえてないでしょ?」
「いや大沢さんの声でかいし、分かるもんなんだよ」
「……。でも船戸先生には関係ないじゃん」
「いや船戸さんが大沢さんのことを何とも思ってなくても、ほかの女性を褒められるのは、オンナとしておもしろくないんだよ」
そういえば今年のLPSA指し初め式で、私が中倉女流二段のダイナマイト和服にクラクラし、船戸女流二段に同意を求めたことがあったが、彼女はウンと首をタテに振らなかった。女には女の意地があるのだ。
ここで私は、以前も書いたフレーズを再び書くことになる。
「オンナ心は将棋の終盤より難しい」
と――。
盛況の中、懇親会は滞りなく終了。
私は金曜サロンに通っているおかげで女流棋士と知己になったし、知り合いの会員も多かったから、大いに楽しめた。しかし、LPSAと接触のない将棋ファンはどうだったろう。決して安くない参加費を払いながら、知己がいないために孤立した可能性はじゅうぶんにある。私は人見知りが激しいから、もし駒込サロンに行っていなければ、私がその立場になった可能性が高い。実際、ひとりポツンと佇んでいる将棋ファンも、何人か見られた。
こうした会ではいっそのこと、「女流棋士は、見知らぬ将棋ファンに対して優先的に声を掛ける」という方針が必要かもしれない。
お開きになり、女流棋士が出入り口の外でお見送り。ドア付近にいた松尾女流初段は、
「また金曜サロンで指しましょう」
と、いい笑顔を見せてくれた。外に出ると、両側に女流棋士がズラッと並ぶ。
恐縮しながらその花道を通ると、最後尾にいた中倉女流二段が、「大沢さん…」
と声を掛けてくれた。
(船戸さんや島井さんとおしゃべりして、いろいろ楽しまれたようですけど、ワタシのことも忘れないで…)
と主張しているようにも思え、私は
「いやいやいやいや、さすがに中倉先生、その一言が嬉しいです!」
と叫ぶや、「アーキテクトカフェ汐留」をあとにした。
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