一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第11回宴会将棋(後編)

2016-06-05 12:47:26 | 宴会将棋

第1図以下の指し手。△7三金▲同角成△同桂▲7四飛△8五桂▲7一飛成△8一歩▲8五桂△同飛▲8七歩△4五歩▲2四歩△同角▲4四桂△4三銀▲3二桂成△同銀(第2図)

植山悦行七段は、私との将棋でも隣の将棋のアドバイスを忘れない。ちょこちょこ指導を入れ、眼はどこについてるんだろうと、私は感心するばかりだった。
局面。植山七段は強く△7三金と立った。私は角を切るしかない。しかし△同桂▲7四飛に△8五桂は意外だった。ここは△7二歩と辛抱されるのがイヤだった。まあ、酒の席なので、そこはイケイケである。とはいえ下手は角金交換ながら竜を作って、わるくないはずだ。
△4五歩には▲2四歩。手抜きはできないので△同角と形よく取ったが、私は▲4四桂から金をはがし、またポイントを挙げた。

第2図以下の指し手。▲7四竜△8二飛▲4五銀△4六歩▲同歩△4七歩▲同銀△5五桂▲3八銀△4七歩▲3九玉△4六角▲5六金△2四角▲4六歩(第3図)

私は▲7四竜と引いたが、これがどうだったか。△8二飛と引かせて▲4五銀と活用したが、△4六歩の反撃を与えてお手伝いだった。
上手には△9二角の筋があるので、下手の受けも容易ではない。△4六角に▲5六金と受けたが、ここに入れるようでは駒得が生きない。
△2四角に▲5五金は△5七角成が厳しいので私は▲4六歩だが、これには植山七段が「はあ~」と呆れた声を出した。

以下は△6七桂成から△8七飛成とされ、攻守逆転。私も粘ったのだが、最後の詰めろ詰めろ攻勢にキッチリ受け切れられ、無念の投了となった。
感想戦。第2図では▲2五金と手厚く打つのがよかったという。以下変化はあるが、いずれも下手十分。▲2五歩は考えたが、ここに金を投資するのはほとんど考えなかった。
指導対局でいつも痛感するのは、プロが瞬時に見える手が、私たちには見えないことである。どうもこの類の手は、アマがいくら努力しても、越えられない壁になっているような気がする。
とはいえ第2図までは、バカに下手がうまくいった。そこで再検討すると、第1図の△7三金が強気すぎで、△9二飛がよかったらしい。以下数手進めたが、上手が互角以上に戦えた。

今日は3局も教えていただけて、光栄だった。ただ、全敗は当然としても、私の指し手に「気」が入ってなかったのが悔やまれる。昔の私だったら、プロに指導対局をしていただける絶好の機会、気合を入れて臨んだはずである。第1局で▲3四飛と横歩を取る実験的な手など、絶対に指さなかった。
ともあれ植山先生、ありがとうございました。
Taga氏は9時20分ごろに帰り、3人のみ。これでは間が持たないので帰ろうか…という雰囲気になった時、Ok氏が来た。9時半すぎだった。
Ok氏の熱心さには恐れ入るわけで、私なら出席しない。
というわけで、Hon氏とOk氏の将棋になる。植山七段と私は観戦だ。
将棋は相振り飛車。これが二転三転の好局??になった。この終盤、銀、飛車を打って▲6七桂まで詰み、というOk氏の勝ち筋があったのだが、お手伝いの手を指して、それを解消してしまう。
これで分からなくなったが、最終盤でHon氏が△6九飛と打ったのが大悪手で、▲3六角の王手飛車で、幕となった。
だが△6九飛をやめて別の手を指し、感想戦という名の続きが始まり、また訳の分からないことになった。とにかくOk氏が一手一手少考するので、時間がひたすら延びるのだ。
結局閉店時間になり、最後は強制的に追い出された。
ちょっと思ったのだが、Ok氏は考慮にメリハリを持ったほうがよい。たとえば当然の一手にも延々と考えていることがあるが、これは時間の無駄遣いである。
Ok氏は社団戦に出場するが、第一感の手を考えるよう努めないと、秒読みに苦しめられることになるだろう。
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第11回宴会将棋(中編)

2016-06-04 02:16:14 | 宴会将棋
北海道七飯町で、少年が発見されたのはよろこばしかった。少年君、冷静に、よくがんばった。とりあえず体力の回復に努めてほしい。
なおフジテレビにはこの過程を、「アンビリーバボー!」で映像化してほしいところである。
また私はお父様に大変失礼なことを書いてしまい、ここで深くお詫びする次第です。誠に申し訳ありませんでした。

(きのうのつづき)

第2図以下の指し手。▲5六歩△5一金▲2五歩△3一玉▲9六歩△4二金右▲5七銀△7三桂▲5五歩△同銀▲4五歩△6六銀▲同歩△7一角(投了図)
まで、植山七段の勝ち。

第2図で▲5五歩は△同銀▲同銀△同角▲同角△同飛と捌かれて下手不利。それで▲5六歩と控えて打ったが、いかにも気合がわるい。
ここで△2四銀を恐れていたが、植山七段は少考のすえ△5一金と寄った。私は▲2五歩。せっかく切った歩をここに打つなど将棋にない手で、こんなに苦労するなら▲3四飛と取らなければよかったということになる。
△3一玉あたりで思ったのだが、ここで▲5五歩△同銀▲同銀△同角▲同角△同飛は、最後に△2五飛と回る手があり、さっきより条件がわるくなっている。だが△5五同銀に▲4五歩と突く手がありそうだ。
しかしこれも、以下△6六銀▲4四歩△5七歩▲6八金右△5八銀で、これは下手が幸せになれそうにない。
とはいえこの後の駒組合戦は明らかにこちらがわるい。私はついに▲5五歩を決行した。だが▲5七銀の一手を入れていたのが致命的で、△5五同銀▲4五歩△6六銀に▲4四歩は△5七銀成が痛く、下手負け。やむなく▲6六同歩と取ったが植山七段に△7一角と引かれ、次の△3五銀や△2七銀が受からず、下手指しようがない。だから投了した。

感想戦。植山七段によると、第2図の▲5六歩では、やはり▲5五歩があったという。△同銀に▲4五歩だ。以下△6六銀▲4四歩△5七歩▲6八金右△5八銀▲7九玉△6七銀上成▲同金左△同銀成▲同金△5八歩成。
私は▲5五歩と受けたが植山七段は▲4三歩成を推奨する。△同金に▲5三歩(参考図)△同飛▲4四歩。

これで下手が攻め切るかどうかというところで、植山七段は上手を持って自信がないと言った。私は▲4五歩に途中で気づいた上に、△5七歩あたりでヨミを打ち切っていたから、しょうがない。読みの差をまざまざと見せつけられた。
ほかには飛車を切る変化もやったが、下手が無理っぽい。まとめると、第2図から▲5五歩~▲4五歩の進行が下手唯一の勝負所だった。
なおその前の▲3四飛は無理筋で、上手は早く△3三銀~△2四銀を実現させれば、下手が敗勢だったという。

いつもならこれで指導対局は終わりなのだが、植山七段は駒を初形に戻す。隣の将棋をじっと見ていてもしょうがないので、もう一丁やろう、というわけだ。
植山七段に、1日に複数局教えていただくのは初めてで、これはとても名誉であった。
▲7六歩△8四歩▲6八飛。植山七段が「この手、イヤなんだよナ」とつぶやく。どうも、対角道オープン四間飛車が好きじゃないらしいのだ。
もっとも、私も好きじゃないので、すぐに▲6六歩と角道を止めた。
植山七段は△1二香と上がり穴熊の表示。アマチュア相手に穴熊かよ…と思うが、「私は穴熊得意じゃないんですよ」とのことで、これが上手なりの「緩め方」なのだろう。よく分からないが。
このあたりで、Tod氏とYam氏が退席した。8時半だが、味のいい時間であろう。
将棋は私が指しづらい。つまみ用に焼きそばと焼きうどんを頼んだが、私は手をつける余裕がない。

第1図から△4四歩▲同歩△同銀と進行したが、そこで▲2六角が悪手。△3三角と戻られて、一遍に下手が勝てない将棋になった。
以下は上手に一方的に攻められて、完敗。きつい連敗となった。
感想戦。イビアナ相手に▲5六銀型は、後手にいつでも△5五歩の権利を与えるから、おもしろくないという。しからば▲6五歩~▲6六銀の形を作ることになるのだろうが、私はこの形が好きではない。対イビアナにどう指すか。今後の課題である。
隣の将棋と終了のタイミングが合わず、何となく3局目が始まる。もう、恐縮するばかりである。
今度は私のひねり飛車だ。
「むかしは先手必勝の戦法はひねり飛車と言われたんですけどねぇ…」
それだけ後手の対策が進んだのだろうが、私は先手もまだまだ戦えると見ている。
厳密にはネコ式タテ歩取りとなり、私は▲7六飛から▲5六銀と腰掛けた。次に▲6五歩があるので、植山七段も△5四銀と腰掛ける。私は薄くなった7筋を狙って▲7四歩。△同歩に▲6四角(第1図)と出た。

(つづく)
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第11回宴会将棋(前編)

2016-06-03 01:21:30 | 宴会将棋
5月28日は久しぶりに宴会将棋に出席した。最初は行く予定ではなかったのだが、この前日に新橋の名人戦解説会でOk氏と会った時、ここの出席をお願いされた。「当日私は予定があって行けないから、大沢さんが代わりに行ってくれ」というわけだ。
私はそういう願いは受け付けないが、私自身が将棋を指したくなって、参加したわけだった。

午後6時半ごろ、いつもの「松祥」に入り、手前右の唯一の個室に入ると、植山悦行七段、Hon氏、Tod氏、Taga氏、Yam氏がいた。先発組はいつものように3時入りなのだろう。将棋盤は2面出ていて、Tod氏とTaga氏が指していた。
局面はだいたいこんな感じ。

△2二銀の存在がいかにもTod氏という感じで、植山七段が「どうですか大沢さん」という顔でニコニコしている。
私は生ビールをオーダーしており、早速運ばれてきた。口に運ぶ。私はアルコールはやらないが、最初の一口は美味いと思う。
ほかのメンバーの追加の飲み物も運ばれてきて、あらためて乾杯。ふだんの私は他人との交流がほとんどないが、これが人間らしい生活というものだろう。
その間にも指し手は進んでいく。
第1図から、△6六角▲7七銀△8四角▲6六歩△3三銀▲3七桂△2四歩!▲1六歩!!△7五歩▲同歩△同飛▲7六歩△7二飛(←この5手は違うかもしれない)▲1五歩!(第2図)と進んだ。

後手の角が6六→8四と動いたが、初めてこの局面を見た人は、角がこのルートを辿ったとは思わないだろう。▲6六歩も、6七の歩を突いたと思うかもしれない。
植山七段のヒントを受けて、Tod氏は△3三銀! とにかくこの銀を働かせないと勝負にならないからで、▲2三飛成なら△2二飛とぶつけて勝負、という狙いだ。
Yam氏はそれに乗らず▲3七桂。これはみなが唸った好手だった。
対してTod氏の△2四歩が何たる手。ただでさえ▲2四歩△同歩と突き捨てたいところを、自ら△2四歩と突いたからだ。
しかるにYam氏は悠然と▲1六歩! 何で▲4五桂と跳ねないのだろう。そのための▲3七桂ではなかったのか?
Tod氏が7筋の歩を交換すると、Yam氏はなおも▲1五歩! 個々の局面を見ると不思議なところはないのだが、記譜で記すとおかしなことになっている。Tod氏とYam氏の面目躍如というべきだが、私は訳が分からなくなってしまった。この2人は、どういう思考回路をしているのだろう。
以下はTod氏がと金を作り、それをうまく活用して勝勢になった。
ところが、Tod氏の馬が当たりになっているのに、Tod氏が別の手を指したから馬を取られて、また分からなくなった。
しかしそこからTod氏が踏ん張って、今度こそTod氏が勝勢になった。が、彼らクラスの将棋はまだ予断を許さない。
最後、簡単な3手詰があったのに、Tod氏がそれを逃して頭を抱えてしまった。ただ、そこからでも同様の筋で3手詰があり、今度はしっかり指して、Tod氏の勝ちとなった。
ふぅ~…。観戦している私たちは、山あり谷ありの展開に疲れる疲れる。植山七段が「150局ぶんぐらい観戦した気分です」と苦笑いしていたが、まさにそうだと思う。
ここでメンバーチェンジ。植山七段が珍しく駒をパチパチやっていて、私が教えていただくことになった。隣ではHon-Taga戦となる。
「…▲2五歩と打たせて後手がいいと思うんだけど、ダメなんですかねえ。先手に位取りにチェンジされて…」
植山七段が私に言うが、私は何のことだか分からない。どうも、前日の名人戦第4局のことを言っていたらしい。だが私は初日の手順を把握しておらず、明快に返事ができなかった。私はエセ将棋ファンなのである。
「××さんと2局指しましたよ。角換わりと横歩取りだったかな…」
植山七段がここで誰かと指したらしいのだが、人名の部分が聞こえず、私は曖昧にうなずくばかりだ。ただ、横でHon氏が
「今日は植山先生に平手で2局教えてもらって、どちらも吹っ飛ばされましたよ。ガハハハ」
と豪快に笑った。植山先生、もはや、誰とでも平手らしい。
もちろん私とも平手で、対局開始。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀で矢倉系の将棋に決定。だが植山七段は、矢倉はふつうに追随しない。下手(先手)に先攻されておもしろくないと見ているのだろう。△5三銀右から△5五歩▲同歩△同角ときた。
このまま△7三角と、2手で方向転換されてはおもしろくない。▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩(第1図)に私は…。

▲3四飛と横歩を取った。ほう…と驚く植山七段。ただしこの手は疑問と結論が出ている。内心では「大沢さん、もっと勉強してきてヨ」の気持ちだったに違いない。
以下、△4四角▲3六飛△5四銀▲4六歩△3三銀▲6六銀△5二飛(第2図)と進む。

ここで私は▲5五歩を考えた。
(つづく)
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第9回宴会将棋(後編)

2016-04-22 12:32:47 | 宴会将棋

第3図以下の指し手。△1五角▲2八銀△3八銀▲3九銀△同銀成▲2七飛△3八金▲2六香△4八銀▲4六角△2九成銀▲同飛△3九銀成▲2七飛△3五桂▲同角△同歩▲2八金△同金▲同飛
△3八角(第4図)

Taga―Ok戦はまだ続いているが、Tod氏はすでに帰っている。
私は△1五角と打った。▲4二飛以下の詰めろを防ぎつつ、△3七角成以下の詰みを見た、いわゆる「詰めろ逃れの詰めろ」だ。
横の植山悦行七段が、ほほゥ…とつぶやく。「手はあるもんだなァ。…これは読んでませんでした」
このあたりで植山七段が、完全に本局にのめり込む。「これはおもしろくなってきましたねえ」
△1五角は、△3七角成▲2八飛△同馬▲同玉△3八飛▲2七玉△3六金以下の詰めろ。しかるにHon氏は、危機感もなく▲2四歩。あまりにもガッカリの手で、これでは△1五角の輝きが失せる。
Hon氏はさっきも、私の△2七竜に▲同角と取りかけたが(それは詰む)、もうちょっと終盤のヨミを入れてくれないかと思う。
▲2四歩はもちろん待ったとなり、以下もゴチャゴチャした戦いが続く。
先手は▲2八銀から金を入手したが、まだ詰めろはほどけていない。すなわち△3七角成▲2八金に、△2九金▲同玉△1九金▲同玉△2七桂▲2九玉△3八銀▲同金△1九馬まで、綺麗な詰みがある。
▲2七飛にも私は、詰めろ詰めろで迫る。たとえば△4八銀は遠巻きの攻めだが、△2九成銀▲同飛△同金▲同玉△3九飛以下の詰めろ。しかし植山七段は△4八銀で「△2九金▲同飛△3八銀」を示す。なるほどこれなら寄っていた。
植山…いやHon氏の▲4六角が妙防で、なかなか寄らない。
△3五桂、△3五同歩もまた詰めろ。しかし3四の地点が空いたので、私は自玉のイヤな詰み筋が見えていた。

第4図以下の指し手。▲2九銀△同成銀▲同飛△同角成▲同玉△5九飛▲3九銀△2七銀▲2二金△同玉▲3四桂△3二玉▲4二飛△同角▲同桂左成△同金▲同桂成△同玉▲5三銀成△3一玉
▲4二角△3二玉▲4一角(投了図)
まで、159手でHon氏の勝ち。

▲2九銀に、私は△同成銀~△5九飛~△2七銀と迫る。これで先手玉は一手一手だ。
Hon氏(植山七段)は▲2二金。実はこちらからの攻めを恐れていたのだ。
△2二同玉(△3三玉は、▲2四角(参考3図)の鬼手があり先手勝ち、が、さっき私が出した結論)に▲3四桂。この桂を打たれるのが、3四の地点を開けた罪である。

私は△3三玉と逃げかけたが「それは▲2二角△3四玉▲4四飛(参考4図)で先手勝ち」と植山七段。
さっきは持ち駒が銀だったから△3四玉が利いたが、今回は角なので詰む。ここでの読み抜けは痛かった。

私は仕方なく△3二玉と寄るが、▲4二金以下平易な詰みとなった。無念の投了である。

「穴熊ってこう指すんですねえ。勉強になりました」
とHon氏。
変態穴熊だったがやはり穴熊で、頑強に補強をされて、容易に攻略できなかった。
「いい将棋でした」
植山七段も満足げに言う。「終盤は大沢さんにも勝ちがあったんじゃないかな。調べてみないと分からないけれども」
私は残念な結果に終わったが、宴会将棋らしからぬいい将棋が指せたので、佳しとしよう。
時刻は午後11時を大きく回り、これにて散会。宴会将棋は楽しいが、いかんせん将棋の質が悪くなる。このシステムがベストなのかどうか、考えどころであろう。
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第9回宴会将棋(中編)

2016-04-21 19:53:32 | 宴会将棋

私は風邪をひいているが、左の鼻の穴はスースーしているのに、右の鼻の穴からは絶えず水っパナが出ている。人間の構造は不思議だ。
Taga―Ok戦の向こうのHon―Tod戦は、Tod氏が「ああっ、歩が迫ってきたあ!」と狼狽している。それを受けて「銀を取らなきゃいいのに…」と植山悦行七段がつぶやく。
すなわち▲6六銀と相手の銀を取ったから、手順に△同歩と進まれてしまったのだ。
もう手に負えない。
さてOk氏は長考に沈んでしまった。シビレを切らした植山七段が誘導し、「▲3一角△3二飛▲2四飛△3一飛▲2二飛成(第2図)」が実現した。角を渡すが、見返りに飛車を成って、これが王手飛車取りという寸法だ。
これは次の一手問題としてはかなり有名で、「将棋世界」や「週刊将棋」で何度も出題されたことがある(はずだ)。

以後はOk氏が順当に勝った。Taga氏は消化不良だったろうが、研究将棋だと思って、我慢していただこう。
蛇足ながら、私だったら▲3一角に△3九角と打つ。これでも後手がわるいが、けっこうむずかしい変化もある。
今度はメンバーを替え、Hon―Taga戦とTod―Ok戦。
しばらく目を離していたら、後者はTod氏が居飛車に構え、対抗形となっていた。Tod氏の左美濃は珍しいが、「飯島流引き角戦法です」とTod氏。
これだけ研究熱心なのに、どうして実戦ではトンチンカンな手を指すのだろう。
局面は第1図になった。

級位者同士の戦いとは思えない、格調高い局面である。ここはいろいろな手が考えられるところで、▲7五銀や▲8六歩などがある。
ちなみにいちばん指し手はいけない手は▲7五歩で、△6三銀と引かれて何でもない。7五へは飛角銀が出たいところである。
ここで植山七段が、「プロなら第一感」とつぶやく。しかし私たちは上記の手順を答えるばかりだ。
植山七段の推奨手は▲5五歩だった。仮に△5五同歩なら▲同銀(飛車取り)△7五歩に▲5六飛と回って先手有利。ほかの変化も先手十分だ。
私はこの手にまったく気づかず、とても勉強になった。私とTod氏・Ok氏とはやや棋力が離れているように見えるが、実は私の考えていることは、みんなと大差ないのだ。
実戦は▲5五歩以下、Ok氏がうまく指し、快勝。あまりにもうまく事が運びすぎて、「▲5五歩の威力はスゴイですねえ」と、勝ったOk氏がえらく感心していた。
Hon―Taga戦も終わり、またメンバーを入れ替える。今度はHon―一公戦、Taga―Ok戦だ。
ではHon―一公戦を初手から記してみよう。

▲Hon △一公
第1図までの指し手。▲7六歩△8四歩▲5六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八銀△5四歩▲5七銀△4二玉▲7八飛△3二玉▲4八玉△5二金右▲3八玉△8五歩▲7七角△7四歩▲2八玉△4二銀
▲5八金左△5三銀左▲6七金△6四歩▲3八金△9四歩▲1八香△7三銀▲1九玉△8四銀▲9六歩△7五歩▲5九角△6五歩▲7五歩△6六歩▲同銀△6五歩▲7七銀△8六歩(途中図)

▲8六同歩△7五銀▲4八角△8六銀▲8三歩△同飛▲8四歩△7三飛▲5八飛△8七銀成▲7五歩△8八歩▲5五歩△8九歩成▲5四歩△4二銀▲7六銀(第1図)

先手番のHon氏は矢倉風の出だしだったがこれはフェイクで、もちろん三間飛車に振る。▲1八香と上げ、やはり変態穴熊になった。
私は棒銀の作戦。相穴熊はゲップが出そうで指す気がしない。
私は6筋を押さえて△8六歩(途中図)。ここで植山七段が「これは細心の読みが入ってますね。ここ普通に△7五銀だと、▲8六銀(参考1図)がある」と述べた。

私は△8七銀成とし、△8八歩から駒得を狙った。植山七段が「いやな手を指しますねぇ」とつぶやいた。
Hon氏は▲5四歩と取り込み(これは大きい手)、▲7六銀。ここで私が間違えた。

第1図以下の指し手。△6六歩▲同角△同角▲同金△3三角▲5五角△7七成銀▲6五銀△9九と▲7四歩△9三飛▲6四銀△2四香▲7三歩成△5五角▲同飛△3三角▲8三歩成△5五角▲同金
△3五桂▲3六角△5八飛▲8五角△8八飛成▲5二角成△同金▲2八金打△4九角▲5三歩成△2七桂不成▲同金直△3八角成▲同銀△同竜▲4二と△同金▲2八銀△4八金▲2五歩
△同香▲2六歩△3九銀▲2五歩(第2図)

私は△6六歩と突きだしたが、▲同角と取られてビックリした。4八に角がいるのをうっかりしたのだ。私は△6六同角と取るよりないが、▲同金で先手の駒がみんな捌けてしまった。
以下はHon氏に中央を押さえられ、敗勢である。
それでもHon氏の飛車を取り、まだ戦えるかと思ったが、△5八飛がまた誤った。ここは当然、一段目に打つべきだった。
しかしHon氏の▲8五角がやや疑問で、△4九角から△2七桂不成と殺到してみると、けっこう勝負になっている。
▲2五歩の香取りは、後の▲2四歩が詰めろになる可能性があるので、いったん△同香と取る。
「この判断は正しかったかもしれませんね」
と植山七段。
△3九銀に▲2五歩。ここでまた私が間違えた。

第2図以下の指し手。△2七竜▲3九銀△同金▲2七角△3八銀▲同角△同金▲3九銀△同金▲5四桂△4一金▲9三と(第3図)

私は△2七竜と取った。植山七段が「そっちですか…」とつぶやいたが、これが大悪手。当然△2八銀成だった。以下▲同金△3九銀▲3八金△同金で後手が勝ちだった。
実は△3九銀の時、▲2七金(参考2図)で指し切りと読んでしまったのだ。

でも参考2図以下、△2七同竜▲同角△2八金まで後手勝ち。3八の龍が飛車と勘違いしていたのだ。
本譜▲3九銀に△同金も疑問で、△3六竜と角を取るべきだった。
以下は植山七段の、相手側への助言?もあり、2度目の▲3九銀で私が敗勢。▲5四桂を利かされ、▲9三と(第3図)と飛車を取った手が詰めろで、泣きたくなった。
この局面、私は7秒前後で、次の手を指した。

(つづく)
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