一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

社団戦2024最終戦(5)

2024-10-06 00:09:17 | 社団戦
将棋は私の後手で相居飛車。私の矢倉、Tayama氏の右四間飛車になった。奇しくも3回戦と同じ戦型になったが、矢倉には右四間飛車が有効なのだろうか。
私は居玉を避けて△4一玉。しかし角は居角だったので、△3一玉とした。

第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲同飛△1三角▲3六飛△3四銀▲4五歩△2五銀▲3九飛△4六角▲4四歩△同銀(第2図)

▲3五歩△同歩▲同飛に、△3四歩では作戦負け。△1三角と反発した。
▲3六飛には△3四銀と立ち、勝敗は別にして、私の陣形はほぐれたと思った。

第2図以下の指し手。▲2四歩△2八角成▲4九飛△4六歩▲2三歩成△同金▲1七桂△3四銀▲3五歩△同銀直▲4五銀(第3図)

第2図の▲2四歩が意味不明。ここは▲4九飛と回り、A△2八角成(△1九角成は▲1七桂でハマる)に▲4四角△同金▲同飛の二枚換えで先手優勢。またB△4五歩なら▲4六飛△同歩▲4四角△同金▲7一角で、先手十分だった。
▲4五銀の勝負手にはどうするか。

第3図以下の指し手。△4五同銀▲1一角成△3八馬▲4八飛△6五馬▲6六香△2九馬▲4九飛△3八馬▲4八飛△同馬▲同金△4七歩成▲4四歩△4二金▲4七金△4九飛▲8八玉(第4図)

社団戦なら、ここで△3三銀と引く。以下▲2五桂にも△2二銀と凹まされるが、負けるよりはいい。
しかし本局は「社団戦じゃないので」△4五同銀と取った。
以下▲1一角成△3八馬▲4八飛。ふつう飛車は大事にするが、Tayama氏は平気で交換を望んでくる。なかなか強いと思った。
私もこんな飛車とは交換できないので、△6五馬と引き揚げる。
しかし▲6六香△2九馬に再度▲4八飛とされ、社団戦ではないので、もう交換に応じた。
つづく△4七歩成は、後の△4九飛をより効果的にする手だが、強引に手を作っている感じで、模様はよくない。

第4図以下の指し手。△8六歩▲同歩△8七歩▲7七玉△8九飛成▲1二角△3二銀▲6三香成(第5図)

ここで△4七飛成では速度争いで負けそうなので、△8六歩と突き出した。「おおー」とギャラリーが歓声を上げたが、複雑な気分だった。ただ△4七飛成に▲4三歩成△同金▲2五角なら△3六銀右で受かるので、黙って金を取っておくべきだった。
本譜▲8六同歩△8七歩には▲7七玉が好手で、△8九飛成は気が利かないが、ほかに手もなかった。
しかし▲1二角が好手で、金桂両取りのうえ、△2三金も逃げられない(▲4五角成がある)のには参った。またここは▲4三歩成△同金▲7一角△3二飛▲3三歩もあった。いくつも攻め筋があるということは、それだけ先手の模様がいいということである。
私は△3二銀と頑張る。Tayama氏は「そこで受けるものですか!」と感銘を受けたふうだったが、こっちもやむにやまれず打っている。
これにTayama氏は▲6三香成としたが、ここは▲2一馬△同銀▲2三角成(参考図)があった。

参考図は▲4三桂△同金▲4一金までの詰めろで、それは△5九角の合駒請求で解消されるが、それでも先手有望だった。

第5図以下の指し手。△6五桂▲6六玉△8八歩成(第6図)

△6五桂は手がすべった。隣の△5五に打つつもりだったが、間違えた。△5五桂なら、△6七桂成のときに取り方が難しいのだ。
▲6六玉に△8八歩成。実はこの手で△7八竜▲同銀△5五金まで詰みと思ったのだ。
だがそれは▲6七玉と逃げられる。△8八歩成は咄嗟の修正手順だが、この錯覚は痛かった。

第6図以下の指し手。▲6五玉△7八と▲5三桂△6九竜▲2三角成△6七竜▲6六金△同竜▲同玉△5五金(投了図)
まで、一公の勝ち。

Tayama氏は▲6五玉と上部に逃げつつ桂を補充したが、私は△7八とと金を取れて、難しくなったと思った。▲6五玉に代えて、ここでも▲2一馬△同銀▲2三角成があったと思う。以下△5五角には▲6五玉で、▲6三成香の存在が大きい。▲2一馬と指せなくても、とりあえず▲6八金はあったと思う。
本譜に戻り、△6九竜が存外厳しかった。これで次の△6七竜が受けにくいのだ。
Tayama氏は「仕方ない」という感じで▲2三角成と形を作り、私は△6七竜以下、寄せ切った。

本譜▲6六金で▲6六歩なら、△同竜▲同玉△5五銀▲6五玉△6四歩▲同成香△同銀▲同玉△7三金▲6五玉△6四香まで詰み、が一例。
打ち上げの席だから双方読みにアラがあるが、私が終始苦しかった。やはり第3図での△4五同銀がマズかった。
とはいえTayama氏、十分な棋力の持ち主で、来年が大いに期待できる。
私たちはまずまず盛り上がったが、きょうは2時間制が厳格に適用され、ラストオーダーがきた。
私たちはつまみをかきこみ、来年の社団戦参加を確認して、お開きとなった。
Osa氏だったか、「社団戦は昇級するより、昇級争いをしているときがいちばん愉しいんだよ」と言った。
このチームで一度は昇級したいが、その考え方も面白いか。
では皆さま、また来年お会いしましょう。
(おわり)
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社団戦2024最終戦(4)

2024-10-05 00:17:10 | 社団戦

第6図以下の指し手。△4八成桂▲6一歩成△3八成桂▲4七角△同成銀▲同角成△3七角▲2七飛△7三角成▲7一竜△1五桂▲6二と△2二玉▲3八馬△2七桂成▲同馬(第7図)

さっきから私の周りに人が集まっている気配がする。右の山野氏は勝っているが、左の中山氏は終わっていない。ただ、彼はいずれ勝つだろう。ほかはどうなのか。対局中は、向こう側の結果が分からなのがもどかしい。
後手氏は△4八成桂と迫ったが、ここはA△1五歩と突き次に△1四桂を狙う。B△3三桂とし、次の△2五歩~△2六桂を狙う手もあったと思う。だがこのあたりは後手氏も30秒将棋で、指し手が乱れるのはやむを得ない。ちなみに私はまだ数分を残し、やや余裕があった。
私は▲6一歩成とし、ついに金を1枚剥がした。
△3八成桂には、待望の▲4七角。△同成銀に▲同角成とし、だいぶスッキリした。
そこで後手氏は△3七角。いや、まだまだ大変だ。とりあえず▲2七飛と引いた。と、予期していない手がきたか、後手氏は慌て気味に△7三角成と返る。
私は幸便に▲7一竜と金を取りつつ馬取り。これは私がよくなったのではと思った。
△1五桂には本能的に▲6二と(王手)とし、竜筋を通す。そこで▲7三竜を考えたが、それは△2七桂成▲同玉△2八飛▲1六玉△1五歩でトン死する。こんな手で負けたら、悪夢の社団戦になってしまう。私は▲3八馬と成桂を外し、事なきを得た。
戻って△7三角成では、△2六桂があった。以下▲同飛△同角成▲3八馬△8八飛は、こちらの守りも馬1枚なので、そんなに簡単ではない。

第7図以下の指し手。△7八飛▲2八歩(投了図)
まで、一公の勝ち。

後手氏は馬にヒモを付けつつ△7八飛の王手。私は節約で▲2八歩と受けたが、そこで後手氏が投了してしまった。

たしかに投了以下、飛車が横に動けば馬が取られる。といって捨ておけばA▲6四金、B▲7三竜△同飛成▲5五角がある。
ただし対局時は私も全然手が見えなかったので、投了図で△7九飛成とされていたら、▲6八銀とか訳の分からない手を指すかもしれなかった。
そもそも私の▲2八歩が弱く、ここは▲2八金とガッチリ受けるところ。これなら2九の弱点をカバーできたのだ。
本局は形勢がはっきりしていたから問題なかったが、こんなことではいけない。
投了図で指すとすれば△7二歩か。しかし黙って▲4一竜で、後手は受けがない。
「ちょっと攻め過ぎましたかネ」
と後手氏。「角(▲8八角)にヒモが付いているのをうっかりしました」
「いやいやでも、その後の攻めが強烈で……」
これは本心で、終盤のかなり先まで、私のほうが苦しかった。最後は秒読みで拾ったようなもので、まさに「勝ちに不思議の勝ちあり」だ。
中山氏の将棋が終わり、この時点で3-3だった。残るは四将の決戦である。勝てば昇級の可能性が残り、負ければサヨウナラ。結果、Tayama氏が勝ち、うれしいチーム勝利となった。どうも私たちは、1-3から逆転したようだ。パリオリンピックの柔道団体とは違い、正真正銘の逆転劇であった。
結果、今年の社団戦はチーム10勝5敗、16チーム中5位だった。4位はねこまどで、Kan氏によると、調整で6部行きがキマリだという。
でも5位はダメだった。私たちはあと1勝が足りなかったわけだが、遡れば第1日の4回戦で、私が即詰みを見つけられず負けたことにある。

※参考図から私は▲4六金と上がって負けたが、▲6七同金△同歩成▲2三飛成△同玉▲2四歩△1四玉▲2三角!△2四玉▲2五歩△同玉▲1六角以下詰みだった。

若干悔いを引きずったが、後悔しているヒマはない。私たちは片付け当番なのである。
と、そこに年配の男性が「一公さんでしょうか?」と訪ねてきた。当ブログの読者のようで、一言挨拶に来てくれたのだ。
まことにありがたいことで、「15年半もバカなことをやっております」と、意味のない返事をしてしまった。
片付けは、みんなで力を合わせテキパキと行う。ちょっとびっくりしたのがペットボトルの飲み残し(ゴミ)が多かったこと。飲み物を残すのももったいないし、それを置いていくココロが分からなかった。
小1時間で撤収を終え、これから打ち上げである。お店はいつもの「つぼ八」で、参加者は星野氏不在、Osa氏INで、10名となった。
ではここで、席の配置を記しておこう。

   山野  木村  中山  Osa

   阿部 一公 Aku Tayama 山本

Kan氏はまだ事務所の仕事があり、来るのは遅れる。また中山氏も、来るのが遅れた。大将での15戦全勝で、個人表彰があったのだ。
私たちはビールや日本酒を頼み、木村晋介会長の音頭で乾杯。私はふだん酒を飲まないが、ビールの最初の一口は美味いと思う。
つまみもどんどん運ばれてきた。6月のそれは一部冷えていたが、今回はすべてアツアツで美味い。
さて今回昇級は逃したものの、チーム3連勝は見事だった。圧巻はやはり1回戦で、全勝の天野チルドレン3に勝ったのは大きい。しかも山野氏の相手は、ここまで個人全勝だったらしい。
そして中山氏の全勝だが、氏は会員として「将棋ペン倶楽部」に投稿もしているし、こちらは何のうしろめたさもない。ただ、けっこうなドーピングであることは確かだ。
やがてKan氏が合流し、改めて乾杯となった。Kan氏は将棋ペンクラブ幹事で激務の傍ら、前述のように社団戦でも裏方を務める。本当に頭が下がる。
宴たけなわになったころ、席を移動し、木村会長とAkuさんが将棋を始めた。将棋バカだ。
Akuさんの居飛車に木村会長の振り飛車。私はあまり見ていなかったが、木村会長が有利に進めている。
第1図は木村会長が△5八馬と銀を取った局面。

Akuさんは「ナナメの駒がほしい」とつぶやく。たしかに銀があれば▲7一銀△同玉▲6二金から、詰み筋に入る。
しかしないから、▲7一金と打った(第2図)。

ここがAkuさんの鋭いところで、ふつうは▲6二金と打つ。そこを一歩進んで中空に▲7一金と捨てる感覚がすごい。
そこで木村会長は△6一銀打。これもある意味すごい手で、実はこの局面、Aku玉に即詰みが生じている。すなわち、△6九馬▲同玉△2九飛成▲5九合△同竜▲同玉△5八金までである(参考図)。

しかしAkuさんはもちろん、木村会長が気づくこともなく、そのまま将棋が進行したのだった。
さて△6一銀打以下は、▲7二金△同銀▲7一銀△同玉▲6二金△8二玉▲7二金△9二玉▲8二飛△9三玉▲8五桂△8四玉▲7五銀△8五玉▲8六歩(第3図)まで、Akuさんの勝利となった。

Akuさんは相手が振り飛車でも居飛車でも右四間飛車を指すのだが、「指し方が分からない」とつぶやいていた。彼女とは10月5日の「将棋ペンクラブ大賞贈呈式」で会うと思うので、棋書を1冊、買っていこうか。
さて、Tayama氏も将棋を指したいとのことである。となれば相手は中山氏だが、彼は酒が入っていて思考ができないという。それで、私が相手をすることになった。
(つづく)
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社団戦2024最終戦(3)

2024-10-04 14:44:24 | 社団戦

第6図以下の指し手。▲3一同竜△同銀▲3二金△2二銀▲7五角△6四香▲3一角△同銀▲同金△2二銀▲3二銀△3一角▲同銀成(第7図)

第6図で▲7五角は、△4一金打くらいでハッキリしない。ぐずぐずしていると金を埋められて厄介になる。そこで、福崎流でスッパリ切った。△同銀に▲3二金。しかしここは▲4一金だった。これにA△2二銀は▲3二歩成。B△2二玉は▲5三角で先手よしだった。
ただ、▲3二金でも、玉の近くに金が来て、相手は気持ち悪かろうと思った。
本譜△2二銀に私は▲7五角と出たが、ここは▲4一角だったか。しかしそこで△7二飛の強防があり、よく分からない。
△6四香には▲同歩でもいいが、▲3一角と詰めろで迫る。以下駒の交換があったが、この折衝の成果はどうなのか。

第7図以下の指し手。△7二飛▲3二歩成△2二金▲4一角△2五金▲2二と△同飛▲3二金△同飛▲同角成△1六桂▲同香(投了図)
まで、一公の勝ち。

もう少年にナナメ下に利く駒がなくなったので、先手は取られない。少年は△7二飛と受けたが、いかにもつらい。私は待望のと金を作り、これは勝てそうな気がした。
△2二金に慌てて▲同とは、△同玉と這い出されて困る。黙って▲4一角が好手だ。
以下▲1六同香で、少年の投了となった。

感想戦で、少年は第4図での△5八銀不成を悔やんだ。すぐに△3八銀成とすべきだったという。
私は第3図の▲4八角で、▲3七角を考えたと述べた。△6六角と出る変化には▲6八飛と回る手があるが、少年は最悪の場合、角を損してもほかで捌く意思もあったようである。
ほかをあたると、ほかも結構買っている。Akuさんは少女と指しているが、敗勢。最後もうまく寄せられて投了したが、トータル5勝2敗で、またも勝ち越した。
これでチーム9勝5敗、次が今年度最後の対局となる。私が抜け番になってそのまま帰宅してもよかったのだが、そうもいかなそうだ。3回戦は阿部氏が事務局の手伝いをするため抜け、六将木村晋介会長、七将Akuさんとなった。
相手は「青い騎士団」。私の相手は成人男性で、なんとなくホッとする。私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩。ここで私はまたも▲6六歩。以下△6二銀▲6八銀△6四歩▲7七銀となり、後手氏は右四間飛車に構えた。どうも、矢倉には右四間飛車が効果的なようだ。
後手氏が△7三桂と跳ねて第1図。

第1図以下の指し手。▲7五歩△8五桂▲7四歩△7七桂成▲同金上(途中図)

△6五歩▲7三歩成△6四飛▲7六桂△6六歩▲6四桂(第2図)

第1図では▲5八飛と回り、△6五歩に▲5五歩はあったかもしれない。しかし桂頭を狙うのは当初からの予定で、初志貫徹で▲7五歩といった。しかし数手後銀桂交換の駒損になり、あまりよくなかった。
▲7七同金上(途中図)の局面で、△7二飛と▲7四歩を取りに来られるくらいで先手が悪いと思った。だが、後手氏はなかなか指さない。やがて△6五歩と指した。
私は▲7三歩成から▲7六桂で飛車を殺したが……。

第2図以下の指し手。△6七歩成▲同金△8八角成▲同飛△6六歩▲同金△7九角▲7八飛△4六角成▲同歩△5七銀(第3図)

△6七歩成から▲8八同飛。△8八角成には飛車の横利きで▲同飛と取れるのがミソで、後手氏はこれをうっかりしていた可能性が高い。ただ、私も▲6七の金をボロッと取られているし、その前に銀桂交換の駒損があった。さらに飛車を取るため桂を使っているので、そんなに得をしていない。否、形勢としてはむしろ不利であろう。
△6六歩から△7九角が厳しい。▲7八飛には△5七銀▲同銀△同角成▲4八角を考えていたが、後手氏の角切りから△5七銀も強烈だ。これは容易ならざる形勢になった。

第3図以下の指し手。▲8一飛△7一金打▲9一飛成△6六銀成▲4八玉△5六成銀▲3八玉△5五銀(第4図)

ここで後手氏の持駒は「金銀」。私は1枚使わせようと▲8一飛としたが、よくなかった。△7一金打とさせたのはいいが、▲9一飛成に△6六銀成でまた金が入ってしまったからだ。
だから▲9一飛成では冷静に▲6七金がよく、△6六銀打▲同金△同銀成なら、駒損せずに似た局面が作れた。
また後手氏の△7一金打も、代えて△4七銀と打ち、▲7一飛成△2二玉でも、金取り詰めろが残って、有望だったと思う。
本譜は私が▲4八玉と上がり、後手が指し切りではないかと思った。△2七銀には▲4九角で受け切りだ。
ところが後手氏が桂取りに出た、△5五銀が素朴な好手だった。

第4図以下の指し手。▲4九香△6四銀▲3六歩△5五銀▲8三角△7七歩▲同飛△6五桂▲2七飛△5七桂成▲2四歩△同歩▲2三歩△同金(第5図)

後手に桂が入ると△3五桂がある。持駒が多ければ△2七銀からの即詰みもあり、相当に厄介である。
私は▲5二桂成や▲7二桂成を考えたが指しきれず、▲4九香から▲3六歩(△3五桂うぃ防ぐ)とした。なおも△1五桂なら、▲2八歩か▲2七歩か。本譜△5五銀もいい活用だ。
私は受け一方の▲8三角。ここで後手氏は突然、△7七歩と問うてきた。こんな飛車を構ってもしょうがないと思うが、後手氏は△6五桂。このとき後手氏は錯覚に気付き指し直そうとしたが、それはできない。
むろん▲同角成でタダなのだが、取ると△6六金があり、そう簡単でもない。
そこで私は▲2七飛と逃げたが、△5七桂成が大きな手で、やはりこちらが悪い。
戻って▲2七飛では、何はともあれ▲6五同角成と桂を取るのだった。
私は▲2四歩からイヤミをつけたつもりが、金冠を構築させる結果になって、よくなかった。

第5図以下の指し手。▲6二歩△4六銀▲同香△4七金▲2八玉△4六成銀▲7四角打△2五香▲2六歩△同香▲同飛△3七銀▲同桂△同成銀▲1八玉(第6図)

私は▲6二歩。ここ、▲6一角成△同金▲同竜としたいのはヤマヤマだが、この局面で角を渡すのは怖すぎた。この期に及んで牛歩の攻めだが、仕方なかった。
しかし後手氏は△4六銀~△4七金と着実な攻めである(10月5日註:上記手順中、たぶん▲7四角打と▲6二歩が入れ替わっていたと思うので、修正しました)。
さらに後手氏は△2五香としたが、黙って△2五歩と突き、次の△2六香を見る手もあった。
また△3七銀▲同桂には△同成銀ではなく△同金とし、▲1八玉に△3六成銀と寄る手もあったと思う。以下▲同飛△同金で、後手氏の持駒は飛桂。こちらも何か受けなければいけないが、それが分からない。
もっとも本譜も、ギリギリ端玉で耐える始末。厳しい形勢だと思った。

(つづく)
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社団戦2024最終戦(2)

2024-10-03 23:50:40 | 社団戦
私の将棋が早く終わり、一抜け。ここから高みの見物である。そして私の場合、自分が勝てば、他者の勝敗はどうでもよい。4-3で勝てばもちろんよいが、3-4で負けても、「惜しかったね」と寛大な気持ちになれるのだ。その代わり、自分が負けて3-4だと最悪。のちのちまで後悔を引きずることになる。
木村晋介会長は振り飛車で軽快に指している。見ると、△7四飛に▲6四の銀を▲7五銀(図)と引いたところだった。

私だったら迷わず飛車交換に応じ、△7四同銀に▲5五銀か▲8二飛としているところ。しかし▲7五銀も落ち着いた手で、これは会長、そこそこいくんじゃないかと思った。
五将の山本氏は、対振り飛車に十八番の左美濃。▲9七に玉がいるが、これは△9六桂の王手にそう逃げたものか。しかし△9五香と走られているので、この桂は取れない。▲6四歩は△6三金取りになっているが、△5三角がいるので、この金は取れない。山本氏が二枚飛車で攻めているから優勢に見えるが、存外そうでもない。
実は似た局面を、私は何度か見ている気がする。なんか山本氏、いつも端玉で苦しんでないか?
今回も桂の王手に、どうして端に逃げたのだろう。金銀のいるほうに逃げないか? ふつう。
Tayama氏は、将棋は劣勢だが、よく頑張っている。しかし相手が悪く、勝ち目は薄い。

山野氏のところは、山野氏勝勢。図からA▲6二飛成△同玉▲6三銀△同角▲同飛成△同玉▲5四角打でもいいし、B▲8二金から詰ましてもいい。
だが山野氏は指す気配がない。しばらくして見ると、▲5四香と打っていた。
山野氏、こんな終盤の弱さじゃ、一手違いのときに勝てない。山野氏はもっと詰将棋をやるべきだ。
10時57分、中山氏勝ち。まあ、そうであろう。
11時04分、山野氏、勝ち。あれ? これで3勝である。
やがて山本氏、負け。しかしすぐあとに木村会長も勝った。え? 会長勝ったの? これで4勝1敗である。チーム勝利ではないか。そんなバカな! 全勝のチームにウチが勝てるわけがない!
私はメンバー表を見てみる。相手の四将氏は、ここまで12戦中11戦に大将で出場し、全勝だった。それなのに、なぜここで四将で出たのだろう。
こちらの大将も12戦全勝だが、天野チルドレン3の偵察隊がそれを見て怯み、全勝対決を回避したのだろうか。いやしかしそれでは、どちらの大将も勝って、1勝1敗になるだけだ。これでは意味がないではないか。
いや違う、天チルは、ここでイーブンでも、残り5局で3勝2敗できるとフンだのだ。
阿部氏が勝った。これで5勝1敗である。しかし私たちが、予想以上に強かったのだ。こちらはいつものメンバーなのに、本当にどうしたのだろう。キツネにつままれたようだった。
Tayama氏の将棋が長すぎるので、私は昼食に出た。きょうも会のほうで牛丼を100個注文しているが、仮に同じものでも、私は外で食べる主義である。
しかし、浅草駅前の吉野家は満員だった。あやうく昼食難民になりかけたが、ちょっと離れたところにココイチがあった。幸いカウンターが1席空いていたので、座る。時間もないので、メニューを見ずに、ベーシックなカレーを頼んだ。
カレーは野菜がルーに溶けて美味かったが、会計で683円だったのにはビックリした。せいぜい500円くらいかと思ったが、私が甘かった。いまはカレーも高級品なのである。
会場に戻ると、やはりTayama氏は負けていた。しかしチーム5勝2敗の勝利は立派だ。全勝チームに土をつけ、もう昇級した気分だった。
またTayama氏は、強豪にあれだけ善戦したのだから、あとの2局は絶対勝てると思った。
さて、2回戦である。相手は「棋心ドリーム」で、また小学生主体のチームだ。私たちの先発メンバーは、七将のみ、木村会長からAkuさんに代わった。というのは私の勘違いで、山本氏とTayama氏が入れ替わっていたのを局後に知った。
私の相手は小学生高学年。今度は偶数先手で、私が先手になった。▲7六歩△3四歩▲2六歩に△8四歩。ここでまた私は悩んでしまった。例によって横歩取りはイヤなので、▲6六歩と怯んだ。将棋に笑われる手はないのである。
以下△8五歩▲7七角△6二銀▲7八銀と進む。私はまた矢倉を目指したが、次少年が△4二銀としたので、四間飛車に振った(第1図)。けっこう私は、相手のスキを衝くのである。

数手後、少年は△3三銀とする。私が警戒しているのは△3五歩からの位取りだ。ふだん自分が指しているからだが、ただ指し手を進めるうち、現代の小学生が位取りを指すはずがないと思った。
少年の戦法選択は穴熊で、ああそうだろうなと思った。私は銀冠に組み、こちらも十分の形勢である。
少年は△6四銀と出て、仕掛けを目指してきた(第2図)。

第2図以下の指し手。▲5九角△7五歩▲7八飛△7六歩▲同銀△7二飛▲7七歩△8二飛▲8八飛△7五銀▲同銀△同角▲4八角(第3図)

私は△7五歩の先受けで▲5九角と引いたのだが、やや弱気だったか。そこで△7五歩以下△7二飛まではよくある手順だが、次に△8六歩▲同歩△8八歩があるので、私は▲7七歩と受けた。棋理にない手だが、代わる手が分からなかった。
少年は△8二飛と戻し、銀を捌いて好調。次△6六角と出られても▲6八飛があるから心配ないが、とりあえず▲4八角と我慢した。
そこで少年の次の手は、なんとなく予想できた。

第3図以下の指し手。△8六歩▲同歩△同飛▲同飛△同角▲8三飛△8八飛▲8一飛成△8九飛成▲9八桂△9九竜▲8六桂△4九銀▲3九銀(第4図)

右の山野氏は横歩取りの乱戦になっていたが、玉を引っ張り出されて敵陣まで侵入している。しかしキッチリ討ち取られた。
少年は△8六歩から飛車の交換を挑んできた。まことに気合がいいが、飛車を先着できるのは私である。△8八飛から桂を取り合ったが、私の▲9八桂がよくある筋で、角が取れる。
しかし少年は黙って香を補充し、涼しい顔である。そこで冷静に考えると、私も角を取るため桂を投資しているので、そこまで得になっていない。少年の銀桂香の持駒も強力で、私はそこまで優勢でないのかと思った。
△4九銀には、冴えないが▲3九銀と受けた。もし△3八銀成▲同銀上となってもあまり固くなっていないが、ないよりはいい。

第4図以下の指し手。△5八銀不成▲6五歩△4七銀成▲同金△8八竜▲3八銀打△3五歩▲9一竜△3六歩▲3五香△3七歩成▲同桂△3四歩

ところが、少年は△5八銀不成ときた。よりよくしようの意だが、私にはよく分からない。
△8八竜には、角の動きをよくしようと、▲3八銀打。なんだか気が利かないが、とりあえず固くした。
と、少年は少考ののち、△3五歩ときた。さすがにいい手で、▲同歩は△3七歩▲同桂△3六歩▲同銀△2四桂で、後手ペースになる。
私は香を補充し、△3六歩を待って、歩の裏から香を打った。ただこれも、歩の成り捨てから香を取られそうだ。私は時間稼ぎのために打ったのだが、ちょっと代償が大きすぎた。
そう思って局面を見ると、ひとつだけ攻め筋が生じていた。

第5図以下の指し手。▲3三歩△同金右▲2五桂△2四金▲3三歩△3一金(第6図)

まずは▲3三歩。これに少年はさして考えず△同金右と取ったが、これが相当な悪手だった。私は▲2五桂と跳ねるが、△2四金と逃げた形がひどい。
戻って▲3三歩には△同銀だったか。以下▲2五桂△2二銀▲3三歩△同銀▲同桂成△同金右なら、私は歩切れになり、攻めあぐねたと思う。
本譜に戻り、私は再び▲3三歩。△3一金にはどうするか。

(つづく)
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社団戦2024最終戦(1)

2024-10-02 23:35:24 | 社団戦
さあ、9月29日の社団戦最終戦である。当日は私もいろいろ用事はあったのだが、社団戦の参加を最優先させた。数年前なら考えられなかったことだが、こうでもしないと他者との交わりがなくなってしまう。
会場はもちろん、産業貿易センター台東館である。例によって都バスを使い、二天門前で降りた。対局場は、いつもは4階と5階だが、今回は6階と7階である。さすがにエレベーターを使いたいが、人が多すぎるので階段を使った。
7階に着き、仲間を探す。徐々に見つかって、最終的にはいつもと同じメンバーになった。すると山本氏が、知己を紹介してくれた。好感度の高い青年である。山本氏とは2回指して青年の2勝だったそうで、頼もしい。棋力を聞くと、「三段」とのことだった。三段といってもピンキリなのでアテにならないが、なんとなく強そうだ。四将で指してもらおうか。
1回戦の相手は、「天野チルドレン3」。ここまでチーム12戦全勝で、個人67勝。1回平均5.6勝という凄まじさで、さすがに今回は負けを覚悟した。
先発メンバーは、大将・中山氏。以下、一公、山野氏、助っ人・Tayama氏、山本氏、阿部氏、木村晋介会長である。Akuさんは抜け番、Kan氏は事務局の仕事で対局できなかった。また星野氏はアカシヤ書店の営業専念で、今回は不参加となった。
さて相手を見ると、四将に強豪が座っている。あの人がどうして四将に座っているのか分からぬが、それだけ天チルのレヴェルが高いということだ。
私の向かいは、小学生の、それも低学年。常勝チームの副将を務めるとは、どれだけ強いのだろう。
最終日なので、対局前に挨拶があった。浦野真彦八段は、還暦記念に扇子を作ったそうだ。
LPSAは今回も出店しており、大庭美夏女流初段が一言述べた。
あとは、将棋と関係ない衣服の会社が出店した。質のいいTシャツなどを販売するらしい。
最後は社団戦スタッフから。今年も一部で入れ替え戦があるが、来年は6部が2チームになる予定なので、その周辺の部は入れ替え戦がないという。我が将棋ペンクラブは現在16チーム中6位だが、4位か5位に上がれば、6部昇級の可能性があるということか。
中山氏が振り、奇数先手となった。私は後手で、対局開始。小学生君、▲2六歩。ここで私は早くも長考してしまった。△8四歩とし、対ひねり飛車になるなら指してもいいが、相掛かりや角換わり、横歩取りの将棋になると自信がない。相手はどの最新定跡もインプットしていると思ったからだ。
私はとりあえず△3四歩。すると▲2五歩を決められた。以下△3三角▲7六歩。ここで△2二銀は▲3三角成以下相手の思うツボなので、気合が悪いが△4四歩とした。
▲6八玉に△8四歩(第1図)。相手が二段玉になったこともあるが、強引に矢倉にもっていく腹だった。

私は△4三金を早めに決め、角を4二に引き、矢倉を構築する。問題は小学生君に速攻で来られることだが、意外にも小学生君もガッチリ矢倉に組み、昭和の将棋になった。これなら私の土俵ではないか? いけるんじゃないか?
私は△9四歩(第2図)。この応手に注目した。

第2図以下の指し手。▲9六歩△8四銀▲4六銀△9五歩▲同歩△同銀▲9七歩△4五歩▲3七銀△2二玉▲2六銀(第3図)

小学生君はさして考えず、▲9六歩と受けた。しかしこれが、一局の勝敗を左右しそうな問題の手だった。私はすかさず△8四銀と棒銀に出て、これは私の作戦勝ちである。
△9五歩▲同歩△同銀に、▲同香は△同香▲9七歩△9三香▲9八銀△9二飛で、後手有利。
よって小学生君は▲9七歩と受けたが、これは私が一本取った。
私は△4五歩。これが1歩を手にした効果で、▲同銀は△4四歩で銀が死ぬ。よって小学生君は▲3七銀と引いたが、この撤退は痛かった。
▲2六銀に次の手は。

第3図以下の指し手。△7三桂▲4六歩△8六歩▲同銀△同銀▲同角△同角▲同歩△4六歩▲4八歩△8五歩▲同歩△8六歩▲7七桂(第4図)

第3図では△8六歩としたいが、以下角銀総交換になるものの、最後に△8二飛と引いて一息つくのが気に食わない。そこで△7三桂と一手ためたが、これが我ながら冷静だった。
▲4六歩に、いよいよ△8六歩。▲同歩は△8五歩▲同歩△同桂があるので小学生君は▲同銀。△同銀にも▲同角ときたが、銀はともかく、角のほうはありがたかった。△同角▲同歩で、まだ私の手番だったからである。
私は△4六歩と貴重な1歩をいただく。これは先手が精神的に堪えるはずだ。小学生君は▲4八歩と受けたが、これは相当つらい手。だから受けない手もあったと思うのだが、そうもいかなかったか。
そして私はやはり△8五歩。私は、本に書かれている手しか指していない。この継ぎ歩ができるのも、9筋で得た1歩があったからだ。これはイケるのではないかと思った。

第4図以下の指し手。△6九角▲7九玉△3六角成▲3七銀△5八馬▲6八金寄△4九馬▲7八玉△8五桂▲8八歩△9七桂成▲同香△同香成▲7九桂(第5図)

ほかの将棋を見ると、中山氏は居飛車対振り飛車の、難しい局面。山野氏は対振り飛車にいつもの穴熊を採用しているが、▲8八銀とハッチを閉める前に速攻され、懸命に受けている最中だ。
私は△6九角。矢倉攻略の常套手だ。▲7九玉に、私は△3六角成と1歩を取りつつ逃げる。ここで得る1歩も大きい。
△4九馬に小学生君は▲7八玉と態勢を整えたが、ここで△2七銀は20年前の手。飛車には目もくれず、△8五桂と捌いた。

第5図以下の指し手。△8三香▲7三角△8八成香(投了図)
まで、一公の勝ち。

第5図では△8八成香▲同玉△8七銀▲同桂△同歩成▲7九玉△6七馬で勝ちだった。本局は形勢が離れていたからいいが、一手争いのときに緩むと勝敗に関わる。自戒したい。
本譜△8八成香で、小学生君、投了。感想戦では、第2図の▲9六歩に、疑問手を付けさせていただいた。端歩に挨拶せず、どんどん攻めていけばよかったと思う。

ともあれ私は幸先いい1勝。とりあえずホッとした。
(つづく)
コメント (4)
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