29日の倉敷藤花戦・清水市代女流六段対渡部愛女流初段の一戦は、渡部女流初段の勝ち。渡部女流初段にはお約束どおり、後日、勝手にプレゼントを贈らせていただく。渡部先生、挑戦権目指して頑張ってください。
(きのうのつづき)
小学生君はさらに▲7七桂。先ほど大野八一雄七段との将棋をチラッと見たが、それとほとんど同じ将棋である。
さらに指し手が進んで、これらは端攻めの狙いということが分かった。私は美濃囲いに組んでいたから、ちょっと端が弱い。
果たして小学生君の猛攻が始まった。しかしそこは私が誤魔化し終盤に突入、何とか勝てた。
感想戦。小学生君の端攻めの構想はともかく、金が四段目に上がる形がいいとは思えず、私はそこだけ注意した。ところがFuj氏によると、この手は「将棋世界」の別冊付録で、小林健二九段が解説していたという。それでは私が口を挟む余地はない。…ないのだが、やはりこれが本筋の指し方とは思えない。
早指しだったので、もう一局指すことにした。私はもちろん三間飛車。小学生君はまたも中飛車から、▲5六金~▲7七桂である。さらに▲9七香から▲9八飛。一局目と同じである。小学生君、この戦法に魅せられてしまったようだ。
今回は私も対策を用意している。△7三銀~△8四銀~△5一角とし、万全の迎撃体制を整え、実戦も私の受け勝ちとなった。
さて2局指したが、ちょっと残念だった。というのは、先にも書いたが、私に三間飛車を強要するからには、小学生君が三間飛車破りで来ると思ったからだ。
だが本譜の指し方では、私がどこに飛車を振ろうが関係なくなっている。実際彼は超早指しで、私の手の意味すら考えていなかった。付録の攻めが通用するかどうかを試すだけの感じだった。これで、実戦を指す意味があったのだろうか。「小林流」が指したければ、共同研究の場で披露すればよかったのではないか…。と、小学生相手に、真面目に考えてしまった。
彼とまだ指してもよかったのだが、急造手合い係のFuj氏の指示で、私とIi君がリーグ戦を指すことになった。
Ii君は大野教室の秘蔵ッ子で、もう大学生だからトウが立っているが、将来アマ名人も狙える逸材である。私が教室に通い始めたころはIi君といい勝負だったが、最近は差がどんどん開き、実力の違いを感じる。ただ、同じ負けるにしても一手違いにはしたかった。
どう考えても私が先手のはずだが、なぜか振り駒となり、私が後手になった。
私は三間飛車に振る。Ii君は▲5七銀左から▲4五歩。そして▲2四歩。これに△同角と取ったのが私の工夫だ。どうも▲4五歩早仕掛けには、△2四同角がいいような気がする。
▲2五桂の銀取りに、△4四歩のカウンターパンチ。以下銀桂交換になったが、△8四桂が期待の一手で、▲8五銀△7三桂▲8四銀△同歩となっては、△3三の銀が駒台に乗った計算になり、これは振り飛車十分になったと思った。
しかし▲3五歩が味わい深い好手。私は指す手が分からず△5五歩。以下▲3四歩△5七角成▲同金△4五桂と捌く。▲5八金引△3七桂成▲2三飛成△4四飛▲5五角。私は勢い△4七飛成▲同金△同成桂。この局面も振り飛車悪くないと見ていたのだが…。
以下の指し手。▲4一飛△4二歩▲6一飛成△同銀▲7一角△同玉▲7三竜△7二銀▲6三桂 まで、Ii君の勝ち。
▲4一飛が厳しかった。△4七成桂取りなので何か受けなければならないが、先手は▲6一飛成と▲6四角と出る手を絡めて、後手に受けがないように思える。
とりあえずは△4二歩と受けたが、やはりIi君は▲6一飛成。しかしそのあと、▲7一角には驚かされた。こんな速攻があったのか。▲6四角とばかり思っていた。
是非ない△7一同玉に▲7三竜△7二銀。ここで▲8二金かと思いきや、先に▲6三桂。何と、これで後手玉は即詰みである。いや、こんな気持ちのいい寄せがあるとは思わなかった。
感想戦に入るが、中盤▲3四歩に△5七角成が焦ったようで、単に△4五桂跳ねがよかったらしい。ただそれでも、後手難局だった。
それにしたって本譜の順も、後手はもう少し工夫のしようがあったのではないか? 本譜はあまりにも簡単に潰されている。まあそれが実力の差といえばそれまでだが、何か釈然としないものがあった。
(家に帰って思ったのだが、△4二歩では△4三歩があった。これは成桂を守るとともに竜の横利きも消して、一石二鳥である。これなら先手は▲1二竜だろうが、△5一歩と守る。後手は金銀4枚を持っているのが強味だ。次は△5七銀や△5九銀があり、けっこう後手もやれたのではないか。△4三歩なんて平凡な手なのに、どうして見えなかったのか理解に苦しむ。これも負け下になっている弊害だろうか)
ただ、いかな強豪のIi君といえども、アマチュアであり、私がしっかり指せば、そこそこ指せることを改めて感じた。次に彼と指すのが楽しみである。
(つづく)
(きのうのつづき)
小学生君はさらに▲7七桂。先ほど大野八一雄七段との将棋をチラッと見たが、それとほとんど同じ将棋である。
さらに指し手が進んで、これらは端攻めの狙いということが分かった。私は美濃囲いに組んでいたから、ちょっと端が弱い。
果たして小学生君の猛攻が始まった。しかしそこは私が誤魔化し終盤に突入、何とか勝てた。
感想戦。小学生君の端攻めの構想はともかく、金が四段目に上がる形がいいとは思えず、私はそこだけ注意した。ところがFuj氏によると、この手は「将棋世界」の別冊付録で、小林健二九段が解説していたという。それでは私が口を挟む余地はない。…ないのだが、やはりこれが本筋の指し方とは思えない。
早指しだったので、もう一局指すことにした。私はもちろん三間飛車。小学生君はまたも中飛車から、▲5六金~▲7七桂である。さらに▲9七香から▲9八飛。一局目と同じである。小学生君、この戦法に魅せられてしまったようだ。
今回は私も対策を用意している。△7三銀~△8四銀~△5一角とし、万全の迎撃体制を整え、実戦も私の受け勝ちとなった。
さて2局指したが、ちょっと残念だった。というのは、先にも書いたが、私に三間飛車を強要するからには、小学生君が三間飛車破りで来ると思ったからだ。
だが本譜の指し方では、私がどこに飛車を振ろうが関係なくなっている。実際彼は超早指しで、私の手の意味すら考えていなかった。付録の攻めが通用するかどうかを試すだけの感じだった。これで、実戦を指す意味があったのだろうか。「小林流」が指したければ、共同研究の場で披露すればよかったのではないか…。と、小学生相手に、真面目に考えてしまった。
彼とまだ指してもよかったのだが、急造手合い係のFuj氏の指示で、私とIi君がリーグ戦を指すことになった。
Ii君は大野教室の秘蔵ッ子で、もう大学生だからトウが立っているが、将来アマ名人も狙える逸材である。私が教室に通い始めたころはIi君といい勝負だったが、最近は差がどんどん開き、実力の違いを感じる。ただ、同じ負けるにしても一手違いにはしたかった。
どう考えても私が先手のはずだが、なぜか振り駒となり、私が後手になった。
私は三間飛車に振る。Ii君は▲5七銀左から▲4五歩。そして▲2四歩。これに△同角と取ったのが私の工夫だ。どうも▲4五歩早仕掛けには、△2四同角がいいような気がする。
▲2五桂の銀取りに、△4四歩のカウンターパンチ。以下銀桂交換になったが、△8四桂が期待の一手で、▲8五銀△7三桂▲8四銀△同歩となっては、△3三の銀が駒台に乗った計算になり、これは振り飛車十分になったと思った。
しかし▲3五歩が味わい深い好手。私は指す手が分からず△5五歩。以下▲3四歩△5七角成▲同金△4五桂と捌く。▲5八金引△3七桂成▲2三飛成△4四飛▲5五角。私は勢い△4七飛成▲同金△同成桂。この局面も振り飛車悪くないと見ていたのだが…。
以下の指し手。▲4一飛△4二歩▲6一飛成△同銀▲7一角△同玉▲7三竜△7二銀▲6三桂 まで、Ii君の勝ち。
▲4一飛が厳しかった。△4七成桂取りなので何か受けなければならないが、先手は▲6一飛成と▲6四角と出る手を絡めて、後手に受けがないように思える。
とりあえずは△4二歩と受けたが、やはりIi君は▲6一飛成。しかしそのあと、▲7一角には驚かされた。こんな速攻があったのか。▲6四角とばかり思っていた。
是非ない△7一同玉に▲7三竜△7二銀。ここで▲8二金かと思いきや、先に▲6三桂。何と、これで後手玉は即詰みである。いや、こんな気持ちのいい寄せがあるとは思わなかった。
感想戦に入るが、中盤▲3四歩に△5七角成が焦ったようで、単に△4五桂跳ねがよかったらしい。ただそれでも、後手難局だった。
それにしたって本譜の順も、後手はもう少し工夫のしようがあったのではないか? 本譜はあまりにも簡単に潰されている。まあそれが実力の差といえばそれまでだが、何か釈然としないものがあった。
(家に帰って思ったのだが、△4二歩では△4三歩があった。これは成桂を守るとともに竜の横利きも消して、一石二鳥である。これなら先手は▲1二竜だろうが、△5一歩と守る。後手は金銀4枚を持っているのが強味だ。次は△5七銀や△5九銀があり、けっこう後手もやれたのではないか。△4三歩なんて平凡な手なのに、どうして見えなかったのか理解に苦しむ。これも負け下になっている弊害だろうか)
ただ、いかな強豪のIi君といえども、アマチュアであり、私がしっかり指せば、そこそこ指せることを改めて感じた。次に彼と指すのが楽しみである。
(つづく)