第3図以下の指し手。△8九角成▲同玉△7八歩(投了図)
まで、一公の勝ち。
表は大変な土砂降りになっていた。私は傘を持ってこなかったので、帰りは誰かの傘に入れてもらわねばならぬ。
私は△8九角成とバッサリいった。対穴熊戦で、大駒を切って金を剥がすのは気持ちがいい。
▲8九同玉に△7八歩がトドメだ。これに▲同玉は△6八金以下詰み。先手は攻防ともに見込みがなく、ここでSato氏が投げた。
「必勝の将棋を落とした…」
とSato氏がつぶやく。
私も同じ経験は何度もしているので、Sato氏の気持ちはよく分かる。私は僥倖の勝利だったが、たまにはこんな椿事があってもバチは当たらないだろう。
洋間では、Fuj氏が四枚落ち戦を指していた。見ると下手(新人)が勝勢で、どんな手合いでもいい勝負に持ち込むFuj氏にしては珍しい展開だ。
男性は質駒を取って、最後は綺麗に詰ました。ちょっと手合いが違うようで、上手から見ると、また厄介な下手が登場した形だ。
その男性と私が、四枚落ちを指すことになった。
こういう場合、ふつうに指していては負ける。二枚落ちなら定跡通り指すが、四枚落ちは相手も男性だし、ちょっと変化してもいいのではないか。
対局が始まったが、私は右銀を左辺に持ってくる変化球をほうってみた。
男性は銀交換を果たしたが、たぶん勉強しているであろう形と若干形が違うので、混乱したようだ。そうこうするうち私が徐々に厚みを築き、指しやすくなってきた。
右ではTaga-Kobaの平手戦が行われていたが、これはさすがにTaga氏が優位か。だがよく見るとKoba氏が指せる感じで、予断を許さない。
私のほうは中央でゴチャゴチャした戦いになり、ここで下手氏が▲4六角と飛びだせばまだまだだったが、それを逃してからはやや一方的になった。
私は左右の桂が相手の金銀と交換になり、大きな戦果を得た。最後は下手玉を即詰みに討ち取って私の勝ち。
検討には大野八一雄七段が加わってくれ、上手陣の攻略法を検討した。これが下手はもちろん、上手も勉強になるのである。なぜなら、下手の正解手順は2~3だが、そのほかはすべて上手の紛れの手になるからである。
男性には、大野七段が改めて四枚落ちの講義を行った。たぶん、これが最も勉強になると思う。
表が雨なので、今日は帰る人が少ないようだ。
私は4局目にU君と指す雰囲気もあったが、最終的にTaga氏と指す。U君は大野七段に教えてもらうことになった。
「大沢さんすげえよなあ」
とTaga氏が言う。「女流棋士との指導対局の記譜を、全部覚えてるんだもんなあ」
私のブログを見てのことらしい。
「ああそれ、指導対局の時は、記譜を付けてるから」
女流棋士との指導対局は記念になるので、正確な記譜を残すようにしている。
平手で私の後手。Taga氏は四間飛車に振り、私が緊張感なく進めていたら作戦負けに陥り、劣勢になった。せっかく今日は星が集まっているのに、ここで落とすのか…と落胆した。
が中盤、私の△4六歩にTaga氏が手抜きしたのが、つまずきのはじまり。
私は△4四香と据える。▲6六角の利きにはそれを防ぎつつ△5五桂と打ち、気が付いたら先手は4七の地点が受けづらくなっていた。
以下は攻め合って私の勝ち。将棋は与しやすい相手でも油断してはならない、と教えられた。
右はOk氏とKoba氏の一戦。このふたりは棋力的に同じで、いい勝負と思う。将棋はKoba氏が勝勢になり、最後は▲2六金・△2四玉△2五桂の形から、▲2五金△同玉▲2六金△2四玉▲3六桂、という詰み筋があったが、Koba氏は迂回ルートで詰ました。このあたりをスムーズに詰ませられれば、初段はもうすぐだ。
というところで、そろそろお開きである。今日は4局指して4勝0敗。2局目は敗勢、4局目も劣勢だったから、この数字は望外だ。
だが私は、星を引き換えにしてでも、早く職を見つけたい。こんなところで運を使いたくない。
食事は駅近くのインドカレー屋へ行く。まだ雨が降っていたので、私はW氏に傘を借りた。
こんな私生活だと、ヒトの親切が身に沁みるのである。
店での席の配置はこんな感じ。
壁
W Fuj Koba
壁
Taga 大野 Ok 一公
この夜も話が弾み、私はいくぶん気力を回復できた。