一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

蕨市市制施行50周年記念・ふれあい将棋まつり(女流編)

2009-11-30 00:42:53 | 将棋イベント
体育館入口前に、I氏と、Aクラス1回戦で対局した甘いマスク氏がいた。するとI氏が寄ってきて、
「彼、一公さんのブログのファンで、一公さんがこの大会に出るのを知って、対戦できることを祈ってたらしいよ。そしたら(対局場の盤の)前に一公さんが座ったんで、感激したらしいよ」
と言うので、私はたいへん驚いた。
いままで私のブログに登場したアマ棋客で、「それは私です」とご本人からコメントが入ったケースは何回かあるが、LPSA金曜サロンで会うべくして会ったLPSAファンさんを除けば、今回は読み手と書き手が偶然会った、稀なケースである。
私は自分が対局で負けると、相手が船戸陽子女流二段であろうと中倉宏美女流二段であろうと、己の未熟を棚に上げて、あの美しい顔が憎たらしく見えて仕方がない。今回もそうで、私は甘いマスク氏に不愉快な気持ちを抱いたのだが、I氏にそう言われれば、私も嬉しさがこみあげてくる。
私は甘いマスク氏に歩み寄ると、
「ゼヒ優勝してください!!」
と激励したのだった。

午後1時からは「プロ棋士の50面指し」である。12時に申し込みをし、50名を越えたら抽選で参加者を決めるというシステムである。私はトーナメント戦で2連敗したため、申し込み資格がある。私は当初遠慮をしていたのだが、中井広恵女流六段から、「せっかくいらしたんだから、対局していってください」と温かい言葉をいただき、整理券をもらっていたのだ。
体育館に入ると、T氏がいる。とりあえず挨拶したのち、私は甘いマスク氏との痛恨の局面を、T氏に見せる。ところが、そのときの状況を詳しく説明しても、T氏は怪訝な顔である。理由を聞くと、甘いマスク氏が☖4八銀と打った手では、☖4九飛と打って、☗同金☖同桂成☗同玉☖4八金で簡単な詰みではないか、というのだ。
言われてみればたしかにそうで、さすがに終盤の強いT氏である。…ということは、甘いマスク氏も最短の詰みが見えなかったわけで、それほど秒読みは、選手の棋力を低下させる、ということだ。
T氏も整理券をもらい、参加選手の抽選となったが、T氏、I氏、そして私と、市外からの遠征組はほとんど当たったようだ。
指導対局の棋士は、中井女流六段、植山悦行七段、野月浩貴七段、石橋幸緒女流四段、船戸女流二段の5名。男女の別なく、それぞれ10面指しである(ちなみに藤田麻衣子女流1級は「どうぶつしょうぎ」の担当だった)。LPSA金曜サロンに通っている私としては、野月七段に教えていただくのがスジだろうが、やはり船戸女流二段に教えてもらいたい。
私が整理券番号のある席に着座すると、その船戸女流二段が近くにいらした。船戸女流二段はどこまでが担当なのだろう。昨年の天童市「人間将棋」の指導対局では、船戸女流二段に当たらず残念な思いをした。ところが運命とは不思議なもので、その後私は、金曜サロンで船戸女流二段に20局以上教えていただくことになる。しかしイベントとサロンでは雰囲気が違う。私は、今度こそ船戸女流二段が私のコーナーまで来るよう、願った。
と、しばらくして船戸女流二段が私の列の担当と分かり、心の中で快哉を叫んだ。
ちょっと大袈裟だが、実はこれが、今年船戸女流二段に教えていただく、最後の将棋になるからだった。
今年の金曜サロンは、12月18日に船戸女流二段の担当を残しているが、私はその日、九州にいるのだ。私が毎年12月に長崎の喫茶店に行く、ということは以前書いたが、今年はその日程を(九州旅行として)17日~20日と決めていたからだ。
何もこの週にしなくてもいいのでは、とも自問自答したが、この喫茶店に初めて訪れたのが11年前の12月18日で、その同じ日に、どうしても入店したかった。
考えてみれば、船戸女流二段がLPSAに移籍してから、金曜サロンでは、一度の休みもなく、船戸女流二段に指導対局を受けてきた。9月の北海道旅行では、日程を切り上げてまで帰京し、「連続対局記録」を続けた。だが今回は、12月18日の担当、中倉女流二段・船戸女流二段のゴールデンコンビをソデにし、記録を途切れさせてまで、長崎へ行く。まあ、こんなバカなところも、私らしい。もっとも両女流からすれば、久しぶりにウルサイ会員がいなくて清々する、といったところであろう。
屋上屋を架す、と言えなくもないが、今年はもうない、と諦めていた矢先の船戸女流二段との指導対局である。私はいつも以上に気合を入れ、船戸女流二段との対局(香落)に臨んだ。
船戸女流二段は、中飛車に振ってきた。私は船戸女流二段の直筆扇子を手にし、船戸女流二段の闘志を鈍らせるべく、姑息な手段を使う。
局面は一進一退の攻防が続いたが、中盤、上手の☖5四角成に対して、私が☗7七銀と上がった手が問題だった。部分図を記すと、

上手・5四馬、6五飛、8四香… 持駒:金など
下手・6七歩、6九金、7六歩、7七銀、7八玉、8七歩、8九桂… 持駒:桂など

である。ここで船戸女流二段は凡手を指したが、☖8七香成があった。☗同玉は☖6七飛成が厳しく、☗6八金は☖7六馬で即詰みがある。よって香成には玉をよろけるしかないが、☖8五飛と廻られ、下手敗勢。
船戸女流二段がこの手を見送ってくれたので、☗6六桂と打って息を吹き返した。以下はむずかしいところもあったが、私は敵陣に金銀をベタベタ打ち、餌を求める公園の鳩のようにじわじわ迫り、銀星を挙げることができた。
このとき感心したのは船戸女流二段の終盤の指し手で、受けはむずかしいのに、最後まで粘るのだ。少し悪くなるとすぐ投げてしまう私とはエライ違いで、将棋に対する姿勢をあらためて教えていただいた気がした。
「今年1年、ありがとうございました」
「…? (まだ12月の)金曜サロンがありますよ」
「いえ、それはまあ…」
「……。でも、フランボワーズカップは来てくださいますよね」
「ああ、あれは行かせていただきます」
――ちょっと切ない会話だった。

さて今回の50面指し、いちばん最後まで残ったのは、意外?にも野月七段だった。時間があったので指導対局を瞥見したが、局後の感想戦が懇切丁寧で、感心した。これからの棋士は公式対局だけではなく、指導対局もうまくこなさないとダメだ。今回は無料だったが、有料の場合は基本的に、指導棋士を選ぶ権利はこちらにある。そのときどれだけの将棋ファンから支持を得られるか。棋士として生活するために、ファンとのコミュニケーションも重要な要素になってくるだろう。
甘いマスク氏とまた会う。戦績を聞くとあれから勝ち進み、準決勝で敗れたとのことだった。しかし3位入賞は立派な成績である。中井女流六段から、賞状と記念品を貰っていた。

午後3時からは、その中井女流六段と石橋女流四段の席上対局である。
解説は、まず植山七段と、聞き手が船戸女流二段。どちらも見なれた姿だが、中年のオジサンより、長身の美人棋士を観賞したい。対局者は「圏外」なので、私は大盤解説を注視することにした。
戦形は後手番・石橋女流四段の四間飛車に、先番・中井女流六段の採った作戦は、なんと棒銀だった。加藤一二三九段なら「当然ですネ」とニンマリするところだが、じっくり型の中井女流六段にしては珍しい。
将棋は激烈な内容になり、解説が野月七段に代わってから、「次の一手」が出題された。「野月候補手」をグー、「船戸候補手」をチョキ、「その他」をパーとし、挙手で正解者を選ぶのだ。注目の正解は「パー」で、しかもその手が「私には思い浮かばない手」(野月七段)で、評判はわるかったが、私も中井女流六段の指した手が第一感だったので、なんだか嬉しかった。
先ほど私に挨拶をしてくださった藤田女流1級が聞き手を代わり、対局は続行。将棋は激烈な攻め合いとなり、最後は打ち歩詰めの局面(もちろん打たない)で石橋女流四段が投了し、中井女流六段の嬉しい勝利となった。
中井女流六段の閉会の辞で締めとなり、楽しいイベントは終了した。しかし以前ならいざ知らず、いまの環境では、このまま帰れないところである。周りを見渡すと、金曜サロンの常連が何人かいる。(ちょっとどこかへ寄っていこうか)とアイコンタクトをする。これが激烈な「2回戦」の始まりであった。
(つづく)
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蕨市市制施行50周年記念・ふれあい将棋まつり(愕然編)

2009-11-29 02:53:18 | 将棋イベント
昨日28日(土)は、蕨市の市民体育館で、「蕨市市制施行50周年記念・ふれあい将棋まつり」が行われた。主催はもちろん蕨市、主幹はLPSAである。
出場棋士は、蕨市教育委員を務める中井広恵天河(女流六段)、中井女流六段の旦那様である植山悦行七段、さらにLPSA女流棋士は石橋幸緒女流四段、船戸陽子女流二段、藤田麻衣子女流1級の3名。日本将棋連盟からは野月浩貴七段が特別参加した。
将棋まつりの主なプログラムは、「一般参加の将棋大会」「プロ棋士5人による指導対局50面指し」「中井女流六段と石橋女流四段の席上対局」の3本である。
「将棋大会」は棋力別に5つに分かれている。大会の趣旨からいえば、こうしたまつりは地元の人が優先的に参加すべきと思うが、「市外の人にも蕨の良さを感じてもらいたい」(中井女流六段)という見方をすれば、私たちが参加することにも意義がある。
私は申し込み締切日(20日)ギリギリまで待ったが、Aクラス(三段以上)にまだ空きがあるということだったので、エントリーを済ませていた。
午前10時。蕨市長や中井女流六段の挨拶のあと、早速将棋大会の開始である。32名によるトーナメント戦だから、優勝するためには5局戦う。持ち時間は15分、秒読みは30秒。よって勝ち進んでいる間は、午後1時から行われる50面指導対局(無料)は受けられない。
私は甘いマスクの青年氏と対局することになった。駒を振ってもらい、私の先手。
☗2六歩☖3四歩☗7六歩に後手氏が☖8四歩と突いてきたので、いきおい相掛かり戦となった。横歩を取り、後手の中座飛車に、私は新山崎流の布陣。後手が早めに☖7四歩と突いたので、私も☗3五歩と伸ばす。これを☖3五同飛と取ると☗3三角成☖同桂☗4六角のスジがあるので、ちょっと取りづらい。以下は後手に☖2三歩や☖4二角などの弱気な手が出て、少しずつこちらの形勢が良くなっていったようだ。
中盤、後手の陣形が3三銀、4一王、4二角、4三歩、4四銀、6一金。私の攻め駒が5四飛、8八角で、持駒に桂と歩。ここで☗3四歩☖同銀☗4四角☖同歩☗5三桂の攻めが決まり、この将棋はイケるのではないかと思った。
さらに進んで最終盤の局面を記す。

先手・一公:1七歩、1九香、2六歩、3七銀、4三角、4七歩、4九金、5七歩、5九玉、6三成銀、6七歩、7八金、7九銀、8七歩、9七歩、9九香 持駒:金、銀、歩
後手:1一香、1三歩、2四歩、3一王、3二桂、3四金、3五歩、3六桂、4二角、4四歩、4五桂、5四歩、6五歩、7四歩、7六桂、8一飛、8四歩、9一香、9三歩 持駒:飛、歩

私が4六の桂で3四銀を取り、☖同金☗4三角の詰めろに、後手が☖3二桂と受けたところである。盤に並べていただければ分かるが、これは私の必勝形である。後手氏はすでに秒読み、私のほうも秒読みに入っていた。そしてこのあと、とんでもないドラマが起きる。例によってそのスットコドッコイな指し手を記してみよう。

☗3四角成☖3七桂不成☗3九金☖4八銀☗同金☖同桂成☗同玉☖4九飛☗3七玉☖3九飛成☗2七玉☖3六竜☗1六玉☖1五金 まで、後手氏の勝ち。

将棋に限らず、勝負事は下駄をはくまで分からない。指し始め図での第一感は、☗2三銀だった。これに☖3三金なら☗2二金で詰み。しかし☗2三銀に☖2二飛の強防が気になり(実際は受けになっていない)、私は☗3四角成と金を取った。これも☗2二銀☖同王☗2三歩☖3一王☗2二金☖4一王☗5二成銀までの詰めろである。だからそう指したのだが、☖3七桂不成と開き直られたとき、上記手順の☗2三歩が、二歩で打てないことに気づき愕然とした。
さりとて☗2二銀☖同王☗2三金☖3一王☗3二金は、持駒が金と桂ではまったく詰まず、おろおろしている間にも秒はどんどん減っていき、私は頭が混乱したまま、残り3秒になって、咄嗟に4九の金を横にすべらせた(☗3九金)。
しかしこれではダメだ。☖4八銀と打たれて詰みである。それでも投げ切れずに指していると、☗3九金では☗2二銀☖同王☗2三金☖3一王「☗2二金打」以下後手王が簡単に詰んでいることに気づき、私は再び愕然とした。
☖1五金と迂回手順で詰められ、茫然自失で投了。私は完全に頭に血が上っていた。
おりよく植山七段と石橋女流四段がいらしたので、私は相手の立場も考えず、「聞いてくださいよお!!」と、先ほど逃した詰め手順をまくしたてる。
石橋女流四段は苦笑しながらも、隣の将棋が秒読みですから…と私をなだめる。しかし、ああ~、なんてこった!! 序盤から自分の構想通りにうまく指し、後手王に簡単な詰みまであったのに、まったく見えなかった。ふだんは早指しなのに、どうして秒読みだと、こうも慌ててしまうのか。これではLPSA金曜サロン棋友・W氏の終盤の弱さを笑っていられない。私のほうこそグダグダだ。
1回戦の敗者にはセカンドトーナメント(敗者慰安戦)があるが、とても参加する気になれない。しかし船戸女流二段に先ほどの悔しさをぶつけている間に自動的にセッティングされてしまい、今度は敗者戦を指すことになった。
前局が尾を引いたまま指した将棋は、後手四間飛車。対して先手氏は糸谷流右玉の採用であった。
先手氏は前局が私の隣だったので、局面をチラ見したが、そのときも右玉だった。相手の作戦にかかわらず、先手氏は右玉を得意としていたようだ。
そんなわけだから経験値の差が如実に現れ、中盤に☗2四歩☖同角☗1六桂☖3三角☗2三飛成と指されて、攻防ともに見込みがなくなった。以下先手氏の力強い指し手になす術なく、はやばやと投了に追い込まれた。
ここで昼食の時間。蕨の街をぶらぶら歩き、中華料理屋があったので入り、タンメンを食す。ここのタンメンはボリュームもあり、私が通常の状態なら、相当な美味に感じたことだろう。しかしこのときは私が風邪気味だったからか、それとも必勝の将棋を負けたからか、ほとんど味を感じなかった。
ところが失意のなか体育館に戻ると、金曜サロン棋友のI氏から、まったく予想もしない情報を知らされた。
(つづく)
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中倉宏美女流二段は、姉の彰子女流初段を何と呼んでいるか・解答編

2009-11-28 02:38:02 | 将棋雑記
21日の記事では、中倉宏美女流二段が、姉の彰子女流初段をプライベートでは何と呼んでいるかを、皆さまに問うた。
注目の答えは
「アッコちゃん」
であった。宏美女流二段いわく、
「もちろん人前では『姉』と呼びますけど、わりとオトナになってからも(アッコちゃんと)呼んでて…だけど周りからおかしいと言われて…でも最近でも、ふたりきりになると『アッコちゃん』と呼んじゃうことがあります」
とのことであった。一字一句正しい発言だったか自信はないが、だいたいこんなニュアンスの回答であった。
なるほど、男兄弟はともかく女性姉妹は、妹が姉に「ちゃん」づけで呼ぶケースはよくある。
「アッコちゃん」――。
そう言われてみれば、中倉女流姉妹のブログ名は、日本語では「あっこ&ひろみオフィシャルブログ」と書かれてあった。ここにヒントが隠されていたのだ。
いつか宏美女流二段が、彰子女流初段に「アッコちゃん」と話しかけるところを、聞いてみたいものだ。

ところで…27日のLPSA金曜サロンで、私が松尾香織女流初段との将棋に関することをボソッと漏らしたら、そばで聞いていた松尾女流初段がたいそうお怒り?になり、
「もう一公さんには(指導対局で)一生負けません!!」
と宣言?されてしまった。
松尾先生、うっかりの暴言?、申し訳ありませんでした…。でも次こそ。
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第23期竜王ランキング戦6組

2009-11-28 00:35:36 | 男性棋戦
先日、第23期竜王ランキング戦トーナメントの組み合わせが発表された。
今期の女流枠(4人)は、タイトル保持者の矢内理絵子女王、清水市代女流名人・女流王位・女流王将、里見香奈倉敷藤花の3人に、読売推薦と思われる岩根忍女流二段となった。私は、先日まで女流王位戦の激闘を演じていた石橋幸緒女流四段が出場すると思いこんでいたので、正直、岩根女流二段の出場は意外だった。
ランキング戦6組のアマプロ戦組み合わせが読売新聞に発表されたのは22日だから、女流王位戦の結果を待って、組み合わせ抽選を行ったのだろう。
むろん4人目の女流枠としては、タイトルは失ったものの、今期の朝日オープンや王座戦で男性棋士を破った実績から、そのまま石橋女流四段が出場する可能性もあったし、女流最強戦で優勝した中井広恵女流六段の可能性もあった。
しかし読売は、女流棋界最高の棋戦であるマイナビの挑戦者という実績を重視し、岩根女流二段を推したと思われる。
読売は、岩根女流二段がマイナビ5番勝負の挑戦権を獲得したとき、カラー写真入りで大きく取り上げていたし、昨年とは違うメンバーにすることで、新味を出したかったのだと思う。もっとも岩根女流二段は女流棋界一の癒し系棋士であり、私のファンランキングトップ10にも入っているので、この人選に異論は挟まない。
前期竜王戦は早く終わってしまったので、今期のランキング戦は、昨年と比べて5局多く掲載できる。岩根女流二段の将棋も採用されるであろう。むろん「将棋世界」にも、西條耕一記者の熱い筆で、女流戦が大々的に扱われることだろう。こちらも大いに楽しみである。
さてほかの組み合わせだが、私はアマノジャクなので、1組のそれはあまり興味がない。やはり6組がおもしろい。
LPSA金曜サロンの手合い係である植山悦行七段は、武者野勝巳七段と対戦。武者野七段は、将棋ファンのために「駒音掲示板」を開放しており、その貢献度ははかりしれない。私が最も注目する一番である。
6組のトーナメント表を大きく4つに分けると、植山七段の山の中に、盟友の大野八一雄七段や、かつて私もお話させていただいたことがある、安西勝一六段の名前も見える。大野七段は前期、2番連続昇級のチャンスを活かしきれず、無念の涙をのんだ。今期にかける意気込みは相当のものであろう。
植山七段、大野七段とも、持てる力を十二分に出し切れば、準々決勝で当たる可能性は高い。おふたりの対戦が実現することを、私は大いに期待している。
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哀愁の社団戦(後編)

2009-11-27 00:52:53 | 社団戦
その将棋の、以下の手順を記す。
(☖8三銀以下の指し手)
☗2四歩☖同歩☗2五歩☖同歩☗同桂☖5一角☗2四歩☖4六歩☗3三桂成☖同桂☗2三歩成☖6二飛☗2四と☖4五銀☗3三と☖同角☗2三飛成☖5一角☗5三桂 まで、先手氏の勝ち。

玉の囲いの中で、高美濃から銀冠に組みかえる瞬間(☖8三銀)は、プロアマとも、最も気持ちがわるいのではないだろうか。金銀がバラバラで、ここでの仕掛けをつねに恐れる。しかし本局ではそれはないだろうと高をくくっていた。
ところが相手の20代前半と思しき青年は俯いたまま熟考し、☗2四歩と突いてきた。指されてみて、驚いた。受けがないのだ。そう、本局は私が後手番であった。
☖2四同角は☗同角☖同歩☗2三歩☖同飛☗3二角で後手つぶれ。したがって☖2四同歩と取るしかないが、☗2五歩の継ぎ歩が厳しい。4筋で1歩を持たれた弊害が早くも現れた。
本譜☗2五同桂に☖5一角が甘かったかもしれないが、反射的に角を引いてしまった。
局後の検討で青年は、2度目の☗2四歩に☖同角を恐れていたとのことだが、これは☗1三桂成で先手勝勢。先手陣が穴熊なので、☖6八角成が王手にならない。
2度目の☖5一角では☖4二角も考えたが、☗4三竜と回られ、銀を助けるために☖5三桂と打つようでは勝負にならない。しかし☗5三桂と金取りに打たれてシビれた。☖7一金では☗4一桂成で角を取られて後手負け。捨ておいて☗6一桂成と金桂交換に甘んじるのも、駒損がひどくてやはり後手の負け。
ほかの対局を見回すと、まだ中盤戦である。ここで投げるのは気がひけるが、7月のときのように、敗勢なのを我慢して、サンドバッグ状態にされるのはもうゴメンだ。攻防ともに見込みなく、ここで私は投了した。
いやしかし…これが「社団戦最後の対局」だったのに、まったくひどい将棋を指したものだ。私は茫然としつつ、フロアを回る。
同じ4部の、LPSA月組が対局している。ここはマンデーレッスンの常連が中心で、私はほとんど面識がない。堅実に勝ち星は稼いでいたが、昇級の目は残ったのだろうか。
時間を潰して戻ってくると、星組の残り6人は、まだ対局をしている。大将が早々と完敗して、残りの選手の戦いぶりを見守るとは、惨めなことこの上ない。
やがて対局がぼちぼち終局し、最終戦は1勝6敗となった。これでチームの成績はトータル5勝10敗。「LPSA」の名前を冠しているのに、情けない。
ふと見ると、将棋ペンクラブ幹事のM氏の姿が見えたので、挨拶に行く。12月発行の「将棋ペン倶楽部」の原稿について話すと、
「ここの席からは船戸さんがよく見えましたよ」
と、M氏が言う。特定の名前は出さないが、私がファンランキングを公表してからというもの、最近はその女流棋士トップ3に関する情報を出して、私の反応を楽しむ手合いが増えてきた気がする。
船戸陽子女流二段が、蕨将棋まつりのパンフレットを持って、こちらへいらした。なんだかドキドキしてしまうが、この展開だとM氏が邪魔駒である。しかし船戸女流二段とM氏は旧知の仲で、むしろ私が邪魔駒といえる。
「(女流王位戦の予選で、もし山口恵梨子女流1級が勝ちあがってきたら)みんな恵梨子ちゃんを応援するって言うんですよー」
と、船戸女流二段が言う。9月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式でも同じようなことを聞いたが、私の答えもそのときと同じである。
「みんなが山口先生を応援しても、私だけは船戸先生を応援します!!」
やはり目の前にいる人に、「応援します!!」と宣言するのがエチケットである。
その後私たち星組は、用事で帰ったひとりを除き、6人で「反省会」に赴く。メンバーは、金曜サロン常連のW、I、Y、Xの各氏に水曜サークル常連のH氏、そして私である。いきなり居酒屋に入るのは時間的に味がわるいので、まずは喫茶店で時間をつぶす。
飲み物はコーヒーと相場が決まっているが、この日は私の旅行定跡に倣ってか、私もふくめて4人がケーキセットを注文した。ケーキの種類はいろいろあるが、私はいつもチーズケーキをオーダーすることにしている。一口にチーズケーキといっても店ごとに味や形が違い、個性が出ていておもしろいのだ。ちなみにこの店のそれは、透明な平べったい皿に載った小さめのもので、パウダーシュガーがふりかけてある。ちょっと甘めだが、美味だった。
それにしても、いい大人がケーキセットを頼んで「7六」とか「2五」とか、意味不明な数字を挙げて談笑している姿は、ちょっと近寄りがたいものがある。私ならこんなグループの輪に入りたくない。
約2時間後、チェーン店の居酒屋へ場所を移す。乾杯のあと棋士の悪口を言って談笑していると、真面目なY氏が、
「じゃあきょうの反省と、来年への課題をひとり3分、時計まわりで発表することにしましょう」
と言う。この日の3回戦、チームが勝ち越せば「祝勝会」、負け越せば「反省会」だったが、本当に反省の弁を述べさせられるとは思わなかった。まずは私が
「今年は勝てる将棋を落としたことが何局かあったので、来年はそういう星がないようにしたいです」
と言うと、
「ということは、来年も一公さんは社団戦に参加ですね」
と、みんながドッと笑う。どうも誘導尋問にかかってしまったが、まあ全部は無理としても、来年も何回かは参戦するしかないようだ。
コメント (6)
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