きのう8日は、西山朋佳女流三冠の棋士編入試験第3局が行われた。ここまで西山女流三冠の1勝1敗。3戦目の相手は上野裕寿(ひろとし)四段。2023年10月デビュー。
その上野四段は棋士2年目にして、新人王戦と加古川青流戦で優勝している。今回西山女流三冠が受験するにあたり、最強の相手がこの上野四段であった。
将棋は西山女流三冠の後手で、四間飛車。西山女流三冠には先手でも後手でも三間飛車のイメージがあったから、これは意外だった。
西山女流三冠はさらに、美濃囲いを放棄し△6二銀と上がる、独特の戦型を採った。
この大事な一戦に、よく指しなれない手を選ぶと思う。先日の「将棋フォーカス」で藤井猛九段が語っていたが、西山女流三冠には、贔屓の振り飛車党棋士がいないという。振り飛車の定跡を知らない、という別方向からの情報もあり、要するに西山女流三冠の振り飛車は、西山オリジナルなのだ。本局の独特の囲いもふまえ、大山康晴十五世名人のテイストによく似ていると思った。
西山女流三冠は、6筋の位を取り、十分。△2二飛を利かされたのがアレだが、西山女流三冠は、福間香奈女流五冠との戦いでも、よく向かい飛車を指すから、問題ないのだろう。
上野四段は飛車角交換をし、▲4四角と飛車取りに飛び出す。西山女流三冠は飛車を端に寄って耐える。しかしここは、香を見捨てて△6二飛もあったようだ。
西山女流三冠、銀を桂と刺し違え、△6六桂と両金取りに打った。一見でかしたようだが、先に損をしているので、得はしていない。むしろ先手の駒を捌かせているので、植山悦行七段や大野八一雄七段はマユをひそめると思う。私は両七段の教室によくお邪魔したが、その教えは応用が利き、とても勉強になったものだ。
西山女流三冠、△7八桂成とこちらの金を取った。△5八桂成なら成桂が残るが、桂を渡しても、玉を薄くするほうを採ったわけだ。だがこの判断も甘かったようだ。
西山女流三冠は継続手として角頭を攻めたが、ABEMA解説の郷田真隆九段と佐藤和俊七段は△9六歩を推奨する。
むろん西山女流三冠も考慮に入れたが、遅いと判断したのだろう。ただ、▲9五歩△同歩と突き捨てた側からすると、その歩を伸ばされるのは不愉快なものなのだ。
たとえば大山十五世名人は、その局面の最善手よりも相手の嫌がる手を指した。大山十五世名人なら、間違いなく△9六歩を指したであろう。
上野四段は▲2二とと飛車を殺し、これで専門的には勝負あった。以下は西山女流三冠の懸命の攻めを上野四段が甘し、快勝となった。
西山女流三冠は残念だったが、「四間飛車も試して、充実していました」と前向きな感想を残した。
それで思ったのだが、西山女流三冠は、そこまで編入試験に「入れ込んでいない」ような気がした。
しかし現実的に、西山女流三冠はあとがなくなった。第4局の相手は宮嶋健太四段。さて、どうなるか。
その上野四段は棋士2年目にして、新人王戦と加古川青流戦で優勝している。今回西山女流三冠が受験するにあたり、最強の相手がこの上野四段であった。
将棋は西山女流三冠の後手で、四間飛車。西山女流三冠には先手でも後手でも三間飛車のイメージがあったから、これは意外だった。
西山女流三冠はさらに、美濃囲いを放棄し△6二銀と上がる、独特の戦型を採った。
この大事な一戦に、よく指しなれない手を選ぶと思う。先日の「将棋フォーカス」で藤井猛九段が語っていたが、西山女流三冠には、贔屓の振り飛車党棋士がいないという。振り飛車の定跡を知らない、という別方向からの情報もあり、要するに西山女流三冠の振り飛車は、西山オリジナルなのだ。本局の独特の囲いもふまえ、大山康晴十五世名人のテイストによく似ていると思った。
西山女流三冠は、6筋の位を取り、十分。△2二飛を利かされたのがアレだが、西山女流三冠は、福間香奈女流五冠との戦いでも、よく向かい飛車を指すから、問題ないのだろう。
上野四段は飛車角交換をし、▲4四角と飛車取りに飛び出す。西山女流三冠は飛車を端に寄って耐える。しかしここは、香を見捨てて△6二飛もあったようだ。
西山女流三冠、銀を桂と刺し違え、△6六桂と両金取りに打った。一見でかしたようだが、先に損をしているので、得はしていない。むしろ先手の駒を捌かせているので、植山悦行七段や大野八一雄七段はマユをひそめると思う。私は両七段の教室によくお邪魔したが、その教えは応用が利き、とても勉強になったものだ。
西山女流三冠、△7八桂成とこちらの金を取った。△5八桂成なら成桂が残るが、桂を渡しても、玉を薄くするほうを採ったわけだ。だがこの判断も甘かったようだ。
西山女流三冠は継続手として角頭を攻めたが、ABEMA解説の郷田真隆九段と佐藤和俊七段は△9六歩を推奨する。
むろん西山女流三冠も考慮に入れたが、遅いと判断したのだろう。ただ、▲9五歩△同歩と突き捨てた側からすると、その歩を伸ばされるのは不愉快なものなのだ。
たとえば大山十五世名人は、その局面の最善手よりも相手の嫌がる手を指した。大山十五世名人なら、間違いなく△9六歩を指したであろう。
上野四段は▲2二とと飛車を殺し、これで専門的には勝負あった。以下は西山女流三冠の懸命の攻めを上野四段が甘し、快勝となった。
西山女流三冠は残念だったが、「四間飛車も試して、充実していました」と前向きな感想を残した。
それで思ったのだが、西山女流三冠は、そこまで編入試験に「入れ込んでいない」ような気がした。
しかし現実的に、西山女流三冠はあとがなくなった。第4局の相手は宮嶋健太四段。さて、どうなるか。