第3図以下の指し手。△6三玉▲6二飛成△同玉▲5二と(投了図)
まで、一公の勝ち。
松尾香織女流初段(現・上川香織女流二段)は、うぅ~ん、と悩ましげに漏らしたまま、動かない。ややあって、△6三玉??と上がった。
?? これは▲6二飛成と切って、簡単な詰みである。もちろんそう指し、以下▲5二とまで松尾女流初段の投了となった。私は言う。
「ここは△8二玉の一手だと思いましたが」
「……」
「▲6二飛成に△9三玉(参考図)で、こっちはナナメ駒がないから、私が負けだと思いますが…」
「そうか…」
仮に接待だとしても△6三玉はあからさまな悪手で、勝った私がキツネにつままれたようだった。しかしこの勝ちは大きく、マッカラン勝負は2勝2敗になった。
なお蛇足だが、本譜△6七銀に▲7九玉が悪手で、▲7七玉と上がるべきだったかもしれない。
ただこれも、△8五銀が次の△8六銀打(好手)▲同歩△7六銀行までの詰めろで、やはり下手がわるい。
してみると、好調に攻めていたようでも、すべては上手の掌の上だったということか。
隣のHon戦はもちろん続いている。しかし上手に攻めこまれ旗色がわるい。私は松尾女流初段におかわり対局(追加料金1,000円)を申し込んだ。
「今度は私が先手ね」
ということで、松尾女流初段の先手。▲5六歩△5四歩の出だしから、また松尾女流初段が中飛車に振った。
少し進んで、▲5五歩△同歩▲同飛。私は角道を開けていない。△6四銀と飛車取りに出たが、松尾女流初段は▲2五飛。この狙いが不明で、ここに松尾女流初段の乱調が見て取れる。ふつうに▲5九飛で一局だったと思う。
Hon戦も終わり、松尾女流初段の勝ち。Hon氏も続けておかわり対局を行うことになった。
私は二枚銀を前線に繰り出して、まずまず。松尾女流初段は▲2五飛を▲2六飛と引いた。こう整えるのなら、最初から▲5九飛としておけばよかった理屈だ。
第1図以下の指し手。△5六歩▲同飛△6五銀左▲5九飛△9九角成▲8八金△7六銀▲7七桂△8八馬▲同角△8七銀成▲6五桂△8八成銀▲5三桂不成△同銀▲同飛成(第2図)
隣のHon戦は、松尾女流初段の飛車落ちになっていた。前局は平手だったのに、ずいぶんな落差だ。Hon氏、指導対局なのに平手で振り駒をやったりして、手合い割の基準が分からない。
私は△5六歩と突きだしたが、敵飛車を働かせるので一長一短。しかし香得も大きい。
▲7七桂で馬が詰んだが、△8八馬で二枚換え。その後△8七銀成でほぼ角を掌中に収め、差し引き私の駒得が残った。とはいえこの銀が遊ぶので、形勢は微妙である。
▲5三同飛成に次の手は迷った。
第2図以下の指し手。△4二金打▲6三竜△6二歩▲6四竜△8七飛成▲8二歩△7八成銀▲5九銀△5一香(第3図)
第2図で△4二金打としたが、あまり固くなかった。本当は節約して△5二金右としたかったのだが、▲同竜△同金▲5三歩のような手を気にしたのかもしれない。
▲6四竜に△8七飛成は気が利かないが、▲8四歩をあらかじめ回避した。
数手後、私は銀取りに香を打つ。この香が打ててホッとしたのだが…。
(つづく)