きのう8日(金)は、初めてLPSA芝浦サロンに足を運んだ。その感想を何と言えばいいのか。
まあその前に、女流棋士スーパーサロンである。きのうも私はスーパーサロンに赴いた。予約したのは6日(水)。電話を切ったあと、行く日にちを言ってなかったような気がして、再度かけ直した。この時、8日の担当が渡辺弥生(みお)女流2級であることを知った。藤田綾女流初段に教えていただきたかったので拍子抜けしたが、渡辺女流2級も藤田女流初段に劣らぬキャラである。
渡辺女流2級はデビュー時、東大卒の女流棋士としてニュースになったが、東大に2回入学していることは意外に知られていない。
渡辺女流2級は、ある学部を卒業したあと、また違う学部の試験を受け、再び合格したのだ(ただし2度目は中退)。大学というものは1回入学して卒業すれば十分だと思うが、再びセンター試験を受けるとは、どういう心境なのだろう。
また大学生活を4年間も続けていればふつうはバカになるものだが(思い込みで失礼)、1回目入学時の学力を維持したまま合格したのがスゴイ。もうこのエピソードだけで、渡辺女流2級が並の女流棋士でないことが分かる。
きのうは10時の予約を取ったので、それに合わせて行く。対局場所は「東京・将棋会館」2階将棋道場の一隅だが、あまり早く行っても道場が開いてないので、定刻ギリギリに行くのがベストだ。
10時ちょうどに将棋会館に着くと、玄関前の喫煙コーナーで、植山悦行七段が紫煙をくゆらせていた。1日にタバコが大幅値上げされたが、植山七段には関係なかったようだ。
「あっ、植山先生、どーも」
「うん」
「きょうは対局ですか?」
もう10時を過ぎているが、一応問うてみる。
「きょうは解説」
「ああそうですか。すみません、私対局があるので失礼します」
なんだか妙な会話をして、2階へ行く。
受付を待っていると、再び植山七段がいらした。
「あ、先生。きょうはどの解説なんですか」
「銀河戦。10時半待ち合わせなんだけどさあ」
待ち合わせの30分も前に将棋会館にスタンバイするとは、感心してしまう。「きょう(の対局)は○○○○君と○○○○君。それに勝った方と○○○○(の解説をやる)」
「ああ、そうですか。ところで先生は…あれ? 予選で負けちゃたんでしたか」
「そうだよ。清水市代に負けちゃったやつ」
「あ? ああ、あれまだ(その期の将棋を)やってたんでしたっけ」
人には触れられたくない過去がある。植山七段は銀河戦で清水女流王将に負けたことが相当なショックだったらしい。植山七段の言う「対清水戦の敗戦」は第18期銀河戦。現在は第19期の本戦トーナメントがすでに開幕しており、植山七段は予選で飯島栄治六段に屈していた。つまり植山七段は、直近の同棋戦の敗戦と、1期前の敗戦がごっちゃになっていたのだ。
何しろ植山七段は、甲斐智美女王・女流王位、矢内理絵子女流四段にも公式戦で敗れた過去がある。植山七段が旧金曜サロン会員の有段者に大駒落ちで指しても「六分程度の力」でほとんど負けなかったのに、なぜか女流棋士には勝てないのだ。これは平手で指すからいけない。植山七段が角を落とせば、植山七段が勝つだろう。
イヤなことを思い出させてしまった…と私は植山七段に心の中でお詫びをしつつ、渡辺女流2級の待つ対局場へ向かったのだった。
10時からの指導対局は満員の4人。渡辺女流2級は落ち着いた雰囲気だがそれもそのはず、今年○歳になったイイ女である。もっとも彼女がLPSAに移籍すれば、若手の部類に入る。
指導対局開始。☗2六歩☖3四歩☗7六歩に、渡辺女流2級☖5四歩。これでゴキゲン中飛車が確定。相変わらずプロ棋界では猛威をふるっている。後手番での主力戦法になった。
将棋は☗5五歩☖同飛☗同銀☖同角、という例の定跡に進む。ここで下手の応手は☗2七飛打、☗1八飛打、☗1八飛などがある。NHK杯では森内俊之九段が☗1八飛と寄って、鈴木大介八段に快勝した。その鮮やかな勝利を観ているから私もそう指したかったのだが、いかにもNHK杯を観ました、と白状しているような気がして、私は☗2七飛打を選んだ。
しかし本譜は☖5六歩の垂らしから☖2八角成~☗2四同飛☖2五歩~☖5七歩成~☖2八飛と先着され、不利になったと思った。
ここで中盤の一局面を載せる。
☗6八香と埋めたところ。ここで上手の指した☖7六銀が大悪手。よろこんで☗同馬と取り、☖同桂☗7四桂☖9二王☗3二竜で、私の勝ちだった。
ところがところがところが、本譜は☗8八馬とひるむ。以下☖5六歩☗5八金引☖5七銀☗同金☖同歩成☗同角☖1九竜☗4六角☖2九竜☗1三角成☖5一香☗5八歩☖2二金打☗同竜☖同銀☗4六馬☖4九飛(投了図)まで、72手で渡辺女流2級の勝ちとなった。
上の手順で、☗4六角が一手パスの疑問手。☖2九竜で手順に☖2五歩にヒモをつけさせて、損だった。最終2手目の☗4六馬が竜取りにならなかったのも、この罪である。
また☖5一香に☗5八歩も、のちに☖同香成☗同金☖6九銀(角)を狙われて損だった。このあたりは、完全に戦意を喪失していた。
感想戦では、
「ずうっと苦しいと思ってました。馬を引かれる手を軽視していて…」
と、渡辺女流2級が私を慮ってくれた。私も☗7六同馬に気づいていなかったから、ずーっと苦しいと思っていた。まあ終局時は私の銀損だったから、結果的には順当な負けであった。
渡辺女流2級はスーパーサロンのレギュラーではないから、再び教えていただく機会はないが、再戦できればうれしい。
まあその前に、女流棋士スーパーサロンである。きのうも私はスーパーサロンに赴いた。予約したのは6日(水)。電話を切ったあと、行く日にちを言ってなかったような気がして、再度かけ直した。この時、8日の担当が渡辺弥生(みお)女流2級であることを知った。藤田綾女流初段に教えていただきたかったので拍子抜けしたが、渡辺女流2級も藤田女流初段に劣らぬキャラである。
渡辺女流2級はデビュー時、東大卒の女流棋士としてニュースになったが、東大に2回入学していることは意外に知られていない。
渡辺女流2級は、ある学部を卒業したあと、また違う学部の試験を受け、再び合格したのだ(ただし2度目は中退)。大学というものは1回入学して卒業すれば十分だと思うが、再びセンター試験を受けるとは、どういう心境なのだろう。
また大学生活を4年間も続けていればふつうはバカになるものだが(思い込みで失礼)、1回目入学時の学力を維持したまま合格したのがスゴイ。もうこのエピソードだけで、渡辺女流2級が並の女流棋士でないことが分かる。
きのうは10時の予約を取ったので、それに合わせて行く。対局場所は「東京・将棋会館」2階将棋道場の一隅だが、あまり早く行っても道場が開いてないので、定刻ギリギリに行くのがベストだ。
10時ちょうどに将棋会館に着くと、玄関前の喫煙コーナーで、植山悦行七段が紫煙をくゆらせていた。1日にタバコが大幅値上げされたが、植山七段には関係なかったようだ。
「あっ、植山先生、どーも」
「うん」
「きょうは対局ですか?」
もう10時を過ぎているが、一応問うてみる。
「きょうは解説」
「ああそうですか。すみません、私対局があるので失礼します」
なんだか妙な会話をして、2階へ行く。
受付を待っていると、再び植山七段がいらした。
「あ、先生。きょうはどの解説なんですか」
「銀河戦。10時半待ち合わせなんだけどさあ」
待ち合わせの30分も前に将棋会館にスタンバイするとは、感心してしまう。「きょう(の対局)は○○○○君と○○○○君。それに勝った方と○○○○(の解説をやる)」
「ああ、そうですか。ところで先生は…あれ? 予選で負けちゃたんでしたか」
「そうだよ。清水市代に負けちゃったやつ」
「あ? ああ、あれまだ(その期の将棋を)やってたんでしたっけ」
人には触れられたくない過去がある。植山七段は銀河戦で清水女流王将に負けたことが相当なショックだったらしい。植山七段の言う「対清水戦の敗戦」は第18期銀河戦。現在は第19期の本戦トーナメントがすでに開幕しており、植山七段は予選で飯島栄治六段に屈していた。つまり植山七段は、直近の同棋戦の敗戦と、1期前の敗戦がごっちゃになっていたのだ。
何しろ植山七段は、甲斐智美女王・女流王位、矢内理絵子女流四段にも公式戦で敗れた過去がある。植山七段が旧金曜サロン会員の有段者に大駒落ちで指しても「六分程度の力」でほとんど負けなかったのに、なぜか女流棋士には勝てないのだ。これは平手で指すからいけない。植山七段が角を落とせば、植山七段が勝つだろう。
イヤなことを思い出させてしまった…と私は植山七段に心の中でお詫びをしつつ、渡辺女流2級の待つ対局場へ向かったのだった。
10時からの指導対局は満員の4人。渡辺女流2級は落ち着いた雰囲気だがそれもそのはず、今年○歳になったイイ女である。もっとも彼女がLPSAに移籍すれば、若手の部類に入る。
指導対局開始。☗2六歩☖3四歩☗7六歩に、渡辺女流2級☖5四歩。これでゴキゲン中飛車が確定。相変わらずプロ棋界では猛威をふるっている。後手番での主力戦法になった。
将棋は☗5五歩☖同飛☗同銀☖同角、という例の定跡に進む。ここで下手の応手は☗2七飛打、☗1八飛打、☗1八飛などがある。NHK杯では森内俊之九段が☗1八飛と寄って、鈴木大介八段に快勝した。その鮮やかな勝利を観ているから私もそう指したかったのだが、いかにもNHK杯を観ました、と白状しているような気がして、私は☗2七飛打を選んだ。
しかし本譜は☖5六歩の垂らしから☖2八角成~☗2四同飛☖2五歩~☖5七歩成~☖2八飛と先着され、不利になったと思った。
ここで中盤の一局面を載せる。
☗6八香と埋めたところ。ここで上手の指した☖7六銀が大悪手。よろこんで☗同馬と取り、☖同桂☗7四桂☖9二王☗3二竜で、私の勝ちだった。
ところがところがところが、本譜は☗8八馬とひるむ。以下☖5六歩☗5八金引☖5七銀☗同金☖同歩成☗同角☖1九竜☗4六角☖2九竜☗1三角成☖5一香☗5八歩☖2二金打☗同竜☖同銀☗4六馬☖4九飛(投了図)まで、72手で渡辺女流2級の勝ちとなった。
上の手順で、☗4六角が一手パスの疑問手。☖2九竜で手順に☖2五歩にヒモをつけさせて、損だった。最終2手目の☗4六馬が竜取りにならなかったのも、この罪である。
また☖5一香に☗5八歩も、のちに☖同香成☗同金☖6九銀(角)を狙われて損だった。このあたりは、完全に戦意を喪失していた。
感想戦では、
「ずうっと苦しいと思ってました。馬を引かれる手を軽視していて…」
と、渡辺女流2級が私を慮ってくれた。私も☗7六同馬に気づいていなかったから、ずーっと苦しいと思っていた。まあ終局時は私の銀損だったから、結果的には順当な負けであった。
渡辺女流2級はスーパーサロンのレギュラーではないから、再び教えていただく機会はないが、再戦できればうれしい。